要望書を提出する
2020/10/09記
 今週の月曜日には木更津市農協協同組合と木更津商工会議所から議会に対しての要望書を受けたところであるが、その週末になる今日は10時から会派羅針盤として市長・副市長・教育長に対して「行政運営要望書」を提出させていただいた。これは2015年から6年連続の事であり、昨年提出した要望とはメンバーも替わっていないので項目には若干の変化があるだけであるが、記載内容はコロナ禍を受け変更を余儀なくされた場所も多い。
 
 
  
 提出も含め1時間に渡り意見交換を行ったが、その内容については割愛し、要望書のみを記録保存のために記載する。
 
要望1 財政健全化について
要望の要旨
1 大胆な行政改革による歳出の削減を進め、財政健全化を図ること
要望理由
 渡辺市長の就任以来、財政力指数・実質収支比率・自主財源比率・実質公債費比率・将来負担比率といった財政状況を示す値は改善されておりますが、令和元年度は台風15号等の対策で、本年度は新型コロナウイルスによる感染症対策と経済支援策で財政調整基金の取り崩しが行われました。
 都会の密集を嫌い都心部では転出超過に成ったと聞きますが、木更津市では人口増加が続いており、新築家屋の増加やコロナ禍でも進む企業進出によって固定資産税も伸びると予想されてはおります。景気後退による法人税収等の減額と固定資産税等の増額の双方が有りますが、過年度までの税収増の傾向が失われることは明らかであり、その一方で社会資本の更新や高齢者の増加による扶助費の増大も避けては通れません。
 市役所については歳出抑制のために民間ビルの活用を検討しておりますが、今後はより一層の削減目標を定めた公共施設の再配置計画を立案し、補助金・負担金の見直しを進め、地域の痛みを伴う学校適性配置の具体化など、更なる行政改革の推進と収納率の一層の改善や新たな歳入増加対策が求められております。
 税収増を進め、合理化を図り、持続可能な都市運営を進めるための絶え間ない改革を進めていただくため、財政健全化を要望します。
 
要望2 新しい行政態様と市民活動の再起動について
要望の要旨
1 新型コロナ感染症拡大防止で得た新しい行政態様を維持し、経済、学校行事、イベント等の市民活動の再起動を図ること
要望理由
 有史以来、人類の健康、命を脅かす多くの病気を完全に封じこめた例がほぼ無いと考える時、現在の新型コロナ感染症も医療従事者の危険を伴う献身的な業務や今後開発に期待がかかる新薬の投入で収束には向かうものの、その完全な終息は無いものと考えます。
 上記理由から、コロナ感染症拡大防止対策で得た知見を基に、同感染症をコントロール下に置いた状態で行政態様を遂行し、同時に、経済、学校行事、イベント等の市民活動の再起動を図ることを要望します。具体的には、以下を提案、要望します。
(1)市が関係する行事の開催基準を明示すること。
(2)学校行事(入学式、運動会、卒業式、修学旅行等)の開催は行うことを前提に、その開催基準を市民に対して明示すること。
(3)経済活動については、概ね、事業者が安全対策を取ってくれていると考えるが、万が一、感染症拡大防止の対応を十分に行っているにも関わらずという条件付きで、感染者が発生した店舗は、君津保健所と連携し同店内での終息を図るために、同店営業を停止させることで市民を守り、同時に経済活動を守る意思があることを他の事業者に訴え、徹底した感染症拡大防止の対応を促すため、営業停止期間の売り上げ一部補償を行うこと。条件にあるように、その対策が不十分である店舗に対しては補償を行わないこと。
 
