市庁舎を質問する
2023/06/28記
 駅前庁舎を叶V昭和が建設する計画が白紙になったことについては先月末に記載したが、それから一ヶ月が経過して本日の本会議終了後に全員協議会が開催され、今後の方針が示された。
 今回の特別委員会までの情報提供と質疑の流れを個人的に整理すると下記の通りである。
 
 6月21日 市庁舎整備の今後の方針資料が各議員へ配付
 6月22日 委員会での質疑を通告(締切は23日)
 6月26日 市庁舎整備に関する市場調査資料が各議員へ配布
 6月28日 特別委員会の開催
 
 この様な日程であるので通告したことは21日に発表があった内容に対してであり、市場調査に関する質疑は通告無く行われることとなった。私は資料を見た翌日、締切の前日に通告したので6人の質問者(近藤・田中・堀切・斉藤高・永原・鈴木)で最も早い質問権を得て、報道陣が見守る中、最初に質疑を行った。
 質問と答弁の概要は下記の通りである。 
 
Q1.分庁とする方針は維持するとありますが、堅持するとういう意味ではないと考えて良いのでしょうか。つまり、事業手法の検討結果や費用の検討結果によっては「分庁とする方針」を変更すべきではないでしょうか
 
A1.市庁舎を木更津駅周辺及び朝日庁舎周辺に整備することにつきましては、令和2年6月に策定いたしました庁舎整備基本構想及び基本計画(改訂版)に基づき、中心市街地の活性化や市民の利便性を考慮し、2か所に分庁とする方針でございます。
 
Q2.「方針」だということは理解しています。質問は後世に過大な負担を残すことや行政サービスの明確な低下を招くことが想定される事態に至っても分庁とするのか、という趣旨で聞いています。状況が変わっているので「分庁とする方針」を冷静に判断する、何らかの基準が必要だと思いますが、どうでしょうか
 
A2.駅周辺庁舎の整備につきましては、前の事業候補者の提案による事業化には至らなかったため、事業化に至らなかった課題を整理し、再検討しているもので、分庁すること自体に課題があったとは考えておりませんが、議員ご指摘のとおり、分庁することによって、過大な支出を生み、他の行政サービスが低下することのないよう、十分に配慮してまいります。
 

Q3.朝日庁舎は9月定例会初日に基本契約を締結する予定であると示されていますが、その基本契約の内容は分庁を前提としており、仮に駅前庁舎で検討している機能の一部または全部を統合することは不可能な契約となるのでしょうか
 
A3.朝日庁舎周辺庁舎に駅周辺庁舎に導入を検討していた機能の全部を統合することは、駅から離れたアクセス面を考慮すると、職員の駐車場を確保することが困難であることや整備プランの大幅な変更が必要となり現在までの条件交渉が白紙となることから、困難であると考えております。また、駅周辺庁舎の機能の一部を統合することは、現在の整備プランから軽微な変更でとどまるようであれば、事業候補者との今後の協議次第では可能となる可能性もございますが、現在の整備プランにおいては、朝日庁舎周辺庁舎に移転が可能となる面積的な余裕はないものでございます。
 
Q4.整備プランの大幅な変更が必要であることや面積的な余裕が無いという答弁ですが、既に朝日庁舎については構造計算等が終了して設計の手戻りが難しい状況にあるという理解でよいのでしょうか。基本設計の段階で有れば容易だとは言いませんけれど、変更も可能だと思いますが、どうでしょうか
 
A4.構造計算が終了している状況ではございませんが、条件面の交渉の中で事業候補者が、ゼネコンから建設費に係る見積りを徴取し、建設費の見込み額を算出した上で、賃料等の協議をしております。整備プランに大幅な変更が生じますと、条件面での交渉における前提となる建設費の見込み額に変動が生じるため、現在までの条件交渉が白紙となるものでございます。
 
