29.10月中旬の活動記録
 11日は10時から議会基本条例策定特別委員会が開催され、28条から成る原案の原案を提示され、まずその前文についての意見を交換した。格調高い意見にすることや簡素な文が望まし等様々に意見が出され来月14日に開催される次回委員会で議論することと、来週の17日に市原市と四街道市を視察する事を決めて委員会は終了した。次いで19日開催の総務常任委員会協議会に向けて委員長として各部からレクを受けつつ準備すべき資料の内容について指示を行う。
 昼食を食べながら羅針盤の会派会議を行い、会派要望の読み合わせや新年の行政視察等について調整する。午後1時半からは9月議会の陳情者に対して今後の展開を説明するなど、夕方近くまで駅前庁舎で仕事を続け、帰宅してから急いで荷造りを行った。
 
 12日から総務常任委員会の行政視察である。初日はバスで埼玉県まで行き、高橋議員が日帰りとなることもあって参加を広く呼びかけたところ委員外議員4人と執行部から3人が参加することになり議会事務局も日帰り対応要員を含めた2人体制となり、総勢17人で行くこととなった。渋滞を念頭に置いて駅前庁舎を7:30に出発したところ8:45に到着してしまい、バスで喫茶店に乗り付け一服してからの視察となる。
 
1.埼玉県吉川市
 市制施行 平成8年4月1日
 人口 71,244人(平成28年9月1日現在の住民基本台帳登録数)
 面積 31.66km2
 平成28年度一般会計予算額 203億27百万円
 財政力指数 0.847 (平成26年度)
 視察項目 小学校の複合利用について
 吉川市美南地区はURの区画整理と武蔵野線の新駅設置に伴い急激な人口増加が生じ、小学校や公民館といった公共施設が不足する事態となった。平成14年に老朽化した吉川小学校と隣接する平沼公民館にディサービスを一体化した経験から新小学校も複合施設として平成24年に建設された。
 複合化を進めるにあたり、各課に必要とされる施設を求めたところ、生涯学習課の所管する公民館、保育幼稚園課の所管する学童保育室、子育て支援課の所管する子育て支援センター、いきいき推進課の所管する高齢者ふれあい広場が学校総務課の所管する小学校への同居を求めてきた。なお、吉川市の場合は不足を補うという計画のため統合によって削減された施設はない。小学校の専用エリアを2・3階に配置する一方で音楽室・図工室・家庭科室と屋内運動場は公民館も使用できるように設計され、3回に及ぶワークショップで廊下の幅を広くすることや理科室を1階から2階に、PTA室を3階から1階にするような変更が行われた。
 複合化のメリットとして子育て支援センターが小学校と同居することで入学前から馴染みが出て安心すること、様々な世代の施設の複合化で地域活動が活性化されること、そして財政上のメリットが生じている。光熱水費は最終的に市の会計であることより子メーターを設けず全てを小学校が処理している。
 デメリットとしては地域住民が小学校に問い合わせることや施設利用の調整等で学校の負担が増えることが挙げられたが、吉川市では平成32年開校の中学校も複合利用施設とする方針が定まっているという事である。美南小学校の会議室での説明と質議が終わった後、施設の見学をさせていただいた。
 小学生が昇降口を入ってから2階に登る点で、公民館側の窓口からの導線と交差することになるが、利用者の大多数が地域住民なので特に問題としては捉えていないようだ。学校終了後の時間には扉を閉鎖して区分するようだ。プールは3階に位置して防犯上は有利でも構造上は厳しそうだと感じていた。
 当初設計の段階から複合化することとして建設することと、既存小学校に他の施設を入れていくことでは若干状況が異なるものの、吉川市を視察したところ、学校に複合化を進めることは不可能でないばかりでなく、積極的に検討すべき事案であるように感じた。
 日帰り視察となる9人に見送られるように吉川美南駅よりJRに乗り、大宮駅で昼食を摂ってから新幹線で翌日の視察先の糸魚川市に移動する。改札を出るとデジタル掲示板で歓迎の表示がされていた。なかなか侮れないと思いながら雲の重い糸魚川市の夜を過ごした。
 
