01.1月上旬の活動記録
 1日は1朝から膨大な新聞に目を通した後、初詣に出かける。江川の熊野神社に詣で、次いで坂戸神社の初詣と2箇所を回り、帰り道で恒例の定点観測の写真を撮影するために市内を回る。自宅で着替えてから年始の挨拶に出かけ、その後に仲間内で新年早々に開いている居酒屋に立ち寄り、ほろ酔いで帰宅した。
 
 2日は年賀状への返信を作成する。公職選挙法で選挙区内には自筆による返信以外が禁じられているので、市内でお世話に成った方々に対し送ることが出来ず、先方からのハガキが到着する事を待ってからの作業となる。その後は正月番組などを見てのんびりと過ごした。
 
 3日は会派報の配布日だが、個人的には特に反応がないままでお昼を迎える。初売りに出かけて昼食をとった後、議会質問用の写真を撮影しに羽鳥野に向かう。3丁目には家が建ち並び、5丁目の造成が進んでいる状況を見るにつけ、八幡台中学校用地を民間活用させない事が勿体なく思える。帰宅してHPの更新作業に取りかかるが、活動記録のフレーム替えなどの作業があり、完了は翌日に持ち越しになった。
 
 4日は朝から正月メールの整理やHPの作成を行っている内にお昼となる。本日は仕事始めであるが登庁せず、午後からは後援会報の作成に取りかかるが終日机に向かっているのは性に合わない。夕方に仕事から帰ってくる妹と母を連れマザー牧場のイルミネーションを見に出かけた。
 
 5日も朝から後援会報の作成を行う。準備を昨年中にしてきたつもりであるが、改めて1年間をA4の表裏にまとめることの苦悩を味わう。作成後は後援会長宅へ原案を届けて指摘を受けるようにする。夜は千葉に出て友人と新年のお祝いを交換してきた。
 
 6日は昨年の強風で外していた個人看板の再設置を行い、旧年中に課題となっていた場所の対応を見回って帰宅。午後からは愛犬を連れ、近所を長い散歩に出かける。江川運動公園を通ると遊具が点検で使用禁止になっている。子どもたちの冬休みに酷なことをしているものだと思いながら帰ってきた。
 
 7日は商工会議所主催の新年賀詞交歓会に出席する。今年より会員企業の中から、経営改革分野で3社、環境改善分野で1社、地域貢献分野で3社の合計7社の表彰が冒頭に行われた。良い取り組みを行っている会社を皆に披露することは素晴らしい取り組みである。実質の公式行事の開始で挨拶を交わして回る。
 終了後に市役所に行き、会派室で視察の調整を行った後、午後から都市整備部や総務部等で打合せを行い帰宅した。
 
 8日は視察の荷物をまとめた後、市役所に行き環境部や企画部で情報収集を行ってくる。前日の賀詞交歓会で市長から築地地区のイオンについて進出の方向と話があったが、今年の夏頃に工事に入り翌年の夏頃に開業になりそうだ(確定情報ではない)。金田に続き市の南部でも大きな動きが起きることは、木更津の将来性を対外的に発信することになるので望ましい話である。この夜は翌日から視察であるにもかかわらず、知人と新年会を開催した。
 
