会派提言を提出する
2017/09/29記
 前回の統一地方選挙が終わり会派羅針盤も新たなメンバーとなって第二期を迎える中、渡辺市長に最も近い会派としてどの様な行動を執るべきかという議論があり、決算審査が終わった後には会派として翌年度に向けた要望を提出しようという事になった。
 要望活動を始めた初年度である2015年9月17日に行った要望は次の8項目であった。
 1 公共施設の計画について
 2 未使用財産の利用計画について
 3 祝祭日と土曜日・日曜日の市民の利便性について
 4 防災体制の強化について
 5 交通インフラの有効活用について
 6 君津中央病院における時間外選定療養費の見直しについて
 7 観光農業、滞在型農園への積極的な取り組みについて
 8 木更津市都市計画道路中野畑沢線早期整備について
 
 翌年度は取りまとめが遅れ2016年10月21日に提出をさせていただいた。項目数は同じ8項目であるが、タイトルは次のように変わった。
 1 財政健全化について
 2 交通インフラの有効活用について
 3 江川総合運動場の整備・活用について
 4 福祉施策の更なる推進について
 5 子育て支援の充実について
 6 小中学校の教育環境早期整備について
 7 道路整備について
 8 土地利用計画の見直しについて
 
 今年度は、前年度に行った要望が達成されていない中で変更するのも如何なものかという事になり、項目もタイトルも同じであり、内容が現在の情勢に併せて若干変化している要望を、昨日の本会議終了後に『会派羅針盤 平成30年度 行財政運営要望書』を市長・副市長・教育長に提出させていただいた。
 
 
 今回は前回担当していた項目を各自で練り直すという作業であったので昨年の事を覚えている方には新鮮味が無いかと思うが、具体的な内容を下記に記載し報告に替えさせていただく
 
要望1 財政健全化について
要旨
1 大胆な行政改革を進め、行政サービスを維持しながら歳出の削減を進めること
要望理由
 渡辺市長の就任以来、財政力指数・実質収支比率・自主財源比率・実質公債費比率・将来負担比率とといった財政状況を示す値は改善され、財政調整基金についても平成25年度末残高の25億39百万円から平成28年度末財高が44億97百万円まで大幅に増加しています。当面は人口増加が続き、市民税も手堅く推移するとともに、転入者の行う建築行為で固定資産税も伸びると予想されています。
 この様に木更津市を取り巻く社会環境は市の税収増につながることが多く、前の水越市政当時の地価下落に伴う税収減の中で長年に渡って土地開発公社の負債を返済するため「アドバンスプラン」に従って厳しい財政運営をしていた頃とは状況が違う様には感じられます。しかし、その当時に先送りした社会資本の更新時期のピークが迫る中で高齢者の増加による扶助費の増大も進み、市の推計でも2026年以降は人口の減少を推定するなど木更津市の将来を見通すと目の前の好環境に浮かれていることが出来ないことは明かです。渡辺市長もそのことを理解した上で、公共施設の再配置や手数料・使用料の見直しを進めるなど、行政改革を進めていることは充分認識しています。
 しかしながら、本年度は消防庁舎や金田交流センター、真舟小学校の増築校舎、道の駅木更津うまくたの里といった大型の建築計画が上程される一方、依然として保育園の民営化や学校適性配置の具体化といった地域に痛みを与える事業は先延ばしになっていると感じることがあります。
 堅調な歳入に目を向ければ、収納率は若干改善されつつあるものの依然県下では下位に甘んじており、その改善は急務のことでありますが、他にも不在地主による遊休農地を雑種地に地目変更することの税率変更や市街化調整区域の住宅密集地を用途編入することで都市計画税を賦課するといった歳入増加対策の余地も多く残っています。
 安定的な税収が期待され、人口が増加している今の時期にこそ大胆な改革を行うべきであります。既存市街地の価値を高めることで更なる税収増を進める一方で、必要な合理化を図り、将来に向かって持続可能な都市運営を進めるための絶え間ない改革を進めていただくことが必要です。「入るを量り、出るを制す」ことは今に続く教訓ととらえ、財政健全化を要望します。
 