Q5.駅前庁舎は事業手法を含めた検討を行うようですが、その中の「民間事業者が整備」の中には令和3年9月24日の協議会で示され駐車場台数が要求水準を満たしていなかった案件である フージャースコーポレーションも再度俎上に上ると考えて良いのでしょうか
 
A5.駅周辺庁舎の整備に必要となる駐車場台数につきましては、改めて検証を行い、市民交流スペースを含む市庁舎に訪れる方のみの駐車場を確保したいと考えているところでございます。このことから、ご質問のあった事業者についても、俎上に上がる可能性はございます。
 
Q6.後から送られてきた資料によると、前回の事業者募集の際には求めていた要求水準を満たさないものを整備することに成りそうな状況なので、前回満たさなくて失格となった業者や、前回提案まで至ることが出来なかった多くの業者にも、新たな条件の下で公平に協力が得られるのか調べていただけるようお願いします。駅前庁舎の総合費用については精査に時間を要しているという記載がありましたが、具体的にはいつ頃に示される見込みでしょうか
 
A6.7月下旬を目途に総合費用の精査を完了させたいと考えており、その後、速やかに市議会にお示ししたいと考えております。
 
Q7.朝日庁舎周辺庁舎の費用比較資料で建設の場合に計上されている「解体費 4億9738万円」は何を撤去する費用でしょうか
 
A7.市が単独で庁舎棟を建設するとした場合の「解体費」につきましては、新たに建設した庁舎棟を50年後に解体するものと想定し、更地に戻す費用を見込んでいるものでございます。
 
Q8.賃借の場合に計上されている「初期費用 7億0611万円」は16年後以降には必要なくなると思われます。16年目以降の賃料等が上昇しない場合は年額4,707万円少なくなると考えて良いのでしょうか
 
A8.賃料等が上昇しない場合、16年目以降は減少するものでございます。
 
Q9.単独で建設した場合は更地に戻すまで50年で、賃借の場合は15年というスパンなので、適切な比較をしていないという観点で私は確認しています。長期になるほど初期投資の負担を一年あたりに戻した額が減少するので、より安くなると判断されます。賃貸の場合は15年後に賃料の見直しが行われますが、一方で賃貸面積の見直しも可能であり、人口減少やAIの発達で市役所機構が縮小する可能性を考えると、将来的な行政負担を抑える可能性が高いと、私は理解していますので、その点で賃貸は評価しています。その一方で、駅前が賃貸ではなく自前の可能性があるということには疑問を感じています。この点については事業手法を検討しているということですので、市民や我々議会に充分な説明が出来るよう整理して下さい。敷地検討の資料の中で駅前庁舎の整備にあたり叶V昭和が事前に購入した土地や協力を確約してくれた土地は、今回駅前での整備にあたり買収交渉の対象とするべきと思いますが、その考えは有りませんか
 
A9.事業用地としては、木更津駅前西口駐車場の敷地を基本とし、周辺の協力いただける土地についても活用したいと考えておりますことから、前回の事業候補者が調整した土地につきまして、用地の確保に向け交渉していきたいと考えております。
 
Q10.駅前で庁舎を建設することが決まり、用地交渉に時間を要しないので有れば、現在の西口立体駐車場の用地だけという制約で、窮屈な設計になることが少しは回避できそうなので安堵します。事業手法の資料の中で3方式の比較がされていますが総合的な評価がされておらず、そもそも採用が可能なのか疑問が有る制度も俎上に登っていると考えます。事業選定委員会などの外部機関の評価も必要だと思いますが、何処かのアドバイスを得ているのでしょうか
 
A10.事業手法の検討にあたりましては、専門の事業者にヒアリングを実施しております。また、今後、市場性や実現性の有無について、サウンディング調査を実施する予定しているところでございます。サウンディング調査の詳細につきましては、このあとの議題2でご説明いたします。
 