 9日より会派の行政視察である。前夜の酒が少し残っている中、朝9時に木更津駅に集まり特急から新幹線を乗り継ぎ長野県上田市に到着。刀屋という蕎麦屋で山のような信州蕎麦を食べてから上田市役所まで歩き、行政視察を開始した。
1.長野県上田市
 市制施行 平成18年3月6日(旧上田市:大正8年5月1日)
 人口 158,693人(平成24年4月1日現在)
 面積 552.00km2
 平成24年度一般会計決算額 655億58百万円
 財政力指数 0.65 (平成21年度)
 視察項目@ 『地域内分権』について
 上田市は平成18年3年日に旧上田市と丸子町・真田町・武石村が対等合併して新設された都市で、合併協議の段階から地域の意見をどの様に採り入れるのかが課題であった。そこで「地域の個性や特性が生かされ地域力が発揮されるまちづくり」として小さな単位の特性を生かしたまちづくりを目指すこととなり、平成23年度より執行される自治基本条例の第5章として「地域コミュニティ」の役割・参加・支援を明確にするとともに、実際の行政運営では旧上田市を郊外の3地区と中央に分け、人口の多い中央をさらに3地域に区分し、合併した旧3町村と合わせて9箇所で地域協議会を運営している。ちなみに市役所は上田の中央地域3箇所の協議会の「地域自治センター」を兼ねている。
 この地域内分権の推進手段として4段階(ステージ)を設定し、平成24年度から最終段階に入っている。具体的には「住民自治組織の設立」「地域担当職員の配置」「地域予算の確立」を行おうとするものであるが、具体的に地域が担う事務の範囲は決まってないようだ。
 地域担当職員は、各部署の職員が兼務として行うことで人件費を抑制しているが、地域分権を行うことによる行政のスリム化は現在の所、難しそうである。自治の単位も行政が設定している7地区に限るという事ではなく、より小さい単位を地域が選択した場合はそうするという事である。市内で240も有る自治会と住民自治組織の関係、支所が地域自治センターを兼ねている旧3町村と旧上田市内の事務組織体制の整理、さらには住民組織における決定可能な事務範囲等、解決すべき問題は多いが、大きくなった自治体に地域の意見を届ける場として、人口規模があまり変わらない本市でも検討すべき課題と考えた。
 
 視察項目A 『広域連合』について
 住民に身近なことは小さな単位で決める一方、行政事務は効率化を目指して広域的に処理しようと言うものが「広域連合」であり、木更津市が採用している事務組合に比べ@広域行政に柔軟かつ迅速に対応できる組織と予算と権限がある。A国や県からの事務移譲を直接受けられる。B広域計画を立案する仮定で市町村と調節を行うとともに自治体へ勧告を行える。C広域連合には住民が直接請求を行えるし当て職でない民主的議会が設置されるので運営が民主的である。と言ったメリットがある。
 長野県には県の主導により全県で行う介護保険以外に10の広域連合が存在しており、全ての自治体がその何れかに所属して事務を行っている。今回視察する上田広域連合は、旧上田市と丸子町・真田町・武石村が合併して新設された上田市・東部町と北御牧村が合併した東御市・青木村・長和町・坂城町の2市2町1村で構成され、圏域人口は約22万人である。特徴としては、長野県下で最初に設置された事と、他に比べ下表のように広範囲な事務を共同運用している事である。
No 事務の概要 対象施設
1 ふるさと市町村圏計画の策定と連絡調整
2 市町村圏計画において広域連合が行う事務
3 広域幹線道路網計画の策定と連絡調整
4 土地利用計画の調整
5 広域的観光振興
6 広域的保健福祉・ゴミ処理等の調査研究
7 消防(消防団は除く) 本部及び8消防署
8 上田創造館の管理運営 文化ホール・美術館等
9 図書館情報ネットワークの整備運営 公立図書館等12施設
10 地域情報化
11 自治体職員の人材育成
12 介護認定調査・介護認定審査会の設置運営
13 介護相談員の設置運営
14 障害者自立支援審査会の設置運営
15 病院群輪番制病院の補助事業
16 屎尿処理施設の管理運営 清浄園
17 ゴミ処理広域処理計画に基づく事務
18 ゴミ焼却場(3施設)の管理運営 上田・丸子・東部クリーンセンター
19 斎場(2施設)の管理運営 大星・依田窪斎場
20 火薬や石油施設等の許認可(県条例で指定)
 組織については上記No.7の消防で長野と事務を行う坂城町を除く全ての消防職員が平成22年に各自治体を退職して広域連合職員となったことで大きくなり、平成24年4月1日現在で236人(うち消防193人・斎場と屎尿処理とクリーンセンターで18人)の職員数である。予算は平成24年度当初で約42億円であり、その内消防職員の人件費が約20億円を占めている。一部の事務においては坂城町が長野広域連合にも重複加盟するように上田広域で全てを行うわけではないなど、複雑な部分がある。
 広域連合議会は上田市が13人、東御市が4人、3町村が各2人の合計23人で構成され、2月と5月と10月に定例会が開かれて一般質問も行われているし、3委員会を設けて委員会審査も行われるなど、木更津市の加盟する事務組合とは明らかに違いがある。
 現在3施設のクリーンセンターを最新鋭の1施設に更新することも広域連合の業務とするなど、広域化のメリットを発揮していると思われるが、それでも消防団を担当する組織が各自治体に残ることやゴミ収集も単独事務としていることなど、まだまだ色々と出来るのではと思ったが時間の都合上、他市の仕事に深入りは出来なかった。なお、かずさ四市が広域事業としている上水道水源は、各々に山と水源を持っているため上田周辺では単独事業にしているようだ。
 狭くやることと広くやることの両側の視点による研修を終えた頃には西の美ヶ原に夕日は沈んでしまい、駅前のホテルまで上田市の議会事務局に送って貰い、チェックインした。なお、上田市には別所温泉という名湯が有るが宿泊は温泉の無いビジネスホテルで夕食無しの宿泊である。全員で夕食に出かけ、寒い上田の夜を熱い議論で吹き飛ばしていくうちにこの日も終わりを告げるのだった。
 
