新火葬場で考える
2022/11/17記
 私が昨年の6月から定点写真を撮影していた木更津市の新しい火葬場である「きみさらづ聖苑」の建物が完成し、昨日の14時から木更津市の議員向けに内覧会が開催された。
 新しい火葬場はかずさ四市の利用を前提としているため既設の施設より遙かに大規模なものとなる。木更津市は基本設計を示してプロポーザル方式で業務を発注したので、施設の設計施工は運営会社の「かずさまごころサービス株式会社」が木更津市の承認を得て行ったものである。図面は委員会の中で見ていたが実際の施設がどの様になっているのか、技術者として気になっていた。
 
 当時は初冬の爽やかに晴れた日で近くの緑が日射しを受けて輝き、それだけで素晴らしさを倍増にする効果があったことを割り引いても、とても綺麗で配慮された施設が建設されていた。
 ともあれ当日撮影した写真を列挙する。
 
 炉の数は10だが告別・収骨室は2炉に対して1室で配置されているが隣の炉を意識させないような仕組みづくりもされている。待合室も10室用意されているが、そのうちの2室は事故等で同時に親族2人以上を送り出すことも想定し一室で利用できる配慮がされ、他にも広い待合いホールや葬儀場を利用しない小規模な家族葬に対応できるようお別れ室も2部屋用意されていた。火葬までのご遺体を収容できる霊安室も2室(収容6体)や遠方から来られる宗教者の控室も設けられ、駐車場の一角には電気自動車用充電スタンドも置かれるなど、様々な用途に配慮した設計であることは理解した。
 個人的な懸念はモスリムを含めた多くの宗教への対応は特に考慮されていないことと、12月1日の運営開始の段階では現在の火葬場が解体され駐車場として整備される状況ではないため、当面の間は駐車場不足に成ることである。他の議員からも国道127号線からの案内標識が少なく、市外の利用者には解りにくいだろうという指摘がされていたし、供用後に最寄りの箇所で道路拡張工事が始まるなど、万全な状況で運用が始まるわけではない。
 火葬の予約は2週間前から受け付けるので、既にその期間となっている。最初に利用される方がどなたになるのかは解らないが、大きな混乱もなく開始されることを願っている。
 
 きみさらづ聖苑は四市の利用を前提にしているが、木更津市が設置して指定管理者に任せ、他の三市は木更津市に業務を委託するという形式である。
 総務省のHPによると広域連携には
@ 連携協約
A 協議会
B 機関等の共同設置
C 事務の委託
D 事務の代替執行
E 一部事務組合
F 広域連合
 という方法があり、EとFについては特別地方公共団体を総務大臣または県知事の許可を得て設立する必要がある。
 木更津市に於いては、水道がかずさ四市と千葉県による「かずさ水道広域連合」を組織し、後期高齢者医療保険に関しては県内全市町村による「千葉県後期高齢者医療広域連合」を設けているので双方ともFの区分である。
 夜間救急医療や児童発達支援センターきみつ愛児園などが多くの事務を広域的に処理する機関としては「君津郡市市町村圏事務組合」があり、他にも君津中央病院はかずさ四市による一部事務組合方式で設置された「君津中央病院企業団」で運営されており、双方ともEの区分である。
 これらの機関は特別地方公共団体なので個別に職員採用がなされるとともに運営を管理するため議会が設置され、木更津市議会から議員派遣がなされている。
 
 現在木更津市に置かれている「かずさクリーンシステム」や今後かずさ四市と鴨川市・南房総市・鋸南町による広域的ゴミ処理の枠組みは「広域廃棄物処理事業協議会」を設置することで特別目的会社である(株)上総安房クリーンシステムに委託する形態をとるのでAの区分となる。
 今回の火葬場は前に述べたように木更津市に対して他三市が事務を委託するのでCの区分である。これらについては広域議会が設置されず、議会としては各市の予算の承認行為として意思を表明するか行政を通じて間接的に意見を伝える形になる。
 火葬場で生じた不備を他市の住民からどの様に吸い上げ、それをどの様に反映していくのか、それも今後の課題だと考えながら内覧会を終えた感想としたい。