債権一元化を思う
2023/10/20記
 前定例会で実施された決算審査特別委員会で私は債権管理の一元化をテーマの一つに掲げて審査を行った。同様に特別委員会の委員であった田中議員が市税の滞納繰越額の推移について取りまとめていただいた資料では、市税の滞納については平成25年から収税対策室が設けられ、平成27年度(2015年度)から副市長を本部長に据えた対策本部が置かれた結果、調停額が一気に下がっている事が明確に示されていた。そのグラフは解りやすいものであったのでデータを借用して私のHP用にグラフを作成したものが下図である。縦軸の単位は億円である。
 
  
 1992年まで遡ってデータを整理した田中議員には敬意を示すとともにデータを送っていただき感謝する。ともあれ、この様に収税対策室が取り組んでいる市税等の収入未済額は2000年に最大となる31億77百万円まで上昇したものが2022年には7億33百万円まで圧縮されるなど、差し押さえが可能な「公債権」については効果が明快に生じている。一方、収税対策が所管していない市営住宅使用料や給食費など、裁判等の民事的手続きを必要とする「私債権」について決算審査で確認したところ、法的手続き等の対策を行って金額を減らしている課も見られたものの全体的には進んでいるとは感じられない。監査委員からも収入未済額が多いことが指摘されており、私も決算審査特別委員会における賛成討論で下記のように発言させていただいた(元原稿から引用しているので実際の発言とは若干異なると思う)。
 
 私からは 議案第75号「令和4年度歳入歳出決算の認定」及び議案86号「令和4年度下水道事業決算の認定」について賛成の立場から討論させて頂きます。
 令和4年度一般会計予算は骨格予算で編成され、肉付け予算編成だけにとどまらず感染症対策や諸物価高騰に伴う経済対策など8回の補正予算を経て決算に至りました。社会状況の変化に翻弄される中、市民生活の向上や地域経済の維持などに尽力された職員の皆様には改めて敬意を表します。また感染症も収束に向かう中、アクアラインマラソンを始め多くのイベントも帰ってまいりました。その様な状況の中、職員の残業時間や長期休職中の職員も前年度より増加しております。連日残業を強いてきた決算審査特別委員会としても心苦しいのですが、職員が心身ともに健康な状況に成るよう、市役所を上げた対策が望まれます。
 令和4年度中の事業については、3日間、約24時間に及ぶ審査の中で住民福祉の向上に向けた適切な対策がとられてきたことを確認いたしました。ただし、公債権、私債権の双方とも多くの収入未済が生じており、特に滞納繰越については効率的な事務執行のため債権一元化の取組が必要だと考えます。
 また、多くの事業で3月議会での補正予算を行ったにもかかわらず多額の不用額が発生しており一般会計でも23億3千万円に達し、その結果、財政調整基金への繰り入れが増加し令和4年度末の全基金残高は120億2千万円と成りました。多くの市民要望に応えきれていない中、不用額を精査して予算を捻出し、3月議会の補正を経て、年度末に多くの事業を開始することで業務全体の平準化も図れます。会計年度の単年度主義の原則とは離れますが、今後検討を進めていただく事をお願いいたします。
 渡辺市長が本市独自の事業としてして進めているパークベイプロジェクトやアクアコインについて県内外より注目を集め視察も多く訪れております。色々な意見はありますが、市民のためにしっかり進めていただきたいと願います。
 下水道事業会計についても適切に処理されていることは確認いたしましたが現在、一般会計で処理している東清団地のコミュニティプラントについては既設下水道管への接続を行い、下水編入を行うことで効率的な運営が可能になると思います。長期的展望の中で検討していただきますことをお願いいたします。
 決算は認定行為であり、必ずしも議会の認定を必要としませんが、今回の委員会で出された前向きな提案や改善を令和6年度の予算編成に活かしていただくよう希望し、私からの賛成討論と致します。
 
 私が議員になったのは2007年であり、前出のグラフではバブル崩壊に伴う不景気が深刻になり滞納額が増加しつつある時期であった。そこで同期の議員を誘い債権一元化の取組を進めていた船橋市を視察して勉強することにした。2010年5月18日の事なので、既に13年と5ヶ月が過ぎており、私も一般質問で債権管理の一元化を取り上げたのは2013年6月定例会が最後になっているので、既に10年以上この話題に触れていない。そのためか、期数の少ない議員には現状に何の問題があり、一元化で何の効果が想定されるのか解っていない空回り感を決算審査で感じていた。
 
 収税対策室が設置されてから11年目となった事もあり、12月定例議会で久々に債権一元化を質問しようと考え、昨日市長公室と初回打合せを行ったが、そもそも私も10年ぶりなので多くのことを忘れているように感じている。質問を通じて改めて勉強せねばと考えながら、今回の記載とする。