3度目の緊急事態
2021/04/25記
 変異株の感染力が強く、蔓延防止等重点措置では感染を抑えることが出来ないと判断した吉村大阪府知事が再度の緊急事態宣言を求め、それに東京都、京都府、兵庫県の各知事が同意し、政府が大型連休中の人流を抑える必要を再認識した結果、本日から来月11日までの17日間で3度目の緊急事態宣言が発出された。
 今回は感染リスクは低いものの人々の移動行為に繋がる百貨店や遊園地、映画館等にも休業要請をしている事が特徴であり、飲食店では酒類の提供が行われなくなった。令和の禁酒法とも言える措置であるが、コンビニ等での販売は停止されていないので友人宅に集まって飲むことによる感染拡大も危惧されている。
 
 東京に隣接する千葉・埼玉・神奈川の3県は蔓延防止等重点措置の範囲を拡大し、都民の流入による感染拡大リスクを抑えようと対応している。
 具体的には千葉県で千葉市・野田市・習志野市・流山市・八千代市・我孫子市・鎌ヶ谷市の7市が加わり12市となり、埼玉県では川越市・所沢市・草加市・越谷市・蕨市・戸田市・朝霞市・志木市・和光市・新座市・富士見市・ふじみ野市・三芳町の12市1町が加わり14市1町となり、神奈川県では鎌倉市・厚木市・大和市・海老名市・座間市・綾瀬市の6市を加えた9市に拡大される。
 それ以外にも愛媛県の松山市が加わり、沖縄県では宮古島市も対象に加えられるなど範囲が拡大している。
 
 千葉県の拡大は28日から来月11日までの14日間で、12市内の飲食店約2万5千店に対し全面的な酒類自粛と午後8時までの時短営業を要求するという事なので、連休中の繁華街は火が消えたように静かになることだろう。
 そこでこれらの地域で感染が拡大しているのか、今月12日からの12日間における新規感染者数を人口で割り戻した値を整理してみたものが下表であり、赤着色が蔓延防止の12市、黄色着色が房総半島26市町村である。
 
区分 R3人口[A] 12日[B] 24日[C] [D] C-B D/A×1万
旭市 63,507 53 105 52 8.19
神崎町 5,663 17 20 3 5.30
浦安市 169,749 1,006 1,087 81 4.77
一宮町 11,622 14 19 5 4.30
柏市 433,941 2,142 2,277 135 3.11
市川市 496,657 3,102 3,256 154 3.10
野田市 152,227 621 667 46 3.02
千葉市 981,738 4,892 5,187 295 3.00
長柄町 6,664 3 5 2 3.00
酒々井町 20,278 108 114 6 2.96
船橋市 641,499 4,240 4,420 180 2.81
八千代市 200,538 1,190 1,245 55 2.74
長南町 7,368 37 39 2 2.71
松戸市 492,367 2,656 2,779 123 2.50
流山市 200,298 930 979 49 2.45
四街道市 93,233 445 467 22 2.36
東庄町 13,085 81 84 3 2.29
八街市 66,430 453 468 15 2.26
長生村 13,656 23 26 3 2.20
印西市 103,677 459 481 22 2.12
習志野市 174,990 988 1,025 37 2.11
いすみ市 35,570 67 74 7 1.97
茂原市 86,446 194 211 17 1.97
富里市 49,470 380 389 9 1.82
鎌ケ谷市 109,370 559 578 19 1.74
木更津市 136,118 473 494 21 1.54
栄町 19,902 101 104 3 1.51
睦沢町 6,761 12 13 1 1.48
鋸南町 7,027 26 27 1 1.42
市原市 268,038 939 977 38 1.42
東金市 57,560 165 171 6 1.04
佐倉市 169,059 798 815 17 1.01
白井市 61,673 309 315 6 0.97
富津市 42,280 61 65 4 0.95
君津市 81,355 153 159 6 0.74
我孫子市 130,290 656 665 9 0.69
九十九里町 14,652 37 38 1 0.68
匝瑳市 34,427 71 73 2 0.58
成田市 130,689 693 700 7 0.54
銚子市 57,533 73 76 3 0.52
袖ケ浦市 63,975 187 190 3 0.47
鴨川市 31,554 59 60 1 0.32
香取市 71,391 146 148 2 0.28
館山市 44,692 59 59 0 0.00
勝浦市 16,723 38 38 0 0.00
南房総市 35,454 71 71 0 0.00
山武市 48,196 161 161 0 0.00
大網白里市 47,722 115 115 0 0.00
多古町 13,804 25 25 0 0.00
芝山町 6,916 32 32 0 0.00
横芝光町 22,271 36 36 0 0.00
白子町 10,280 17 17 0 0.00
大多喜町 8,762 8 8 0 0.00
御宿町 6,769 14 14 0 0.00
千葉県計 6,275,916 30,195 31,668 1,473 2.35
 
 新規感染者が3人の神崎町や2人の長柄町のように人口が少ない町村は比率が高くなり、計算上は順位が高くなってしまう。また多くの町村には感染拡大に繋がるリスクを抱える大きな繁華街がないので人口3万人以下の18市町村を削除して表をシンプルにすると次のようになる。
 
