コロナの中で思う
2020/08/12記
 昨日、全世界の新型コロナウイルス感染者が2千万人を越えた。最近は毎日25万人程度の増加が続いているので、このペースが続くなら来月後半にも3千万人にも達することであろう。
 米国の感染者数は世界全体の1/4となる5百万人を越え、依然として終息する気配はない。3百万人を越えたブラジルとともに国家指導者が感染症に対する理解を示さず、対処を間違えた結果として拡大を防げなかった事は多くの指摘の通りだと思う。その結果、膨大な感染者だけでなく米国で16万人、ブラジルで10万人を越える死亡者を出している。2百万人を越える感染が明かとなったインドでは4万人の死者数なので、両国での死者数が突出して多く、政策によって多くの国民の命が奪われることが有るという実例を冷たく示しているように感じている。
 
 日本国内でも昨日に5万人を越える感染者が明かとなり、各地でクラスターの発生が報告されている。世界の1/400程度であり、毎日新たに明らかになる感染者数の1/5が累計数という状況は世界的に見れば少ない方とは思うが安堵できない。
 木更津市では昨日と今日の新規感染は無かったが既に42人を数えており、日本平均の約2,400人に一人には達していないものの、約3,200人に一人が感染している事になる。最早、知人が感染しても驚かないような段階に入ってきたのではと感じている。
 
 木更津市では高齢の感染者が多いと前回も記載した。その時にも記載しているが7月15日から8月2日までに明かとなった23人の感染者の年代別グラフは下図の通りであった。

 
 上記の値に今月4日から8日までに判明した7人を加えてグラフを修正したものが下図である。

 40代以上が全体の8割に達する状況で、地域にも重症患者が増えているのではと心配になるし、医療機関の病床数の余裕も気になる。またPCR検査を増やし、感染者を早期に発見することで感染拡大を防ぐことが重要だと思うが、これらの全てが保健所を管轄する千葉県より十分な情報は提供されていない。国や県は何かを隠しているのだろうという噂すら出ている中では、積極的な情報開示が求められると私は考えている。
 

 房総半島でも各地で感染拡大が続いており、8月1日と8月11日を比較すると下表の通りである。
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 0→1 +1 1 九十九里町 0→0
2 木更津市 33→42 +9 2 芝山町 1→1
3 茂原市 5→6 +1 3 横芝光町 5→6 +1
4 東金市 4→4 4 一宮町 3→3
5 勝浦市 1→2 +1 5 睦沢町 0→0
6 市原市 19→32 +13 6 長生村 0→0
7 鴨川市 0→1 +1 7 白子町 0→1 +1
8 君津市 5→14 +9 8 長柄町 0→0
9 富津市 0→0 9 長南町 1→1
10 袖ケ浦市 10→12 +2 10 大多喜町 0→0
11 南房総市 1→1 11 御宿町 0→0
12 山武市 3→7 +4 12 鋸南町 0→0
13 いすみ市 1→1
14 大網白里市 2→2
市計 84→125 +41 町村計 10→12 +2
房総半島合計 94→137 +43
 
 木更津市の42人という値は青森県の32人や秋田県の35人より多く、房総半島26市町村、人口にして約113万人の地域で137人という値は人口約223万人の新潟県の128人や人口約205万人の長野県の135人より多い状況になってしまった。その様な中で未だに感染者を出していない1市6町1村は尊敬に値する。唯一市で感染無しとなった富津市は誰も最初の一人になりたくないと緊張感を持って日々を送っていると富津の議員から話を聞いた。
 
 各市の房総全体に占める割合を計算すると木更津市が30.7%で市原市の23.4%と併せて半数を越え、君津市と袖ケ浦市を加えた京葉工業地帯の四市で73.0%に達する。 
 房総半島南部は安全であり、我々京葉工業地帯の自治体が感染者を増やしていることに肩身が狭く感じているのである。
 
 感染の急拡大で四市の小中学校の修学旅行が中止され、今後は高校生の運動部の対外試合も制限を受ける状況になりそうである。観光業界を支援するために始まったGoToキャンペーンも感染拡大を助長すると批判の勢いが強くなる一方だと感じている。油断するとコロナと心中しそうな世の中である。
 スペイン風邪として猛威を振るったインフルエンザは、感染すると出社自粛等の対策が取られるものの全国の感染者数はリアルタイムで把握されることもなく、インフルエンザワクチンを打っても多くは感染を防げない状況の中でも日常が送られており百年前のような危機感は何処にもない。
 新型コロナウイルスはインフルエンザより重症になる比率が高い上に病症の全てが把握されたわけではないという事も知っているが、それでも様態急変は血栓が影響すること等が少しづつ明らかになり、医療の対処方針が定まりつつある状況を反映して重症患者は春に比べて著しく抑えられている上にあることも事実である。
 
 日本全体で5万人を越え世界ではパンデミックが収まる気配が無い状況ではあるが、コロナが蔓延する日常の中で、コロナへの感染は特殊な事ではなく普通に存在している感染症だと考えるべきだと思う。感染による生じる死者を許容するというわけではないが、過剰すぎる感染症対策は「角を矯めて牛を殺す」状況に繋がっていくのではないかと危惧しながら今回の記載を行った。