保育園の待機児童問題について (平成28年12月定例議会)
 議場の皆様おはようございます。会派羅針盤の近藤です。今回は与えられた時間を全て大綱一点「保育園の待機児童問題について」費やします。朝から大変細かい資料を6枚も使用させていただきますが、最後までお付き合い願います。
 日本全体で人口が縮小する中、木更津市の今後の税収と地域社会の維持、出生による人口の自然増のためには若い世帯の転入を進める政策が必要とされており、県内でも多くの自治体が積極的なプロモーションを行っております。本市は交通環境が整い、良好で安価な住宅地が多く供給された結果、多数の子育て世代が流入し、人口は転入の超過で堅調に増加し、合計特殊出生率は平成25年に県下で最高値となり現在でも上位にあります。
 この現状は喜ばしいことでありますが、近年の待機児童の増加がブレーキを掛けるのでは、と私は懸念しております。それは子育て世代が移転先を選ぶ際の重要な要素が、保育園に入園し易いか否かであるからです。本市の現状は配布資料の1に示すように、県内で4番目に待機児童の多い自治体と成っており、残念ながら「我が市にお越し頂ければ子育ては安心です」と言える状況ではありません。
 待機児童を解消する一つの手段は、子育て世代の流入を抑制することですが、それは地域の衰退を招きますので、木更津市は保育行政を進め選ばれる自治体となり成長するべきです。
要するに、現在、福祉部が所管している保育園に関する施策は単なる福祉行政に留まらず、市の成長戦略に重要な要素であるという認識で取り組む課題に他なりません。その様な前提で保育園の待機児童問題に対する対応や原因を考えながら質問を始めます。
 
