基地関係要望を提出する
2017/09/05記
 昨年は9月議会の最終日に発議案を可決し、9月30日に提出した要望書であるが、今年は概算要求の頃に提出すべきだろうという意見となり9月議会の初日に可決して、昨日、齋藤議長・重城副議長・國吉基地対策特別委員会副委員長とともに北関東防衛局へ提出してきたので取り急ぎ報告する。なお、提出時点では既に概算要望は締め切られているが、提出に向けた諸調整が要求前に行われているので、黄色信号でセーフだと私は判断している。
 要望書の全文は下記の通りである。
 
基地対策関係施策に関する要望書 
 
  木更津市は、陸上・海上・航空の3自衛隊を抱えており、市議会としても基地に対する市民の理解と協力を得るため、生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているところであります。
太平洋戦争終結後、米国空軍及び海軍が駐留し、昭和27年の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の締結等により、在日米軍に提供されたものの、昭和31年に航空自衛隊木更津基地が発足し、在日米軍の撤収後も自衛隊の部隊が駐屯し、市内にも数多くの自衛隊員及び関係者が居住し、自治の一翼を担っていただいております。
しかし、東京湾に面した海岸線を有しながら、木更津飛行場が立地することにより、京葉工業地域が本市を回避する形態で造成されることとなり、近隣市に比べ法人税収増大の機会を失うばかりか、固定資産税に見合うような国有提供施設等所在市町村助成交付金も受けることが出来ず、木更津市は厳しい財政状況下にあります。
国防のための自衛隊の存在は理解しますが、国においては、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、本市が果たしている役割を十分ご賢察いただき、下記事項の実現を図るよう強く要望します。
 平成29年9月4日
北関東防衛局長 吉田 廣太郎 様
 千葉県木更津市議会議長  斉藤 高根
基地対策特別委員会委員長  近藤 忍
 
1.米海兵隊オスプレイの定期機体整備開始に伴い本市に対し特別な措置を講ずること
 沖縄県の住民の負担を軽減することを目的に「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」が制定され、関係自治体に措置が講じられております。本市においては平成29年2月1日から米海兵隊オスプレイの定期機体整備が開始されましたが、法の趣旨や制定された目的から本市を再編関連特定周辺市に指定することは難しいとのことでありました。しかし、開発当初から度々事故が発生しているオスプレイが今後も本市上空を飛行することから、市民の中には不安を感じている方がいることも事実であります。国の専管事項である安全保障については一定の理解を示すものではありますが、負担だけを強いられることは市民を代表する議会としても納得できるものではありません。今後、同法と同様に特別な措置を講ずるよう要望します。
 
2.基地周辺対策経費の所要額を確保し江川総合運動場の早期整備をすること
 特定防衛施設周辺整備調整交付金は、市民の基地に対する理解と協力を得るために重要な施策であり、本市もこの交付金を活用し生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているものの、基地の所在による特殊な財政需要の増大により厳しい財政状況下にあることを鑑み、交付金の所要額を確保することを要望します。
 また、平成27年度より工事に着手された江川総合運動場は基地の存在に伴う航空法の制限地域でもあり、かつては多くの住民が居住していた集落から先祖代々の土地を国に譲り移転していった場所であります。当該場所に人々が集い楽しむ運動場が出来ることは基地に協力してきた周辺住民にとっては祖先の土地が有効に活用される喜びを育む事業であり、広く市民にとっても運動施設の整備は待ち望まれている事であります。防衛省による工事に引き続き、市による運動施設としての機能追加工事が行われますので、工事スケジュールの明示と早期の完成及び市の事業に対する助成予算の確保を要望します。併せて、周辺市道整備における防衛省用地の割譲については防衛大臣の承認を要するとのことですが、速やかな手続きを要望します。
 
