緊急事態宣言拡大
2021/01/13記
 先週の木曜日に首都圏の1都3県に発出した緊急事態宣言であるが各地での感染拡大と医療現場の逼迫を危惧する知事の要望により2府5県が追加され、全国1都2府8県に拡大された。
 京阪神の京都府・大阪府・兵庫県は当初から追加されるものと思っていたが、そこに愛知県・岐阜県・福岡県・栃木県が追加されることになった。名古屋圏と博多圏は解るが最近での人口あたりの新規感染者数が全国3位になった栃木県の追加により、現在危機的状況が近づきつつあると感じている多くの知事が雪崩を打つように一気に申請を行い、ほぼ全国に拡大される日も時間の問題ではないかと思っている。
 
 木更津市でも10日と11日に新規感染者が無くて若干安堵していたところに昨日16人が追加となり累計で251人に成ってしまった。これは下表に示すように県内15位の数で有るが人口あたりに換算すると県内20位となり、千葉県平均の1万人当たり23.2人より少ない18.5人である。小規模な町で大規模なクラスターが発生したという例外的な状況の東庄町を除けば、東京都に通勤する人の多い東葛地域の自治体が累計感染者数と人口あたりの感染者数の双方とも高く、そちらでは木更津での増加に頭を痛めている以上の苦悩が連日続いているのだと改めて感じるデータである。
No 区分 感染者[A] 人口 [B] A/B×1万 A/B順
1 千葉市 2,201 979,930 22.5 15
2 船橋市 2,107 639,804 32.9 2
3 市川市 1,465 495,777 29.5 6
4 松戸市 1,404 492,679 28.5 7
5 柏市 1,196 430,625 27.8 8
6 八千代市 606 198,122 30.6 5
7 習志野市 542 173,761 31.2 3
8 浦安市 529 170,272 31.1 4
9 市原市 491 269,558 18.2 21
10 流山市 480 195,682 24.5 12
11 我孫子市 346 130,755 26.5 10
12 佐倉市 324 170,483 19.0 18
13 鎌ケ谷市 294 109,382 26.9 9
14 野田市 291 152,495 19.1 17
15 木更津市 251 135,697 18.5 20
16 成田市 237 132,058 17.9 22
17 印西市 191 101,274 18.9 19
18 四街道市 161 92,818 17.3 23
19 白井市 160 61,909 25.8 11
20 八街市 159 67,221 23.7 13
21 富里市 117 49,945 23.4 14
22 袖ケ浦市 110 63,432 17.3 24
23 東庄町 77 13,261 58.1 1
24 茂原市 73 87,169 8.4 40
25 君津市 72 82,130 8.8 38
26 香取市 69 72,624 9.5 35
27 山武市 65 49,050 13.3 28
28 大網白里市 59 47,959 12.3 29
29 東金市 52 58,129 8.9 36
30 銚子市 45 58,719 7.7 41
32 酒々井町 40 20,449 19.6 16
31 館山市 40 45,113 8.9 37
33 南房総市 36 36,127 10.0 32
34 匝瑳市 34 34,970 9.7 34
35 旭市 30 64,093 4.7 50
36 栄町 24 20,126 11.9 30
37 いすみ市 23 36,054 6.4 46
38 横芝光町 22 22,474 9.8 33
40 富津市 20 42,891 4.7 51
39 鴨川市 20 31,933 6.3 47
41 多古町 16 13,982 11.4 31
42 九十九里町 13 14,966 8.7 39
43 勝浦市 12 17,121 7.0 42
44 鋸南町 11 7,239 15.2 26
45 芝山町 10 7,042 14.2 27
47 長生村 9 13,776 6.5 45
46 神崎町 9 5,787 15.6 25
48 大多喜町 6 8,961 6.7 43
51 長南町 5 7,484 6.7 44
50 白子町 5 10,417 4.8 49
49 一宮町 5 11,759 4.3 52
52 睦沢町 4 6,835 5.9 48
53 長柄町 1 6,794 1.5 53
54 御宿町 0 6,892 0.0 54
千葉県全体 14,569 6,276,005 23.2  
上記の感染者数は令和3年1月12日夕方の値で、人口は令和2年3月1日現在の値を使用している。表中赤で着色した自治体は人口あたりの感染者数上位10市で、御宿町は未だに感染者が居ないことに敬意を表して白にした。千葉県全体の感染者数には県外や国外及び非公表等の422人は含まれていない。
 
 昨日の木更津市で判明した16人の新規感染者のうち、症状のある9人に占める男性は7人で、無症状の7人のうち6人が女性であった。千葉県全体のデータを見ると顕著な性別差は無さそうなので単なる偶然だと思うが、16人中無症状の感染者が7人居る状況の方が気になる点である。市内で普通に生活している人の一部に感染者が居るという前提の元に予防活動を行わないと厳しい状況にある事を示しているようだ。
 
 房総半島の感染状況は下表のように8日から昨日まで4日間が経過したため192人も新規感染者が明らかになっている。
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 39→40 +1 1 九十九里町 10→13 +3
2 木更津市 223→251 +28 2 芝山町 9→10 +1
3 茂原市 59→73 +14 3 横芝光町 21→22 +1
4 東金市 39→52 +13 4 一宮町 5→5
5 勝浦市 9→12 +3 5 睦沢町 2→4 +2
6 市原市 429→491 +62 6 長生村 6→9 +3
7 鴨川市 19→20 +1 7 白子町 4→5 +1
8 君津市 64→72 +8 8 長柄町 1→1
9 富津市 17→20 +3 9 長南町 5→5
10 袖ケ浦市 90→110 +20 10 大多喜町 5→6 +1
11 南房総市 35→36 +1 11 御宿町 0→0
12 山武市 53→65 +12 12 鋸南町 2→11 +9
13 いすみ市 22→23 +1
14 大網白里市 55→59 +4
市計 1153→1324 +171 町村計 70→91 +21
房総半島合計 1223→1415 +192
 
 グラフの傾きは直線を延長しただけのように何の変化も生じていない。昨日発表された感染者も発症日は緊急事態宣言の前であった事例が多いので、営業短縮等の効果が出るのは今週末以降に成るだろう。従って今週中には1千6百人を越えるだろうとグラフからは予想されるのである。
 
 
 木更津市の拡大でも増加傾向に翳りは見えていない。3百人に達する前に落ち着きを取り戻すだろうと希望的には信じているのだが、依然として予断は許されない状況にある。
 
 
 緊急事態宣言が関西圏や東海にも拡大したことで日本の経済は一斉に冷えていくだろう。営業規模に関係ないが県の要請期間にだけ連動する協力金について議論が出る中、更に関係業者への協力金が決まり全国的に大規模な不正も起きることだろう。それでも書類審査が長引くようでは迅速性が無くなるため一定の不正があることを前提にして支払いを行い、不正が解った後で犯罪行為として立証する方法を執るのだろうか。
 
 今後もどの様な状況になるか見通せない中でその場凌ぎのような対策が続くことになり、その多くは地方自治体が事務を行うことに成るであろう。職員の中からも感染者が出るような状況の中で自治体職員も疲弊を深めていくことが予想される。
 夕方にはこの日で日本国内の累計感染者数が30万人を越えたという速報が流れた。世界との往来も再びハードルが高くなるらしい。歴史にも載るような国難の中に居ることを自覚し、せめて危機感を伝え続けなければと改めて思うのであった。