アクアライン800円に思う
2009/05/23記
 アクアラインを800円にするという公約で立候補し当選した森田健作知事が国土交通省と協議を行い、千葉県主導の社会実験としてアクアラインの値下げを実施する事の合意が成されたという報道があった。8月1日より平成23年3月末まで20ヶ月間はETC装着の普通車が全日一律800円、大型車も全日一律1320円という料金で通行が可能となる。
 
 この800円運動は、かずさ四市合併を考える署名活動が終わりを迎えた2002年(平成14年)夏頃より開始され、周辺を大きく巻き込みながら運動が展開される中で、事務局長の高橋浩さんが市議になり、県議になって行くという事態もまじえ、およそ7年の成果が実ることになったのである。
 ここまでの運動に尽力した皆様は、願わくば社会実験でなく恒久措置にと思っているであろうが、それでも達成感に満たされていることであろうと思う。
 
 さて、私の考えとしては2008年9月2006年3月にも書いているように手放しで料金値下げを歓迎しているわけではない。
 それどころか大型車両が800円運動で提案していた2000円を大きく下回る額まで値下げされた結果として神奈川県や東京都から大量の廃棄物が合法、非合法を問わずに押し寄せるのではないかと危惧しているのである。
 特に廃棄物の最終処分場は必要書類が整っている場合は行政手続法に従うと、恣意的に認可を遅らせることが出来ない事項だから、対岸から運搬しても充分に元が取れるというような気にさせない程度には環境基準の要求値を高めることが重要ではないかと思っている。
 
 たしかに京葉道路や東関東自動車道の車両がアクアラインにも分散されることで渋滞が緩和され、排気ガス低減(=燃費向上)や時間短縮などで環境改善や経済の活性化などの効果も大きく現れるだろう。
 またこの料金体制が恒久化につながると考える製造業者が手狭な京浜地区から木更津周辺に移転してくることで、雇用の拡大や税収の増加などの効果が大きく期待できることになる。
 さらには木更津の価値が再評価され、不動産需要が高まる事で地価が上昇に転じ、千束台や金田東西の区画整理事業の採算性が改善される結果になれば行政の抱える問題点が解決されるだけでなく、不動産の含み損で苦境に陥っている地元企業や金融機関の多くも経営状態が良くなるだろう。
 市としても土地開発公社が購入した土地や遊休地の売却価格が高くなることは一時的な財政不足を埋める効果になり、地価の上昇は長期的な固定資産税の増加になるので、急上昇で無い限りは望ましい方向の話である。
 
 従って、今求められることは、料金値下げに反対することではなく、地域の環境保全が行われるための制度の整備である。具体的には残土条例の制定や、不法投棄防止措置の強化、廃棄物処分場新設に関する基準の厳格化などが急いで整えなければならない問題として目の前に突きつけられている状況である。
 6月定例議会で、どこまでこの話が進められるのか、議会人として前向きに取り組まねばならないと思うことである。