要望3 交通インフラの活性化について
要望の要旨
1 東京オリンピックを前提とした木更津飛行場の官民共同利用を研究すること
2 木更津港のクルーズ船寄港を念頭に置いた施設整備と海の駅を有効活用すること
3 JR内房線の木更津駅改修を進め、巌根駅では全ての快速列車の停止を実現すること
4 アクアラインバスの木更津〜金田間に新たな停車場を設置すること
5 移動困難地域の解消のため新しい交通システムの実現を早期に図ること
要望理由
 木更津市はアクアラインによる交通利便性で活性化が進んでおりますが、陸海空の結節点である木更津市の交通インフラの機能を充分に活用しているとは言い難い状況にあります。
 本年度予定されていた東京オリンピックが翌年に延期となり、感染症の状況では開催が危ぶまれておりますが、アフターコロナを見据え近年需要が増大しているプライベートジェットの離発着が可能な木更津飛行場の活用を検討する必要が有ります。本年度に可能性調査事業が予算計上されておりましたが、翌年度に延期となりました。今後も前向きに対応を検討願います。
 また、木更津駅から700mという好立地の木更津港も一部企業での利用に限られており、コロナ禍が過ぎた後に利用が回復する見込みのクルーズ船運航やホテルシップといった活用にむけて着実に整備を進めて行かねば成りません。
 鉄道網では木更津駅が建設から50年を迎えて老朽化が進み、木更津市の顔として建て替えを含んだ改修が求められています。木更津市役所駅前庁舎の検討も含めて改修をご検討下さい。
 また巌根駅は内房線で総武線快速列車が停車しない唯一の駅で、アクアラインバスも岩根地区を素通りしております。この事は人口減少や財産価値の低下を招き、木更津市政にも悪影響を招いています。今年度はバリアフリーに向けた取組が進んでいますが、全快速停車の実現も望みます。それと同時に木更津〜金田間に高速バス停を設け、利便性を向上させることで地域活性化を願います。
 市内全体では車の運転をされない、或いは免許証を返納された高齢者が増えております。買い物、通院等の移動の際に不便を感じている方が多くなっておりますので、とりわけ公共交通機関が充実をしていない地域では自治会バス等を利用した「新しい交通システム」が望まれています。本年度より実証実験を始めた「ふくちゃんバス」の検証を進め、全市的な展開が望まれます。
 以上、木更津市の将来の可能性を広げるためにも、既存の交通インフラを最大に活用するとともに、新たな施策展開が必要であると考え、昨年に引き続き、交通インフラの活性化を要望します。
 
要望4 江川総合運動場の充実、改善について
要望の要旨
1 コロナ禍ではあるが、江川総合運動場内陸上競技場施設の更なる充実、野球場、サッカー場の早期整備、周辺道路、駐車場の整備及び税収減に伴い早急なネーミングライツの導入をすること
要望内容
 2019年6月、本市の市制施行以来、永年の悲願であった陸上競技場が江川に完成した。しかし、9月に本陸上競技場で行った木袖支部中学校陸上記録会から、大きな課題が見えてきた。市内の小中学校の陸上大会、記録会には、選手、役員、応援の保護者を併せて1,000名程度が集まることが予想されることから、駐車場、トイレが不足することは間違いなく、現在の駐車場の収容台数、トイレの数では、円滑な大会運営は厳しいと思われる。実際に使用した関係者からも同様の声を多数聞いている。是非、早急に駐車場の拡張、トイレの増設をお願いしたい。
 コロナ禍による一年延期になったことによる東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ誘致に向けてナイジェリアとの覚書を締結したが、キャンプ誘致が現実となることで今、江川陸上競技場を世界に恥ずかしくない陸上競技場にする必要を強く感じている。早急な対応を要望する。
 また、江川総合運動場の更なる充実のためには、すでに建設が決定している野球場、サッカー場の早期整備の実現、また、ちばアクアラインマラソンやブルーベリーラン等でランニングへの関心が高まっている市民のニーズに応えるためにも、総合運動場周辺を活用した駅伝、ロードレース用の道路整備も併せて要望する。
 更に、現在、この施設が本市のスポーツ振興のため、レガシーとして大いに活用されるため、日本各地で進められている様々な競技施設におけるネーミングライツ導入は、自治体の歳入増加という視点から成功しているケースが多いと聞いている。そこで、江川総合運動場においてもネーミングライツを導入すること。
 
