64.10月上旬の活動記録
1日は個人的な仕事を片づけた後、11時よりエルシオン木更津で開催された『一般財団法人木更津市水道サービスセンター並びに木更津市管工事業協同組合創立40周年記念式典並びに祝賀会』
に行政視察中の滝口議長の代理として出席する。挨拶の中で老朽管による有収率の低さや四市水道事業の統合に向かう中での業界の環境変化を話したところ、祝賀会の中で県の関係者から質問責めに遭ってしまった。前から議会で重要なテーマとして取り上げてきたので他の議員より詳しい自負はあったが細部の説明が出来なかったことがもどかしかった。祝賀会では木更津の誇る芸者衆がお祝いの歌や舞を披露してくれたが、文化財として残す手法は無いだろうかと考えてみていた。
2日は午前中に市役所で公務を処理し、午後から市原に移動し17年前に都市整備公団(現都市再生機構)の元で建設に携わった「ちはら台」と「おゆみ野」を見に行く。住宅が増え植裁も大きくなり街は成熟してきているが、タイル舗装の穴の復旧などが気になった。詳細は
別途記載
する。
3日の午前中は木更津市郷土博物館「金のすず」で翌日から開催される特別展「みなとまち木更津400年」の内覧会に出席する。見応えのあるジオラマも有ったが条例により撮影が出来ないので入口の幟だけ添付する。
前にも書いた事
であるがSNSによる広告効果を活用できない現状は見直すべきだろう。
午後からは市内で諸般の打合せを行い、夕方からは同じホテルで同じ時間帯に開催される『農業委員会OB会』と『市役所君津高校会』の双方に出席する。君津高校会では138人の職員が同窓だと知らずにいた事が解る。議会では先輩に失礼な事を言っていたと反省した。
4日は午後から来月15日に矢那川で植える彼岸花の球根採取を市民まちづくり塾のスタッフと供に行い、その後翌朝に予定される法人会主催の巌根駅前花壇の花植え作業の打合せに顔を出す。
事前に『イワネ』の文字だけは役員によって植裁され、翌日は多くの子供を含め、76人が集合する予定だと説明があった。それだけの人数なら瞬時に終わりそうな気がするが全員で記念写真を撮ると地域の一体感が出るので良いかなと思う。心配なのは近づく台風18号で、朝だけでも持ってもらいたいと皆で願う。
5日は心配していたとおり、朝から雨である。8時前に巌根駅に集合し、中止を聞いていない人達が集まる可能性があったので暫く待機する。花は岩根3丁目の町内で植えていただくこととなりこの日は解散する。
直ぐに自宅に戻り江川区長と供に陸上自衛隊の航空祭記念式典に向かう。雨天の場合は格納庫の中で式典が実施されることになるが、飛行展示は台風接近の悪天候の中で見事に実施された。
記念祝賀会の席で自衛隊の方に御嶽で活躍している部隊は木更津から向かっているのではないかと聞いたところ、長野県を所管する部隊は群馬県榛東村の相馬原駐屯地であり、そこが対応できない場合は木更津から応援に行くとのことであった。
この日は夕方の16:15に大雨洪水注意情報が発令され、17:00に市役所に警戒配備体制が敷かれるとともに公民館等が自主避難場所として解放されるなど、台風18号に向けた対策が進められ、地元でも消防団が台風待機に入った。私は何処にも所属することなく、自宅で報道に目を凝らしていた。
6日は台風接近の強風の音で目が覚め、午前中は自宅で台風待機をしながらHPの更新作業等を行う。この日の午前中に予定されていた木更津活性化特別委員会のイオン視察、経済環境常任委員会の行政視察及び議会広報委員会は全て中止となった事の案内が届く。市役所は災害対策本部を7:30に設置した。朝8時現在で避難所に自主避難した者は22名であり、一時はどうなるかと思った強風も昼前には弱まり、夕方までに把握された台風による被害者は自転車で転倒した軽傷者1名だけで、市営住宅に被害は出たようだが河川や崖等には被害が無く、17:15に対策本部は解散された。私も午後3時過ぎに市役所に行き事務を処理して帰宅すると夕焼けが綺麗だったので江川海岸に立ち寄った。
7日は午前中に事務所や自宅の片付けを行い、午後から市役所で事務処理を行う。夕方は帰りがけに巌根駅の花壇を見に行く。少し前に植え終わった花を写真に収めて帰宅する。夜は翌日からの行政視察の準備を済ませ、HPの更新をしていたら日付が変わっていた。明日の飛行機は眠れそうである。
8日は朝8時に木更津駅に集合し、建設常任委員会の行政視察に出発する。先月より電波を発しない機器の機内使用が国土交通省より緩和されたため、離陸直後の撮影が可能と成ったことが嬉しく写真を撮り続ける。暫くして噴煙を上げる御嶽山なども見られ、窓の風景に満足している内に佐賀空港に到着した。
空港の周辺に「オスプレイ配備反対」という看板でも立っているかと思ったが、シャトルバスの運転手に聞くと県庁周辺で反対運動は見られるが空港周辺住民は冷静だと聞く。木更津でも25日に反対運動を行うと宣伝カーが走っているが、集まる人は本当に地元の人だろうかと思っている内に嬉野市に到着し、嬉野支所で議長と副市長の歓迎を受けて初日の行政視察が始まった。
1.
