大型工事を考える
2020/01/02記
 東京湾アクアラインは1997年12月18日に開通しているので今年は23年目に突入する。2009年8月1日にETC積載の乗用車が片道800円となる社会実験が開始されてから11年目となり、木更津金田の発展も800円の恒常化による所が大きい。
 来春の千葉県知事選挙の結果によっては800円が継続されなくなる可能性が囁かれているが、アクアラインだけでなく本四架橋の明石海峡大橋(垂水IC〜淡路IC)も普通車の2,410円がETCでは910円に、瀬戸大橋(児島IC〜坂出北IC)は同様に3,670円がETCでは1,730円に成るなど、巨額の事業費を要したプロジェクトだからといって、その償還に必要な通行量を徴収していない事例は多い。従ってアクアラインは政策的に現状の額程度を恒久的な政策にしても良いのではないかと思っている。
 
 ちなみにアクアラインの工事費は1兆4400億円という、当時としては15kmの道路に対して前例のない巨額の事業費を投入しており、財政投融資の利子だけで毎日1億円前後の費用となるプロジェクトであったが、2018年6月2日に開通した外環道千葉区間(三郷南IC〜高谷JCT)は15.5kmに9100億円を投じながら通行料金は市川南IC〜松戸IC間8.5kmがETC積載の普通車で440円である。これは一般高速道路の料金は全国プール制を採用しており、関越トンネル等の巨額な事業費を投じた区間でも若干高くなる程度に収まっているためである。
 その理屈で考えると、現在工事中の大泉JCT〜東名JCTまでの16.2kmにアクアラインを上回る1兆5975億円を投じる計画でありながら、最初から通行料金が低く設定されるものと想定される。私もその開通を心待ちにしており、低料金の設定は喜ばしい話である。ただ、その開通の頃にアクアラインの料金値上げの話が出ているようで有れば釈然としない気持ちになるだろう。
 
 それにしても昨年末に普天間から海兵隊を移設する辺野古の工事費が当初の3500億円から9000億円に変更される見込みである事が発表されるなど、人口減少下に有る日本で、バブル期のような大型の事業費を要する工事が増えてきたように感じられる。民主党に政権が変わり「コンクリートから人へ」というスローガンの元に新東名等の見直しが進められていた頃と隔世の感を覚えているのは私だけであろうか。
 木更津市でも今年度には火葬場の建築工事が始まり市民会館中ホールや公設卸売市場等の更新に向けた議論が始まるが、身の丈に合った工事を選択せざるを得ない。地方自治体は財政規律を維持するために努力をしているが、国は大丈夫だろうかと心配になる。昨年末に読んだ「この国のたたみ方」に記載してあるように制度設計の変更を進めないと行き詰まるのではないかと年始から心配になるのである。
 小櫃川の大規模改修とか県道格上げをしている都市計画道路など、木更津市でも千葉県に期待する仕事は多い中で、長い目で見たこの国や地域のことを立ち止まって考える時間も必要だと、年末年始の時の流れの中で考えている次第である。