 最初に、中項目1点目「待機者の措置」について小項目3点を質問します。
 待機児童を、やむなく認可外保育施設に預けている保護者に対しては、保育料の差額を助成していますが、待機児童の全てが認可外保育園に預けられている訳ではなく、ベビーシッターを頼んだり、就労を諦めて家庭内保育をしたり、時折は私立保育園が行っている一月15日以内の一時保育を利用するなど様々であると考えられますが、それらには助成も補償もありません。
 そこで、小項目1点目として、待機者への優遇措置についてお聞きいたします。行政の対応の遅れで保育園への入園が出来なくなっている現状を考えると、認可外保育施設以外で待機している保護者にも児童手当の独自加算や一時保育の優待利用制度といった優遇措置を設けるべきかと思いますが、当局のご見解を伺います。
 小項目2点目として、待機児童の広域対応についてお聞きします。
配布資料の1で近隣市の待機児童を比べると、君津市が12人、袖ケ浦市が1人で、富津市では待機が生じておりません。木更津市のみが92人と突出している状況です。さらに君津市や富津市では保育園の定員に対して実際の入園者数は200人以上も少ない状況にあります。この事は待機児童を近隣市に預ける余地が有ると考えられます。児童の保育行政を広域行政として対応する考えについて、お伺いします。
 小項目3点目として、保護者の保活の状況についてお聞きいたします。
配布資料の2は現在の入園者の階層区分別の人数です(参考:保育料の設定を考える)。資料に示すように児童は全ての所得階層で入園しています。保育料の高い高額納税者を優先すると市の収入増には寄与しますが、納税額の少ない世帯では、子供を預けて働かなければ生活に苦労する事も考えられ福祉の手を差し伸べる必要生が高まります。そこで入園の条件は納税額ではなく、保育がどの程度、困難かという観点で決められます。本市の審査基準は配布資料の3に示すとおりですが、これは県下で統一されたものでなく、各自治体の判断によるものと伺っています。都内では保育園に入園させるべく、少しでも加点されるよう、転居や偽装離婚をしていると報道されました。この様に保育園に入園させる活動、いわゆる「保活」が行き過ぎることは、防ぐべきだと思いますが本市における状況をご報告願います。
 中項目2点目「民営化の状況」について小項目2点を質問します。
 平成23年2月に請西保育園の整備方針を示すなど、これまで市は様々な対策をしてきましたが、配布資料の4の上のグラフに示すように定員を増やしても、需要がそれを上回る勢いで伸び、待機児童が増加しております。これは就学前の児童数が増えている事と、保育園への入園率が伸びている事が要因です。幼稚園と合わせた入園率の合計は本年度当初に55.6%を示し、今後も女性の社会進出が進む事で入園率の上昇が予想され、待機児童問題は当分の間、続くものと思われます。
 一方、下のグラフをご覧下さい。これは施設の充足率ですが、私立保育園では定員を超えて園児を受け入れている事に対し、市立保育園の受け入れは定員の88.3%まで低下しました。さらに配布資料の5に示すように、市立保育園は入園可能な施設最大定員の840名に対し、155人も下回る685名で現在の定員を設定しています。これは待機児童という問題だけでなく、施設の有効利用という観点でも問題です。また、弾力的運用で施設定員の120%まで増やせる事を考慮すると、市立保育園で受け入れ可能な数は840名の1.2倍である1,008人となり、本年の3月1日での園児数の合計663人に対し、施設に余裕がありながら345人分の保育を受け入れなかった事になります。
 この原因は保育士の不足ですが、民間は独自に保育士を確保し対策をしています。来春開設の認定こども園でも保育士の確保に苦労されていると思い、募集状況を聞きに行きましたが、ホームページと2回の折り込み広告だけで、市内からも多数の応募や問い合わせがあり、その多くを断ったと伺いました。
 行政では臨機応変な待遇改善が難しいためとは思いますが、私は当該データを分析した結果、保育園民営化の遅れが木更津市に待機児童問題を発生させていると判断するに至りました。つまり保育園民営化は、待機児童の解消という課題に対して最も有効な対策なのです。
 そこで、小項目1点目として、保育園民営化の現状についてお聞きします。現状を端的に述べれば、既に市立保育園に入園を叶え、民営化を嫌う保護者によって多くの待機児童が出ているように思えます。行政は入園が叶わなかった人の声を聞くべきなのです。過去の答弁では、0歳で入園した園児が卒園するまでの5年間を父兄への理解の時間として必要とするので、急な民営化は困難だとされていますが、保護者の同意が揃っている場合でも5年間が必要なのか、また極少数の民営化に反対する保護者が居た場合には、市立として残る保育園への移動をお願いするなどの処置は取れないものか、と私は考えます。
 また平成20年12月議会から、何度と無く指摘しておりますが、配布資料の7に示すように、市立保育園では園児一人当たり51,893円の一般財源負担があり、私立保育園の28,935円と 比較すると、差は22,958円となります。これに、今年度当初の市立保育園の園児数605人を乗じますと月額で約1,389万円の削減が可能と計算されますので、保育園の民営化を進める事は市の財政健全化にもつながります。
民営化については昨日、『本議会中に教育民生常任委員会協議会及び議員全員協議会で説明させていただく予定』という答弁が有りましたが、保育園の民営の経緯や現状について改めてご報告願います。
 次に、小項目2点目として、私立保育園の支援策についてお聞きいたします。民間の保育園に対して、現在でも様々な支援を行っていますが、配布資料の6に示すように、市が保育園に貸している土地は有償で貸与しています。児童福祉を担う学童保育には、無償で貸与するものが有るなど、整合が取れていませんし、公設民営の請西保育園は建物も含めて無償で貸与したうえに指定管理料を支払っております。せめて市の土地は無償として、その分、保育環境の向上や定員拡大に努めて貰うよう制度を見直すべきではと思います。また、他市では施設建設に対する利子の補助などの支援策があると聞きますが、本市では執られていない制度も多いとお聞きします。本市の私立保育園の支援策について、他市との差を含め、ご報告願います。
 中項目3点目「保育士の対策」について小項目3点を質問します。
