篠井山 1,394m 山梨県南部町
2014年04月11日登山:S井と2人

 
 20年ぶりといわれるの豪雪で冬の登山を中断したまま春になった。鈍った身体を元に戻そうとS井と日程調整を行い、南部町には雪解け状況を問い合わせ、この日を迎えた。幸い天気予報は晴なので富士が楽しめそうだと、期待したまま家を出た。
 
 S井も連日仕事が忙しい事と、富士山の西側にある山なので山頂到着を午後にしたほうが順光で綺麗に見えるため、木更津集合を遅めの朝7時にした。アクアラインでは晴れていても富士山は見えなかった。昨日の暖かさの為で水蒸気が多いのか、中国から黄砂やPM2.5が飛んでいる為かは解らぬが、近づけばそれなりに見えるだろうと楽観的に考えて先に進むと東名太井松田ICでは正面に大きな姿を現した。新東名に入り駿河湾沼津SAで朝食を取り、新清水で降りて南部町のコンビニで昼食を購入し、登山口に向かうとだんだん曇ってくる。それでも登るうちには晴れると信じ、10:56より歩き始める。
 全長3.4kmの登山道は0.1km毎に標識が設置され、沢にも渡りやすい橋が設置されるなど、0.1kmの精度が悪い点を除けばとても歩きやすい登山道ではあったが、冬の間の登山中止で筋力が落ちて体重が増えているため、高低差のわりに辛いと思いながら歩を進める。登山道の脇の水流は瀧から雪渓に変わる頃に山頂まで0.5kmとなり、精緻な方位版の設置されている頂にはS井から10分程度遅れた12:33に辿り着いた。富士山の頂は雲の切れ間に時折見える程度で、裾野や駿河湾も霞んで線が明確でない。南部町を見下ろすような高度間と、最近伐採した事が明らかな開放的空間が有る山頂なのに、肝心の展望が満足できない。仕方ないのでS井は三脚を立てて30秒毎のスライド写真を撮影し、私は麓で購入したビールを飲んで天気の回復を待つ。
 山頂で1時間ほど待ったが晴れる見込みが無いため13:30に下山を開始する。道が良いので下りは早いが、シーズン最初なので膝や足首が痛む。ほぼ1時間で登山口まで戻り、目前に有る滝の写真をゆっくり撮影する。ここで今更のようにデジカメの撮影モードを様々に試して見ると、想像以上に多くの機能があることが解った(例えば左の車の写真にマウスを合わせると出てくるモード)。富士が見えなかったが、この点は収穫だった。
 
 下山後は登山口から1.2kmの奥山温泉で汗を流し、富士宮市に出ると富士山頂がよく見える。しぐれ焼きを食べる店に移動するとまた雲に隠れ、田貫湖や河口湖と富士を求めて走り回っても姿を現すことが無く、物足りない気持ちのまま帰宅した。
武川岳 1,053m 埼玉県飯能市
2014年05月24日登山:単独

 
 連休前半は高取城、備中松山城、竹田城という西日本の山城巡りを行い、その後も休日に良い天気が続いたので5月4日には鋸山、18日には伊予ヶ岳と房総の山に登り続けた。ベトナム旅行が有ったので遠征の余裕が無かった為であるが、この土曜日も天気が良い予報であるので近くの山に行こうと思ったのは朝飯を食べている時であった。中央道は渋滞なので、久々の秩父へ行く事にした。手持ちのガイドブックで簡単そうな武川岳を知り、地図も用意せずに8時半に出発した。
 首都高を与野で降り、城巡りの記録を増やすため川越城本丸御殿に立ち寄り、コンビニで山用食を購入してから登山口になる名栗げんきプラザに着いたのは正午を回った頃だった。第2駐車場の使用許可手続きをし、荷物の準備を終えて12:30より歩き始めた。
 車両通行止めになっている大栗沢沿いの林道を歩き、登山口に着くと団体が下山してくる。けっこう人気の山なんだなと思いながら標高を稼ぐと程なく稜線に到着する。ガイドに記載している見晴台に行ってみようと寄り道をするが13:16に着いた見晴台からの展望は無かった。
 新緑が綺麗な登山道に戻り13:50に山頂に着く。遅い昼食を取り山伏峠経由で戻ろうと思ったところ、間違えて妻坂峠への稜線へ進んでしまう。間違えには直ぐ気づいたが、回り道も一興と思い、入間川沿いに下山して14:38に山中林道へ出た。そこから舗装道路歩きが始まり、標高約380mの名郷集落を経て標高600mを越える山伏峠を登り返し、車に帰ったのは16:21と成っていた。車道歩きの長さに疲れ果て、名栗温泉に入浴して帰宅した。
破風山 2,318m 山梨県山梨市
2014年06月01日登山:単独

