会派要望書を提出
2021/09/24記
 本日は9月定例議会の最終日である。初日の8月26日に新型コロナウイルスの急拡大を受けて新型コロナワクチンに関する緊急要望書を会派羅針盤として提出させていただいたが、今回は例年提出している通常要望の内容である。
 
 
  
 会派代表者会議も終わった午後2時45分に提出をさせていただいたが、要望概要の説明や意見交換が終わったのは午後4時を回っていた。要望書の内容は下記の通りであり、今回も備忘録として、また記録保存として、取り急ぎ記載する。
 
 
入りを量りて出ずるを為す

 収入の額を計算し、それによって支出の計画を立てる。
 古よりの中国の教えであり、私たちのアジア圏だけでなく政治や経済に関した世界共通の認識です。しかしながら、幸福を渇望する市民の要求は年を経ることに多種多様になり、出ずるを量りて入りを為す時代になっています。このような行政需要を満足させるため歳出に重きを置いた予算編成は日本国中に広がっており、その中心にある国家財政のプライマリーバランスは赤字が引き続き国際社会からは是正が強く求められています。そうしたなか、我が国においては2025年に黒字にすべく財政の健全化に取り組んでいます。
 さて、木更津市は過去10年間連続して実質収支は黒字でありますが、実質単年度収支は10年連続の赤字です。これを端的に言えば根幹としての木更津市の財政は健全であるがゆえに、多種多様な行政需要を満足させるための歳出を続けた結果、財政調整基金の過度な繰り入れが繰り返されたのです。その結果、平成28年度の45億円から令和2年度は33億円と減少を続けています。多少危険とも思えますこの財政運営の考え方の根幹は、適正な財政調整基金残高は標準財政規模の10%であるという妄想を過信したことによるものです。
 それをもとに毎年10億円以上の財政調整基金が取り崩され、結果として10%の残高維持に終始しています。近年行政事務が増大しているとして再任用制度を活用した職員増を是としたため人件費の増加も抑えきれていません。当然な結果として経常収支比率は改善には向かっておりません。
 木更津市の人口動向等をもとに市税等の推移を予測すれば令和3年度のみが減少であり依然として木更津市の財政は堅調であるといえます。こうした堅調期だからこそ歳出を控え実質単年度収支の改善を図り結果として財政調整基金の増加を期するべきです。しかしながら支出を削減しいたずらに財政調整基金を増大することは年度間の行政運用を偏重することになり結果として市民の年度間の幸福を偏重することにもなります。かといえ現在の10%正論説に立ち毎年10億円以上の財政調整基金を取り崩すことが正しいとは言えません。
 来年度は市長選が予定されているため当初予算はいわゆる骨格予算です。義務的経費が中心の骨格予算はそもそも財政調整基金を繰り入れないで編成することは理論上可能のはずです。ゆえに、より一層の財源確保に努め、真に必要な事業を見極め、効率的・計画的に執行することを要望するとともに、つぎの10個の要望を提出いたします。
 