 民営化を進める事は重要ですが、その前に、まずは市立保育園でも保育士を確保して多くの園児を預かれるようにしなければ、当面は問題が解決いたしません。保育士不足が問題になる前に人手不足が叫ばれていた職業の一つが看護士です。当地域でもその対策として君津木更津医師会が木更津看護学院を運営し、君津中央病院も付属看護学校の定員を増加するなど育成措置を進めています。幸い本市には保育士の資格を取れる清和大学短期大学部があり、毎年百名程度の卒業生を排出しています。その他にも地元の高校を卒業後、市外の短大や大学で保育士の資格を取得する人も多く、人材供給は充分であると思います。さらには育児や介護等の都合で現場を離れた者や、県南で進む就学前児童数の減少もあり、仕事に付いていない保育士が地域には多くいるものと推察されます。
 小項目1点目として、保育士確保の具体策についてお聞きします。多くの資格者が市内におり、現に私立では多くの人材を確保しているのですから、市立にも多数の応募があって良いものと思いますが、何故か保育士が確保されない状況が続いています。昨日の鈴木議員に対し、来春から経験者を優遇する採用を行うという答弁がされましたが、臨時職員を含めた、保育士確保の具体策について、ご報告願います。
 次に、小項目2点目として、待機児童数の予測値についてお聞きいたします。本年度と翌年度当初に開設する施設を配布資料の8に示しますが、施設の開設等で本年度の当初に定員が44人も増えていながら、待機児童数は前年の65人から92人に増加しました。公表される待機児童数は毎年4月1日の値ですが、年度途中で増加を続け、年度末に卒園、又は幼稚園への転出で減少するという経過を辿ります。待機児童が木更津市で始めて発生した平成23年7月以降の月別待機児童数の推移は配布資料の9に示す通りです。
 昨日も鈴木議員が本年11月1日の数値を質問されましたが、推移を経年的に見ることで問題の傾向が解ります。グラフの波形は年を追う毎に大きな変動に成り、必要な保育士の数を求めるためには、今後の待機児童数を推察することが重要となります。昨年3月の待機児童数は過去最大の279人でした。今年は定員が増えているにも係わらず前年同月比を常に上回る値で推移していますので、本年度末には300人を越えると予想されます。来春は認定こども園が開設するので若干解消されますが、全面解決に至らないことは明かです。そこで今後、新たな保育施設を建設せず、市の保育施設の定員も増やさない場合の最大待機児童数の予測値は、どの程度と見込んでいるのか、お伺いします。
 次に、小項目3点目として、今後の必要想定人数についてお聞きします。昨年3月の待機児童の内訳は、0歳児116人、1歳児85人、2歳児57人、3歳児21人です。これを保育するために必要な保育士を試算しますと、児童3人に対して保育士1人が必要な0歳児に39人、同じく6人に1人が必要な1歳児と2歳児にそれぞれ15人と10人、20人に1人が必要な3歳児には2人であり、その単純合計は66人と成ります。実際には複数の施設に分散される事や、早朝や夕刻、休暇等のローテーションを考慮すると、計算値を大きく上回る人数が必要であり、人件費は数億円の増加になると思われます。そこで、市が今後必要と想定している保育士の人数について、お伺いします。
 最後に中項目4点目「施設の必要性」について小項目3点を質問します。
 全国的な保育需要の高まりを受けて国も方針を変え、施設の整った保育園だけでなく小規模保育の制度も始まりました。企業内保育所の整備も進み、来春には認定こども園が新設される予定となっております。市立保育園の施設の余裕を最大限に活用し、弾力的に運用することで、先ほど計算したように345人分となる追加の保育も可能になります。これらによって、今後想定される保育需要が満足されるのであれば、新たな施設を建設しなくて済みます。しかし、それを上回る需要によって待機児童が生じる場合には、更に新たな施設が必要と成ります。
 そこで、小項目1点目として、東清保育園の再利用についてお聞きします。現在でも保育園に対する整備要望が、多くの市民から聞かれますが、公共施設の総量抑制を進める中で、行政が保育園を新設することは避けるべきと考えます。そこで着目すべき施設は、平成16年度末に廃園となり、現在は子育て支援センターとして活用されている旧東清保育園です。これを再利用することで新規の建設を抑制出来ます。現在の子育て支援センターの機能は、東清小学校の余裕教室の活用で対応可能と思われます。様々な障害があると思いますが、待機児童解消のため、閉園前は定員35人で運用していた旧東清保育園を再利用することは可能なのか伺います。
 次に、小項目2点目として、事業所内保育の状況についてお聞きします。配布資料の8に示す施設のうち、「木更津ぽんぽこ園」と「事業所内保育所すきっぷ」は、それぞれ木更津病院と中郷記念館に勤務する人を主な対象として設置した事業所内保育所で、定員の一部を地域枠として設けて、市民の保育事情に対応しています。これ以外にもイオンモール木更津や君津中央病院にも事業所内保育所が設置されていると聞きますが、地域枠がないので市の管轄とは成りません。このような、事業所内保育所の開設状況と、そこで保育されている児童の数、及び行政支援の概要について、ご報告願います。
 最後に、小項目3点目として、新規保育園の必要性についてお聞きします。現在新規開設に向けた動きのある施設が全て完成し、さらに仮に旧東清保育園を保育園に戻したとしても、さらに新たな保育園が必要とされる状況なのか、当局のご見解をお伺いします。併せて、来春開業予定の認定こども園以外に開園の計画があるのか伺います。
 以上で第一質問を終了します。
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 議場の皆様おはようございます。それでは近藤忍議員の大綱1「保育園の待機児童問題について」ご答弁申し上げます。
 中項目1待機者の措置についてのうち待機者への優遇措置についてでございますが、保育園入園希望者の増加により、入所判定の認定基準が、今まで以上に高くなり、入園希望の多い保育園やクラスによっては、入園が叶わず、待機児童となっている状況にございます。議員ご質問の、手当の加算や一時保育の優待利用というような制度を設けるということにつきましては、これまでの保育行政との整合を欠くことや、新たな財政負担が生じることから、これまでどおりの児童手当や一時保育制度を続けてまいりたいと考えております。