要望5 待機児童対策について
要望の要旨
1 待機児童の解消のため保育過程を履修している学生の活用を検討すること
2 若手保育士を地方から誘致し、家賃補助を行うこと
要望理由
 待機児童の解消に向け、今9月定例会において減額補正がなされました。理由は同解消に向け、昨年度、保育士確保の予算計上を行ったが、その確保が出来ずという理由でした。このことに付いては、昨年も待機児童のピークカットを行うため、破格の報酬を準備し、任期付き保育士の確保に当たるよう要望しましたが、叶いませんでした。そこで以下を提案、要望します。
(1)清和短期大学等、保育過程を履修している学生を実習生として雇用契約をし、雇用契約期間における実習を学校(文科省)が認める単位として認定をするように協議する。また、厚生労働省にあっては、働く保護者も所管事項であることも認識し、本学生を保育士の有資格者では無いが将来の保育士たる者として就労を認めるように強く働きかけることを提案します。
(2)全国には約185校もの保育士課程のある短大が現在あります。新卒に働きかけるため、地方にある保育士課程を有する短期大学全てに、求人募集を行うこと。また本市保育園で勤務し、かつ在住していただくことを条件に家賃補助を行うこと。これによる定住人口増加、場合によっては将来本市において婚姻し、子育てをしてくださる複合効果も考え提案します。「程よい都会木更津」で働いてみたい保育士は居ると思います。
(3)新規保育園の設置を行わないこと。保育園の民営化についての考え方には賛同しています。但し、市有財産としての総量の適正化の観点より新たな公的保育園を設置することなく、また、民間が新規設置するような時に大きな補助をしなくて済むよう、教育部と連携し、統廃合の候補に上がる可能性のある学校等の利用をさせ、既に今ある市有財産を有効活用するよう、健康子ども部と教育部の連携を要望します。
 
要望6 木更津市子育て世代包括支援センターの充実について
要望の要旨
1 木更津市子育て世代包括支援センター「きさらづネウボラ」による子育て世代の支援の充実を図ること
要望理由
 現在、核家族化の急激な進行と一人親家庭の増加により、子育てに悩む家庭が急増し、虐待の通告や相談が激増している現実がある。更に、コロナ禍による諸問題が増えている中、本市の調査によれば、通常学級に在籍し、多動性や衝動性があり、特別に支援が必要な子どもたちが6%を超えており、30人の学級には2〜3人が在籍していることになる。このような子どもたち及び保護者を早期に支援することにより、将来的な学校不適応や不登校の解消につながるものと考えている。
 現在、本市では、かねてからの要望に応え、木更津市民総合福祉会館内に、木更津市子育て世代包括支援センター「きさらづネウボラ」が開設され、福祉部健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、教育部学校教育課、まなび支援センターなどが連携し、子育て世代の保護者に対し、包括的な支援ができるようになったことは、大変すばらしいことである。
 しかしながら、現在は、人的配置の人数や専門職の配置の面で、十分とは言えず、子育て世代の保護者からのニーズに、十分に応えられていない現状がある。そのため、今後、更なる相談ケースの増加、相談内容の多様化等に十分に対応するために、担当職員の増員と、臨床心理士、言語聴覚士等の専門職の常勤職員としての配置を強く推進すること。
 