 13日は朝9時半に駅前のホテルから歩いて市役所に向かう。県知事選の候補者の選挙カーが走る中で市役所に着き視察を開始する。
 
2.新潟県糸魚川市
 市制施行 昭和29年6月1日
 人口 44,609人(平成28年9月1日現在の住民基本台帳登録数)
 面積 746.24km2
 平成28年度一般会計予算額 263億6千万円
 財政力指数 0.430 (平成26年度)
 視察項目 見える化による収納率向上について
 糸魚川市では敬遠されがちな徴収業務を「[A]明るく、[T]楽しく、[M]前向きに」というATMスローガンのもと、嫌な仕事からやりがいのある仕事へモチベーションを変更していった。数値目標を掲げ、仕事の成果が数値として現れる楽しみを前面に出し、チームとして業務に取り組んでいる。
 先進地である糸魚川市と木更津市を比較したものが下表である
項目 木更津市 糸魚川市 備考
世帯数 59,927 17,533 H28.9.1現在
収納状況 徴収部門職員数 37人 9人 嘱託職員等を含む
コンビニ納付 有り 無し
土日収納窓口 有り 無し
臨戸訪問 有り ほぼ無し
電話夜間催告 頻繁 年2回 GW前と11月下旬のみ
職員の残業 多い 少ない
収納率 市税現年分 97.7% 99.6% 平成27年度決算
市税(滞納含む) 88.2% 98.7%
国保税現年分 85.8% 97.5%
国保税(滞納含む) 54.9% 98,8%
 木更津市の世帯数は糸魚川市より多いが、徴収組織の職員数はその比率より多く、収納のための様々な手段や努力は木更津市が上回っていると思われるものの、結果が歴然と開き、同じ「市役所」を見ているとは思えない差に我が市は何をして来たのだろうと愕然とした。
 糸魚川市の特色として「市県民税」「固定資産税」「国保税」といった費目別ではなく、合算して10回の分割納付にする「集合納税」を執っている点がある。毎月一定額の納付なので手数料の少ない口座振替の割合が本市より多い。コンビニ納付は手数料が高いので導入しないと明言されていた。
 徴収方式以外にも素晴らしいのは徴収が市民課の業務であり、転出転入といった情報が稟議され、滞納者の転出が解ることに有る。滞納整理は地区割りで対処し、人間関係が有る場合は代わりの者が当たるなどチームプレイに徹しているようだ。滞納者には文書勧告→財産調査予告→最終通告→給与照会→差押予告と進み、チャンスを逃さず適切に取り立てを行っているようだ。一方、自殺対策の研修にも参加し、滞納者の良き相談相手になって生活保護等への筋道も着けるなど取り立てるだけの組織でもないことを心がけている。時効を伸ばすような少額の納付は認めず、明らかに納付が期待できない場合は不納欠損処分をしている。
 私も木更津で聞く「基本は臨戸」という考えとは別の世界感を覚えたが、視察に同行した職員は元徴収担当だったので、随分考える所が多かった視察になったようだ。駅中の巨大ジオラマやジオパークの案内などを見学して昼食を食べ新幹線で長野県に向かった。
 本来で有れば長野市に泊まりたいところではあるが、消防団操法競技全国大会が長野市で開催されているためホテルを確保することが出来ずにこの夜は通り過ぎた上田市に宿泊する。前夜の糸魚川市より人口が多くなった喜びで夜遅くまで懐かしい街を探索した。
 
 14日は北陸新幹線を長野駅まで戻り歩いて市役所に向かう。隣で旧庁舎を解体している新庁舎からは取り残されている議長席が見えていた。早めに着いたので時間調整に新議場を見させて頂いてから災害対策本部室に入り大型モニターを前に視察を開始する。
 
3.長野県長野市
 市制施行 明治30年4月1日
 人口 382,502人(平成28年9月1日現在の住民基本台帳登録数)
 面積 834.81km2
 平成28年度一般会計予算額 1,553億2千万円
 財政力指数 0.690 (平成26年度)
 視察項目 総合防災情報システム・要支援者対策について
 最初に姫路市が参考にしたという議会基本条例の簡単な説明を議会事務局から受ける。政治倫理条例を集中審議して議会基本条例より3ヶ月早く制定されているが所管事項ではないので質疑も無く視察に進む。
 総合防災情報システムは平成25年8月に公募型プロポーザル方式によってNECを選定し、約5億2千万円を費やして本年1月から稼働させたものである。災害対策本部が手作業によって情報収集及び配信をしていたものがシステム対応となり、より多くの情報を入手して自動対応するものである。
 災害名毎に区分された情報の発生から解決までが一元化されることで未解決の事案が明確になり、地図情報とリンクされることで複数の災害の面的な把握も可能となる。まだ対応実績は無いが避難所の避難者情報や支援物資の必要状況なども一元化されるので大規模災害での対応が期待される。災害時要支援者情報もこの中に取り込まれ、適宜更新されているので、誰が何処に避難したかという情報も対応可能という事である。しかし、災害時に寄せられる膨大な写真情報は人の手で適宜削除して整理しているし、そもそもシステムが稼働したばかりの現状では入力作業のため業務が多くなって簡素化されている訳ではないようだ。コンピュータは通信途絶のリスク対応でクラウド型でなくサーバー型にしており当面は全情報を残すようだが、整理方針は今後検討が必要そうだ。
 本市でも同様のシステム導入を検討中と聞く。便利になっていくように思いつつも情報入力者の範囲など運用上の課題も多そうだと思いながら長野駅に戻った。蕎麦を食べ、早めの便に変更して貰おうとみどりの窓口に行くと団体切符は2時間前でないと対応できないと言われる。快晴の中、駅の喫茶店で時間を潰してから新幹線で東京へ。アクアラインバスからは綺麗に富士山が見えたが座った方向が逆なので写真が撮れなかった事が残念に思いながら視察を終えた。荷物を片づけさっさと床に着いてしまった。
 