 次に待機児童の広域対応についてでございますが、広域的な保育園入園に関しては、保護者に対し、他市の保育園の情報提供を行い、市内の保育園に在園している市外居住の児童は46人、市外の保育園に在園している市内居住の児童は81人というような状況でございます。市外の保育園に入所の余裕がありましても、保護者の居住地や勤務地などにより、保護者が児童を送り迎えできる保育園が限られているため、保育園入園についての広域行政が実施できるのは隣接地域の範囲となるものと、考えているところでございます。
 続いて「保護者の保活の状況」について でございますが、入所申込みの際に、添付書類として就労証明やハローワークでの求職活動書面の提出を義務付けており、ひとり親の認定につきましては、戸籍で確認できた場合と裁判所への調停申し出書類以外は認めておらず、保護者のいづれかが転居したということでは、ひとり親とは認めないこととしているところでございます。
 続きまして、中項目2民営化の状況についてお答えいたします。
 まず保育園民営化の現状についてでございますが、民営化については、行政改革や公共施設再配置計画の取組みでもございますが、保育サービスについて子どもの最善の利益を守ることを念頭により良い保育を目指し、市立保育園と民間保育園のそれぞれのあり方や特色を活かしながら進めていきたいと考えているところでございます。本年度中に「木更津市立保育園民営化方針」を策定すべく、庁内の検討委員会を経て、諮問機関でございます「子ども子育て会議」においての審議をいただき、ご承認をいただき、その後、総合政策会議を経て、方針の素案として取りまとめたところでございます。なお、民営化の実施は基本的には5年後となりますが、児童の卒園や保護者の理解が進めば、早める保育園が出てくる場合もございます。いずれにいたしましても、意見公募手続きにより方針の素案について市民の意見を聴いていくとともに、保護者や関係者の信頼関係を築きながら、円滑に進めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に私立保育園の支援策について でございますが、保育園建設に対する利子補給については、近隣市ではまだ行っておらず、県内では千葉市および浦安市などで実施されていると聞いております。運営費の補助は国からの補助制度により、どの自治体も同様な状況であり、また、建設費の補助につきましては、本市は、国の補助基準により実施しており近隣市も同様と認識しているところでございます。民間保育園への土地の貸付につきましては、福祉施設の設置経緯により、減額や免除の扱いが異なっている状況でございますが、今後、整合をさせていくこととしております。
 続きまして、中項目3保育士の対策についてお答えいたします。
 まず、保育士確保の具体策についてでございますが、 市の職員としての保育士の採用試験については、募集定員を上回る応募がございましたが、保育園の入所希望に応えるために、市職員の保育士に加え、臨時保育士が必要であり、その確保に苦労しているところでございます。臨時保育士にも期末賃金の支給を開始し、ハローワークや大学などへ斡旋をお願いしているところでございますが、雇用の安定性から、臨時職員については積極的な斡旋をしていただけない状況にあります。大変厳しい状況でございますが、引き続き、雇用の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、待機児童数の予測値についてでございますが、本年3月の待機児童数はこれまでで最も多く279人、4月の待機児童数は92人であり、昨年4月の65人から27人増加しております。11月1日現在の待機児童数は234人で 前年同月の213人と比較すると、21人の増加となっていることから、議員ご質問の新規建設や定員増がなければ、昨年を大きく上回る待機児童数が予測されるため、対応の一つとして、認定子ども園の開設が勧められております。
 次に、今後の必要想定人数についてでございますが、待機児童の解消につきましては、市と民間の保育園とが協力して担っていくものと考えております。今後の保育園民営化の方向と合わせて、市の保育士とその雇用形態についても考えていかなければならないので、現段階において必要な保育士数を見極めるのは、難しいと考えているところでございます。
 最後に 中項目4施設の必要性について お答えいたします。
 まず、東清保育園の再利用についてでございますが、現在、社会福祉法人への業務委託契約により、子育て支援センターとして利用されているため、保育園に戻すことは難しい状況であります。更に、東清保育園を再利用する場合には、保育士の確保が必要となりますので、施設上の定員に余裕がある 吾妻保育園や久津間保育園の受け入れを増加するほうが有効と考えているところでございます。
 次に、事業所内保育の状況についてでございますが、事業所内保育所につきましては、認可外保育施設の定義に分類されるものであり、事業所内保育所によっては千葉県への届出義務がございませんので、その把握が難しくなっております。なお、市内において、認可外保育施設として届出があり運営しているのは3施設となっており、認可保育園の入所ができない児童の利用に対して助成による支援を実施しております
 最後に、新規保育園の必要性についてでございますが、新規保育園開設に関しての本市の対応につきましては、保育の必要量について「子ども子育て支援事業計画」に位置づけしており、その計画変更については「子ども子育て会議」に諮っているところでございます。本年度「子ども子育て会議」において、待機児童数の増加に伴い、保育の必要量の変更が承認され、保育事業の確保策の変更を予定していることから、新規保育園の開園が可能となっている状況でございます。新規に、平成30年度に開園を目指した保育園の事業認可手続きが進められることになりましたら、市としては、認可や財政面での支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
 私からは、以上でございます。
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁有り難うございました。それでは一問一答に移ります。待機者への優遇措置は『これまでの保育行政との整合を欠くことや、新たな財政負担が生じる』ので今まで通りにしたいとの答弁でありました。現在の待機児童数は、今までとは桁が違っている状態なので、前例踏襲という考えは改めるべきと思います。
配布資料の7に示すように、市立保育園の園児には一人当たり月額51,893円の一般税源を負担している事を考えると、入園が叶わなかった児童との間で、公平性の問題が生じていると考えます。今年度の認可外保育園補助の状況を確認しますが、補助金の最大値、補助対象者の人数及びその総額をお示し下さい。
 