要望1 防災・防犯の推進について
要望の要旨
1 災害に強いまちづくりを誘導する施策を講じること
2 互助の根幹となる自治会・まちづくり協議会の強化を図ること
3 都市の相互連携により行政の防災力を向上させること
4 防犯カメラの補助制度を通じて犯罪の抑止を図ること
要望理由
 行政は市民が安全に安心して生活できる環境を保障することが重要な責務です。木更津市も渡辺市長が「日本一の防災都市」を目指す姿勢を明らかにしていますが、現状を見ると改善すべき点や更に政策を推し進めるべき点がまだまだ多く考えられますので、その改善を通じて防災・防犯の推進を求めます。
 まず、ハードとしての災害対策の施策についてです。令和2年5月28日に公表された水防法に基づく洪水浸水想定区域では小櫃川の各所で破堤により浸水することが明らかになっております。近年の異常気象を考えると千葉県による河川整備を要望すると共に、地域内で排水不良による浸水被害が生じないよう計画降水量を見直した排水計画の策定が求められています。また海溝型地震による津波からの避難所の整備や地震瓦礫の速やかな処分を行えるヤードの確保、旧市街地に多い木密地区の更新を街中居住の促進としても位置付ける助成制度の拡大などを通じて災害に強いまちづくりを進めることが必要です。
 次に、ソフト面として行政機能が動き始める前に互いに助け合う人間関係を構築するための自治会等の強化です。「お互い様」という意識が低下し自治会費を損得で考え加入しない若い世代が増え、一方で高齢者には自治会の役員が負担という理由で退会する世帯も増える中、自治会加入率は低下しています。自治会に加入することで得られるメリットを創出し、加入率を高めることでまちづくり協議会の強化を図ることを検討して下さい。
 大規模災害が発生した場合は現在の木更津市の職員だけでは満足な対応が出来ないことは明かです。既に神奈川県綾瀬市や群馬県太田市と災害協定を締結して相互連携を進めていることは存じていますが、同時に被災しない程度に離れている西日本の都市との連携も視野に入れた対応を検討し、連携先の自治体が被災した際には木更津市から多くの職員を派遣し、災害対応の現場力を向上させるような訓練を積むことを進めて下さい。
 最後に、防災と同時に防犯も市民の安心感を高めるために必要な事業です。近年の事件解決には防犯カメラが重要な鍵であり、その設置は抑止効果として力を発揮します。木更津市においては予算の制約で設置が進んでいませんが、個人や法人がその前面道路を撮影する目的で設置する防犯カメラに市が補助金を出すことで、少ない予算でも設置台数の増加が期待されます。補助制度の検討をお願いいたします。
 
要望2 交通インフラの活性化について
要望の要旨
1 木更津飛行場の周辺活用と官民共同利用を研究すること
2 木更津港のクルーズ船寄港を念頭に置いた施設整備と海の駅の整備を進めること
3 JR内房線の木更津駅改修を進め、巌根駅では全ての快速列車の停止を実現すること
4 移動困難地域の解消のため新しい交通システムの実現を早期に図ること
要望理由
 木更津市は陸上自衛隊が管理する木更津飛行場と重要港湾を有し、アクアラインから圏央道に向かう幹線と館山道が交差する要所に位置する陸海空の結節点でありますが、そのポテンシャルを充分に活用しているとは言い難い状況にあります。
 木更津飛行場においてはコロナ感染症の終息後に需要が増えると予想されるプライベートジェットの離発着を誘致することで周辺地域の価値が向上することと供に地域経済の活性化が目指せます。可能性調査事業はコロナ感染症による財政措置で先送りになっておりますが、前向きな検討をお願いします。
 重要港湾である木更津港はJR木更津駅から700mという好立地でありながら一部企業が利用している状況で、コロナ禍が過ぎた後に利用が回復する見込みのクルーズ船運航にむけて整備を進めるとともに港周辺の活用が図られるよう海の駅の整備を推進するように関係機関との協議をお願いします。
 陸上交通では鉄道の利用者が減少傾向にありますが、木更津駅は市の顔として重要な存在であることに変わり有りません。しかしながら駅舎は建設から50年を越え老朽化が進み、まちづくりの観点で改修を協議していただけるようお願いします。また巌根駅は内房線で総武線快速列車が停車しない唯一の駅であり、平成元年以降の地域人口は減少の一途を辿っています。インフラが既に整っている岩根地区の人口を維持することはコンパクトシティの推進に繋がりますので人口政策の点からも快速電車を停車させることで人口維持を図り、地域活性化を図るようお願います。
 市内全体では車の運転をされない、或いは免許証を返納された高齢者が増えております。買い物、通院等の移動の際に不便を感じている方が多くなっておりますので、とりわけ公共交通機関が充実をしていない地域では自治会バス等を利用した「新しい交通システム」が望まれています。「ふくちゃんバス」の実証実験では自治会バスの経費は路線バスの維持費より安価で細かな対応が出来ることが明らかになりましたので運営の補助を拡充するとともに、全市的な展開を望みます。
 以上、木更津市の将来のために、既存の交通インフラを最大に活用するとともに、新たな施策展開が必要であると考え、昨年に引き続き、交通インフラの活性化を要望します。
 
