人口動態を調べる
2021/02/26記
 コロナウイルスの流行で日常生活が変わってしまい、ある者はリモートで在宅時間が長くなったので子供が増えると言い、また別の者は感染を避けて医療機関に行く人が減って死亡者が増えていると言う。人口が密な東京から木更津に逃げてくると言うものがいれば、首都圏を避けて木更津からも脱出すると言う者もいる。
 これは憶測に基づくものなので実態を調べてみようと統計データを調べてみた。具体的にはコロナの影響がなかった平成30年及び令和元年と令和2年の3年間を比べてみたのである。季節変動も考えられるので月別に比較してみた。
 
 先ずは出生である。
 
 月別で凸凹があるが顕著な影響は出ていない。総出生数では平成30年が998人、令和元年が949人、令和2年が986人であり、昨年は一昨年より増えているもののその前より減少していた。
 
 次に死亡である。
 
 昨年の8月頃に若干増加しているが、総数を比べると平成30年が1,361人、令和元年が1,380人、令和2年が1,421人であり、この程度の変動は誤差のようなもので、高齢者の増加による死亡者の増加というトレンドが変わらなく続いているだけのように思われる。従って市内で死亡者が特に増加している傾向はない。
 因みに3年間の出生者2,933人に対し死亡者4,162人なので自然減は1,229人である。市外からの移動がなければ毎年約4百人づつ市民が減っていく状況であった。
 
 最後に転入と転出による社会増の状況を見る。これは木更津市全体と対東京都の値を抽出し3年間を折れ線グラフにした。
 
 本年4月に321人という社会増が発生しているが、これは陸上自衛隊にオスプレイ部隊が配属されたことによる影響もあるのだろうと勝手に推察する。それを除いても全体的な転入超過の傾向は維持されている。3年間の累計は2,082人なので自然減の1,229人を補って人口増加傾向を維持している。しかし3年間で853人の増加に留まっており、木更津市の人口増加は鈍化しているようだ。
 その様な中で対東京都の値は令和元年末まで均衡状況を示していたものが昨年中に転入超過に成っている。コロナ禍での積極的な移住促進を図るために東京に向けたPRを行うとともに、待機児童対策等の弱点解消を進めることの重要性が木更津市の持続のために必要であるとデータから読み解ける。
 
 思う事を記載したついでに15日から昨日までの10日間で房総半島のコロナ感染状況を整理してみた。
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 43→44 +1 1 九十九里町 21→23 +2
2 木更津市 389→398 +9 2 芝山町 28→30 +2
3 茂原市 142→148 +6 3 横芝光町 33→33
4 東金市 122→137 +15 4 一宮町 8→9 +1
5 勝浦市 27→27 5 睦沢町 9→9
6 市原市 730→757 +27 6 長生村 17→17
7 鴨川市 54→54 7 白子町 12→12
8 君津市 128→137 +9 8 長柄町 2→2
9 富津市 46→55 +9 9 長南町 14→14
10 袖ケ浦市 162→168 +6 10 大多喜町 8→8
11 南房総市 41→49 +8 11 御宿町 8→8
12 山武市 109→116 +7 12 鋸南町 26→26
13 いすみ市 42→45 +3
14 大網白里市 82→91 +9
市計 2117→2226 +109 町村計 186→191 +5
房総半島合計 2303→2417 +114
 
 10日間で114人が増加しているので一日当たりにすると11.4人となり、前回の10.2人/日より若干増加している。そのためグラフでは前回より傾きが少し急に成ったように見えており、安定傾向を見せていない。千葉県全体でも下げ止まりの傾向を見せており、24日には森田知事が記者会見で「感染再拡大 警戒宣言」を発したが、房総半島も同じ状況にあるようだ。
 
 
 その一方で木更津市は10日間に9人の増加に留まり、グラフは落ち着きを見せてきた。しかしながら400人を越えるのは時間の問題であり、改めてその時に傾向の分析を行いたい。
 
 
 感染が収束した後に人口の都心回帰が起きるのかは人によって意見が分かれる。厳しい通勤を離れて自宅で家族と触れ合いながら仕事をする生活から昔のようには戻れないというものがいれば、東京の魅力は再び人を引きつけるというものもあり、私も判断が出来ない。それでも阪神大震災で高層住宅の問題が明らかになり東日本大震災で標高の低い場所のリスクが示されても、東京では海岸沿いの高層マンションが売れたように、更には優秀な人材を集めるために地方の会社が本社を東京に移転する傾向が続いたように、東京への回帰は発生すると感じている。
 
 今回の記事は人口動態である。木更津市の強みは都心へのアクセスがよいことと密ではない住環境である。ワクチン接種で感染抑制が進むのか、変異種の増加でワクチンが無効化されるのかも想像できないが、双方の場合でも選ばれる都市を造っていくことが社会増によって都市基盤を維持していく我が市の戦略であるべきだと考える。
 願わくは、我が市では子供を産みたい、育てたいという市民が増え、特殊合計出生率が高まり自然減の幅が減ってくる事も期待しながら今回の記事にする。