緊急事態が解除に | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
2020/05/26記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
先月6日に発表された緊急事態宣言は全国に拡大された後で3段階に解除され、昨日千葉県を含む1都1道3県も緊急事態ではなくなったと発表された。千葉県での7週間、49日間はとても長い非日常であったが、今日から昨年まで普通に有った日常が戻る訳ではなく、新しい生活様式の生活が始まる。 昨日21時現在、日本国内で新たに確認された感染者数は21人まで減少し、クルーズ船を含めた総感染者数は1万7390人、死者の総数は865人であり主要先進国の中で極めて少ない値となっている。また感染したものの既に退院した人数も1万4265人となり感染者の82.0%が退院している状況である。総数から死者数と退院者数を引いた残りは病院に入院しているか各種待機状態に有るものと思うが、その数は2260人に留まっている状態だ。イメージで解りやすくグラフにすると下図の通りである。 強制的な都市封鎖や営業停止措置も行わず、PCR検査も極端に少なく、政府の支持率が低く国民が信頼していなくとも、日本では他人に迷惑をかけないという国民の意識か、自粛警察の活躍による自制が働いたのかは定かではないが、感染を押さえ込むことに成功したことが世界から奇跡として見られているようだ。 国内では峠を越えたように見えるが、全世界では依然として毎日10万人程度の感染者が新たに確認され、累計値は550万人を突破したようである。日本国内の累計感染者数など世界全体の前では0.3%程度に過ぎない。死者数も34万人を越え、カウントが漏れている人を加えると百万人の単位に達している可能性があるという指摘も聞く。欧米からのウイルスで生じたと考えられる3月末からの大規模感染を再度生じないようにするためには、当面の間「鎖国」が続くことに成るのかも知れない。 緊急事態が終わっても感染対策は続くことになるし、何より傷んだ経済の建て直しを行わねばならない。木更津市議会でも議会運営委員会が開催され前回記載したように約13億18百万円の補正予算を含む議案が6月議会に上程される事の日程を決めたが、政府は大規模な補正予算を行うと発表しているので、臨時議会か専決処分が9月議会を待たずに行われることは容易に想像できる。 昨年の秋にも台風15号等の災害により10月11日と11月1日に専決処分が行われ、12月議会と3月議会の補正予算を加えると別紙に示すように29億14百万円の対策費が組まれた。 今回の新型コロナ対策では5月臨時議会で市民1人あたり10万円の定額給付事業による補正等が下表のように行われたこともあり、予算規模では台風被害対策を遙かに超過している。 |
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※人件費の増減等を抜いているので補正総額と一致しない。 多くが国からの交付金を原資としており、政府は赤字国債の大量発行で緊急事態を乗り越えようとしているため、対策が一段落した頃に残される国民1人あたりの借金の額が今までの増加状況とは段階が違う様相を示すと思われ、通貨の信頼度が低下するのではと怖くなる状況である。緊急事態を前に財政規律を唱えることがタブーに成っている様で、対策終了後には増税を始めねば成らないだろうが消費税を8%から10%に変えるだけで苦労した状況を考えると次の世代に先送りされることになるだろう。 市が対策を講じる独自事業では各種基金を取り崩して対処しており、昨年の台風被害と併せて市の貯金である財政調整資金は大幅に減少している。更に納税時期の後送りを認めているので収入が遅れることになり、台風や地震等の大規模災害が生じたときには対策費を市中調達しなければ成らない事態に成ることも危惧される。議会として財政状況の確認は重要である。 感染症の緊急事態が解除され、経済対策の加速が求められることは理解できるが、その分だけ公共機関の弾力性が失われ、あるいは借金が嵩む事で将来の可能性を奪う事態に成っている事も考えなければならない。東日本大震災では震災対策という名目で東北とは関係ない地域でも多くの公共事業が行われていたと報道があった。今回のコロナ対策でも内容を見るとIT業界だけが潤うような事業も目に着いてくる。次から次へと新たな対策が出される中で将来の不安を感じていた。 |