予算審査の中から
2025/03/15記
 前回も書いたが私は今回で10回目の予算審査特別委員会の委員を務めることに成った。今回は単に前年度との比較や事業の意味だけでなく「施政方針との整合」「決算審査との比較」「事業の合理性の検証」といったテーマも交えて「弾」を作成した。
 合理性を検証するため幾つかの課には事前通告して資料を作成してもらった。その資料だけで一般質問のテーマに成りそうな内容も多く、個人的には毎日一般質問を続けているようなテンションで予算審査を続けている。委員に選出された吉田・吾津・藤田といった新人議員だけでなく傍聴している新人議員にも勉強になるように審議を続けている。
 例えば中野畑沢線桜井工区の残る4筆の用地について「土地収用法の適用は検討していないか」と聞いたものを直ぐにネットで調べ凄い法律があると知ったと言われた。公共事業を計画していたものには常識的な話であるが一般にはマイナーな法律であり、特に千葉県は成田闘争の傷が深いので適用が慎重で、特に市町村での適用を嫌がる傾向もあって知る機会が少なくても仕方ないだろう。私も新人議員の頃に先輩議員から視野を広げてもらったように私が皆の視野を広げていこうと考えている。
 
 さて、その様に作ってもらった資料を引用して私の質問を2つほど記載してみたい。先ずは生活路線バス維持対策費補助交付路線の補助額と昇降者数のデータである。補助額・人数ともに令和5年10月から令和6年9月の値で提示していただいたものを加工したのが下表である。
No 系統名 補助金 輸送人員 単価 備考
1 馬来田線 12,862,670 43,395 296.4 国県補助対象
2 三島線 6,270,315 32,269 194.3
3 畑沢線 11,423,892 47,506 240.5
4 鎌足線 10,208,566 55,638 183.5
5 鴨川線 3,245,664 33,141 97.9
6 高倉線 3,666,015 5,712 641.8 市単独補助
7 市内循環線 1,809,776 6,808 265.8
8 八幡台線 4,183,373 247,942 16.9
9 太田循環線 2,272,596 239,491 9.5
10 中郷線 8,632,416 2,352 3,670.2 廃止代替
合計 64,575,283 714,254 90.4
 複数の自治体にまたがる路線は国や県の補助も受けられるので市の負担は相対的に少なくなるがそれでも補助金の総額が多い路線が並ぶ。市単独補助路線については再編や廃止を続けてきて補助額は比較的少ない路線が残っている。
 補助金を輸送人員で除したものを単価として計算してみたところ上表に示すように運行会社が路線を廃止して木更津市が全額負担で運行してもらっている中郷線が突出して高額になっている事が解るだろう。補助額としては4番目に多い路線なのだが、何より輸送人員が八幡台線の1%にも満たない状況が問題である。
 人員が少ないのは人口が少ない区間を運行していることもあるが集落が分散する中で近くにバス停が無いことや運行本数が少なすぎて利用できないといった課題もあるだろう。
 その様な状況の中で袖ケ浦市が「チョイソコがうら」の実証実験を昨年10月から全市に拡大し、中郷地区の境界まで運行が始まった。拡大により車が手配できにくくなったといった状況には有るようだが、平日で上下7本、土日は僅か4本の路線バスより遥かに便利な交通機関が東端や北端まで来ている状況を思うと、小櫃川以北の中郷地区はバスを廃止して袖ケ浦市に負担金を払ってチョイソコがうらのサービスエリアに加えてもらうことも検討するべきでは、といった質問なのである。
 負担金が現在の補助金である863万円以内なら市にもメリットがあるし住民も木更津駅ではなく袖ケ浦駅に行くことになるにしろ利便性は高くなるのではと考えての提案である。
 もちろん袖ケ浦市が実証実験をしている段階では区域の拡大など出来ないことは承知しているし、市が協議していないことも知っている。予算委員会での質疑の幅は自由だという事例である。
 
 もう一つの資料は旧来の用途を終えて未利用となった木更津市の普通財産のうち建築物が残っているものの一覧である。
No 旧用途 所在地 建物面積 土地面積 用途地域
1 市営住宅 祇園2丁目 237.00 405.63 1低専
2 市営住宅 岩根4丁目 808.50 1,190.07 1種住居
3 金田公民館 中島1丁目 526.09 722.48 1種住居
4 祇園保育園 祇園 308.61 1,100.82 1種住居
5 UR事務所 潮見7丁目 832.32 2,250.39 準工
合計 2,712.52 5,669.39
 これは[10款5項25目]の公共施設解体事業費の予算が無いことについての質問で、上記の土地は解体費が捻出できないために草刈や清掃などの管理が必要な土地である。
 所有し続けることで不法投棄や火災などのリスクが発生するし、売却すれば売却益だけでなく固定資産税も入ってくるし、誰かが住めば人口増や地域活性化にもつながるので売却を進めるべきだというのが持論である。
 現に昨年の12月に旧岩根団地の建築物が残ったまま土地を売却することが出来たのだから、これらの物件も建築物が残ったまま公売に掛け、売れなかったら建物を撤去して更地にすれば良いのでは、という考え方である。5番目の準工(準工業地域)の土地など木更津市で事業用の敷地を探している業者に直ぐ売れると思うので単に執行部に聞いたというだけでなく、7年度中に取り組んでほしいと願っているものである。売れたら補正予算で報告すればよいだけの事である。
 なお、これは予算に無くなった費目についても質疑が出来るという事例である。
 
 この様な変化球も交えて3日間も戦うとそれなりに疲れるもので、ここに週末が入るという日程も間があく感覚は否めないがリフレッシュにはなる。明日は知事選で明後日が予算審査の最終日である。もうひと頑張りしようと思いながら、こんな事を書いている。