 15日は娘が生まれて半年の記念日なのでハーフバースデイの写真を撮りに行くことになり昼間は市内で所用を済ます。午後3時過ぎに友人が満月の海を撮りに行こうというので外房まで出かける。足元の悪い岩場を降り月と海の写真を撮影して夜9時前に帰宅し、HPに着手せず寝てしまった。
 
 16日は木更津法人会が9支部を挙げて一斉に清掃を行うことに成っており、木更津北支部は金田のアクアラインマラソンコースを担当する話は来ていたが、江川漁業共同組合の海岸清掃も同時刻に行われることとなり、私は協賛会員の法人会より組合員としての務めを果たすことにして8時から11時まで作業を行う。海中電柱の撮影に来る者が続き、前には車中泊して食事を作っていたもの有ったと組合員から聞く。
 作業終了後は、この日から離乳食に移る娘のために妻の手伝いを行った後で溜まっているHPの更新作業に移る。天気が良いので馬来田のコスモス祭りを見に行きたい所では有ったが、翌日も視察と思えば我慢して事務所で作業を続ける。深夜になったので、袖ケ浦市議会議員選挙結果をインターネットで見ると、富津では現職に吹いた逆風が袖ケ浦では新人に吹き、6人の立候補中1人しか当選できなかった事を知る。仲の良い議員達が皆戻ってきてくれたことに安堵して床に着いた。
 
 17日は朝の千葉日報にオスプレイの記事が掲載されていたが情報もなく、議会基本条例策定特別委員会の先進地視察として委員7人+議長を含む委員外議員7人+事務局2人の合計16人で予定通り9時に駅前庁舎からバスに乗り、市原市議会に到着する。
 
1.千葉県市原市議会
 市制施行 昭和38年5月1日
 人口 279,259人(平成28年9月1日現在の住民基本台帳登録数)
 面積 368.17km2
 平成28年度一般会計予算額 914億3千万円
 財政力指数 0.999 (平成26年度)
 視察項目 議会基本条例策定までの課題と現状について
 市原市議会は水野副議長と制定時のプロジェクトチームを率いていた大曽根総務委員長と鈴木建設委員長より説明していただいた。大曽根議員は15年以上前に青年会議所で知り合った旧友なので懐かしい。
 平成24年7月1日施行の市原市基本条例は前文も短く構成も13条と県内でも短い方である。中学生が読んでも解るような平易な条例と、枝葉を落とした骨格条例にしたという説明であり、一つの考え方ではある。制定から4年が経過しているが追加や条項廃止といった検討はしていないようだ。
 それより注目したのが「議会改革に関する報告書」で、過去の経緯や現在の課題が明確であり改選後の次期議員への引継書という位置付けになる。これは木更津市でも見習いたい。他にも委員会の運営に積極的に議員間討議を加える運営を検討することや予算決算の全体化等は本市でも検討すべき点が多いと感じた。議会基本条例の制定は議員の意識改革に成ると言っていたが、市原市ではそれが感じられた。
 昼食を執ってから午後の視察地である四街道市に移動する。
 