Q11.後に説明があるということなのでここでは再質問はしませんが、本来で有れば当初資料に加えて、充分な質問の機会を与えていただけるよう、次回以降の委員会運営ではご配慮下さい。最後に全般的な質問ですが、庁舎整備に関する費用に関して分庁を取りやめて朝日に集約した場合と分庁の場合を比較し、市の財政に与える影響を判断すべきと考えます。議会としても市民に対してどの程度のコストを伴う決定なのか説明する必要を強く感じますが、そのような比較資料は示されないのでしょうか
 
A11.朝日周辺庁舎に全ての機能を集約することは、整備プランの大幅な変更を伴うことから、現時点で事業候補者と条件面での交渉が完了している賃料等にも大きな変更が生じるものと考えております。賃料等の算出には、建築する建物の事業費の算出など、事業候補者に多大な負担が生じることとなりますことから、比較資料を作成することは困難であると考えております。
 
Q12.分庁の方針が変わらない場合には朝日の事業候補者に積算作業などの負荷を掛けるだけだということは理解しますが、分庁で期待する経済効果を凌駕するほどの金額差が生じる場合は、分庁を見直し、その差額で生じた財源を市民へ還元することが正しい選択だと思います。この件に関し、朝日の事業者から費用算定を拒絶されたということなのでしょうか
 
A12.現在のところ、事業候補者へ積算作業は依頼しておりませんが、分庁とすることによって、過大な支出が生じ、結果として他の行政サービスの低下を招くことがないよう配慮してまいりますのでご理解願います。
 
Q13.先ほどの答弁で、分庁を解消することには職員の駐車場の確保やプランの大幅な見直しが必要なので、現在の「分庁とする方針」を維持することが繰り返し答えられています。しかしながら駅前庁舎がどの様な事業形態に成るのか不明確な中で、当然行政サービスの低下を招く判断はしないと思いますが、検証作業としてはコスト比較が必要で、それを開示すべきだと考えます。分庁を前提とした朝日の契約が行われたことで駅前にも庁舎が必要なことが前提となり、追い込まれるように経費を度外視した事業になってしまうのではないかと危惧していますので駅前の事業方針の選定に併せ、資料をまとめていただくことを要望します。
 
 質疑は概ね15分間とされていたので最後のQ13は時間が無くなり要望で終えたが、読んでいただければ解るように、私が注視していることは、@分庁による顕著なコストアップは市民サービスの低下に繋がるのでその様な事態が懸念されたら分庁を見直すこと、A朝日で契約する事により駅前庁舎の整備が必然となり足元を見られて高額の事業費を負わないこと、B分庁した場合と朝日に集約した場合の事業費を比較し許容できる範囲であることを示すこと、の3点である。
 特に今まで駅前庁舎の検討に費やした時間や労力を無駄にしないため、みなと口の人々からの要望に応えるためと引き際を見失い、ずるずると終戦のタイミングを見つけることが出来ず被害を拡大した大日本帝国のような末路を歩まないよう、撤退が必要な場合には断固たる決断をして欲しいと願っている。既にみなと口にはパークベイプロジェクトやまちなか居住マンション補助が展開され、今後も富士見通りの再整備などが行われるように充分に尽くしている事は多くの市民が知っているので、駅前から庁舎が無くなる日が来ても、それまでよくやったと私は褒めたいと思うのだ。
 
 駅前庁舎の市場庁舎に関しては田中・石井・近藤・斉藤高の4人が質疑をしたが、私からは出来る限り多くの業者が提案することで競争原理を働かせることと、良い提案を待つために余裕のある日程を検討すること、そして結果を委員会で報告して質疑を受け付けることを強調した。
 8月24日の本会議で朝日庁舎に関する契約を結ぶ予定のようだが全体像が見えない中で議会に白紙委任を要求しないよう、7月中旬、8月上旬頃に委員会を開催し、日々目まぐるしく変わり行く状況を報告していただき、共通認識を得るようにしたいと願う。
 
 本日の委員会を終えてその様なことを考えている。