要望3 コロナ対策について
要望の要旨

1. ワクチン接種の優先順位の見直しを行うこと
2. 社会活動の慎重な再起動を行うこと
要望理由
「ワクチン接種の優先順位の見直しを行うこと」について
 本要望書が提出される頃より年内には、12歳以上で希望する市民へのワクチン接種が一段落しているものと思います。本ワクチンで得た免疫が生涯続くのか、或いはインフルエンザワクチンのように毎年必要となるのか現段階では定かでありません。仮に後者であって、免疫効果が落ちる時期に追加の接種が必要となる時は社会全体への感染拡大を防止することに主眼を置き、以下の優先順位に見直すよう要望します。特に高齢者の感染については、施設や居宅の外部から出入りする者(介護関係者や同居の家族等)の持ち込みが主たる原因と考えていますことが今回の要望の理由です。
(要望する接種優先順位)
1 医療従事者、保育士、幼稚園職員、学童関係者、学校関係者、介護関係者、市職員等を始めとした市民の安全な生活の維持、また社会活動の維持に欠くことのできない職にある者。
2 基礎疾患を有するすべての年代。
3 経済活動を維持するため移動せざるを得ない18歳から65歳までの者。
4 その他の者。
「社会活動の慎重な再起動を行うこと」について
コロナ感染者数、重篤な患者数等の推移を慎重に鑑みつつ、以前の市民活動に徐々に戻れるよう「再起動」の準備を行う必要があると考えていますことが要望理由です。
 
要望4 木更津市子育て世代包括支援センターの充実について
要望の要旨
1. 木更津市子育て世代包括支援センター「きさらづネウボラ」による子育て世代の支援の充実を図ること
要望理由
 現在、核家族化の急激な進行と一人親家庭の増加により、子育てに悩む家庭が急増し、虐待の通告や相談が激増している現実があります。更に、コロナ禍による諸問題が増えている中、本市の調査によれば、通常学級に在籍し、多動性や衝動性があり、特別に支援が必要な子供たちが6%を超えており、30人の学級には2〜3人が在籍していることになります。このような子どもたち及び保護者を早期に支援することにより、将来的な学校不適応や不登校の解消につながるものと考えています。
 現在、本市では、かねてからの要望に応え、木更津市役所朝日庁舎(相談窓口)及び木更津市民総合福祉会館内(こどもの森)に、木更津市子育て世代包括支援センター「きさらづネウボラ」が開設され、福祉部健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、教育部学校教育課、まなび支援センターなどが連携し、子育て世代の保護者に対し、包括的な支援ができるようになったことは、大変すばらしいことです。特に、教育委員会との連携により、小学校教員が1名配置されたり、まなび支援センター幼児言語教室との連携により支援の一層の充実が図られていることは、全国的にも稀有で画期的な取り組みです。
 しかしながら、現在は、人的配置の人数や専門職の配置の面で、十分とは言えず、子育て世代の保護者からのニーズに、十分に応えられていない状況があることも事実です。そのため、今後、更なる相談ケースの増加、相談内容の多様化等に十分に対応するために、担当職員の増員と臨床心理士、言語聴覚士等の専門職の常勤職員としての配置を推進することが必要と考え、本要望を行います。
 