 今年度の申請の中で、認可外保育所の利用最高額は月額87,500円ですが、この方の所得が第12階層だと仮定し保育料を算定しますと67,000円になり、その差額は20,500円でございますが、補助金額の上限を20,000円としているところでございます。なお、4月から9月の対象者は34名で、総額は268万9千円となっております。
 
 本年9月1日現在の待機児童数は
配布資料の9に示すように197人です。そのうちの34人が補助を受けているという答弁でした。配布資料の2に示す第12階層の高額所得者ならば保育園に預けるより月額500円の負担増で済みますが、所得税額の少ない層では本来保育料が安価なので、補助上限が2万円である限り、個人負担額が第12階層並みの高額に成ることと思われ、(認可外)保育園に預けることは困難だろうと思います。実際に平成27年度の総待機児童数を配布資料の9で4月から3月まで合算して計算すると1,929人月に成りますが、認可外保育園に預けられた児童は319人月なので16.5%しか制度の恩恵を受けておりません。安価な施設を求めると、例えば本年の7月に君津市で痛ましい死亡事故が発生したように、大きなリスクに直面することになります。そこで同様の事故を防止するため、保育園の定員が増やせるまでの間、私立保育園の多くで実施している一時保育について優待利用が出来る制度を設けるべきでは、と思いますが如何でしょうか。
 