 10日は朝6時半に起床し、明らかに氷点下の空気の中で上田城まで1人散歩する。駅前のホテルに帰り朝食を取ってから上田駅に行き、所要で帰る平野議員と駅で別れ、残る5人で第3セクターの「しなの鉄道」で篠ノ井まで出て、特急で松本に入る。移動の途中では一面の雪景色も有ったが松本は道に雪もなく空は晴れ、駅から少し離れた市役所まで歩くには良い天気であった。市役所は松本城の向かいに有るので堀端まで行くと白い常念岳が顔を出していた。
 
2.長野県松本市
 市制施行 明治40年5月1日
 人口 243,357人(平成24年4月1日現在)
 面積 978.77km2
 平成24年度一般会計決算額 849億30百万円
 財政力指数 0.705 (平成22年度決算)
 視察項目@ 『健康寿命延伸都市』について
 平均寿命が延び高齢化社会を迎えるにあたり、寿命から介護の必要な期間を引いた健康寿命を伸ばすことを目指し、「赤ちゃんからお年寄りまでが健康で自立して、明るく元気に過ごせるまち」をスローガンに、具体的な事業展開としては、まずは歩くことから始めようと提唱している。
 この「市民歩こう運動」の取り組みとして、信州大学・松本大学と協力して啓発運動を進める一方で、地域が主体となって散歩地図を作成し、運動習慣のない市民が積極的に歩くように成ることを目指している。行政も全庁的に支援を行う中で健康福祉課だけでなく部局横断的に15人の地区担当職員を配置するとともに、土木セクションはベンチを設置するなど歩く環境整備を進めている。また、イベントも積極的に仕掛け、昨年のウオーキングイベントには約6千人が参加しているようだ。さらに、単に歩いて健康になるだけでなく、この運動を通じて地域交流や環境保全意識高揚も目指しており、その中核となるのが市内の35地区にそれぞれ設置する「福祉ひろば」である。
 これは健康な高齢者が気軽に集まる場を作ることで地域住民による健康・福祉・生き甲斐づくりの増進を目指すもので、公民館やデイサービスセンターのような公共施設に併設して40坪強の空間を設け、非常勤の職員2名をコーディネーターとして配置し、参加者が固定されないように積極的に地域の高齢者を呼び込もうとするものである。地区の自発的な活動が出来るように運営費として53〜60万円をそれぞれのひろばに支出している。ちなみにコーディネーターは全市では76人が配置され総人件費は約8千万円、ひろばの運営費が約2千万円なので施設の諸費用を除いても1億円を超える事業予算である。
 この他市にない「福祉ひろば」は現在の菅谷昭松本市長のトップダウンとしての施策のようだ。信州大学医学部助教授で有ったが、チェルノブイリ原発事故を受け、ベラルーシ共和国等で医療支援活動を行った後、長野県衛生部医監を経て長野県衛生部長に就任。2004年より松本市長を務めるという経歴が示すように、芯の強い医師でもある市長を持つことに加え、長野県自体が若月俊一院長が率いた佐久総合病院より始まった検診や生活改善といった予防医療の流れで国内有数の長寿県に成っていることなど、このような制度を受け入れやすいと言う事もあるだろう。この先進性には羨ましくさえも思えてくる。
 健康寿命延伸都市の取り組みとしては、健康づくりの他に危機管理・子育て支援にも力を入れており、頭文字をとって3Kプランと名付けた方向性は、これからの福祉を充実させる視点として参考になる。
 