佐賀県嬉野市
市制施行 平成18年1月1日
人口 27,805人(平成26年3月31日現在)
面積 126.51km2
平成26年度一般会計予算額 114億98百万円
財政力指数 0.378 (平成24年度)
視察項目
屋根付多目的広場「みゆきドーム」について
渡辺市長の公約の一つに子供や高齢者が雨の時も体を動かせる屋根付多目的広場の設置が挙げられていた。吾妻公園の再整備を念頭に置いているものと思われるが、具体例として最近建設されたものを探したところ「みゆきドーム」を発見し、建設の経過や予算等を把握し、実物を見ようと考えたのである。
嬉野市は面積42.4haの総合運動公園を所有し、サッカー場や野球場、テニスコート等を備え、市民の体力向上だけでなく大学等のキャンプ誘致によって温泉街の活性化を図ろうと計画している。ソフトバンクホークスの本多選手が冬季の自主トレを行う中で、天候に関係なく練習できる広場が欲しいという話になり、公園の敷地の一部に50m×50mの規模で建設されたものである。両端の天井高さは7.0mで、中央における最大高さは13.5mとなる立体トラス構造の屋根に東京ドームと同じような幕材が張られ、イベントにも使用できるよう6.0m×30.9mのステージ部分が北側に張り出されている。名称は天皇陛下が植樹祭に訪れた事で運動公園に「みゆき」(御幸)の名を付けたことに由来する。
ボール等が飛び出ないよう、全面にネットが張られ、照明と放送設備が備えられ、床は木更津第三中学校と同じ真砂土によるクレイ舗装である。トイレ・シャワー・ロッカー・倉庫機能を備えた付属棟が傍らにあり、総事業費(設計・調査・工事監理・工事)は3億280万円で、半額は社会資本整備総合交付金である。
工期は平成23年9月15日から翌年の9月28日と、ほぼ1年であり、地元建設会社がJVを組んで施行したが立体トラスには手こずったようだ。照明機器は昇降機能が無く、電球交換の場合は高所作業を中に入れて作業するとのことで、ネットもその部分が開くように工夫されていた。基礎構造を聞くと、杭と地中張りが施工されていると聞き、これで3億円は安価だと私が言ったところ、嬉野市議会では高いと批判されていると返答があった。参考に「みゆきドーム」の面積は2,685uであり、9月議会で承認した祇園小学校体育館は1,273uで工事費が3億5316万円であった。設計や調査を含まなくてもu当たりで2.53倍の単価であるので感覚的に安いと思ってしまうのだろう。
中に入ると広さに感動する。時間制なので1日に4団体が予約する事もあり、実績一覧に目を通すと少年サッカーや少年野球よりグランドゴルフが目につく。屋外施設と併せて雨天対応の押さえも多く、予約されても使用されない日が有り、空いているのに何故使えないといった苦情が出る事も有るようだ。
平成25年度の年間利用日数は264日で18,488人が利用し、約44万円の使用料収入が上がっている。使用料は高校生以下では時間当たり250円、大学生以上では500円となる。これとは別に夜間や雨天時は照明料200円を徴収している。それでも50人で使えば1人あたり14円という安さだ。議会でも値上げをという話は出ているようだ。管理経費は個別計算で無く42.4haの総合運動公園全体で2,059万円と、こちらも格安である。労務単価差だけでは説明できない何かが有りそうだ。視察に同行した市街地整備課長に内訳表を貰っていこうかと話すが、別途事務的に入手するという話なので、今後の公園管理は安くなるかも知れない。
視察を終えて、この日は嬉野市内に宿泊する。街中を散策しながら「みゆきドーム」の評判を聞くと市外の高齢者がグランドゴルフを楽しむ施設に大金を注ぎ込んだと手厳しい評価もあった。なかなか難しいものだと思いながら初日の視察は終了する。
9日は9時半にホテルを出発。長崎新幹線が開業した場合は嬉野に駅も出来るが今は鉄道の無い街なので、長崎本線の肥前鹿島駅までタクシーで行く。特急と快速を乗り継ぎJR久留米駅に付くと新幹線開業で新しくなっていた。東口の正式名称が「まちなか口」で、木更津駅も西口を「港口」にすべきと思った。
議会事務局が迎えに回していただいたマイクロバスは市の車なのだろうが観光地の風景と「くるめ」という文字が入っていたが「市」の文字が無かった点がお洒落だった。到着した市役所は20階建ての高層ビルで、その19階にある議会部局で研修を始める。
2.