要望5 待機児童対策について
要望の要旨
1.保育士確保のため清和短期大学等、保育過程を履修している学生に対する奨学金制度(家賃補助を含む)を創設し全国に案内すること
2.企業主導型保育施設の整備に注力すること
要望理由
 長年にわたり木更津市の重要課題であった待機児童問題は令和4年度当初にいよいよ解消される見込みとなりました。主たる要因は新設される保育園の定員が想定された待機児童数を大幅に上回る見込みであることです。
 一方市立保育園においては定員に対し通園する児童数の充足率が低いことが顕著です。公共施設の有効活用という点に鑑みても保育士確保は引き続き重要な課題です。また近年の働き方改革の影響によるものなのか明らかではありませんが保育園の入園率は増加の一途です。定員増の一助として新規保育施設の整備を加速する必要があります。
1 清和短期大学等全国約185校余の保育士課程のある短大に木更津市の奨学金制度を創設し案内すること。なおこの制度には本市保育園で勤務し、かつ在住していただく場合には家賃補助を含むこととします。これにより定住人口増加、場合によっては将来本市において婚姻し、子育てをしてくださる効果も考えられます。
2 新規保育施設の整備に際しては公共施設の総量の適正化の観点により新たな市立保育園を整備しないこと。また近年優良企業の進出が想定されることから、近隣の保育施設を圧迫しないよう企業主導型保育施設の整備に注力すること。建物等に関しては統廃合の候補に上がる可能性のある学校等既設の市有財産を有効活用するよう、福祉部と教育部の連携を緊密にするよう要望します。
 
要望6 江川総合運動場の早期充実、改善について
要望の要旨
1.江川総合運動場内陸上競技施設の更なる充実及び野球場、サッカー場の早期整備、周辺道路、駐車場の整備を行うこと
要望理由
 2019年6月、本市の市政施行以来、永年の悲願であった陸上競技場が江川に完成しました。しかし、9月に本陸上競技場で行った木袖支部中学校陸上競技会から、大きな課題が見えてきました。市内の小中学校の陸上大会、記録会には、選手、役員、応援の保護者を併せて1000名程度が集まることが予想されることから、駐車場、トイレが不足することは間違いなく、現在の駐車場の収容台数やトイレの数では、円滑な大会運営は厳しいと思われます。実際に使用した関係者からも同様の声を多数聞いています。是非、早急に駐車場の拡張、トイレの増設をお願いしたいところではありますが、野球場、サッカー場の整備がすでに決定しているので、野球場、サッカー場の整備と併せて駐車場の拡張、トイレの増設にも総合的に取り組んでいただきたい。
 新型コロナウイルスの感染拡大により一年延期になった、東京オリンピック・パラリンピックのナイジェリア共和国事前キャンプにも使用し、小中学生との交流も小規模ではあるが実施することができ、好評を得たことは大変素晴らしいことでありました。そこで、江川総合運動場の更なる充実のためには、すでに建設が決定している野球場、サッカー場の早期整備の実現が望まれるところであり、また、ちばアクアラインマラソンやブルーベリーラン等でランニングへの関心が高まっている市民のニーズに応えるためにも、江川総合運動場周辺を活用した駅伝、ロードレース用のコース整備も必要であるので、併せて要望します。
 