 一時保育につきましては、実施している民間保育園への直接申し込みとなっているところですが、利用申込みが多くなっており、各保育園で受け入れを調整し、日によってはお断りをしている状況となっております。多くの待機者が優待利用者となることから、優待的利用ができない状況になる恐れがございますので、慎重にならざるを得ないとところでございます。
 

 待機児童数が一時保育を受け入れられる人数を遙かに超えて、時にはお断りしている状況であることや、待機はしていなくとも、緊急で保育を必要とする人が、その時に預けられない事態が生じる可能性も考えますと、確かに優待利用制度を設けることは難しいと理解いたしました。そうであれば、木更津市の子育て施策が本気であることを示すため、なんらかの金銭面での措置を執るべき段階に来ていると思いますので、ご検討いただきたいと思います。
 待機児童の広域対応については『保護者が児童を送り迎えできる保育園が限られているため、保育園入園についての広域行政が実施できるのは隣接地域の範囲となるものと、考えている』というような答弁でした。流山市では「流山おおたかの森駅」と「南流山駅」に「送迎保育ステーション」を設けて、保護者はそこに預ければバスで市内の保育園等に送るシステムを作っております。同様に考えますと保護者が君津や富津まで送迎するのではなく、木更津で集めた児童を行政が君津市等に送るシステムを設ければ、保護者の負担は減り、市も大量の保育士の確保をせずに待機児童を減らすことが可能となりますが、如何でしょうか。
 
 待機児童の広域対応についてでございますが、君津市や富津市において、保育士が確保されていて児童の受入定員に余裕があるのかどうか状況が明かでないということと、送迎距離や時間などに課題があるのではないかと考えているところでございます。
 

 現実的には答弁の通り、送迎時間の問題が確かに生じてくるのでは思います。それでも現在生じている膨大な待機児童を解消するためには、考えられることは検討の遡上に乗せるようお願いします。
 保護者の保活については審査が厳格なので、偽装等は難しいという事は解りましたので、市内で妙な行為は起きていないと信じます。そこでお聞きしますが
配布資料の3に示す審査の基準ですが、これは近隣市や県内で調整されているものなのか伺います。
 
 認定基準を決める際に近隣市を参考にはしておりますが、調整はしてございませんので、共通の基準と本市独自の基準がございます。 例えば待機児童が生じている状況、現在の状況でございますが、親が市内保育園で保育士として就労する場合には通常の8時間就労100点に対して150点としているところでございます。
 
 保育士の確保といった施策的な余地があることはよく解りました。それでも、自治体の制度差によって、何処の市が有利なのかと保護者が戸惑い、右往左往しないように、近隣市では一定の調整を図っていただけますよう、ご検討下さい。
 民営化について、執行部には市立保育園の入園者の保護者に対し、民営化が進まないことで多くの待機児童が生じている現状を理解していただき、出来る限り早めの民営化をする事で、待機児童問題の解決を図るよう、強く要望致します。
 私立保育園の支援策については『土地の貸付につきましては、福祉施設の設置経緯により、減額や免除の扱いが異なっているが、今後、整合をさせていく』という事なので経過を見守りたいと思いますが、行政が担うべき保育を代わりに行っていただいているという視点で対応していただきたいと思います。今後、民営化を進めるにあたり、施設の改装等の費用も生じてくると思いますが、それに要する費用補助の制度等について検討されているのか伺います。
 
 基本的には、現状での施設の譲渡を考えているため、譲渡時点での改装の費用補助は必要最小限に留めたいと考えております。建築から相当年数が経過し、大規模な改修が実施されていない保育園につきましては、譲渡後に改築に対する費用補助を検討してまいります。
 

 保育士については、臨時的任用職員の確保に苦労しているとの答弁がありました。ただ民間では正規でなくても応募があるようです。先日訪問した認定こども園では、多すぎた応募者を断る際に、木更津市も保育士を募集しているのでお問い合わせ下さい、というメッセージを添付して相手に返したとお聞きしました。有り難いことであると感じましたが、その後、市に対し問い合わせは特になかったようであります。私立保育園に人が集まるのは何かしらの魅力か待遇の差があるのではと思いますが、市立と私立の保育士の待遇の差について把握されておるでしょうか。
 
