定期整備が変わる
2020/06/08記
 本日、基地政策特別委員会が開催され、現在陸上自衛隊木更津駐屯地のK格納庫で実施されている米海兵隊オスプレイの定期機体整備について変更がある事の報告があった。
 まず現在SUBARUと行っている契約が年内に整備を開始する機体までに限られるので、米軍は5月8日より新たな契約先を募集している。整備期間も5年間に報告があった数ヶ月で終了する見込みを実績に応じて変更し、1機あたり1年4ヶ月程度必要となるため同時に整備する機数を7機に増やす事としている。防衛省は日米共通の整備拠点として木更津基地を使用する方針とし、新たに格納庫を2棟建設し、自衛隊のオスプレイ3機と併せて最大10機を同時に整備する方向で、整備を行う国内企業を募集している。
 同時に10機を整備することを前提とした場合、約150人が仕事をすることになると予想されるため、現在のSUBARUが単体で受注するのか他社と協同で応募するのかは今の所見えていない。
 さらには沖縄から1,000マイルの圏内という条件なので韓国や台湾の応募が行われる可能性もあり、5年前は大韓航空と競い合った結果として木更津が選定された経緯がある。
 
 新たに格納庫を造り、会社の公募をするだけでも大きな変化であるが、米軍の公募条件には米海軍が今後導入するCMV-22の整備を行うことが示されており、それらの情報が木更津市にもたらされる前に報道に流れたことに木更津市及び市議会としては不審を感じ遺憾の意を伝える中で委員会は開催された。
 海軍のCMV-22は増えるが主は海兵隊のMV-22である事には変わりなく、整備期間が伸びるため多くの機体が同時に木更津に居ることとなるが飛来する数や試験飛行の回数などは当初の想定から大きく増えることは予想されず、負担増には成らないという説明であった。何れにしろ7月8日の入札後に覚書の変更も含めて再度協議が必要に成るものと思われる。
 更に、横田に現在5機配備されている米空軍のCV-22オスプレイについては現在木更津基地で機体整備を行う計画が無いもの、日米共通の整備拠点を維持するという政府の考え方に従えば、その整備を求められたときには木更津でという回答になることは論理的に明かである。最終的には10機に増えると言われている空軍のオスプレイまで増えたら、さらに整備用の格納庫を1棟増やさねばならないだろう。
 
 定期機体整備を行う企業を決める入札が行われる頃、木更津基地には暫定配備の1機目が飛来してくるものと思われる。陸上自衛隊が購入したオスプレイ17機は長崎県佐世保市の相浦駐屯地に常駐する水陸機動団を南西諸島等に展開させるために佐賀空港への配備が決まっている部隊である。
 1952年に韓国に竹島を奪われたような事が二度と起きないように実力行使が出来る事を示すことで抑止力を働かせる目的とともに、市街地にある目達原駐屯地の陸上自衛隊を近所に人家がない佐賀空港に移設集約する事で目達原周辺の環境改善と、陸上自衛隊跡地利用を図る計画だったと私は記憶している。
 米国からオスプレイの納品が迫るなか、自衛隊を配置しないことを条件に設置された佐賀空港に自衛隊を配備することに対する反発は大きく、空港に隣接して陸上自衛隊の基地を追加するための用地交渉は進んでいなかった。
 そこで、沖縄に展開する海兵隊のMV-22の定期機体整備を受け入れている木更津市に陸上自衛隊のオスプレイを暫定的に配備させて貰いたいという相談があり、議会では特別委員会を設置し、議論を重ねて条件を取りまとめ、最初の1機が到着してから5年間であれば暫定配備を認めると防衛省に意見を伝え、最終的には渡辺市長と河野防衛大臣の間で5年の暫定期間は守るべき目標となった。最初の1機が岩国の米軍基地から木更津市にやってきた時から「5年」のタイムウォッチは動き始めるのである。
 
 本来の配備先である佐賀市では、漁業協同組合への説明が進行している様ではあるが、県と市の間で意見の相違も報道されている。木更津市が時間を限っているので前にも書いたように、防衛省は次の配備先の準備を始めねば成らず、事によっては佐賀以外の選択肢が浮上してくるのかも知れない。
 今回の特別委員会では佐賀市の状況も報告して貰いたかったのであるが、定期機体整備の話に集約する事になって、次回以降の説明になるようだ。
 
 定期機体整備の概要変更、暫定配備の機体到着及び運用状況等、話すべき話題が多い中で地域の区長や漁協を交えて基地の諸課題を話し合い解決を目指す協議会も間もなく開始される。
 5年後に木更津市における暫定配備が終わり、陸上自衛隊のV-22部隊が他の基地に移駐するとしても木更津基地内に定期機体整備の格納庫群は残り、最大10機が並行して整備されていることになる。
 協議会は「V-22オスプレイの木更津駐屯地への暫定的な配備に係る木更津駐屯地の運用について」協議するために設置されるのだが、定期機体整備が続くので有れば暫定配備の終了を前に協議会の目的を変更し、協議会も永続的に置かねばならない事になるだろうと、最初の協議会のメンバーとしては考える。
 
 基地政策特別委員会の皆さんには例年の予算要求を目的とした要望書の取りまとめもあり、6月議会が終わっても忙しい日々と成りそうだと思うが、これも市民のためと頑張って貰いたい。