亀山ダムを調べる | ||||||
2021/11/11記 | ||||||
今月2日に開催されたかずさ水道広域連合企業団議会の事業運営懇話会で亀山ダムの堆砂が増えて対策が必要になっていると亀山ダム管理事務所の職員から報告を受けた。 上図で黄色に着色している箇所が5〜10mの堆積が観られる場所で、小櫃川本流が流れ込む上流部に多い。 対策費の54.1%をかずさ水道広域連合企業団が負担する協定が結ばれているため、仮に毎年6億円の対策を継続する場合は水道が3億2460万円、千葉県が2億7540万円を支払うことになる。この額を4市の人口である32万人で割ると1014円となり、4人世帯では年間4千円の支出が増えることになる。 かずさ水道は県営水道にも水を売却しているので全額を四市住民だけで負担するわけでは無く企業等の大口需要者の負担が多くなる料金体制なので負担は少なくなると思うが、対策の内容によっては事業費はもっと多くなるかも知れない。 さらに千葉県も45.9%を負担するため、その費用を捻出するために県が行う河川管理や県道維持といった予算が削減される可能性もある。管理事務所は崖の保護工事が浚渫より安いと案を示したが、本当に対策が必要なのか現場を見なければと考えていた。 ダム周辺の細い道を走ることを考えると自転車が便利だと考えたところで、JR久留里線活性化協議会と久留里線活性化プロジェクト実行委員会が主催し、きさらづDMOが運営する「さいくるり」が思いついた。昨年のきさらいどが久留里沿線に拡張されたもので、開催期間は10月30日から11月28日である。1500円でパスを購入して使用方法を見ると久留里線の利用とレンタサイクルを推奨している。亀山にも2箇所の参加店舗があるので、今回はこれを利用して調査しようと考えた。 しかし時刻表を見ると久留里以南のダイヤが極めて薄く、上総亀山駅まで行く列車は木更津駅7:24の次は13:01になってしまい充分な調査時間が確保できない。仕方ないので久留里から走ることにして観光交流センターに予約を入れた。 10日は良く晴れた日で、9:16の列車に乗り10:03に終点の久留里駅に到着する。3時間以上利用する予定なので1日料金1500円を払う。ママチャリであるが電動アシストが付いておりヘルメットも貸してくれた。2日に入手したダムのパンフレットの地図を持って出発した。 南風が強い国道410号線を走り湖畔亭に着くと菊まつりが開催中であったが店は定休日であった。アイスを食べ損ねたと考えながら先に進み長崎橋、岩の上橋、折木沢橋などを回って堆積状況を確認すると、折木沢橋の下には砂州が出来ていた。 ダムの容量を確保するためこの砂州を浚渫するか崖が崩れて埋めないように法枠工で崖を抑えるというのが管理事務所の案なのだが、私はこの砂州を容認し、さらに堆積が進んだ場合は砂州の上へ浚渫土砂を積み、新たな平場を造れば良いのではと考える。 その前段としてダムの利水容量のうち800万m3の上水道の権利が今後の人口推計や節水型社会の中で妥当なのか検証する必要がある。仮に600万m3で済むもので有れば令和6年度までに計画している緊急浚渫事業が不要になるだけでなく、毎年4万7千m3と言われる堆積が進んでも数十年は対応しなくて済むように成るし、洪水対策容量を増やすことも可能になる。 次に、現在の堆積量約214万m3は圧密脱水した場合にどれ程量が減るのかという点も検証が必要だと思う。粘土分が多い土は含水量が多く、乾燥させて締め固めれば大きく減ると思うのだ。 折木沢橋の下流に張られた「崖付近釣り禁止」のロープから滝原公園まで適正な河道を残して周辺地盤と同じ高さまで盛ってしまえばより長期間ダムが利用でき、また土の運搬距離が短いので単価も安くなり、工事費が減れば水道料金も安く済むと考える。 新たに造成された土地はキャンプ場に使うのも良いが、長期間に渡って沈下が続くと予想されるので建築物は造れない。腐葉土が多ければ農地として使用する人を都会に向けて募集するのも一つの考え方だと思う。 貯砂ダムを滝原公園から続く遊歩道を自転車で見に行こうとしたが川沿いの遊歩道が立入禁止と成っていた。そう言えば管理事務所の示した崖の崩壊事例がこの区間だと気が着く。満水時に沈むエリアの崖は河川管理の県でなくてダム管理事務所の責務なのか疑問である。 結局、遊歩道で行けないために国道に戻り、釜生橋を渡って上流側から辿り着くと見学用のスペースも設けられており、荒い土砂が溜まっていた。この様に施工費の少ない方法で土砂をダムの手前で停める方法は流入する他の沢に有っても良いかと思う。 亀山ダムによって砂の供給が止まったダムから下流では河床が浸食されている可能性もあり、第二放流バルブを使って計画的に砂を下流に流すことも検証する必要があるだろう。 ダムを見ているうちに12時を回ってしまったので亀山温泉ホテルで親子丼を昼食に食べようと考えたのだが、着いてみるとまさかの休館であった。追い風を背に急いで久留里に戻りチケットで引き換えられるアイスを食べ、チケットで300円引きになるタイラーメンを食べ、柿ようかんを引き換え、もみじパンを購入して14:48の列車で木更津に戻った。 |
||||||
|
||||||
写真は今回の「さいくるり」で回ってシールを貰った店であり、亀山の2箇所が休みであったために全て久留里駅の周辺である。君津市久留里観光交流センターもシール配布場所なのであるがレンタサイクルは対象でなく、チケットで引き換えられる水は荷物になるので受け取らなかった。 亀山調査が終わったので次は袖ケ浦市と木更津市のポイントを回ろうと思いながら今回の記載を終える。 ※以下は12月1日追記 この記事を読んだ君津市議会の下田市議から国の7割支援があるのではという指摘が有った。具体的な補助率や補助対象となる事業については今後調査だが、この様に近隣市の議員が情報を共有しあうことは地域住民のためになる行為である。 以下はNHKの報道を抜粋したものである。 |
||||||
道府県が管理する治水を目的としたダムのおよそ1割にあたる全国42のダムで、土砂が許容量を超えて堆積し、洪水を防ぐ機能が低下しているおそれがあることが国の調査でわかりました。このため総務省は、自治体が土砂を取り除く事業に新たに財政支援を行う方針を固めました。 治水を目的とするダムには、河川などから流れ込む土砂の堆積に許容量が設定されていますが、国土交通省が、全国に431ある道府県が管理するダムを調べたところ、平成29年度末の時点でおよそ1割にあたる42のダムで、許容量を超える土砂が積もっていることがわかりました。 近年、記録的な大雨による被害が相次いでいる中、これらのダムは、洪水を防ぐ機能が低下しているおそれがあることから、国は、自治体に対し、土砂を取り除くなど対策を進めるよう求めていますが、財政的な負担が重く、十分に進んでいません。 このため、総務省は、来年度から、土砂を取り除く事業を行った自治体に対し、その費用の7割を補助する方針を固めました。補助は、治水目的のダムに加えて、河川や砂防ダムなどでの事業も対象にするということです。 総務省は、「ダムが、きちんと想定通りの治水機能を果たせるよう整備しておくことは大事な防災対策の1つだ。各自治体で早急に対策を進めてもらいたい」と話しています。 平成29年度末時点で、ダム底に許容量を超える土砂の堆積が確認されたのは、42のダムで、千葉県からは養老川の高滝ダムと小櫃川の亀山ダムが含まれています。 |