2.千葉県四街道市議会
 市制施行 昭和56年4月1日
 人口 92,129人(平成28年9月1日現在の住民基本台帳登録数)
 面積 34.52km2
 平成28年度一般会計予算額 253億1千万円
 財政力指数 0.800 (平成26年度)
 視察項目 議会基本条例策定までの課題と現状について
 四街道市議会は改選前の特別委員会委員長だった成田副議長より議場を会場にして説明したいただく。平成26年4月1日施行の四街道市議会基本条例は重厚な前文と28条から成る本文で構成され、県内でも長い方である。制定に先立ち市原市では行わなかったパブリックコメントと市民説明会を実施し91項目の意見が出されたとう事である。
 四街道市では全議員対応で年2回の議会報告会を開催しており、今月29日が5回目となる。開催後は報告会の報告書を作成し次回の報告会で配布している。毎回30人程度の出席があるようだが議会内では開催に異論も有るようだ。市原市共々倫理条例は制定されていない。これらの対応が課題のようだ。
 両市の視察を終え、ネットから条例の文章を手に入れただけでは解らないニアンスを感じることが出来たと思いながら駅前庁舎に戻る。会派室で視察の調整を行ってから帰宅した。
 
 18日は朝から事務所で溜まってしまった内業を片付け、夕方からHPの更新作業を行う。ふと外を見ると夕焼けが綺麗だったので江川海岸に行くと乗用車22台と大型バス3台が停まっていて大賑わいだった。
 写真をよく撮りに来ている久津間の方に合って話をしたが「まだ少ない方」だと言う。オスプレイの飛来の質問なども受けるが情報の無いものは答えられない。アクアラインマラソンで海ほたるに有料観覧席を設けてくれれば写真を撮りに行くのにと言っていたが面白いアイディアだと思った。
 
 19日は10時より総務常任委員会協議会を開催する。この日の議題は下表の通りである。
番号 内容(件名とは異なる) 関係部
No.1 平成28年度 防災訓練 (11月13日・中郷) 総務
No.2 使用料・手数料の見直しに係る進捗状況 都市
No.3 平成29年度 市政運営の基本的な考え方 企画
No.4 平成28年度 基本計画進行管理の結果 企画
No.5 市民憲章の改定 企画
No.6 陳情11号 國吉俊夫市議の懲罰を求める陳情 -
 No1は隔年で開催している防災訓練を中郷地区会場で行う案内だが平成26年11月16日の清川地区での訓練とは違い組織や団体が中心になる訓練でなく地域住民が自主的に対応できるような訓練を始め今後各地に広げていくとの事である。弱者への対応等多くの議員から建設的な提案があり意識の高さを感じる。No2は具体的施設を幾らにするという話ではなく来年9月議会に上程する教育委員会所管事項を除く対象施設の条例変更を12月議会で行うように進んでいるという状況や考え方の説明である。金額を事前に説明することなく議会に条例案で提案する場合修正動議などが出るのではと心配になる案件である。No3,4は略、No5は市政施行75周年となる来年に30年前に制定された市民憲章を改定しようとするものであるが誰にでも解るように難解な言葉を使わないことが求められた。これら多くの項目が21日に予定されている議員全員協議会での説明案件となるので資料が重複しないよう委員並びに傍聴議員には再配布しなくて良いことを伝える。No6は私から11日に陳情者へ説明したことを報告したもので休会して意見交換も行い会議は終了した。傍聴していた会派の議員も交えて昼食を摂った後、21日に会派要望を行うことを記者クラブに案内を出し、会派室で議会質問の準備を行って退庁する。
 夕方には保育士の募集と応募状況を聞くため請西地区に認定こども園を建設中の知人を訪ねる。柱も立ち工事は順調に進んでいるようだ(写真は完成予想図)。保育士が予想以上に集まりすぎている状況を聞くと木更津市の募集努力不足が明確に感じられ、議会質問への良い情報収集になって帰宅した。
 帰宅すると24日にオスプレイが騒音測定のために飛来し、議会も状況確認に行くことのFAXが届いていた。4月の案内より時間はあるが例によって急な話の上に情報不足であり基地対策特別委員会での事前対応が難しそうな内容なので21日に予定されている全員協議会で説明するよう担当課に指示を出しておく。
 
 20日は木更津市戦没者追悼式に知事(代理)や代議士(代理)、高橋・森両県議や多くの市議会議員を始めとした多くの方々とともに来賓として出席し献花をする。戦後71年が過ぎ遺族の世代も交代が進んでいるが、現在の日本を感謝する気持ちを忘れないよう自らも戒めたい。
 一旦帰宅して略礼服から平服に着替え、市内で所用を済ませる。次の予定まで間があったので馬来田のコスモスを見に行ったところ平日にも係わらず多くの散策者が居たものの最盛期は過ぎてしまったようだ。その後は朝日庁舎で打合せを行う等、所用を済ませて帰宅しHPを更新した。
 
 
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2016年10月下旬の記録