3.住宅防音事業の充実強化を進めること
 飛行場周辺地域における騒音環境基準(現行62db)を航空機騒音の環境基準(現行57db)まで引き下げるとともに、騒音環境被害の実態と、場周経路下に居住する住民の感情を考慮し、補助対象区域を拡大することを要望します。
 また、緑地帯や緩衝地帯については地域の環境を悪化させないよう適切な管理を講ずるよう要望します。
 
4.地域との共生に務め防災や産業活性化に寄与すること
 木更津駐屯地は新編される陸上総隊の一翼を担う第一ヘリコプター団の常駐により日本国内はもとよりアジア各地の災害に対応する能力を備えておりますが、地元自治体とも災害時の協力体制を構築し、防災の拠点機能を高め住民の安全確保に寄与することを要望します。
 また、糧食、物件の地元調達を促進するとともに、防衛施設関係工事及び維持修繕等の地元企業の受注機会の確保や市民の雇用を積極的に行うよう指導することなど、地元産業の活性化を通じて地域との共生に務めることを要望します。
 
5.基地に関する市民の安心安全を確保し市民に情報を提供すること
 平成29年2月1日から米海兵隊オスプレイの定期機体整備が始められており整備の途中で部品運搬のため複数回に渡りオスプレイの飛来がありましたが、その情報提供は常に直前に行われています。市民の理解を得るためにも、十分な情報提供を行い、取り交わされた覚書を遵守するよう要望します。
 なお、オスプレイの運用については、先般オーストラリアで事故が発生しており、平成29年8月11日に木更津市が要請したとおり市民の安全・安心の確保に万全の措置を講ずるよう重ねて要望します。
 また、現在運用している各種航空機等についても事故防止のため、安全対策を徹底するとともに万が一、事故発生の場合には、その実態を速やかに市へ報告し、被害に対しては速やかに十分な補償措置を講じ、原因究明を行って再発防止に万全を期することを要望します。
 
 上記の文章はこの日の提出先である北関東防衛局長宛に成っているが、防衛大臣(小野寺五典様)、防衛装備庁長官(鈴木良之様)、地方協力局長(深山延暁様)宛の要望書も北関東防衛局長から進達していただくように渡してきた。
 今回も北関東防衛局では局長・次長を始め企画部長・調達部長・管理部長・防衛補佐官等、大勢の幹部職員が対応していただいた。また提出の写真を撮る場所のボードにも木更津市のマークを中心に入れるような気遣いまでしていただいた。
 
 昨年の要望書との今年の違いは、再編特措法の適用が難しいことを前提に同様な措置を求めることにしたこと、江川運動場周辺道路整備の進展に併せて用地の割譲へのお願いを加えたこと、オーストラリアでの事故を受けて安全・安心対策の要望を深めたこと等であり、それ以外は現状に併せた時系列の整理等である。
 文章には記載していないが、来年防衛省が購入するオスプレイの配備について佐賀空港が難色を示しているため木更津基地に仮配備を検討しているという21日の読売新聞の記事に対しても口頭で遺憾を伝えてきた。防衛省の担当部局はノーコメントを貫いていたので何処から情報が流されたのか解らないとの事であり、概算要求の中には仮配備に関する予算措置はなく、佐賀空港で話を進めている姿勢のままで何も決まっていないという事である。何にせよ情報開示は必要だと申し入れをさせていただいた。
 また、現在整備中の米海兵隊オスプレイの試験飛行についてはもう一月ぐらいかかる見込みのようだ。つまり9月議会開催中に飛ぶことは無いようであるが、その情報開示についてもお願いしてきた。
 
 議会に併せるかのように12月には沖縄で不時着水事故が発生し、今回はオーストラリアで墜落や大分空港に緊急着陸が起きている。初号機が試験飛行を始める頃には次の機体が飛来するのではと思われる中、事故調査報告もなく物事が進むのは如何なものかと考えている。まだまだ基地対策特別委員会の仕事は多いと思いながら今後の対応などを考えているのであった。