議会質問の概要を文章にする
2019/04/06記
 前日のプロフィールに続いて今度は議員が議会の公式日程の中で行われる一般質問で何をしたか、何を成し遂げたのかという自己批判です。この文章も常時加筆するので、18日まで修正も多いと思われるし、前にも書いたように当日は勝手に話す予定なので文章通りにならないことをご理解いただきたい。
 
 前置きが長くなりましたが平成19年4月の統一地方選挙で当選してからのお話を始めたいと思います。その選挙での当選者は28人で、そのうち私と同期の議員が7人を占めました。
 7人の内訳は渡辺二夫県議系のフォーラム未来に4人、中村昌成県議系の正栄会に2人、公明党に1人と別れていましたが、同期で話し合ったところ、市議会の古い体質を何とかしたいと願っていたので、新人議員でも戦力になれるように、当選直後から会派横断の勉強会を主導しました。
 この会派横断の勉強会を行い、議員間で活発に意見交換をするという体質は、次の平成23年当選組の8人にも受け継がれたので、議会の過半数が会派の代表の意見に従うのではなく、自ら考えるという体質になっていったものと思います。逆に言うと、それまでは数の論理が力を持ち、多数派工作が主であって、代表の考えに従うのが常識だったのです。
 さて、当選した平成19年当時は、議会で質問する議員は共産党などの野党議員で、与党系は市長に文句を言うな、という空気が残っていました。既に引退した同じ会派だった議員の一人は「毎回質問などしてご苦労さん。でも何も変わらないよ」と私達に言いましたが、まさにそれを変えようとしたのです。
 私達の時代から与党系の議員も施策の問題を指摘するようになり、それまでの一般質問は8人程しか居ず、2日間で終わっていましたが、最近は20人程が4日間かけて質問をするように変わっていきました。
 因みに、私は12年間で37回の議会質問を行いました。副議長を努めていた平成27年を除く11年間は毎年3回以上の質問を実施しています。質問は片寄らないように配慮して、全ての部署に対して行ってきましたが、中でも特徴的な質問と、その成果を披露させていただきます。
 
@ 防災対策
 議員として最初の一般質問が地震対策でした。大規模地震が間近に迫っているという想定は当時もあり、阪神大震災の記憶から建物の倒壊を前提とした質問を続けてきましたが、東日本大震災後は津波対策に軸足を置き、特に海に面して標高の低い岩根西地区の課題を追求しています。小櫃川堤防の未整備や久津間漁港の対応、津波発生時に避難する高台の設置や防災拠点の整備などを提案して来ていますが、市だけで対応できないものも多く、あまり成果を得るに至っていません。
 2017年10月29日の台風に伴う高潮被害は、既にその5年前に想定して質問を行い、市に対策を求めていましたが、それを防げなかったばかりか、現在でも地権者の理解が得られず対策を講じていません。
 それでも、今まで総務課の中の一つの仕事として対応してきたものを危機管理課という専門組織を設置させ、まちづくり協議会を通して防災訓練が全市的に広がっている事などが12年間の変化と感じています。
 
A 学校の耐震対策と統廃合
 防災対策の中で特に取り組んできたのが小中学校の耐震対策です。児童生徒を危険な状況に放置する事は耐えられないばかりか、避難所の確保も難しくなる事は一刻も早く改善しなければと強く願っていました。特に12年前の木更津市の小中学校の耐震化率は31.9%に過ぎず、県下56市町村中の54位という恥ずかしい状況でした。
 一方で人口減少に伴い富岡小学校や東清小学校等の統合も予定される中、学校としての利用見込みがない校舎に貴重な予算を投下しないよう統廃合の検討を進めるべきだと追求し、その質問を契機に学校適性規模審議会が設置され、長い議論と充分な準備を経て富岡小学校と中郷中学校がこの春に廃止されましたが、耐震改修を行わずに解体されたのは中郷中学校だけで、その中郷中学校に立派な体育館を建設することを認めてしまったことを後悔してきました。しかし、この体育館の存在で、跡地をサッカー合宿の用地に使用する企業が名乗り出るなど、何が幸いするか解らないと感じています。
 なお、毎年の質問で耐震化に関する予算が増え、全ての校舎の耐震対策は無事に終了し、これからは天井の崩落といった、構造部材以外の耐震対策が行われることになります。
 
