航空機の進化を学ぶ
2018/12/17記
 先月の30日に見てきた国際航空宇宙展の話題を今さら記載するのかという声も聞こえてきそうだが、議会への対応と子守で12月前半に時間を執ることが出来なかったので、タイムリ−でなくなったことを承知の上で今回は航空機の進化と木更津市の可能性を考えたい。
 
 そもそも国際航空宇宙展を知ったのは、旭川市在住の影本さんから届いたメールに11月30日に東京ビッグサイトで開催されるこの展示会を見に行くことを知ったからである。
 影本さんは自衛隊で航空機の調達に係わっていた方で、私のHPを見て、8月末に彼が翻訳した「ドリーム・マシン」というオスプレイ開発に係る本を送っていただいて以来の付き合いであるが、直接お逢いして本のお礼を伝えたかったことと、個人的にチルトローター機能を含め、航空機がどの様に進化しているかを見たかったため、幸い公務がないその日に上京したのである。
 
 影本さんと会場で落ち合い、本のお礼などを述べた所、それでは関係企業を案内するというので、お言葉に甘えて同行させていただいた。オスプレイを開発したベル社や整備を担う富士重工、チルトローターの民間機の販売を目指すレオナルド社、チヌークをライセンス生産する川崎重工等、多くのブースを回り、それぞれのブースに居る元自衛隊幹部の方々にもお逢いさせていただき、何故オスプレイの定期機体整備が遅れているかとか、チヌークも確実に進化しており時代遅れには成っていないことなど、様々に勉強させていただいたが詳細については記載を控えたい。
 
 さて、オスプレイの度重なる事故で危険だと言われているチルトローター機であるが、オスプレイに比べシンプルで小型の機体も開発が進んでいる。
 レオナルド社は乗客定員が9人のAW609を来年には販売するようだ。定員が少ないので旅客機としての使用は難しそうだが、伊豆諸島に飛んでいる愛らんどシャトルと一緒である。速度が遅いので大島空港を基地にするが、この機体を使えば都内からでも大丈夫だ。
 なお、空港建設問題に揺れている小笠原まで、船だと29時間もかかるものが2時間半で結ぶことが出来る、という事もあり、旅客定員を増やした次世代機は運行をする可能性が否定できない。
 
 一方、オスプレイを開発したベル社も兵員14人を輸送できるV-280を軍用機として開発している。最高速度と航続距離がヘリコプターのおよそ2倍なので、救助捜索等の機能に優れているため、救難ヘリの代わりに多くの機体が導入されそうだと感じた。
 この機体も殆ど窓のないオスプレイに比べ開放感が高そうなので、民間利用は容易に出来るだろう。他にもベル社ではV-247というチルトローターの無人機も開発している。こちらは戦場の風景を変えそうで、何とも言えない不気味さを感じさせた。
 
 木更津飛行場は陸上自衛隊が管制する空港であるが、札幌市にある丘珠空港も陸上自衛隊が管制している所に民間機が離発着している。三沢・茨城・小松・米子の各空港は航空自衛隊が、徳島空港は海上自衛隊が管制する供用空港であり、自衛隊の存在を理由に民間利用を諦める必要はない。
 個人的には現在、調布飛行場が担っている新島・神津島・三宅島への定期空路を木更津が引き受け、さらには利島・御蔵島・青ヶ島・小笠原父島・母島のように空港の無い離島へもチルトローター機を就航し、さらに都心で圧倒的に不足しているビジネスジェットの需要も取り込んで、民間の利用可能な空港に変貌を遂げ、それを元に活性化を図りたいと考えている。残念なことは、その最大のチャンスであった東京オリンピックには間に合わなかったことである。
 最も大きな障害は、羽田空港の管制と重複する形になり、複雑になることを回避するため許可が出にくいことである。東京の西側に大きな米軍の管制空域が広がっている事が影響しているのかは解らないが、何とか新しい管制方法を検討して、実用化が図れる日が来ることを夢みたい。