議場の皆様おはようございます。会派羅針盤の近藤です。今回は与えられた時間を全て大綱一点「保育園の待機児童問題について」費やします。朝から大変細かい資料を6枚も使用させていただきますが、最後までお付き合い願います。
日本全体で人口が縮小する中、木更津市の今後の税収と地域社会の維持、出生による人口の自然増のためには若い世帯の転入を進める政策が必要とされており、県内でも多くの自治体が積極的なプロモーションを行っております。本市は交通環境が整い、良好で安価な住宅地が多く供給された結果、多数の子育て世代が流入し、人口は転入の超過で堅調に増加し、合計特殊出生率は平成25年に県下で最高値となり現在でも上位にあります。
この現状は喜ばしいことでありますが、近年の待機児童の増加がブレーキを掛けるのでは、と私は懸念しております。それは子育て世代が移転先を選ぶ際の重要な要素が、保育園に入園し易いか否かであるからです。本市の現状は配布資料の1に示すように、県内で4番目に待機児童の多い自治体と成っており、残念ながら「我が市にお越し頂ければ子育ては安心です」と言える状況ではありません。
待機児童を解消する一つの手段は、子育て世代の流入を抑制することですが、それは地域の衰退を招きますので、木更津市は保育行政を進め選ばれる自治体となり成長するべきです。
要するに、現在、福祉部が所管している保育園に関する施策は単なる福祉行政に留まらず、市の成長戦略に重要な要素であるという認識で取り組む課題に他なりません。その様な前提で保育園の待機児童問題に対する対応や原因を考えながら質問を始めます。
最初に、中項目1点目「待機者の措置」について小項目3点を質問します。
待機児童を、やむなく認可外保育施設に預けている保護者に対しては、保育料の差額を助成していますが、待機児童の全てが認可外保育園に預けられている訳ではなく、ベビーシッターを頼んだり、就労を諦めて家庭内保育をしたり、時折は私立保育園が行っている一月15日以内の一時保育を利用するなど様々であると考えられますが、それらには助成も補償もありません。
そこで、小項目1点目として、待機者への優遇措置についてお聞きいたします。行政の対応の遅れで保育園への入園が出来なくなっている現状を考えると、認可外保育施設以外で待機している保護者にも児童手当の独自加算や一時保育の優待利用制度といった優遇措置を設けるべきかと思いますが、当局のご見解を伺います。
小項目2点目として、待機児童の広域対応についてお聞きします。
配布資料の1で近隣市の待機児童を比べると、君津市が12人、袖ケ浦市が1人で、富津市では待機が生じておりません。木更津市のみが92人と突出している状況です。さらに君津市や富津市では保育園の定員に対して実際の入園者数は200人以上も少ない状況にあります。この事は待機児童を近隣市に預ける余地が有ると考えられます。児童の保育行政を広域行政として対応する考えについて、お伺いします。
小項目3点目として、保護者の保活の状況についてお聞きいたします。
配布資料の2は現在の入園者の階層区分別の人数です(参考:保育料の設定を考える)。資料に示すように児童は全ての所得階層で入園しています。保育料の高い高額納税者を優先すると市の収入増には寄与しますが、納税額の少ない世帯では、子供を預けて働かなければ生活に苦労する事も考えられ福祉の手を差し伸べる必要生が高まります。そこで入園の条件は納税額ではなく、保育がどの程度、困難かという観点で決められます。本市の審査基準は配布資料の3に示すとおりですが、これは県下で統一されたものでなく、各自治体の判断によるものと伺っています。都内では保育園に入園させるべく、少しでも加点されるよう、転居や偽装離婚をしていると報道されました。この様に保育園に入園させる活動、いわゆる「保活」が行き過ぎることは、防ぐべきだと思いますが本市における状況をご報告願います。
中項目2点目「民営化の状況」について小項目2点を質問します。
平成23年2月に請西保育園の整備方針を示すなど、これまで市は様々な対策をしてきましたが、配布資料の4の上のグラフに示すように定員を増やしても、需要がそれを上回る勢いで伸び、待機児童が増加しております。これは就学前の児童数が増えている事と、保育園への入園率が伸びている事が要因です。幼稚園と合わせた入園率の合計は本年度当初に55.6%を示し、今後も女性の社会進出が進む事で入園率の上昇が予想され、待機児童問題は当分の間、続くものと思われます。