 保育士の待遇ついては、市の保育士は地方公務員として定められている給与や休暇が与えられますが、民間ではそれぞれの社会福祉法人の規定によるもので、待遇の差については明確には把握しておりません。保育士の確保に関しましては、民間保育園の場合は派遣会社への委託による保育士が勤務していることと、直接雇用の保育士については民間保育園がこれまで培ってきた特色のある保育を担うことに魅力を感じて就職されている方が多いと聞いているところでございます。
 

 解りました。それでは保育士確保のための施策を様々に考えたいと思いますので、続けて幾つかお聞きします。
 まず学生に対してですが、市立保育園に親近感を持って貰うため実習生として受け入れ、卒業後に、仮に正規職員の道がなかった場合でも、試験が受かるまでの間を臨時職員で働いてもらう様な人を増やす事で、その採用につながると思いますが、その様な取り組みはされているのでしょうか
 
 現在、市立保育園7園では、年間を通じて、平均20名程度の実習生の受入を行っております。その後、その実習生がパート職員として勤務していただいている保育園もございます。
 

 了解です。次に職場環境が良いことを示すことで応募を広げる制度を考えたいと思います。今でも現場の意見は聞いていると思いますが、開かれた保育園運営を行っていることを示し、安心して就職して貰うよう、現場の声を公開するなどの対策を考えられているでしょうか。
 
 職員採用の際に、市のホームページにおいて、先輩職員からのメッセージがみられるようになっております。保育士につきましても掲載の検討をお願いしたいと考えております。
 

 それでは3点目として、現在は保育の現場に出ていない資格者の確保をするため、千葉県社会福祉協議会福祉人材センターといった組織の活用、または南房総市や館山市といった人口減少地帯で、保育士が過剰に成っていると思われる自治体との情報交換、これらが必要と思いますが、されているでしょうか。
 
 他の自治体との情報交換は、実施していない状況でございますが、福祉人材センターにつきましては確認をしていきたいと考えております。
 

 田中部長の答弁が長く続きましたので、職員という観点から渡辺総務部長にお聞きします。臨時職員の確保が難しいのであれば、市職員である保育士の定年を一般職の職員以上に大幅に延長する事も検討されるべきと思いますが、如何でしょうか。
 
 地方公務員法におきましては、欠員の補充が困難であることを理由に条例で定めることによりまして、定年年齢を延長することが可能となっておりますが、本市では保育士の職に限っての、定年年齢の引き上げについては考えておりません。しかしながら本市に執りましても待機児童の解消は最重要課題であると認識しております。このため今後も福祉部と十分協議を重ねた上で、保育士の確保に努めて参りますが、その具体策と致しまして、今回、任期付職員の採用に関する条例を提案させていただいたところであります。
 

 確かに、今議会には任期付職員に関する議案として第73号が上程されています。事前審査となるので、これについて質問は行いませんが、上程されている任期付職員の給料表を見ますと、1級の月額15万500円から2級の19万1700円を経て、最高は8級の36万200円まで設定されております。地域手当・期末手当・勤勉手当を加味すると1級の年額は約260万円、2級は約330万円と試算されます。民間の事例を考えますと保育士は2級程度を適用されるのではと私は思います。最初の質問で本年3月に生じた最大の待機児童を解消するためには、66人の保育士が必要だと計算で示しましたが、仮に2級職を50人程採用すると仮定しまして、共済負担金も加味して一人およそ400万円となる人件費を考えますと、約2億円の事業費が増える計算となります。
配布資料の5に示すように、昨年の3月1日における市立保育園の常勤保育士数は51人であり、そこに50人もの新たな職員を採用する事は大変難しいことだと思いますが、ただ、それだけ採用したとしても待機児童者数を解消するわけではございません。このような巨額の人件費も財政上、心配するところではありますが、定員管理計画上の問題も気になります。そこで確認させていただきますが、任期付職員として採用するにあたり、定員管理がどのように成るかお伺いします。
 
