久留里線を調べる
2026/02/20記
 4年前にも書いたが全線でも僅か32.2kmに過ぎない久留里線の収支を久留里以南と以北で区分し、久留里〜上総亀山間の収支が悪いと発表され、JR東日本と千葉県及び君津市が協議を続けた結果、今月17日に廃止に向けた手続きに入ることが発表された。
 主な約束事項は以下の通りである。
 
JR東日本は、君津市が運営、運行する自動車交通の18年間分の費用として、20億円を拠出する。
JR東日本は、地域貢献として以下の取組みを行う。
久留里駅の交通結節点整備および松丘・亀山地区の交通拠点整備
バス停留所環境整備
乗換案内用デジタルサイネージ整備
地域イベントに合わせた代替輸送支援
上記の他、久留里線沿線の観光振興など、地域活性化に資する取組みを計画的に行う。
JR東日本は、廃止予定区間の土地や資産について、廃止日以降も適切に管理する。
 
 JR東日本は来月上旬に国土交通省に廃止を届け出て、新聞報道では2027年4月1日付で廃止となる見通しと記載されているが、個人的には来年春に実施されるダイヤ改正と同時に運行は停止されるものと考えている。
 なお、JR東日本の管内で廃線となるものは、東日本大震災の津波で被災してBRTに変更となった気仙沼線・大船渡線を除けば初めてのことである。これを契機に津軽線の中小国〜三厩のような盲腸線の先端部の切り捨てが始まるように私は感じている。
 
 一部区間の廃止が近づいている久留里線の歴史を調べ、一覧表に整理したものが下表である。
日付 トピックス 設置駅
1912/12/28 木更津-久留里間が開業 清川、
中川、
馬来田、
小櫃、
久留里
1915/07/01 中川駅が横田駅に改称 [※横田]
1921/07/10 小櫃〜久留里間に新駅設置 俵田
1923/09/01 清川駅が上総清川駅に改称 [※上総清川]
1936/03/25 久留里-上総亀山間が開業 平山、
上総松丘、
上総亀山
1937/04/20 上総清川〜小櫃間に3駅設置 東横田、
下郡、
上総山本
1956/04/01 上総山本駅を廃止
1961/03/01 木更津〜上総清川間に新駅設置 祇園
1978/10/02 横田〜馬来田間に新駅設置 東清川※
2027/04/01 久留里-上総亀山間を廃止(?)
 
 久留里線としては113年を超える歴史があるが、久留里〜上総亀山間は来月25日に開業90周辺となる。東清川駅は臨時停車場として設置されて48年であるが「駅」に昇格したのは日本国有鉄道からJR東日本に移行された1987年4月1日の事なので、歴史はまだ39年も経っていない。今回調べて「上総山本駅」という廃止された駅があることも知った。
 
 久留里-上総亀山間の廃止に伴いJRバス関東がバス代行運転を行うと聞いている。この区間には日東交通及び相互乗り入れを行う京成バスによる「アクシー号」が運行されており、東京駅へ直行できるだけでなく金田バスターミナルで乗り換えることで羽田空港や横浜などへも容易に移動できるので交通の便は悪くない。久留里線の代行バスは住み分けるように公共施設や学校などを経由するようにしてコミュニティバスのような生活圏での利便性を求めるものになるだろう。輸送量が少なく成ると思うが現在の平日上り9本、下り7本を維持しながら18年間で20億円に収めることが出来るのか気になる所である。最大収容量も大型バスでなくワンボックスカーでも大丈夫そうなのでダウンサイジングは進むだろうが、それらは君津市の問題なので追及しない。
 
 上記の約束項目には記載されていないが久留里〜上総亀山の廃止と同じころに木更津〜久留里間の全駅でSuicaが利用可能になる予定だとも聞く。駅舎らしいものが小さな東清川駅や下郡駅等にも巌根駅に設置されているような簡易改札機が設置されるということで、これはJR東日本が負担するのであろうから、いよいよ巌根駅では市が負担していることが馬鹿らしくなる。
 なお、久留里線はJR線のうち、東京駅から最も近いSuica未対応路線であったので、それを解決するだけだと考えれば理解できなくもない。しかしそう考えれば東京駅から100km以内の近郊距離切符で来れる路線が距離の利点を活用できなかったということに成り、他に方法が有ったように思う。
 
 廃止されても線路や駅舎は残る。前述の約束では、それらの維持管理をJR東日本が追うことに成るが、例えば岐阜県北部の神岡鉄道跡地での「レールマウンテンバイク」や群馬県で八ッ場ダム工事で移設されて残った旧線路を利用した「アガッタン」のように地域が主体となって観光利用を進めている事例は多い。東京から近い地の利をどの様に活かすのかも気になる所である。平山駅は焼きそばの聖地にするなど考えると楽しくなりそうだが、それも君津市の問題である。
 木更津市で久留里線を盛り上げるものと言えばJR東日本が企画物として販売したような「木更津駅構内では昭和初期製の木造検修庫内や千葉県内唯一の転車台、車両屋根上を見学」という非日常的な体験を定期的に行えるようにすることが望ましいだろう。
 しかし、何より上総清川駅南口の開設とか、欲を言えば長須賀新駅なども開設され、東清川駅周辺の開発も進み、沿線が活性化して残った区間の利用が増えることで、二度と廃止の話が出ないことを希望しながら備忘録として整理した。