東京五輪が始まる | ||
2021/07/23記 | ||
感染症の拡大で2020年の開催が断念され、政府は1年の延期を決めるが国民の中には中止を求めるものも多く、緊急事態宣言が発令される中で本日東京オリンピックの開催式が行われる。 80年前の1940年に開催予定であった東京オリンピックは第二次世界大戦によって開催することが出来なかった。また、40年前の1980年に開催されたモスクワオリンピックはソ連のアフガン進行にともなう西側諸国のボイコットで日本は出場しなかった。 40年ごとにハプニングが起こるという訳ではないだろうが、今回のオリンピックも感染症による問題以前にも国立競技場の設計が当初に決まったザハ案で建設できず、ロゴデザインも盗作騒動で見直しがされた。誘致に成功した猪瀬知事は政治資金規制法違反で辞任に追い込まれ、新たな小池知事は会場の見直し案を次々と出して混乱を招いた。組織委員会でも森会長は女性蔑視の発言で辞任し、担当大臣や組織委員会会長が変更になった。 開催直前になって開会式作曲担当者の一人である小山田圭吾氏が障害者を過去にいじめたことで、開会式のディレクターである小林賢太郎氏がナチスによるユダヤ人大量虐殺を過去に笑いのネタにしたことで、それぞれ辞任に追い込まれている。 辞任に追い込まれた小林賢太郎氏の「ラーメンズ」というお笑いコンビは知らないしユダヤ人の虐殺をネタにしていたことは不適切であることは認める。しかし、過去の発言を元に公的な立場から引き吊り降ろすことが一般化すると、例えば日韓併合は国際的には正しい手続きで行われたとか、ウイグル人は中華人民共和国で虐殺されている等と過去に発言したことがあるものは、それを否定する国から辞任を要求されることになる可能性があるのではと危惧しており、芸術家等の政治的発言が萎縮される気がする。これが前例になったと思い出されることが東京五輪の記録にならないことを願うばかりである。 この様に、次々と冷や水がかけられている状況と観戦に行けない状況の中でお祝いムードも演出できず開催式当日を迎えているのである。あえて云えば4年間に危惧していた大規模地震が発生しなかった事だけでも感謝しなければならないだろう。それでもパラリンピックの閉会式まで大地が静まり、天候も暴れないことが続く保障は無いのである。台風のリスクも有るが、ゲリラ豪雨は当然のように襲うだろう。 木更津市でも当初は西アフリカ諸国の事前キャンプを四市で受け入れるような計画が進んでいたが感染拡大の中でナイジェリア連邦共和国と木更津市だけの対応となり、さらに感染対策のため交流事業や歓迎会も開催できなくなり、市民の大多数がナイジェリア選手団の存在を意識しないままオリンピック開催式を迎えることになったのである。子どもたちからのメッセージを通じた僅かな交流が生まれた程度で、本来ならスポーツへの意欲向上や国際理解の促進に貢献出来たはずなのに誠に残念である。 私も本日の公開練習で始めて選手団を近くに観たが、練習会場に音楽が流れ明るい国民性の選手達に直接頑張ってと伝えることが出来ないもどかしさを感じることにもなった。選手は木更津市をどの様に記憶してくれ、今後に繋がるのだろうかとも考えていた。 開会して柔道を皮切りに多くのメダルが日本にもたらされ、報道がその選手の物語を伝えるモードに移行することで、現在の醒めた感情も盛り上がり始め、閉会式には「感動の日々を有り難う」という気持ちになっていることだろう。 ナイジェリアの選手が表彰台に上がることも自分のことのように嬉しく思うオリンピックであれば、会場に行けなくても日本で開催した意義はあると思う。特に木更津総合高校の居ない甲子園よりオリンピックへの意識は高くなると個人的には思っている。 既に幾つかの予選は開始されている。始まった以上は素晴らしい大会になることと、期間中の感染爆発及び医療の逼迫が生じないことを願いながら、9月5日のパラリンピック閉会式までの日々を過ごそうと思う。 |