区分 R3人口[A] 12日[B] 24日[C] [D] C-B D/A×1万
旭市 63,507 53 105 52 8.19
浦安市 169,749 1,006 1,087 81 4.77
柏市 433,941 2,142 2,277 135 3.11
市川市 496,657 3,102 3,256 154 3.10
野田市 152,227 621 667 46 3.02
千葉市 981,738 4,892 5,187 295 3.00
船橋市 641,499 4,240 4,420 180 2.81
八千代市 200,538 1,190 1,245 55 2.74
松戸市 492,367 2,656 2,779 123 2.50
流山市 200,298 930 979 49 2.45
四街道市 93,233 445 467 22 2.36
八街市 66,430 453 468 15 2.26
印西市 103,677 459 481 22 2.12
習志野市 174,990 988 1,025 37 2.11
いすみ市 35,570 67 74 7 1.97
茂原市 86,446 194 211 17 1.97
富里市 49,470 380 389 9 1.82
鎌ケ谷市 109,370 559 578 19 1.74
木更津市 136,118 473 494 21 1.54
市原市 268,038 939 977 38 1.42
東金市 57,560 165 171 6 1.04
佐倉市 169,059 798 815 17 1.01
白井市 61,673 309 315 6 0.97
富津市 42,280 61 65 4 0.95
君津市 81,355 153 159 6 0.74
我孫子市 130,290 656 665 9 0.69
匝瑳市 34,427 71 73 2 0.58
成田市 130,689 693 700 7 0.54
銚子市 57,533 73 76 3 0.52
袖ケ浦市 63,975 187 190 3 0.47
鴨川市 31,554 59 60 1 0.32
香取市 71,391 146 148 2 0.28
館山市 44,692 59 59 0 0.00
南房総市 35,454 71 71 0 0.00
山武市 48,196 161 161 0 0.00
大網白里市 47,722 115 115 0 0.00
 
 クラスターが発生している旭市を除けば、対象となる12市の内、習志野市・鎌ヶ谷市・我孫子は県平均を上回り、妥当な措置だと思われる。一方で我孫子市では感染が有る程度抑制されており、累積感染者数もそれほど多いわけではないのだから、今回追加されて酒類提供を抑制されたことに釈然としない思いを持つものも多いだろうと推察する。さらには、利根川を渡った取手市では我孫子や柏から酒を飲みに来て感染が広がるのではと戦々恐々としているのではないかと想像してしまう。
 
 県内53市町村の内、11市町がこの12日間で新規感染者が確認されて居らず、そのうち10市町は房総半島の自治体であった。
 では房総半島で感染は抑制されたのかと考え、17日から昨日までの7日間を集計すると、新規感染者数は67人であった。
 
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 59→59 1 九十九里町 37→38 +1
2 木更津市 479→494 +15 2 芝山町 32→32
3 茂原市 204→211 +7 3 横芝光町 36→36
4 東金市 166→171 +5 4 一宮町 17→19 +2
5 勝浦市 38→38 5 睦沢町 13→13
6 市原市 952→977 +25 6 長生村 25→26 +1
7 鴨川市 60→60 7 白子町 17→17
8 君津市 158→159 +1 8 長柄町 5→5
9 富津市 62→65 +3 9 長南町 37→39 +2
10 袖ケ浦市 190→190 10 大多喜町 8→8
11 南房総市 71→71 11 御宿町 14→14
12 山武市 161→161 12 鋸南町 27→27
13 いすみ市 69→74 +5
14 大網白里市 115→115
市計 2784→2845 +61 町村計 268→274 +6
房総半島合計 3052→3119 +67
 
 一日当たり増加数は9.57人となり、今年になって始めて10人を下回った。グラフの傾向に見えるほどの変化はないが、若干収束に向かっているようにも感じられる。
 
 
 木更津市の増加傾向は変わらない。5百人の大台まであと6人となったので、残念ながら今月中には超えてしまうものと思う。
 
 
 木更津市に設置されているPCR検査センターは週に2回、一日当たり25件までという条件で運営されているが、昨年末から今年の始めにかけてのように検査が追いつかず開設日を増やすような事態には至っていないようだ。詳細については今月末までの状況を把握して来月早々に整理したいと思う。
 
 緊急事態宣言で都内に行く場所が無くなった若者が身近な観光地やアウトレット等を求めて房総半島に来ることも予想される。経済効果を押し上げてくれる分には歓迎するが、消毒やマスク等の感染対策が徹底されていないと感染を伝播されてしまう可能性も高い。昨年の連休前には「房総半島への来訪自粛のお願い」が出されたが、今年はそこまでのことは考えていないようだ。
 
 ワクチン接種が有る程度行き渡るまで、これから半年程度必要になると思われる。それに耐えきれない会社も今後出てくることが予想される中で、インバウンド需要のないオリンピックも開催される方向で話が進んでいる。今日から89日後には開会式が予定されているので、予定通りに木更津市でナイジェリア連邦共和国がキャンプを行うとなると、わずか二月後の話になってしまうのだ。
 
 コロナの中で廃業や閉店の話も聴かれる一方、ポルシェの開業やコストコの本社ビル着工が近づき、新市役所や市民会館の建て替えも具体化してくる。全て暗い話題だけでなく、来年以降に向けて明るい花の咲く種を播きながら、今の厳しい時を乗り越えて行かなければなるまい。3度目となった緊急事態宣言発出の日にこの様なことを考えていた。