要望7 都市計画道路の整備等について
要望の要旨
1 都市計画道路 中野畑沢線について
(1)貝渕工区に早期着手すること
(2)中央地域の道路改修を行い中野畑沢線の効果を高めること
2 都市計画道路 中里曽根線について
(1)線形を再考し通称平成通りをアクアライン連絡道の側道に連結すること
3 社会資本整備予算の拡充を図ること
要望理由
 都市計画道路中野畑沢線は、本市金田地区から中心市街地を通り畑沢地区を結ぶ、総延長12,700mの道路で、本市西部を南北に貫く主要幹線道路として位置づけられています。本路線の整備状況を見ますと、北部では中野工区の700mが県により事業化され、休日の交通渋滞の対策として着実な整備事業の進捗が望まれております。南部では木更津市が桜井工区の890mを整備し、用地買収・墳墓の移転・文化財調査等が進められています。現在、未着手は中央工区・新田工区・貝渕工区の1,562mと成っております。
 未着手区間のうち、貝渕工区の550mは桜井工区完成後に着手する予定と聞きますが、交通安全の面から桜井工区と同時開通して欲しいとの声があり、市において想定交通量調査が行なわれ、同時開通により交通量が減少するという結果が得られました。桜井工区が用地買収で進展が見られない中、貝渕工区の早期着手が望まれます。
 中央工区の215mにおいては、道路線形の見直し協議を早々に開始する一方で、既存道路を大型バスの通行が可能な構造に改修して、高速バスのルート変更で中野畑沢線全体の道路整備効果を十二分に生かすよう求めます。
 一方、都市計画道路中里曽根線は依然として未着工のままであり、袖ヶ浦市における 通称「平成通り」は本市境に於いて途切れたままであります。当該道路については線形の見直しを図り、早期に平成通りとアクアライン連絡道側道とを連結することを要望します。これにより木更津市の内陸部に袖ヶ浦市方面からの誘客を行い、本市市民も袖ヶ浦市方面に通勤することなど、市民の利便性が向上すると考えます。
 また、社会資本の老朽化により住民要望が最も多い項目が道路修繕や側溝修繕等です。その様な要望を効率よく処理する為に計画的適正な工事発注として一つの整備事業を拡大する事でコストの削減や工期の短縮と同時に職員の経験が増えることも図れます。市民ニーズの多様化や超高齢化少子化時代を迎えるにあたり財政状況の厳しい中、木更津市都市計画道路中野畑沢線早期整備延伸等に係る予算を十分に確保願い早期完成や開通、社会資本の長寿命化や職員の経験向上を確実に推進すること。
 
要望8 次世代への都市づくりについて
要望の要旨
1 持続可能な土地活用を進めること
2 新たな計画道路の開通を検討すること
要望理由
 今年4月「総務省統計局」から公表された「平成30年 住宅・土地統計調査 住宅数概数集計」結果の要約によりますと、全国の「空き家」の数は846万戸と、平成25年と比べ26万戸の増加となり、空き家率は13.6%と過去最高とのことでした。今後も「空き家」の数は、増えるものと予想されます。
 近年、多くの市町村においては「所有者不明」の「空き家」の対応について、とても苦慮しているものと聞いております。本市においても 今後、向かえる「人口減少」及び「相続等」により、所有者が特定出来ない「所有者不明」の「空き家」の数は増えるものと予想されます。
 人口が減少局面に転じると、都市の大きさは変わらずに、都市の内部に空き地や 空き家等の低未利用地が時間的・空間的にランダムに数多く発生し、多数の小さな穴を持つ スポンジのように都市の密度が低下する、いわゆる「都市のスポンジ化」が進行するといわれております。この「都市のスポンジ化」が進行すると、都市の密度の低下、生活利便性の低下、行政サービスの非効率化、治安・居住環境の悪化、地域コミュニティーの希薄化、まちの魅力の低下、賑わいの喪失などの「負のスパイラル」が生じ、加速度的に都市の衰退を招くおそれがあり、持続可能なまちづくりが難しくなります。
 本市におきましては、既に一定数の空き家が存在し、更に近い将来には人口減少が始まることが予測されておりますことから、「都市のスポンジ化」を防ぎ、持続可能なまちづくりを実現するための取組が不可欠と考えます。対応策と致しまして、不在者管理人や相続管理人制度の導入を早期導入や「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づく略式代執行等の検討を図ること。
 また、今後の既成市街地の再生にあたっては、整備が必要な地区を絞り込み、地区の課題に対応する小規模で柔軟な土地区画整理事業の実施を行うこと。
 一方、本市の賑わいや交通量の増加に伴う交通渋滞や諸課題に対し、新たな計画道路の開通を検討することもお願いいたします。
 
