議会の意見書を提出する
2019/12/20記
 5月24日に当時の防衛副大臣である原田代議士より佐賀空港における基地整備の施設整備が完了するまでの暫定的な措置として陸上自衛隊が米国より購入したオスプレイ17機を暫定的に木更津基地に配備することの協力要請を市に行った旨の説明が正副議長に対して行われた。
 議会では速やかに基地政策特別委員長を立ち上げ、6月10日に防衛省からの説明を受け、その後は市内15箇所で行われた説明会の報告を聞き、委員会は佐賀県や相浦駐屯地等の現地視察を行い、11月15日には防衛省から議会の質疑に対しての説明を受けるなど、数多くの調査や議論を重ねてきた結果、議会としても今回の暫定配備に関する意見書を提出すべきだという方向が定まった。意見書の案についても多くの議論が交わされ、最終的に賛同しなかった議員からの意見も反映する形で取りまとめた意見書を16日の委員会で発議することが決められ、18日の本会議において賛成多数で議決された。
 18日の本会議には当該発議案に賛成できない議員が類似する議案名の発議案を提出したが、賛成少数で否決され、委員会案のみが可決されることになったので議会終了後に直接提出が可能か否かについて防衛省と協議を重ね、翌日の19日の13時半に土本大臣官房審議官に対して提出してきたので報告したい。
 
 まずは、意見書の内容を公開する。
 
陸上自衛隊のオスプレイ暫定配備に関する意見書
 
 令和元年5月24日、木更津市議会は原田防衛副大臣(当時)より佐賀空港での配備が完了するまでの間、陸上自衛隊のオスプレイを木更津駐屯地に暫定配備したい旨の説明を受けた。
 木更津市議会としては、周囲をすべて海で囲まれた日本国において、国防という最重要施策を確実に実行するための島嶼防衛の重要性を十分に理解している。併せて、現在、木更津駐屯地に配備されている輸送機等が大規模自然災害発生時に活躍し、多くの国民の命を救っている事実も承知している。
 しかし一方で、我々は、木更津市民が安全な環境の中で安心して暮らせる町づくりを負託されており、今後も木更津市民の住環境の維持、改善に努めていく責務を負っている。
前段の諸事情を鑑み、特に基地周辺からの要望を実現するとともに、陸上自衛隊のオスプレイ暫定配備を行う場合には以下の実施を求める。
 
 
 
(暫定配備の期間に関すること)
・木更津市議会においては暫定配備期間を5年と考えており、防衛省においては、この期間を暫定配備期間の努力目標とする期間として公表すること。
(暫定配備の解除に関すること)
・佐賀駐屯地開設後は、速やかに配備場所を変更すること。
(暫定期間中の報告に関すること)
・防衛省は佐賀の配備に対する進捗状況を定期的及び必要に応じ木更津市及び木更津市議会に報告すること。
(住民の安全確保に関すること)
・住民の安全を第一優先とし、安全な暫定配備となるよう木更津駐屯地の整備を確実に行うこと。
・飛行に関しては航空法を始めとした関係法令に従うこと。
(環境変化に関すること)
・基地の周辺住民等に対する暫定配備による騒音等による負担軽減に努めること。
・騒音等の実態を把握するため、暫定配備による離発着回数等を測定し、その情報を開示すること。
・潮干狩りや江川総合運動場利用者に配慮した運用に努めること。
(基地対策協議会の設置に関すること)
・防衛省、木更津市内にある陸海空の各自衛隊、行政、議会、基地周辺自治会、漁業関係者の代表等で暫定配備のみならず、基地や自衛隊に係る諸課題の改善を目的とする協議会を設けること。
・協議会で改善要求が出た場合には協議の上、防衛省として真摯に対応をすること。
 
 国におかれては、木更津市及び本意見書に対し、真摯な対応をされるよう強く求める。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
 
 令和元年12月18日
 千葉県木更津市議会議長  近藤 忍
防衛大臣 河野 太郎 殿
 
 今年は8月9日に基地関係施策に関する要望書の提出を行っているが、今回は要望ではなく地方自治法に基づく地方議会の権利としての意見書の提出である。防衛大臣以外には衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣に対しても同じ意見書を提出させていただいたのであるが、これらについては郵送で対応し、当事者である防衛省に対しては極めて重要な案件でもあり、直接渡すことで先方の対応を引き出したいという意志も込めて訪問させていただけるように北関東防衛局を通じて調整していただいた。
 提出した場で審議官から議会意見書に対する具体的な回答は無かったが、防衛省だけでなく木更津市役所も議会の意見を重要に考える旨の意見が出されており、市民の安全安心を優先するという議会の意志は通じたものと考える。特に土本審議官は佐賀での事案も担当されていたと云うことで理解も高く、良い方向に進むものと期待したい。
 
 最終的な結論は行政当局が行うことになるが、重要なのは暫定配備が行われた場合、今後も様々な諸課題を解決するための協議会組織の立ち上げと運営だと私は考えている。従って意見書の提出で議会の責務が終わった訳ではなく、まだまだ頑張らねば成らない事が多く続く事を自覚しながら報告とさせていただく。
 
 ※22日に若干加筆した。