暫定配備が具体化する | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2019/12/28記 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
12月18日に議会で議決したオスプレイ暫定配備に関する意見書を翌日の19日に防衛省の土本大臣官房審議官に提出したことは前回報告させていただいたが、25日には渡辺市長が防衛省を訪ね河野防衛大臣より「暫定配備期間は5年以内を目標とすること」「徹底した安全対策など木更津駐屯地の運用における配慮」「協議体制の構築」「暫定配備に係る情報提供」等の返答を得たことから暫定配備について協力することの表明があり、更にその後に訪れた森田千葉県知事との対談で「県も広域的な立場として県民の安全安心に対応する」「県と市で緊密に相談連携する」等の協力約束があった。 これにより木更津駐屯地への暫定配備が具体的に進むことになり、年度内に第一ヘリコプター団の中にオスプレイ運用の部隊が設置され、飛行シュミレーターの設置や隊舎の建設も始まり、夏頃に最初の2機がアメリカから搬送されてくるものと考えられる。 その初号機が木更津に到着したときから暫定配備期間が開始され、仮に2020年8月に到着した場合は2025年8月までに木更津駐屯地から移設されることになるだろう。 佐賀空港建設工事と同じように5年間の期間が必要だと仮定すると、用地交渉は今年の夏までに解決することが求められる。それが難航する場合、長崎県周辺の空港を所有する自治体によるオスプレイ部隊の誘致活動が始まるのではないかと、勝手に想像している。17機の運用で430人の隊員が必要だと説明があったので家族を含めて千人規模の人口が増えることは人口減少による経済衰退が深刻な自治体では喉から手が出るほどの魅力に感じられても当然と思う。木更津での駐屯に期限を設けたことで2025年からは我が市にどうぞという活動に火をつけてしまったとしたら心苦しいところである。 現在佐世保に駐屯している水陸機動団を運用するので有れば空港はその周辺でとなり、その意味で佐賀は適切なところだったと思うが、佐賀以外の恒久配備とすればそれに準じるような近隣の空港であろう。山口県も遠くはないが米軍の岩国基地がある事を考えると負担増加が有りすぎるので、対象は沖縄を除く九州に留まるだろうと勝手に考え、空港を一覧として整理してみた。 |
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これ以外にも宮崎県新富町の新田原航空自衛隊基地等の自衛隊基地も存在するが、民間利用可能の飛行場だけをリストアップしている。滑走路の延長が1500m必要(木更津基地は1800m)と言われているので、黄色で着色した7空港は対象外となるが、それでも14空港が残ることになる。佐賀空港以外の13飛行場の内、長崎(大村)や対馬、福江(五島列島)等は有力な候補になるのではないかと勝手に想像してしまうのである。 さて、木更津議会での要望書採決に先立ち、議会には「陸上自衛隊オスプレイの木更津駐屯地への暫定配備について、私たちは不安でいっぱいです。」という書き出しで暫定配備を受け入れないで下さいという旨のFAXが何通か届いた。郵便で送られたものもあり、私の元にも複数のメールが届いている。議会議決後には苦情が届くかと思ったが、それが無かったことは最終的に多数決で決まったことは尊重するという民主主義の原則に従っていただいたものであると感謝している。 25日に協力受入を表明した市長の元にも苦情は寄せられていないようであるが、これから重要なのは諸課題を処理するための協議会の設置であると私は考えているので、引き続き多方面からの意見が寄せられることを期待したい。 また今回の事態に対する多方面からの話を聞いていると、暫定期間が示されない限り木更津基地への配備は認められないと発言した渡辺市長の発言を高く評価していた人達が、河野防衛大臣から期間を示されたことによって協力を表明したことに落胆している様子が伺える。市長の発言の一部を切り取り「配備を認めない」と言っているので自分たちの側だと信じていたのに裏切られた様な気持ちになっているのであろうかと思う。その様な立場に立てば木更津市議会の意見書は許し難いことだったのであろう。 基本的な姿勢として、私は多くの場で言っているが「日本の空にオスプレイは要らない」という考えには私を含め議会の大多数は立脚していないと言うことである。島嶼防衛のために必要と考えている装備で有れば、地方自治体として市民の安全を確保した上で協力するべきであるという市長の意見には賛同している。 私はオスプレイの安全性について、自衛隊員による通常の運用を行う場合には防衛省の評価の通り、他の航空機と著しい差異があるわけではないと理解しているので、近隣に住みながら特に不安を感じている訳ではない。開発にあたっては多くの困難が伴っている事は本を読んで理解しているが、解決は進んでいる事も理解している。その一方で航空機の技術進化が続き、次世代のチルトローター機が現実化していることも学んでいる。 アメリカではV-280Valorという新世代の機種が順調に飛行実験を繰り返している。近い将来に実戦配備になった場合、日本の自衛隊で採用が検討される可能性があり、その際には木更津のヘリ団も対象になる可能性がある。具体的に話が来た際には、また議会として特別委員会での議論が必要になるだろう。 木更津駐屯地での運用が問題なく進み、周辺環境変化に対する適切な対応が行われていることが示せることで、佐賀空港における恒久配備の不安も払拭できるものと思う。その為に今回の議会による意見書提出から市長の協力表明までは具体化のスタートに過ぎず、今後どの様に具体的な対応を進めることが重要なのか、引き続き課題が多いことを自覚しながら、新しい年を迎えることにしたい。 |