富山市議会の騒動に思う
2016/09/17記
 報道では連日のように築地市場の移転問題が流されているが、大手マスコミが小池知事の情報誘導の掌の上で踊らされているようで、最近はニュースを見ないで本を読んでいる。
 個人的には工法が説明と違った問題より、それが市場として運営する支障になるか、さらには揮発性の有毒物質が混入しているかという問題に絞らなければ無駄な議論に感じるし、そもそも生コンを打設して日が浅い躯体に接している水が強アルカリ性を示すことは建設業界で有れば常識の話で珍しくもなんともないことを長時間流し続ける報道の姿勢にはガッカリしている。
 
 その様な中で富山県の市議会議員が政務活動費の不正受給を繰り返していた事が明るみになって、築地の情報で隠れない程度には問題となっている。2014年7月に兵庫県議会議員であった野々村竜太郎氏が旅費や切手代による不正請求をしたとの疑惑が生じたときの記者会見は世界中に発信されるほど話題に成ると供に、世間から政務活動費への厳しい視線が注がれ、兵庫県議会では議員24人と1会派の支出計約490万円の使用が不適切と認定されるまでに至っている。
 なお、野々村議員は平成23年度以降の政務費計1834万円と遅延利息約89万円を兵庫県に返還しているが、2015年8月18日に神戸地検から政活費計913万2050円を騙し取った詐欺及び虚偽公文書作成・同行使容疑で在宅起訴されている。
 
 富山市では議員報酬を60万円から70万円に増額しようとしている事に対して地元の北日本新聞社が調査を始めたところ、ベテラン議員が30代の女性記者を押し倒して取材メモを奪い、それに対して暴行と窃盗容疑で富山県警に被害届を出した事がきっかけとなり、多くの新聞社が集中的な調査を続け、様々なことが明るみになった事のようだ。
 富山市議会(定数40)の政務活動費は月額15万円で年額にすると180万円になる。これが正しく地方自治法に示すとおりに使用されていれば問題とはならなかったはずなのである。
 
 地方自治法 抜粋
 
第129条
 14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
 15 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
 16 議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
 
 富山市は人口約42万人の県庁所在地であるので人口が1/3である木更津市と比較することは如何かと思うが、議員報酬月額は我が市の1.33倍、政務活動費は7.5倍であり、定数も1.67倍である。木更津市では年間で24万円に過ぎない政務活動費は行政視察の旅費に使えば残金は少なく、昨年度の我が会派では庁舎移転に伴う備品購入は個人費用で賄い、何とか会派報を出すことが出来たような次第である。
 
 多くの金額が支給される県議会や大都市では、事務所を構えて頻繁に活動報告を行うといった支出をしない限り木更津市の何倍も視察に行くことは難しいと思うので、執行残で自治体に返金する事に成ると経験上からは想像される。役所の財政規律を求める議会議員であるからには執行残を返還して翌年度の事業に使って欲しいと考えることは正しい行動と思うが、残しても勿体ないと考えて現金化し、第二の給与にしてしまっている点が問題だろう。
 私見であるが、地方議会の内、町村議会の多くは政務活動費を支給していないと聞くし、議員が勉強や広報活動を行うのは当然のことだと考え、報酬の中に活動費を含む形として別途支給をしなければ不正受給といった問題も起きないのと思うので、市町村議会では政務活動費を廃止すればよいと思うのである。
 
 なお、今年も5月12日と13日に参加した「日本自治想像学会」への交通費や参加料、毎年発行している後援会報等は全て私の個人的出費で政務活動費を使っては居ない事を付け加え、今回の記載を終了する。
 
 参考:政務活動費を考える : 政務活動費の使用報告