要望2 交通インフラの有効活用について
要旨 
1.東京オリンピックを前提とした木更津飛行場の官民共同利用を研究すること
2.木更津港のクルーズ船寄港を念頭に置いた施設整備と海の駅を有効活用すること
3.JR内房線巌根駅のバリアフリー化と全快速列車の停止を実現すること
4.アクアラインバスの木更津〜金田間に新たな停車場を設置すること
要望内容
 木更津市はアクアラインを活用した活性化が進み、金田東地区や築地地区に大型の商業施設が進出する中、対岸との交流人口も増加しています。しかしながら、アクアラインだけが前面に出ており、陸海空の結節点である木更津の交通インフラの機能を充分に活用しているとは言い難い状況にあります。
 東京オリンピックを3年後に控え、混雑緩和が課題となっている羽田空港に近接する木更津飛行場には1800mの滑走路が有り、近年需要が増大しているプライベートジェットの離発着が可能である状況にも係わらず、日米安保協定で米軍の専用権があるためか、米海兵隊オスプレイの定期機体整備が開始されているものの、民間機による利用は依然として出来ない状況が続いています。
 また、木更津港においても川崎航路のカーフェリーが廃止となった以降は現在まで定期航路の開設もなく、駅からわずか700mに立地する港という好条件が引き出されている状況ではありません。本年はパシフィックビーナスによるクルーズ船の実証実験が行われ、「みなとまち木更津プロジェクト推進協議会」の活動も軌道に乗り、海外の運航会社による木更津港の視察も行われてはいますが、具体的な活用策が示されるまでには至っていません。
 さらに陸上交通を見ると、JR内房線巌根駅が千葉君津間で総武線快速列車が停車しない唯一の駅と成り、アクアラインバスが金田総合バスターミナル経由となる中で岩根地区を素通りすることで、岩根全体のポテンシャルが低くなり、人口減少や地価停滞が生じ、これからの人口減少社会の中で木更津市の活力を維持する足枷になっています。
 これらのことから、木更津市の将来の可能性を広げるためにも、既存の交通インフラを最大に活用できる施策展開が必要であると考え、昨年に引き続き、交通インフラの有効活用を要望します。
 
要望3 江川総合運動場の整備・活用について
要旨
1.江川総合運動場の早期整備を要望する。
要望内容
 現在、様々な体育競技の世界選手権が行われ、東京オリンピック・パラリンピックへの関心が高まっている。そして、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ誘致は、本市にとっては、人口流入、交流人口の増加による更なる活性化、市民の運動意欲の向上、運動習慣の形成による健康寿命の延伸、子どもたちの運動意欲、運動スキルの向上、国際感覚の育成等々の面で、極めて有効であり、強力に推進していくべき施策であると考える。
 そして、その施策推進のために、必要不可欠なものが、江川総合運動場の整備である。江川総合運動場が整備されれば、本市の東京へのアクセスの良さ等、立地条件を勘案し、本市でのキャンプを希望する国は少なくないと考える。
 また、本市には市制施行以来、陸上競技場がなく、小中学生の陸上大会や駅伝・ロードレース大会の会場を袖ケ浦市、富津市に借用している現状がある。永年の悲願である市独自の陸上競技場が整備されれば、市内小中学生の運動意欲、運動スキルの向上に結びつくことは間違いない。
 現在、江川総合運動場内の陸上競技場の建設は予算化され、2018年中の完成を目指して工事が進行中であるが、取り付き道路を含めて、予定どおり完成し、2019年度の小中学校の体育行事の開催に間に合うように、鋭意努力することを強く要望するものである。
 
要望4 福祉施策の更なる推進について
要旨
1.待機児童の解消及び高齢者福祉施策の充実を図ること
要望内容
 待機児童の解消について
 人口減少が顕著である国内おいて、本市においては逆に増加の一途を辿っています。しかしながらその勢いには、やや鈍化傾向も見受けられるようになってきました。人口増加の後押しをしている子育て世代の中には仕事に就きたい、或いは前職に復帰したい状態であるにもかかわらず、お子様を預ける先がなく困っている世帯も多く、待機児童(とりわけ0歳〜3歳児)の解消は喫緊の課題です。
 そこで1つ目として、十分な保育士の確保に努めることを要望します。現在も広く保育士の公募を行っていますが、これに加えて、一線を退いている有資格者に直接働きかけ、任期を決めた積極的な採用に努め、更に、有資格者の給与体系を大幅に見直すよう要望します。
 2つ目として、総量の適正化の観点より新たな公的保育園を設置することなく、学校等の既に今ある市有財産を有効活用するよう、福祉部と教育部の連携を要望します。
 
