里山周遊に加わる
2020/11/30記
 月末の土曜日に下郡駅に近い農作物直売場兼食堂である「万葉の里」を起終点としてサイクルイベントである「里山周遊ツアー」が実施された。これは先月20日から来月20日まで当該箇所に2ヶ月限定でサイクルステーションを開設する中で、そのメインイベントとして実施されるサイクリングである。南房総(あわの国)サイクルツーリズム協会等の協力の元に30kmのショートコースと50kmのロングコースに分けて合計30人程度を対象として募集が行われていたもので、主催者は木更津市である。
 サイクルステーションにはサイクルラック・空気入れ・サイクル用工具等が準備されているだけでなく、無料温水シャワーも設置され、水曜日を除き午前7時から午後4時まで開設されている。因みに当該事業は9月定例会における補正予算で計上されたもので、近隣市との連携を加速し将来的な拠点整備を視野に仮拠点での動向調査等の実証実験をすることを目的としており、予算額は委託料やチラシの印刷、シャワーの光熱水費等を含み305万7千円が計上されていた。
 
 前日までの雲も払われ絶好のサイクリング日和で万葉の里には多くのサイクリストが集まっている。申込はショートに16人(当日1人欠)、ロングに11人であるが、枠外で木更津市が私を含めて9人、市原市が6人で、サイクルガイドの9人を含めると50人が居たこととなる。
 申し込んで参加した人の内訳は木更津市内が10人、他の県内が15人で、近隣では君津市と市原市が各1人であり、袖ケ浦市の4人と千葉市の3人が本市に次いで多い参加者である。他には横須賀市から1人である。また19人が男性で7人が女性であった。
 9時半にご当地の議員である三上議員も出席するなかで簡単な開会セレモニーが行われた。直後に22人のロングコースが出発し、10時からショートコースの28人が出発するとの事である。私も渡辺市長を含むトライアスロン部の3人とともにロングコースで別働隊のように全体を記録しながら走った。
 
 ロングコースは我々以外の18人が3班に分かれて行動し、私達は最初の班に続いて出発した。最初の休憩地点である久留里駅前の水汲み広場で班毎に自己紹介を行っていたので私も水筒に久留里の名水を詰めながら全ての班を見届けて最後の班と供に出発した。
 
 2番目の休憩箇所は小湊鉄道の月崎駅で、休憩時間中にトロッコ列車も到着し、駅前では農産物等の販売も成され、ライダーも多く集まり、周辺の樹木等はイルミネーションが付けられるなど、他のイベントとの相乗効果が急激に高まって雰囲気が盛り上がる。
 
 3番目の休憩箇所はチバニアンビジターセンターで、市原市の学芸員の方が地磁気逆転層について班毎に解説をしてくれた。私は6月6日に話を聞いていたので隣にある売店で鮎の塩焼きを食べた。天然の鮎は水質が心配で食べられておらず、これも養殖だと話してくれた。
 
 4番目の休憩箇所は平成19年3月に閉校になった月出小学校の校舎で、市原アートミックスの時だけでなく年間を通じてアートの拠点にしようとしている。サイクルラックも設置されており、この日も珈琲を販売していたので登りで渇いた喉にホットコーヒーを流し込んだ。
 
 5番目の休憩箇所はインスタ映えする柿木台第一トンネルであり、この辺りではショートコースの参加者が一緒になる。6年前に『いちはらアートミックス』を見に行ったときから注目しているポイントでコースに入れたのは評価が高い。しかし日程が押しておりさっと通過した。
 
 6番目の休憩箇所は高滝湖畔公園でランチタイムである。会場では市原市の小出市長が待っていてくれており、私と渡辺市長はジビエバーガーを食べ、市原市役所のサイクリング部が多数参加していただいている事を感謝しながら様々な情報交換を行なった。
 
 7番目の休憩箇所は馬来田のフルーツ街道夢農場でのトイレタイムであり、渡辺市長は次の公務のため急いで駆け抜けていった。私も他の班が休憩している姿を撮影だけして先へ進む。木更津に戻ってきたら曇りになってしまったのは単なる偶然だろう。
 
 そして出発地の万葉の里には14時45分に帰り着いた。GPSのデータを集計するアプリによると走行距離は51.2kmで走行時間は2時間43分であったから休憩時間は1時間半を超えていたことになる。獲得標高は628mであったので負荷はそこそこの良いコースで有ったように思う。
 この様なモデルコースが富来田を中心に多く造られるとサイクリストが集まり、各自が情報発信することによる広告効果や走行後にお土産を購入して帰ってくれることによる経済効果も期待できるようになるだろう。しかしポイントの多くが市原市に集中している現状を見ると富来田が起終点になるメリットが今一つ見いだせない。
 高蔵寺やクルックフィールズなど木更津市側のポイントも磨き上げ、地域と供に写真映えする景観を作り出すなど、拠点整備の前に取り組むべき課題も個人的には多いものと思う。
 
 私がサイクリングを始めた43年には少年誌で「サイクル野郎」という漫画が連載されておりツーリングに対する憧れがあった、最近では「弱虫ペダル」のようにレースが主になっており、スタイリッシュになるとともにスポーツの傾向が強くなっているように感じている。隔世の感を覚えながらも夏の北海道以外でサイクリストを普通に見る時代が訪れたことは嬉しく感じている。
 この実証実験が実りあるものに繋がることを期待して、里山周遊ツアーへの参加報告としたい。