一方、下のグラフをご覧下さい。これは施設の充足率ですが、私立保育園では定員を超えて園児を受け入れている事に対し、市立保育園の受け入れは定員の88.3%まで低下しました。さらに配布資料の5に示すように、市立保育園は入園可能な施設最大定員の840名に対し、155人も下回る685名で現在の定員を設定しています。これは待機児童という問題だけでなく、施設の有効利用という観点でも問題です。また、弾力的運用で施設定員の120%まで増やせる事を考慮すると、市立保育園で受け入れ可能な数は840名の1.2倍である1,008人となり、本年の3月1日での園児数の合計663人に対し、施設に余裕がありながら345人分の保育を受け入れなかった事になります。
この原因は保育士の不足ですが、民間は独自に保育士を確保し対策をしています。来春開設の認定こども園でも保育士の確保に苦労されていると思い、募集状況を聞きに行きましたが、ホームページと2回の折り込み広告だけで、市内からも多数の応募や問い合わせがあり、その多くを断ったと伺いました。
行政では臨機応変な待遇改善が難しいためとは思いますが、私は当該データを分析した結果、保育園民営化の遅れが木更津市に待機児童問題を発生させていると判断するに至りました。つまり保育園民営化は、待機児童の解消という課題に対して最も有効な対策なのです。
そこで、小項目1点目として、保育園民営化の現状についてお聞きします。現状を端的に述べれば、既に市立保育園に入園を叶え、民営化を嫌う保護者によって多くの待機児童が出ているように思えます。行政は入園が叶わなかった人の声を聞くべきなのです。過去の答弁では、0歳で入園した園児が卒園するまでの5年間を父兄への理解の時間として必要とするので、急な民営化は困難だとされていますが、保護者の同意が揃っている場合でも5年間が必要なのか、また極少数の民営化に反対する保護者が居た場合には、市立として残る保育園への移動をお願いするなどの処置は取れないものか、と私は考えます。
また平成20年12月議会から、何度と無く指摘しておりますが、配布資料の7に示すように、市立保育園では園児一人当たり51,893円の一般財源負担があり、私立保育園の28,935円と 比較すると、差は22,958円となります。これに、今年度当初の市立保育園の園児数605人を乗じますと月額で約1,389万円の削減が可能と計算されますので、保育園の民営化を進める事は市の財政健全化にもつながります。
民営化については昨日、『本議会中に教育民生常任委員会協議会及び議員全員協議会で説明させていただく予定』という答弁が有りましたが、保育園の民営の経緯や現状について改めてご報告願います。
次に、小項目2点目として、私立保育園の支援策についてお聞きいたします。民間の保育園に対して、現在でも様々な支援を行っていますが、配布資料の6に示すように、市が保育園に貸している土地は有償で貸与しています。児童福祉を担う学童保育には、無償で貸与するものが有るなど、整合が取れていませんし、公設民営の請西保育園は建物も含めて無償で貸与したうえに指定管理料を支払っております。せめて市の土地は無償として、その分、保育環境の向上や定員拡大に努めて貰うよう制度を見直すべきではと思います。また、他市では施設建設に対する利子の補助などの支援策があると聞きますが、本市では執られていない制度も多いとお聞きします。本市の私立保育園の支援策について、他市との差を含め、ご報告願います。
中項目3点目「保育士の対策」について小項目3点を質問します。
民営化を進める事は重要ですが、その前に、まずは市立保育園でも保育士を確保して多くの園児を預かれるようにしなければ、当面は問題が解決いたしません。保育士不足が問題になる前に人手不足が叫ばれていた職業の一つが看護士です。当地域でもその対策として君津木更津医師会が木更津看護学院を運営し、君津中央病院も付属看護学校の定員を増加するなど育成措置を進めています。幸い本市には保育士の資格を取れる清和大学短期大学部があり、毎年百名程度の卒業生を排出しています。その他にも地元の高校を卒業後、市外の短大や大学で保育士の資格を取得する人も多く、人材供給は充分であると思います。さらには育児や介護等の都合で現場を離れた者や、県南で進む就学前児童数の減少もあり、仕事に付いていない保育士が地域には多くいるものと推察されます。
小項目1点目として、保育士確保の具体策についてお聞きします。多くの資格者が市内におり、現に私立では多くの人材を確保しているのですから、市立にも多数の応募があって良いものと思いますが、何故か保育士が確保されない状況が続いています。昨日の鈴木議員に対し、来春から経験者を優遇する採用を行うという答弁がされましたが、臨時職員を含めた、保育士確保の具体策について、ご報告願います。
