選挙制度の改革を思う
2018/03/19記
 昨日告示された木更津市長選挙は受付締切の午後5時までに現在の渡辺市長以外に届出を行う者が無く、告示日に無投票当選が確定した。木更津市が市制施行以来、常に選挙をしてきたので無投票の経験がある者が無く、当選報告会をどの様に行って良いか手探りだったが、取り敢えず大過無く終了できた。
 
 前回に記載したが、今回の選挙では来年の統一地方選挙で市議会議員を目指す者が売名行為で立候補するかも知れないという中で準備が進んだので市政での争点が無く、無駄な選挙に成るのかと思ったが、そうならなかった事だけでも幸せである。
 
 さて、昨日の選挙戦の初日に友人と話をしておいて、そもそも選挙戦の開始日が届け出日なので諸経費が係るのでは、という指摘があった。立候補と選挙を分けて考えるという斬新な意見であり考えさせられた。
 具体的には選挙戦の開始する2週間前で届出を締め切ってしまえば、無投票に成った場合は無駄な掲示板の作成や投票用紙の印刷郵送のコストが抑えられるというメリットがあり、仮に選挙に成った場合でも候補者数と氏名が明確になるので、投票用紙に候補者の名前を記載して郵送できるし、選挙公報も新聞折り込みではなく、投票用紙と供に直接届けることが可能になるのである。
 事務作業としては、現在書類の事前審査を行っているものを受付締切とするだけなので、選挙管理委員会には特段の事務量が増えるわけではないと思う。今回のように無投票となる事がその段階で決まれば、それ以降の事務量は一気に無くなるというメリットは大きいと思うのだ。
 選挙公報の記事を事前に公表すれば、候補者は相手の政策を具体的に研究する時間が設けられるため、選挙戦における争点を明確にすることが出来る可能性も高くなり、有権者には選択のポイントが解りやすくなるのではとも思う。
 
 届出終了から選挙開始までの間にどの様な行為が違反になるのかを整理せねばならないし、悪い方向で考えると届出から選挙までの間に人数調整で立候補辞退を迫る動きも行われる可能性があり、水面下の不透明さが危惧される事もある。
 更に首長の辞任による選挙を想定すると、現在でも立候補までの時間が少ない状況なのに更に2週間も短縮すると立候補の自由を奪う結果にも繋がりかねない。
 事務手続き終了後から選挙開始までの間に何か問題点が明かとなっても、それを正そうとする新たな立候補を受け付けられないという事も問題だが、その様な事はレアケースだと思う。
 問題点は他にも多くありそうだが、選挙コストが下げられるというメリットの魅力が大きく、何とか成らないものかと思うのである。
 
 他にも供託金によって身勝手な立候補を防止する効果が薄い一方で、18歳に選挙権を下げたので有ればまだ所得も少ない若い世代からも政治に挑戦できる制度を確保するため、供託金制度を廃止し、有権者の一定数の推薦を立候補条件に変更する事も考えるべきだという議論もされた。
 ただこの場合、一定数をどの程度にするのかが難しい。木更津市議会では50人以上を条件としたいと思うが、これを全国一律の定数にした場合、青ヶ島村のように人口が200人を切っている自治体で6人定員の村議会議員の選挙は不可能になるだろう。各自治体が推薦数を条例で決めるという手法はあるかも知れない。
 
 もちろん、これは公職選挙法という法律改正が必要で、木更津市という地方議会で変えられることではない。地方自治法に基づき国会に意見を伝えるよう、議会議決するという手もあるが、選挙を来年に控えて変な思惑があるのではと勘ぐられそうなので、正直な所、そこまで行うつもりもないが、考えさせられた話なので忘れないうちにと、ここに記載する事にしたのである。