要望9 脱炭素都市への展開について
要望の要旨
1 自治体電力の導入を検討しバイオ産業や水素生産企業の誘致を進めること
2 山林の活性化と海洋中の植物生産を通じて産業振興と炭素固定を進めること
3 自動車利用の抑制のためコンパクトで自転車に優しいまちづくりを進めること
要望理由
 木更津市では2019年4月に「世界首長誓約/日本」に署名し、2020年3月に「きさらづストップ温暖化プラン」を策定して低炭素社会に向けた姿勢を示し、本年2月10日には渡辺市長が「ゼロカーボンシティ宣言」を行うなど方向性は数年前から明確に示していますが、その取組においては省エネや市民への啓発に留まっている現状です。道路照明を消費電力の少ないLED照明に変えるなどの取組は評価できますが、実質ゼロにする事からはほど遠く、小手先の改革ではない根本的な制度に取り組むべきと考えます。
 具体的には、市が電気事業を営んで収入を増やして福祉事業に宛てるとともに、地域から流出するエネルギー関連の歳出を地域で循環することや、分散する再生可能エネルギー活用で災害時にも安定した電力供給を目指すべきです。発電の手法としては太陽光だけでなく小櫃堰や矢那川ダムを活かした小規模水力発電、東京湾での洋上風力発電所も検討するべきであると考えます。発電以外でも森林資源を利用したバイオエタノールの生産、水素菌やミドリ虫等を使用した生物により二酸化炭素から資源を取り出すバイオ関連研究機関を誘致することは、DNA研究所を要する木更津市としては望ましい方向だと思います。更には脱炭素の切り札といわれる水素の生産を研究する拠点を目指し、将来的には鉄鉱石を水素で還元し銑鉄を創れる都市を世界に先駆けるべきであると思います。
 既存の産業でも林業は二酸化炭素の固定に有用ですが、本市においては森林資源の活用が成されてない状況です。房総半島の森林資源を活用するためCLTの産業化、木工製品の市場拡大を進めるべきと思います。海洋でも海苔やワカメのように炭素固定を行う食品生産を研究すべきと思いますし、アマモのように商品に成りにくい水生植物も魚類の生育のためも必要なので、東京湾の森林化は水産業全体にも良と考えます。海域藻場造成技術の研究を進めている日本製鐵等の企業との共同研究も望まれます。
 最後にエネルギー消費の少ないまちづくりを目指すことも重要です。徒歩生活圏を中心としたエリアで基本的な生活が完結する社会を進めればエネルギー消費量は減少します。その様な意味でもコンパクトシティを進めるよう開発行為の誘導を行うべきです。更には、通勤通学における自家用車の使用抑制と市民の健康増進も兼ねて、幹線道路に自転車通行帯を設けるなど自転車に優しいまちを作ることも脱炭素時代には必要な施策と考えます。人と環境に優しい木更津を創ることで脱炭素都市を展開することを願います。
 
要望10 教育施設の改善について
要望の要旨
1 小中学校並びに教育施設のトイレの洋式化率を改善すること
要望理由
 本市は、令和元年より多くの住民要望に応じ市内全小中学校に於いて、エアコン設置を終え木更津市立小中学校空調設備運用の指針を策定し、快適な教育施設の改善をはじめ日頃より教育環境の充実にむけて取り組んで頂いておりますこと感謝申し上げます。
 その様な中、残念ながら市内小中学校トイレの洋式化率が小学校72% 中学校60% 全体で68%となっております。文部科学省では、令和2年9月1日時点で公立小中学校における洋式トイレ率は57%と公表されております。本市では全国平均を上回っておりますが、しかしながら児童生徒や学校関係者からは未だに洋式化率の向上が望まれている現状であります。また、総務省統計局によりますと一般家庭の洋式トイレ保有率は89.6%と示されており、児童生徒の生活環境下では和式トイレへの使用頻度は激減している状況であり和式トイレの使用を経験する機会が減り和式トイレの使用を躊躇する児童生徒がいると言う現状が聞こえております。その様な中本市の児童生徒に於いてもトイレを使用する為に一時帰宅をすると言う事も報告されております。
 また、文部科学省に於いても令和時代の学校施設のスタンダードとして、洋式トイレ・乾式化やバリアフリー化等の推進を重点項目に挙げており、トイレ環境改善を目的に学校施設環境改善交付金を設立されております。一日も早く本市小中学校並びに教育施設のトイレの洋式化率の向上を図り教育施設の改善を強く要望致します。