福岡県久留米市
市制施行 明治22年4月1日
人口 305,214人(平成26年4月1日現在)
面積 229.84km2
平成26年度一般会計予算額 1,346億4千万円
財政力指数 0.615 (平成24年度)
視察項目
優良建築物整備事業等について
木更津市の中心市街と言われる西口旧市街では商業店舗の閉鎖や人口の流失が続き、高齢化率も富士見や新田では40%を越えた町内も有る。渡辺市長も中心市街地の活性化を公約に挙げているが、その為には多面的展開を実践している自治体の実例を知ろうとして、平成20年3月12日に内閣総理大臣より「久留米市中心市街地活性化基本計画」が承認され、本年3月28日に第2期計画の承認を得た久留米市を訪ねた。
最初に上位計画である中心市街地活性化基本計画の概要についてパワーポイントを使って説明していただく。市街地の整備改善・都市福利施設を促進・街なか居住を促進・商業の活計化・公共交通の利用促進という観点から公共が行う事業と民間が行う事業を選定し、多くの事業が展開されていた。
この中で、老朽化した木造住宅密集地区で民間事業者が再開発を進める事を促進する為に行っているのが今回の視察項目である。メリットは最大で国から1/3、市が1/3の補助を出すことが可能となって事業の採算性が向上し、事業化が進むことである。事業は民間により進められるが、市も勉強会等の協議会運営に助成を行うなどバックアップを行っている。新幹線開業で福岡市のベッドタウンに成った事もあり、中心市街地のマンションの売れ行きは好調のようだ。周辺地区では撤退した商業施設の跡地に1,509席のホールや屋根付き広場を備えたシティプラザを建設し、同様に撤退した大規模商業施設ビルを活用して図書館や子育て活動スペース等の公共施設を入れるなど活性化を図っている。これにより平成20年には26.8%も有った空き店舗率が平成25年には17.0%まで改善された。説明後には交付制度の問題や福祉対策等の質疑を行い、時間が押したので久留米市役所での視察を終える。西鉄久留米駅前のホテルに到着後、現地を見るため商店街を歩いて調査する。
大規模建設だけでなく街中ギャラリーや街角キャンパスなど小規模な仕掛けも数多く設けられている事には感心する。それでも商業施設を入れる予定だったマンションは「テナント募集中」の張り紙が出され、ビルの谷間には数店舗が取り残されるなど問題点も多く抱えている事が解る状況だった。
日没後まで歩き続け、久留米のB級グルメである焼鳥屋に入り、麦酒を片手に議員と職員が施策を熱く議論した。遠方での行政視察はこの様な効果が発揮できる事が魅力である。
10日は8時半にホテルを出発し新幹線で博多に移動。前日の特急もそうであるが、乗車区間距離が100km以下なので普通列車を使うことが内規に有り、新幹線や特急の追加料金は自己負担である。博多駅からはジャンボタクシーで海の中道にある福岡地区水道企業団の海水淡水化センターに到着する。
3.
福岡県福岡市(福岡地区水道企業団)
自治体の視察ではないので市の概要は省略
視察項目
海水淡水化施設(まみずピア)について
福岡県北部は河川に恵まれず渇水が頻発していた。そこで9市8町から成る水道企業団は安定した水源を確保するため約408億円の事業費で日本最大の海水淡水化施設を建設し平成17年6月より日最大5万トンを供給できる施設を供用した。なお現在の世界最大はアルジェリアにある日50万トンの施設らしい。
浸透膜に8.3MPaという、水深では840mに相当する高い圧力をかけることで海水から淡水を得る「逆浸透法」が採用され、その圧力を作り出すために大きな電力を必要とするようだ。その為に筑後川からの導水を処理して水を得る場合に比べおよそ2倍の単価に成るという事である。取水も直接ではなく海底の砂に埋設させた多孔管から得る事で水質も向上するとか、真水を取り除いた濃縮海水を下水の処理水と混合して排出することで環境負荷を減らすことなど、設計ノウハウに感心させられた。
木更津には小櫃川という安定水源があるのに何故、海水淡水化施設を視察するのかと疑問に思う同僚議員も居たが、河川に毒物が流れた場合の保険や、人口増加や地球温暖化に伴う環境変化による水不足も想定されることから、知識として施設を勉強したいという私の要望が叶えられた視察であった。
木更津に直ぐ淡水化施設を設ける必要性は低いが、四市の水道事業の統合で財政規模が大きくなったら選択肢の一つにはしても良いかと思う。なお最新の浸透膜は品質の向上で少ない圧力差で対応できるため、消費電力は少なくなり、単価差は減少しているようである。
視察を終えて福岡空港から午後の飛行機で木更津に帰る。早い時間であったが街中で夕食を取って帰ろうと考えたのが間違いの元で、偶然に出会った知人達と遅くまで飲んでしまい、視察報告をまとめる時間が無くなってしまった。
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2014年10月中旬の記録