 フルタイムの任期付職員につきましては、定員管理上も当然のことながらカウントいたします。 これにつきましてはフルタイムの再任用職員も同様でございます。
 

 最初の答弁で、必要な保育士数の見極めは難しいという回答がありました。保育計画はもちろん、定員管理計画のためにも、必要数を出来るだけ早く明らかにするべきですし、また、今議会において、任期付職員に関する議案第73号が可決された際には、早急に募集を行い、出来ますれば来年度当初には待機児童が生じないよう、速やかな職員採用を進めていただきますよう、ご検討願いたいと思います。
 東清保育園の再利用について伺います。市立保育園として再利用する前提であれば、確かに保育士の確保が支障になることは良く解ります。従って再利用する場合は民営化を前提とするべきです。園児の居る保育園を民営化する場合は保護者の理解が必要で5年間係りますが、旧東清保育園には現在園児がおりませんので、子育て支援センターの移転が出来たら、速やかに利用が可能と考えるのですが、如何でしょうか。
 
 旧東清保育園の子育て支援施設の移転が出来た場合に、民間保育園に利用可能かというご質問でございますが、民間保育園においても保育士の確保は厳しい状況でございます。保育士の確保を含め、新たな保育園運営を行うための民間の活力については、旧東清保育園の利用ではなく、市立保育園民営化実施における際に活用していただきたいと考えているところでございます。
 

 民間保育園も厳しい状況には、確かにあると思いますが、新規の施設を増やし、定員を越える児童を預かる等、人材確保には成功しております。私立としてなら再利用が期待されますのでご検討いただければと思います。
 事業所内保育の状況についてお聞きします。『全ての事業所内保育所が千葉県への届出義務があるものではないことから、その把握は難しい』という事でありましたが、このような事業所内保育に対する行政の負担が発生しているのか確認させていただきます。
 
 事業所内保育に地域受入分として本市児童の入所を実施していない場合には、市からの運営補助という制度は実施しておりません。
 

 運営補助がないという事は、事業所内に保育施設を設けて貰うことは待機児童の減少につながるばかりでなく、行政負担が生じないということなので、これは財政面でも大変有利な事であります。企業にとっては費用負担が重くは成りますが、その企業が人材確保をする事で有利となるというメリットも生じます。そこで、そのような事業所内保育の建設を後押しする制度を設けて、市が所管しない保育施設も増やすべきではと思いますが、その点の検討は如何でしょうか。
 
 保育を受ける環境にない児童に対しての保育を実施することが、自治体の責務となっておりますが、企業の人材確保のため事業所内の保育環境を利用され、勤務しているということでございますので、建設等の支援の対象とすることは難しいと考えております。
 

 事業所内の保育については行政の目が行き届きませんので、確かに保育の質という点で若干の懸念も有りますが、当面続くと思われます待機児童問題の解消と、市の財政負担軽減のためには、この事業所内保育の推進も有効な対策と考えられますので、是非とも、ご検討いただけますようお願いします。
 新規保育園については保育の必要量の変更が承認された結果、『平成30年度に開園を目指した保育園の事業認可手続きが進められる』という答弁でありました。市が新たに保育園を作る事が想定されているという事か、伺います。
 
 平成30年度に開園を目指した保育園については、行政が新たに保育園を建設するものではなく、民間保育園による90人規模の施設建設を想定しているところでございます。
 

 市が新たな保育施設を検討している訳ではないという事と、平成30年度には更に保育定員が増えるという事は解りました。ただ、その施設が開設されても年間を通して考えた場合は待機児童問題がまだ続くと思われますので、保育園の民営化に向けた手続きを押し進めると供に、広域行政でも取り組み、または事業所内保育の促進等、様々な施策を考え、また任期付職員の採用と市立保育園の定員を施設の最大値まで上げることで、翌年度当初からの対応を期待したいと思います。
 実は、本年の4月に私の所に娘が生まれました。現在は私の妻が育児休暇を使い育てていますが、来春より妻が職場に復帰する予定に伴い、我が家も保育園に預ける事を検討し、過日申込をして参りました。私の娘が保育園に入園したがために、誰かの子供が待機児童になるという事は心苦しい限りであります。市政に携わるものとして、その様な状況を解決しなければと思い、今回の質問を致しました。
 そして、本市の保育行政が画期的に前進し「オーガニックな木更津市」で子育てを希望する多くの人達が本市への移住を検討するような街になり、木更津市の人口増加が現在想定しているよりも、もうしばらく長く続くことを願い、私の質問を全て終了いたします。