公費解体を考える | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2024/06/14記 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
先月の11日の夜に木更津を出発し、翌12日に辿り着いた能登半島では多くの家屋が倒壊したままで、大規模な火災が有った朝市周辺ですら片付けが進んでいないことを5月14日付の最近思う事で報告させていただいたが、その後は公費解体が進んでいないことに危機感を持った環境省により5月28日に申請手続き等の円滑な実施を進める手続きが示されたことを6月3日に開催された災害ボランティア議員連盟定期総会後の研修会で学んだ。 現地を見て遅さに憤慨してきたものとして対応策を簡単に整理しようと思っていたのであるが、その翌日から木更津市議会も一般質問に突入し、その後は昨日まで常任委員会による議案審査が続いていたので遅くなり、タイムリーではなくなってきたが整理することとした。 まず、どの公費解体が如何に遅れていていたのか5月26日時点の環境省の資料を引用し、私が求めた進捗率を加筆したものが下表である。 |
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※推計数は石川県災害廃棄物処理実行計画(2月29日)の値 ※申請数には書類が揃っていないものも含まれる可能性有り ※実施数には完了数を含む B/Aで輪島市が121.7%に達しているのは廃棄物処理実行計画を作成する段階で現地調査が不十分で推計が甘かったものと思われる。この値は私が現地に行った2週間後の値であるが、それでも申請されたものの2.2%が終わっているだけという事を考えると私が目にした風景は申請した建物の98%が終わっていない(95%は着手すらしていない)状況であり、何も変わっていないと感じることは当然であったことが解る。 申請も推計値の69.4%で留まっている理由として、相続手続きが行われていないなどの理由で家屋等が複数人で共有されている場合は原則として関係者全員から同意を得て申請することになっているが、世代が進むと連絡が取れない関係者も増え現実的には同意の取得が困難な状況が多いことを示していた。 そこで国は建物の倒壊や流出、全焼等で「建物性が認められない場合」、法務局の登記官の職権で建物の滅失登記を行い、それにより市町村の判断により災害廃棄物として公費解体・撤去が行えるようになるというものだ。ただし、主な所有者から申請を受け付け思い出の品を持ち出すなどの対応を終えた後で行うように運用するようだ。 更に滅失登記が行われていなくても明らかに建物性が失われているものも同様の扱いとして構わないと踏み込んでいる。 また建物性が失われていない傾いただけの家屋等でも、所有権に関する紛争が発生しても申請者の責任において解決する旨の書面(いわゆる「宣誓書」)を活用して公費解体を行って差し支えないとしている。ただし実際に共同使用がされていた様な場合で紛争が予見できる場合は「宣誓書」が出されても進めないよう、異議が出る可能性が少ないと考えられる場合に限るとされている。 以上は能登半島での対応の遅れに対して指導されている内容であるが、所有者が複数いて撤去に進めず、火災後に廃墟となって長期間が過ぎている建物も岩根地区内にある。更に今後は高度成長期に造成された新市街地で所有者不明空き家が増えてくるものと思う。この様な対応を一般化することが求められてくるだろう。 また実際に申請書が出されながら5.3%しか実施されていないのは解体業者の数が圧倒的に少ないという状況を前提に平均600班が対応できる体制を解体協会の協力で確保し、業者の宿泊施設として仮設の宿泊施設も含め1600名分を確保するとしている。 ここまでおよそ5ヶ月を要したことになるが、秋までに加速しないと北陸には雪が来る。また思い出の品を持ち出して片づける作業には多くのボランティアが必要だと思うし、解体作業前に周辺に散乱した瓦等を分別・運搬するボランティアがいるとより加速されると思うが、その様な体制造りは遅れている。 今月25日に災害ボランティア議員連盟の千葉県支部総会が白井市役所で行われる。そこでは今年度の研修として能登支援を実施する提案が行われる予定である。年内にもう一度能登に足を運び、確かに加速されているか確認したいと思いながら今回の記事を記載した。 |