三沢の航空科学館で思う
2019/10/20記
 青森県三沢市にある三沢基地に隣接して青森県が運営する航空科学博物館があり、全国紙議会議長会基地協議会の正副会長・監事・相談役会議の開始前に見学させていただいた。
 博物館の中には太平洋を最初に無着陸横断したミス・ビートル号の復元機や世界で最初に動力飛行に成功したライトフライヤー号の復元機、YS-11の実機や昭和18年9月27日に十和田湖に着水して沈没した一式双発高等訓練機の機体を平成24年9月5日に引き上げた実機を始め、人力飛行機の実機や日本の航空史に名を残す復元機が数多く展示されており、博物館の前庭は無料開放された「大空ひろば」として米軍の戦闘機であるF-16Aや航空自衛隊の練習機であるT-2等多くの機体展示も行われていた。
  

ミス・ビートル号(復元機)

ライトフライヤー号(復元機)

零式艦上戦闘機(復元機)

一式双発高等訓練機(実機)

大空ひろば

フェンスの向こうは三沢基地
 
 ここは一昨年に基地対策特別委員会で視察した時に見学すべきかと悩んだ所であるが、時間が厳しくて行くことを諦めた施設である。実際に行ってみると内容の豊富さに感動し、様々な知識不足を実感するととともに、これを整備して毎年維持管理するコストが県によって払われていることに羨ましさを覚える一面、財政負担が大丈夫かという心配を覚えた。
 後ほど浜松市の議長さんとお話ししたところでは、観光バスが頻繁に訪れるようになっている航空自衛隊の展示施設も市が誘致を呼びかけたもののようであり、基地を観光の拠点に据える考え方には賛同するとともに、折角正門の近くに移転された木更津駐屯地の資料館が簡単に見学できない現状を歯がゆく感じていた。
 
 一方、大空ひろばの前には米軍と航空自衛隊が共同利用する三沢基地が広がっており、戦闘機の離発着が良く見える状況で、目隠し板も設置されていないのにも係わらず、撮影禁止の看板を設置してあった。見るのはよいが記録に残すのは駄目という事らしい。私達もエンジンテストの轟音を始め、記憶には多くの事を詰め混みながら、フェンスの向こうを見させて貰っていた。
 岩国市に視察に行ったときに海上自衛隊が米軍施設を撮影しないように言っていたし、2年前に三沢に来たときに航空自衛隊の方々が同じ事を言っていたので違和感が有るわけではないが、双方ともに民間航空機が離発着する空港であるため、空港を離発着する航空機の窓からは撮影することに制限がないことに矛盾を感じるし、やはり2年前に視察した海上自衛隊横須賀基地でも対岸の米軍基地の艦船の撮影を行わないように言われていたが、目前で写真撮影をしている客だらけの港内見学の船が通り過ぎた事も思い出した。
 
 木更津基地にMV-22が飛来したとき、米軍のパイロットはどんどん撮影しても結構だと言ってくれたのに、それが定期機体整備で自衛隊の観察下に置かれると途端に撮影が出来なくなる。
 現在の隊員数のように開示しても問題無さそうなことでも、兵力が漏れることは防衛上望ましくないということで秘匿され、例えば航空自衛隊の補給処の位置付けが変更されることによる影響も地元にはよく解らない状況となる。
 現状では簡単に見学が出来る状況にありながら、形式的に秘密にするような状況は如何なものかと思いながら、今後も情報が多く求められそうなオスプレイの暫定配備の問題を抱える状況で、私的な感想を記載する。