 高齢者の日常生活における利便性向上について
 1つ目として、買い物難民の解消をすることを要望します。郊外の大型店舗が賑わいを見せていることは喜ばしい事ですが車の運転をされない高齢者の中には日用品の買い物にも不便を感じている方がいます。とりわけ、バスなど公共交通機関が充実をしていない地域においては問題が深刻化しつつあります。そこで徒歩圏内に日用品を扱う商店の設置、或いは同様のサービスを行う商店(配達含む)や事業者への公的な補助を行うよう努めることを要望します。
 2つ目として、高齢者が安心をして徒歩で移動できるよう段差の少ない安全な歩道整備(側溝のふた設置と枯草等の除却も合わせ)を進めることを要望します。
 3つ目として、平成27年度に育成した市民後見人が単独受任をするまでに仕組みづくりをしてくださいましたことにお礼申し上げますとともに、今後とも本制度の活用が浸透していく施策を要望します。
 
要望5 子育て支援の充実について
要旨
1.子ども成長支援センターの早期開設を要望する。
要望内容
 現在、核家族化の急激な進行と一人親家庭の増加により、子育てに悩む家庭が急増し、虐待の通告や相談が激増している現実がある。そのような中、本市の調査によれば、通常学級に在籍し、多動性や衝動性があり、特別に支援が必要な子どもたちが6%を超えており、30人の学級には2〜3人が在籍していることになる。
 現在、本市では、福祉部健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、教育部学校教育課、まなび支援センターなどが、子育て支援に対応しているが、部課が異なるため、横断的な連携が取りにくい現状がある。そのため、早期に個別支援することが必要な子どもたちの保護者が相談場所に悩んだり、対応が遅れたりしている。また、専門的に療育にあたる機関もないため、教育部まなび支援センター幼児言語教室が、そのニーズを一手に引き受けており、通所者が急増し、十分に対応できない状態が継続している。 
 このような現状を打破し、子育て支援の充実を図るためには、現在の健康推進課、子育て支援課、障害福祉課、まなび支援センター等の機能の一部を一つにまとめ、出生から18歳までをワンストップサービスで継続的に支援できる機関が必要である。
 現在、木更津市民総合福祉会館内への仮の「子育て包括支援センター」の開設準備が進められていると聞いているが、早期の本施設の開設、臨床心理士、言語聴覚士等の専門職の配置、また、施設の名称も、より親しみやすく、わかりやすい名称、例えば「木更津市子ども成長支援センター」とすることを強く要望するものである。
 
要望6 小中学校の教育環境早期整備について
要旨
1.小中学校の教室へエアコンを早期に整備すること
要望理由
 近年、世界中で気象状況が急激に激変しており、我が国においても異常気象と言われる程の温暖化の影響により、大型台風の発生や通称ゲリラ豪雨と言う集中豪雨などが増加しております。新たな社会資本整備として国家強靭化計画が進められており、各家庭に於いても対応が進んでおります。
 その様な中、一番懸念されますのが、夏季における気温の上昇で「夏は暑いもの」という言葉だけでは解決する事の出来ない状況であり、生命人体に関わる状況となっております。本市においても防災無線をはじめ安心安全メール等により市内全域で市民に注意喚起を行っている異常事態であります。
 各小中学校におきましても、7月下旬から8月末まで児童生徒の体調や学習効率を鑑み夏季休暇を設けております。しかしながら、冒頭記載した理由により、木更津市内におきましても昨年7月7日には観測史上最高となります35.6度を記録し、夏季休暇前後においても教室内の室内温度が上昇し、児童生徒の教育環境に重大な影響を及ぼしています。
 本市の児童生徒の健康を守り、学習環境を整備する事が将来の木更津を担う木更津っ子を育む環境作りの急務であると考え、市内小中学校各教室へエアコンの早期整備への予算確保を強く要望します。
 