要望7 都市計画道路の整備等について
要望の要旨
1 都市計画道路 中野畑沢線について
(1)貝渕工区に早期着手すること
(2)中央地域の道路改修を行い中野畑沢線の効果を高めること
2 都市計画道路 中里曽根線について
(1)線形を再考し通称平成通りをアクアライン連絡道の側道に連結すること
3 社会資本整備予算の拡充を図ること
要望理由
 都市計画道路中野畑沢線は、本市金田地区から中心市街地を通り畑沢地区を結ぶ、総延長12,700mの道路で、本市西部を南北に貫く主要幹線道路として位置づけられています。本路線の整備状況を見ますと、北部では中野工区の700mが県により事業化され、休日の交通渋滞の対策として着実な整備事業の進捗が望まれております。南部では木更津市が桜井工区の890mを整備し、用地買収・墳墓の移転・文化財調査等が進められています。現在、未着手は中央工区・新田工区・貝渕工区の1,562mと成っております。
 未着手区間のうち、貝渕工区の550mは桜井工区完成後に着手する予定と聞きますが、交通安全の面から桜井工区と同時開通して欲しいとの声があり、市において想定交通量調査が行なわれ、同時開通により交通量が減少するという結果が得られました。桜井工区が用地買収で進展が見られない中、貝渕工区の早期着手が望まれます。
 中央工区の215mにおいては、道路線形の見直し協議を早々に開始する一方で、既存道路を大型バスの通行が可能な構造に改修して、高速バスのルート変更で中野畑沢線全体の道路整備効果を十二分に生かすよう求めます。
 一方、都市計画道路中里曽根線は依然として未着工のままであり、袖ヶ浦市における 通称「平成通り」は本市境に於いて途切れたままであります。当該道路については線形の見直しを図り、早期に平成通りとアクアライン連絡道側道とを連結することを要望します。これにより木更津市の内陸部に袖ヶ浦市方面からの誘客を行い、本市市民も袖ヶ浦市方面に通勤することなど、市民の利便性が向上すると考えます。
 また、社会資本の老朽化により住民要望が最も多い項目が道路修繕や側溝修繕等です。その様な要望を効率よく処理する為に計画的適正な工事発注として一つの整備事業を拡大する事でコストの削減や工期の短縮と同時に職員の経験が増えることも図れます。
 市民ニーズの多様化や超高齢化少子化時代を迎えるにあたり財政状況の厳しい中、木更津市都市計画道路中野畑沢線早期整備延伸等に係る予算を十分に確保願い早期完成や開通、社会資本の長寿命化や職員の経験向上を確実に推進すること。
 
要望8 次世代への都市づくりについてて
要望の要旨
1 持続可能な土地活用について
2 新たな計画道路について
要望理由
 昨年4月「総務省統計局」から公表され「平成30年 住宅・土地統計調査 住宅数概数集計」結果の要約によりますと、全国の「空き家」の数は846万戸と、平成25年と比べ、26万戸の増加となり、空き家率は13.6%と過去最高とのことでした。今後も「空き家」の数は、増えるものと予想されます。近年、多くの市町村においては「所有者不明」の「空き家」の対応について、とても苦慮しているものと聞いております。本市においても 今後、向かえる「人口減少」及び「相続等」により、所有者が特定出来ない「所有者不明」の「空き家」の数は増えるものと予想されます。
 人口が減少局面に転じると、都市の大きさは変わらずに、都市の内部に空き地や 空き家等の低未利用地が時間的・空間的にランダムに数多く発生し、多数の小さな穴を持つ スポンジのように都市の密度が低下する、いわゆる「都市のスポンジ化」が進行するといわれております。この「都市のスポンジ化」が進行すると、都市の密度の低下、生活利便性の低下、行政サービスの非効率化、治安・居住環境の悪化、地域コミュニティーの希薄化、まちの魅力の低下、賑わいの喪失などの「負のスパイラル」が生じ、加速度的に都市の衰退を招くおそれがあり、持続可能なまちづくりが難しくなります。
 本市におきましては、既に一定数の空き家が存在し、更に近い将来には人口減少が始まることが予測されておりますことから、「都市のスポンジ化」を防ぎ、持続可能なまちづくりを実現するための取組が不可欠と考えます。対応策と致しまして、不在者管理人や相続管理人制度の導入を早期導入や「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく略式代執行等の検討を図る事。
 また、今後の既成市街地の再生にあたっては、整備が必要な地区を絞り込み、地区の課題に対応する小規模で柔軟な土地区画整理事業の実施を行う事。
 一方、本市の賑わいや交通量の増加に伴う交通渋滞や諸課題に対し、新たな計画道路の開通を検討する事。