B 水道事業を含む広域行政
 2002年には青年会議所が主体となった四市合併活動を進め、少ないコストで高度な住民サービスを行うためには四市合併を行うべきだと、今でも考えております。しかし、各市の理解が得られない現状では合併ではなく、広域行政を進めることが理想であると考え質問を行っています。
 その様な視点で各種の広域行政の推進を提案して来ました。私が議員に成る前からも、君津中央病院やゴミ焼却施設(KCS)等が広域行政の施設として存在していましたが、今年の4月1日から四市の水道と君津広域水道企業団が統合した「かずさ水道広域連合企業団」の設立にあたっては課題を抽出しました。特に意志決定機関である広域連合の議会構成は、他の広域組織と同様の各市同じ人数ではなく、木更津市が不利にならないよう人口に応じた傾斜配分を主張し、調整が難航しましたが達成されました。
 他にも火葬場や新しいゴミ焼却場についても広域行政の枠組みで事業が進行中ですが、個人的には観光や図書館も四市協動の広域事業として進めるべきだと主張しています。
 
C 保育園の待機児童問題
 まだ待機児童が発生していなかった平成22年9月議会で、請西や波岡での住宅建設の増加から想定し保育園を増やすべきではないかという質問をしましたが、今は必要ないという回答をもらいました。しかし、直後の12月に借地で請西に保育園を造るという案が提示され、公共用地なら真舟に小中学校の用地があるので無駄な支出だと反対を続けました。水越市長が提案した議案にも建設場所を見直すように反対もしましたが、最終的に多数決で負けて請西保育園が建設されました。今でも毎年の賃料だけで無く、住宅地の中で子供の声がうるさいと言った騒音問題も抱えており、課題の多い保育園です。
 そもそも待機児童の根本的な対応は大きな施設で少しの児童しか預かれない市立保育園の問題で、その解決は民営化の推進であり、民営化までの間の保育士不足を解消するため人材派遣会社の活用を提案し、平成31年度から取組が始まりました。
 市立保育園の民営化を進めることで、民間のノウハウによる人材確保によって待機児童が経るよう求め、吾妻と久津間の両園は具体的な移管に向けた協議が始まっております。
 
D 道路事業や都市計画
 私は日本道路公団の技師でしたから、木更津に戻ってからも都市再生機構の千原台開発や、烏田土地区画整理組合の羽鳥野造成を設計してきました。その関係で、道路事業や都市計画については、市の職員に負けないだけの知識と経験を積んできたと自負しています。
 整備効果を維持しながら事業費を削減するような様々な提案を行う中で、例えば火葬場に向かう都市計画道の幅員を都市計画の16m幅から14m幅に縮小して事業費を抑える結果を得ました。今後も市街化調整区域における開発行為や、中野畑沢線の道路事業など、今後も多くの課題が続く中で、技術系議員としての責務を果たし続けたいと思います。
 
E 内房線や高速バスの交通対策
 平成21年10月に巌根駅に快速電車を停めよう推進協議会を発足し、議会の中でも多くの質問を行ってきました。その結果、平成23年度予算には巌根駅改修の負担金として2億円を付けることが出来ましたが、東日本大震災の発生によりJR東日本は東北の復旧を優先し、快速停車の話は先送りになって現在に至っています。平成31年度予算には2千万円の調査費を折り込んで、仕切直しを行います。
 高速バスについては木更津駅を出た後、岩根区域にも停留所を設けるように議会で質問していますが、バス会社は乗客からの要望には無いと云うので話は進んでいません。巌根駅の件が一段落したら、高速バスを地域の運動対象にしたいと考えています。
 