要望7 道路整備について
要旨
1.都市計画道路 中野畑沢線について
(1)南部地域(桜井・貝渕工区)の早期開通及び着手すること
(2)北部地域、袖ヶ浦市との接続を早期に着手すること
(3)中央地域の道路改修を行い中野畑沢線の効果を高めること
2.都市計画道路 中里曽根線について
(1)線形を再考し通称平成通りをアクアライン連絡道の側道に連結すること
3.社会資本整備予算の拡充を図ること
要望内容
 都市計画道路中野畑沢線は、本市金田地区から中心市街地を通り畑沢地区を結ぶ、総延長12,700mの道路で、本市西部を南北に貫く主要幹線道路として位置づけられています。本路線の整備状況を見ますと、北部地域では金田地区から新宿地先までは完全4車線化による開通がされ、南部地域の桜井工区では用地買収・墳墓の移転・文化財調査等に着手されております。
 南部地区の貝渕工区では桜井工区開通後の着手との事ですが、交通安全の面から、桜井工区と同時開通して欲しいとの声があり、木更津市において想定交通量調査も行なわれました。そして、桜井工区のみよりも貝渕工区を開通させることにより交通量の減少が見られるという結果が得られ、貝渕工区の早期着手が望まれるものとなりました。
北部地域では、金田地区での大型商業施設開業等の影響により、休日には大変な交通渋滞が起きております。金田西地区の街開きを控え更なる渋滞が予想される中、来津されます方々や地域住民の生活環境を保つ為にも袖ヶ浦市方面に誘導路を整備することが必要不可欠であります。
 さらに中央地域においては、既存の道路の改修により大型バスの通行可能な道路とし、これまで整備してきた中野畑沢線の価値を十二分に生かすよう求めます。
 一方、都市計画道路中里曽根線は依然として未着工のままであり、袖ヶ浦市における いわゆる「平成通り」は本市境に於いて途切れたままであります。当該道路については見直しを図り、新たに平成通りとアクアライン連絡道側道とを連結する新しい計画を立てることを要望します。これにより木更津市の内陸部商業地域に袖ヶ浦市方面からの誘客をし、また本市市民が袖ヶ浦市方面に通勤することなど、市民の利便性が大変向上するものと考えられます。
 また、社会資本の老朽化により住民要望が最も多い項目が道路修繕や側溝修繕等が上げられております。その様な要望を効率よく処理する為に計画的適正な工事発注として一つの整備事業を拡大する事でコストの削減や工期の短縮を図る事。更に昨今の異常気象による災害対策に際し、技術者職員に設計施工の経験を積ませる事で災害時や日頃の業務に多大なる利益をもたらすものと考えますので、社会資本整備予算の拡充を図ることも急務と考えられます。
 市民ニーズの多様化や超高齢化少子化時代を迎えるにあたり財政状況の厳しい中、木更津市都市計画道路中野畑沢線早期整備延伸等に係る予算を十分に確保願い早期完成や開通、社会資本の長寿命化や職員の経験向上を確実に推進して頂く様、要望致します。
 
要望8 土地利用計画の見直しについて
要旨
1.農業振興地域整備計画等の緩和を千葉県に要望すること
要望内容
 木更津市の農村部のほとんどを占めている市街化調整区域では人口流出傾向が顕著で、地方自治自体を維持する事が困難となりつつあり、急務の課題となっております。その主な要因は、農業振興地域整備計画と市街化調整区域の除外申請が非常に困難なためです。
 農業振興地域整備計画に指定された農振農用地区域は、農業上の利用を確保するために農地を守る立場で設けられており、農用地利用計画を変更するとき(農振除外)には、以下の除外要件の5件すべてを満たすときのみ行うことができるとあります。
 
1. 農用地以外に利用することが必要かつ適当であって、必要性、緊急性が高く、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと。
2. 農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと。
3. 担い手等、認定農業者、特定農業団体や特定農業法人等の効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと。
4. 農用地区域内の土地改良施設の有する機能に支障をおよぼすおそれがないこと。
5. 土地改良事業等を行った区域内の土地に該当する場合は、事業実施後8年を経過している土地であること。
 
 農村部では、有害鳥獣被害をはじめとする様々な要因により、離農される方が近年特に増加しています。山村部の農地は地型も悪く手もかかる為、借り手も買い手もおらず、荒廃の一途をたどっています。また、農地を宅地等の別利用が出来ない為に、市街地へ転出してしまう住民の方も多くいらっしゃいます。
 このままの状態を放置する事は、木更津市の人口減少に歯止めをかけるどころか、市内面積の多くの地域を見捨てる事になり、急激な人口減少に陥ることは明白です。
 農村部に移住定住を希望する若い方もいらっしゃいますし、住民は地域を無視するような開発行為も望んではおりません。
 持続可能なまちづくりを進める為にも、市民の水と緑を守ることにつなげる為にも、上記5件が除外要件の農業振興地域整備計画の緩和と、市街化調整区域の緩和を、千葉県へ強く要望していただきたい。