開発行為を調べる
2023/07/08記
 昨年12月議会で宅地開発戸数を調べ、調整区域での開発が進んでいることに対する道路や排水といったインフラの対応が調整区域では一部地元負担となることの問題点を指摘した。その時点では令和4年度は10月26日許可分までで、それ以降も増加が予想されていたのだが既に異常値であったので年度途中の値を使用したのだ。そのグラフが下図である。
 
 
 前年の133宅地を上回る181宅地の許可が出され、長須賀や西山では田畑が次々と埋め立てられ住宅地に変わっていった。今回昨年度の最終値を確認したところ次のようになった。
 
 
 最終的には250宅地まで達し、前年比88.0%の増加である。議会質問後に金田地区で35宅地、岩根西地区で30宅地、岩根東地区で4宅地の合計69宅地が認可されたのである。市街化を原則として抑制する地域に年間で250棟の家が建つ宅地が供給される異常事態は、今までの原則地元負担を急いで見なさねば成るまい。
 なお、私が議会で提案したように小学校の児童数減少に悩む東清川地区での申請は行われなかったようである。因みに令和5年度になってからは吾妻・長須賀・岩根東西だけで許可されており、その合計はまだ16宅地に留まっている。新年度に変わって3ヶ月間は控えめに推移しているが、これから夏に向け今後の申請地区や増加数が気になるところである。
 
 また、今月の4日に万石地区において父の名義で所有する老朽化した貸家の道路を挟んだ北側にある2筆約2千u(現況畑)の開発行為に伴う境界立会があった。父の代理で私が同席して、行為を行うD社の設計士に何が出来る予定か聞いたところ、4棟の共同住宅で合計24戸を予定しているということであった。
 宅地開発も人口に与える影響が大きいが、共同住宅の建設も気にすべき点である。同様に2013年からの開発許可件数を調べると下表のようであった(市街化区域・調整区域の双方を含む)。
  
2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022
12 13 15 11 7 6 3 5 14 12 98
 
 許可件数としたのは、一部に戸数が明確でない書類があり集計が出来なかった為である。今回の立会の事案のように一筆に複数の共同住宅が建設される事例もあり、申請1件あたりの平均戸数を求めることも難しいが、仮に10戸程度としても10年間に980戸の供給が行われたことになる。木更津市の保有する市営住宅の管理戸数は令和4年度市政概要によると廃止が決まった岩根団地の28戸を含み403戸なので、その倍以上が供給されたことになる。ちなみに県営住宅は本市に247戸が有るようだ。
 市内にはこれ以前の築年数が10年を越える民間が所有する共同住宅(アパート・貸家)は多く存在しており、新たな物件の供給過多は古い物件の値崩れを生じさせるので、物件所有者にとっては収入の減少という厳しい局面となるが所得の少ない者も住宅を求めることが他市に比べると容易な都市になっていると思われる。
 祇園団地が解体され、久津間団地や岩根団地も解体に向けて計画が立てられる頃だと思うが、公共建築物を準備する住宅政策の必要性も考えなければ成らず、家賃補助という福祉施策で生活を支えるとともに、民間のアパート等の維持も支えるべでだろう。
 
 状況に合わせて変わることが出きるものが生き残れるとは進化生物学でよく聞く話であるが、都市も変化することは仕方がないと思うし、それを上手く地域の力に変え、問題の発生を事前に抑えることが重要だと思う。
 それにしてもこの様な集計を取るのに未だにファイルを閲覧し紙データを読み解かねばならないと言うのは時代錯誤も甚だしい。担当課に聞くと予算査定を通過できなかったようであるが、その様な環境こそ変わってほしいものだと思いながら今回の記載を終える。