第2派は収まるか
2020/09/06記
 7月末から開始されたGoTOキャンペーンや8月中旬で行われる民族大移動と賞されるお盆の里帰りで新型コロナウイルスが日本中に蔓延し、9月になると凄い状況になると予想されていた向きもあったが、最近は新規感染者数が減少傾向で、中には第2派のピークを越えた主張するコメンテーターも現れるようになった。
 
 木更津市では8月26日から昨日までの10日間で新規感染者は確認されておらず、7月下旬における爆発的増加は終息した。しかし下表に示すように市原市で20人も増加するなど、房総半島全体に目を広げると決して波を越えたようには思えないのである。
 
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 6→6 1 九十九里町 2→2
2 木更津市 47→47 2 芝山町 2→2
3 茂原市 8→11 +3 3 横芝光町 7→7
4 東金市 5→6 +1 4 一宮町 3→3
5 勝浦市 7→7 5 睦沢町 0→0
6 市原市 43→63 +20 6 長生村 0→0
7 鴨川市 1→1 7 白子町 1→1
8 君津市 14→17 +3 8 長柄町 0→0
9 富津市 3→3 9 長南町 1→1
10 袖ケ浦市 14→14 10 大多喜町 2→3 +1
11 南房総市 2→2 11 御宿町 0→0
12 山武市 11→15 +4 12 鋸南町 0→0
13 いすみ市 5→6 +1
14 大網白里市 2→5 +3
市計 168→203 +35 町村計 18→19 +1
房総半島合計 186→222 +36
 
 これを毎回のグラフで表すと、木更津市は上昇傾向が収まり沈静化を示しているものの、房総全体の26市町村や木更津以外の値は同じ角度で上昇しているので、増加傾向は先月から何も変わっていないことが一目瞭然である。
 
 
 各市の房総全体に占める割合は8月12日にも記載したが、他市の感染拡大で木更津市の比率は30.7%から21.2%に低下する一方で市原市の比率が23.4%から28.4%に上昇した。君津市と袖ケ浦市を加えた京葉工業地帯の四市では73.0%から63.5%に減少しているが大半を占めることに変わりはない。
 比率を円グラフにすると下図の通りである。

 
 参考に8月11日時点の137人では下図の通りであった。 
 この時に「他4市3町」として集計した感染者1人の自治体のうち館山市といすみ市が6人に感染者数を増やし富津市が追加するなどした結果、区分を増やしているのである。
 この図を比較すると今まで感染者が無かったか少なかった自治体にも拡大しつつある傾向が見えてくるのである。
 
 感染対策が高く評価されている台湾では約2360万人もの人口を抱えながら累計感染者数は昨日でも492人しか確認されていない。日本の1/144である。人口が1/6程度である事を加味しても1/24であり、さらに感染者の多くは海外からの帰国者で、国内での発症は極めて稀である。そのため街中には感染者が居ないかのように夜市が混雑する日常が戻っているという報道が有った。
 日本でもそのような状況に早くなることを願うが、あれだけ緊急事態宣言以降に収まっていたウィルスが都内の繁華街で細々と宿主を変えながら生き残り、再度爆発した事を考えれば、第2派が減少傾向に向かっている様に見えても、錯覚に過ぎないと自覚するべきであろう。
 
 千葉県では第2派の拡大を受け、5人以上の会食を控えるように知事から要請が出されている。暑気払いや納涼の会は殆ど開かれることもなく、秋の総会シーズンでも懇親会は当然として総会も開催されない事態が続いている。
 先日も長野県の規制強化方針を受けて来月末に長野市で開催が予定されていた全国市議会議長会が中止になった旨の連絡をもらった。今年は議長としての対外公務が激減しており、その分だけ市内での対策に力を注げるが、本来共有しなければならない問題意識が文字だけで伝播されることに危惧も覚えている。
 さらに全国から千人を超える人達の宿泊が予定されて経済の起爆剤と考えていた長野市の落胆も大きいだろうと、24歳の頃に長野県上田市で仕事をしていた経験のある私は人事には思えず、同情を禁じ得ない。一刻も早くインフルエンザと同じ程度に警戒すればよい状況に移行して欲しいと切に願っている。
 
 世界に目を広げると、感染拡大が激しかったアメリカ合衆国とブラジルでの新規感染者数が落ち着いてきた結果、鰻登りであった新規感染者数は毎日26万人程度の増加で高止まりしている状況である。しかし、スペインなどの西ヨーロッパでも第2派が始まっているようであり、インドは新規感染者数が増える一方で、まだ第1波すらピークを迎えていない状況である。
 インバウンドに強化してきた業界に復活の日が来るのは先のことに成りそうであるし、輸出入の減少による世界経済の低下は続きそうである。食糧危機の状況には成っていない事が安心材料だと思っていたが、アフリカや中東ではバッタによる被害が拡大しており、東アジアでは大型台風の被害が続出しそうな状況を考えると、世界の安定も心配となる。
 経済や食料不安による危機感を国際関係の緊張で目を背けようとする政治が行われた場合、感染が止まらない中での戦禍が重なるという事態が想定されるからである。
 
 アメリカ大統領選挙で国際協調派が躍進することを願っているがその前には日本の総理大臣の交代もある。木更津という日本の一自治体からでは世界平和を願うことしか出来ないが、祈りを込めて今回の記載事項とする。