F 人口施策
 持続可能な木更津市の為には人口減少が進む日本の中でも人口施策を積極的に展開し、人口維持を図る事が求められていると考えますし、木更津市ならそれが可能です。
 企業誘致や空き家活用、子育て施策や待機児童対策など個々の取組は、総合的に木更津市をどうするかという人口問題に直結する事を示しながら、移住定住の促進策を提案し、空き家リホーム制度の一部で借り主によるリフォームにも補助金を出せるような制度が採用されました。
 
G 公共施設の再配置
 人口減少社会を迎え、公共施設の維持管理が大きな負担に成ると12年前から問題提起を行い、建築物の管理を一元化することと、多くの用途の施設を一つの建物に複合化することで維持管理コストを抑える事を提案してきました。
 当初は市役所の中で担当課毎に建築物を管理していたので、建築系の技師のいない課では業者の見積もりだけで工事をするなど、税金が適正に使われていたか疑問がありましたが、まず教育財産の一元管理を経て、平成31年度からは全ての建築物を一元管理する資産管理課が置かれることと成りましたし、施設の複合化に向けた検討も進んでいます。
 
H 債権管理の一元化
 12年前の木更津市では、税金滞納者に対する催告が甘く、それがさらに滞納を生み、結果として県内で徴収率が低い自治体に成っていました。税金だけでなく、同じ人は他の多くの公共料金も滞納しているので、それぞれの課が徴集に行くという無駄を解消するため債権管理を一元化することを提案してきました。その結果、収税部門に徴収対策室が設けられ法的措置を実施するようになりました。さらに徴収率を上げるため、法的措置の強化も提案し、公共サービスの只乗りを抑制しています。
 
I 土地開発公社の対応
 バブル期の負の遺産である土地開発公社の隠借金が木更津市の足枷となっており、水越市長は職員給与も抑えて返済を行っていました。それが一息付いた頃に私は議員となりましたが、依然低金利の時代に高金利の負債を残すことを是正すべきと質疑を行い、特に筆頭銀行である千葉銀行が金利値下げに応じない状況に対し、筆頭銀行を交換すべきだと提案し、結果として千葉銀行の債務を一括返却することで、毎年の金利負担が軽くなり、年間で1千万円を超える財政効果を発揮しています。
 
J 再生可能エネルギーの活用
 地球温暖化防止や、化石燃料異存からの脱却を目指し、市としても再生可能エネルギーの活用を進めるべきだと議会で何度と無く取り上げてきました。一部の公共施設の屋上に太陽光発電設備が搭載されましたが、まだまだ取組は甘いと感じていますし、風力発電への取組も進めるべきだと考えています。
 渡辺市長もオーガニックな都市づくりを目指していく中で、今後も様々な取組が必要だと考えます。
 
K 消防や消防団の課題
 消防団の配置は人口に応じて居らず、一部では人材難で組織の維持すら困難に成っています。この現状を市でも改善するよう、市が主導して再編を進めるべきだと議会で質疑しました。その結果、総定数は減少になりましたが、消防団の統廃合は進まず、平成30年度末を持って4分団5部の住吉が解散に成ったのは残念だと感じています。
 消防署の車両の更新についても、金額の高いポンプ自動車の更新にあたっては単価の安い可搬積載車に変更することで行政コストを下げることを提案し、現在ではその方向で進んでいます。
消防署の車両更新が進んでいない状況も改善されるよう提案したところ、特定防衛施設周辺整備調整交付金を使用してはしご車の更新が行われました。
 
L 入札制度改革
 議員になる前から公共事業に携わってきた経験を活かし、入札制度の改革を通じて公平な競争と職員が業者等の誘惑に負けない制度設計が必要だと考えて指摘してまいりました。その結果、一般競争入札が130万円以上という低い額まで拡大して殆どの工事が競争入札になり、失格価格も80%として公表されていたため、第3中学校建築工事では参加した19社が同じ価格で応札して籤で選ばれるという状況から、低価格調査制度の導入で、競争原理が働き始めています。
 
M その他
 他にも高齢者の見守り活動や不法投棄対策等、12年間で数多くの質問を行ってきましたが話が長くなるので、ここまでとします。