 視察項目A 『市議会改革』について
 松本市議会は議会改革度が全国でも上位として知られている都市であり、会派羅針盤としては、昨年の大村市議会に続く視察となる。
 松本市議会は平成19年8月に議会運営委員会が兼務する形で「ステップアップ検討委員会」を設け、平成21年4月末までに41回の会議を行い10項目の検討が行われた。その結果、議会基本条例を制定する一方で組織形態についても改革に取り組んできた。なお、検討項目は下記の通りである。
No 具体的検討項目 検討結果
1 移動委員会の開催 開催を決定
2 議会だよりのあり方 議会だより編集委員会を設置し発行
3 議運及び委員協議会会議録の公開 公開を決定
4 議長と社会福祉協議会会長兼務の是非等 公共的団体の役職就任を辞退
5 文書発送の効率化等 Eメール通知等を決定
6 委員会のあり方 4委員会同日開催から2委員会に変更
7 市民との対話 議会基本条例制定の中で実施
8 一般質問の方法 現行の総括質問方式を継続
9 議会基本条例の設定 平成21年3月に全会一致で設定
10 議員定数のあり方 委員会では方向性は集約せず
 上記のNo2,3,4,6,8については、その当時の木更津市議会で既に実施されていたことであり、No10については先の12月議会で結論を出したところであるから木更津市議会も改革が進んでいる部分も有ることを実感したが、それ以外については我が市でも取り組むことが必要と思われる項目が多くあった。また、ここで制定された議会基本条例に示す、議員間の自由討論・議会報告会の実施・執行部の反問権などは他市にも視られるが、松本市での特徴は部会と市民参加にあると感じた。
 松本市議会は常任委員会とは別に「政策」「広報」「交流」の3部会を設け、全議員がこれらの何れかに参加しながら議会報告会の開催や市民交流事業などを検討している。さらには、その部会をチェックするため、正副議長と各会派より選ばれた者による「進行管理部会」を設け、議会基本条例に基づく活動が出来ているか確認している。また、常任委員会は木更津市と全く同じ名称の4委員会で構成されているが、その委員会においてはそれぞれテーマを設けて議論を進め、全員一致を得た場合は執行部への提言をするという事も驚きである。つまり、議員によって自主的で積極的な取り組みが行われているのである。
 市民参加については、議員と市民が情報交換を行うため各種団体と意見交換を行うだけでなく、議会に直接市民の意見が入るよう「ステップアップ市民会議」という公募に応じた委員20人から成る組織を作り、そこからの意見を積極的に採り入れている。ただ、極端な議論が出ることもあり今後のあり方については検討が必要という認識であるようだ。
 議会全体で変革を続けることを目指し続けているのではと思える取り組みは驚嘆に値するし、その一方で議会活動に多くの時間を必要とされ、仕事の傍らや主婦業の合間に議員を行う事は難しくなるのだろうなと思った。
 研修を終えた頃には雲に覆われた北アルプスに夕日は沈んでしまい、駅前のホテルまで松本市の議会事務局に送って貰い、チェックインした。なお、松本市には浅間温泉という名湯が有るが宿泊は温泉の無いビジネスホテルで夕食無しの宿泊である。全員で夕食に出かけ、寒い松本の夜を熱い議論で吹き飛ばす前に、連日の疲れで自主解散となった。
 
 
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2013年1月中旬の記録