No12 .1993/8 常念山脈縦走 ←No11No13→
日本を走る
蝶ケ岳 2,664m 長野県堀金村
1993年8月12日登山

 11日は水曜日であるが現場は今日から夏期休暇に入るのでそれを利用して北アルプスを歩こうと考える。昼の電車で松本に入るが、台風の通過中につき雨である。仕事を終えたG藤さんと「ジュラシックパーク」の映画を見て彼女の家に泊めてもらう。
 
 快晴の朝を迎える。通勤前の彼女に標高1,350mの三股まで林道を送ってもらい登山を始める。森林限界を超えるとジャージを短パンに履き替え軽快に飛ばす。3時間かからずに稜線に出ると突然目の前に北アルプスの大パノラマが広がる。谷川岳や磐梯山の曇りは全てここに取って置いたのか、とも思えるような展望である。遠く御岳までも良く見えるが何と言っても穂高が圧巻である(下のパノラマ写真をご覧下さい)。この展望は今でも最高級である。蝶ヶ岳ヒュッテでは昨日までの台風の処理で屋根の修理や布団干しを行っていた。
常念岳 2,857m 長野県穂高町
1993年8月12日登山

 快晴の空の下を展望を楽しみながら稜線を進む。穂高が少しずつ遠くなり、槍ヶ岳が近付いてくる。最後の急坂を登り、常念岳の山頂に着いたところで担ぎ上げてきた山頂麦酒を空け、昼食を取る。気が付くと既に雲が出始めて空気の透明度も落ちてきている。大展望は今日の午前中だけのご褒美であったようだ。
 この日は常念小屋に泊まる計画であったが、小屋に着いたのがまだ12時を回ったばかりなので、先の大天荘まで進むこととした。
大天井岳 2,922m 長野県穂高町
1993年8月12日登山

 常念の山頂では近そうに思えても、流石に地図のコースタイムが13時間強の行程を歩くとすっかり疲れ果ててしまい、予想より1時間遅い午後4時に大天荘に到着した。天気はすっかり高曇りである。この日は平日の木曜ではあったが表銀座に出てしまったので急に人が増えている。そうは言っても1人一つの布団で済みそうで安心する。小屋に荷物を置き、麦酒を購入して山頂に行く。夕食の時間が近づくまで槍ヶ岳を見ながら麦酒を飲みのんびりと過ごす。

 翌朝は御来光を見るために再度山頂に登る。前日の夕方よりも雲が取れ、今日も晴れそうな天気であった。小屋に帰り朝食を食べたら出発する。大天荘からは槍方面の人が多く、燕方面に向かう人は少なかった。
燕 岳 2,763m 長野県穂高町
1993年8月13日

 大天井岳から表銀座コースを歩き、自分より先に出た2組を抜いたら無人の道を快適に進む。1時間ほど過ぎたところで燕山荘から来た青年とすれ違う。それを皮切りにだんだん人が増えてきてすれ違いのために止まっている時間が歩いている時間と同じようになる。そのため動けるときは小走りのように速度を上げ、ダッシュ&ストップを繰り返すことになる。すれ違う人に話を聞くと昨夜の燕山荘はものすごい混雑だったそうだ。「表銀座」と例えた人のセンスが良く解る。
 燕山荘を越えて燕岳への稜線に入ると急激に人が減り静かな縦走路になる。当初は山頂をピストンして合戦尾根を降りるつもりだったが先ほどまでの人の多さにウンザリしたので東沢乗越から中房温泉に降りるコースを選択する。
 花崗岩の岩が芸術的な景観を作り出している山頂で持ち上げてきた麦酒を飲み景色を満喫してから鞍部に降りていく。東沢乗越から中房川に沿っての道が思っていたより長くハードでげんなりした頃に中房温泉に着く。
 清掃の時間に当たって入浴できなかったか金額が高くて止めたのか記憶が曖昧だが、国民宿舎有明荘で温泉に浸かり帰路に付いた。
 この小縦走がとても気に入り、夏はアルプスという意識を強くしていくことになるのであった。

蝶ヶ岳からの北アルプスのパノラマ写真 前後の文に戻る