次に、小項目2点目として、待機児童数の予測値についてお聞きいたします。本年度と翌年度当初に開設する施設を配布資料の8に示しますが、施設の開設等で本年度の当初に定員が44人も増えていながら、待機児童数は前年の65人から92人に増加しました。公表される待機児童数は毎年4月1日の値ですが、年度途中で増加を続け、年度末に卒園、又は幼稚園への転出で減少するという経過を辿ります。待機児童が木更津市で始めて発生した平成23年7月以降の月別待機児童数の推移は配布資料の9に示す通りです。
昨日も鈴木議員が本年11月1日の数値を質問されましたが、推移を経年的に見ることで問題の傾向が解ります。グラフの波形は年を追う毎に大きな変動に成り、必要な保育士の数を求めるためには、今後の待機児童数を推察することが重要となります。昨年3月の待機児童数は過去最大の279人でした。今年は定員が増えているにも係わらず前年同月比を常に上回る値で推移していますので、本年度末には300人を越えると予想されます。来春は認定こども園が開設するので若干解消されますが、全面解決に至らないことは明かです。そこで今後、新たな保育施設を建設せず、市の保育施設の定員も増やさない場合の最大待機児童数の予測値は、どの程度と見込んでいるのか、お伺いします。
次に、小項目3点目として、今後の必要想定人数についてお聞きします。昨年3月の待機児童の内訳は、0歳児116人、1歳児85人、2歳児57人、3歳児21人です。これを保育するために必要な保育士を試算しますと、児童3人に対して保育士1人が必要な0歳児に39人、同じく6人に1人が必要な1歳児と2歳児にそれぞれ15人と10人、20人に1人が必要な3歳児には2人であり、その単純合計は66人と成ります。実際には複数の施設に分散される事や、早朝や夕刻、休暇等のローテーションを考慮すると、計算値を大きく上回る人数が必要であり、人件費は数億円の増加になると思われます。そこで、市が今後必要と想定している保育士の人数について、お伺いします。
最後に中項目4点目「施設の必要性」について小項目3点を質問します。
全国的な保育需要の高まりを受けて国も方針を変え、施設の整った保育園だけでなく小規模保育の制度も始まりました。企業内保育所の整備も進み、来春には認定こども園が新設される予定となっております。市立保育園の施設の余裕を最大限に活用し、弾力的に運用することで、先ほど計算したように345人分となる追加の保育も可能になります。これらによって、今後想定される保育需要が満足されるのであれば、新たな施設を建設しなくて済みます。しかし、それを上回る需要によって待機児童が生じる場合には、更に新たな施設が必要と成ります。
そこで、小項目1点目として、東清保育園の再利用についてお聞きします。現在でも保育園に対する整備要望が、多くの市民から聞かれますが、公共施設の総量抑制を進める中で、行政が保育園を新設することは避けるべきと考えます。そこで着目すべき施設は、平成16年度末に廃園となり、現在は子育て支援センターとして活用されている旧東清保育園です。これを再利用することで新規の建設を抑制出来ます。現在の子育て支援センターの機能は、東清小学校の余裕教室の活用で対応可能と思われます。様々な障害があると思いますが、待機児童解消のため、閉園前は定員35人で運用していた旧東清保育園を再利用することは可能なのか伺います。
次に、小項目2点目として、事業所内保育の状況についてお聞きします。配布資料の8に示す施設のうち、「木更津ぽんぽこ園」と「事業所内保育所すきっぷ」は、それぞれ木更津病院と中郷記念館に勤務する人を主な対象として設置した事業所内保育所で、定員の一部を地域枠として設けて、市民の保育事情に対応しています。これ以外にもイオンモール木更津や君津中央病院にも事業所内保育所が設置されていると聞きますが、地域枠がないので市の管轄とは成りません。このような、事業所内保育所の開設状況と、そこで保育されている児童の数、及び行政支援の概要について、ご報告願います。
最後に、小項目3点目として、新規保育園の必要性についてお聞きします。現在新規開設に向けた動きのある施設が全て完成し、さらに仮に旧東清保育園を保育園に戻したとしても、さらに新たな保育園が必要とされる状況なのか、当局のご見解をお伺いします。併せて、来春開業予定の認定こども園以外に開園の計画があるのか伺います。
以上で第一質問を終了します。
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