 
 高気圧が張り出し猛暑に成ると天気予報が伝えている。土曜日に小学校の運動会が開催されたので予備日であった日曜日がフリーに成った上に月曜日の午前中は休んでも支障がない事が解った。長年の課題であった日本三大峠の一つである雁坂峠に登り、甲武信への縦走を行うことに決めた。
 
 朝4時半に起床し、荷物を積み込むと既に夜が明けていた。コンビニで朝食を購入し車中で食べながら中央道経由で道の駅「みとみ」に到着し、着替えと便所を済ませ7:28から歩き始めた。
 雁坂トンネルの工事事務所と思われるプレハブの前を通り、料金所を見下ろし、トンネル残土の処分用の舗装道路が終わって登山道に入る。井戸沢の水場で給水を行い傾斜を詰めていくと明るい笹原に成ってくる。振り返ると富士山が綺麗である。
 日本三大峠の一つである雁坂峠[2082m]には10:33に到着する。甲武信から縦走してきた人や埼玉の川又から来た人も居て、皆開けた展望を楽しんでいる。私も少し早い昼食を取り20分ほど休憩する。
 稜線を登り、山梨百名山の一つである雁坂嶺[2283m]に11:33に到着する。南アルプスも見えており中々気持ちが良いが、特に特徴の無い山頂であるので休憩を入れることなく先を目指す。
 
 酸性雨か鹿の食害か解らぬが、樹林が枯れている明るい稜線を緩やかに下り、登り返したところが東破風山[2260m]で、12:39の到着は予想より遅れている。しかし、小屋に午後4時までに着けば問題ないと思っているので休憩を取り、露岩帯の稜線を抜けて西破風山に到着したのは13:17に成っていた。強い日差しに疲れが溜まっていたが黒ラベルを飲んで30分も休憩を取れば気力も回復する。
 山頂から少し先に進むと笹平までの急な下りが足下に有り、木賊山への登り返しが遠く見える。想像以上にタフな縦走路だなと思いながら破風山避難小屋を目指して降下を始める。想像以上に綺麗な小屋を過ぎると後は登るだけだと自分を励まし、休み休み先に進む。サイノ河原を過ぎると木陰に雪が目立つようになり、木賊山の巻き道に入ると雪の上を歩き続ける事に成る。例によって体重が災いし、人の踏み跡を踏み貫き、分岐からの0.7kmが長いなと感じていると15:46に甲武信小屋に到着した。空気の透明度が落ちているため甲武信岳に登るのは翌朝に回し、今日の歩行はこれで終了とした。
 
 前日の小屋はかなり混んでいたようだが、日曜の夜は20人程度と空いていたし、テントは一つだけ張られていた。宿泊手続きを終了したら担ぎ上げたビールや焼酎をテラスに座って飲み始める。20年前に、ここで一緒に泊まった友人のS井からLINEが届き、千葉は33度だと知るが標高2400m近い甲武信小屋は気温12度で、寒さの為にフリースを着込む事に成った事を返信する。隣のテーブルでは単独行の青年が周りの人に色々話しているが、内容を聞くと、自己中心的な知ったかぶりの自慢話であったので関わらないように遠く離れて酔いを楽しむ。翌日の計画を周りの人に聞くと、長野県の毛木平や埼玉県の川又に降りるものも降り、山梨県の西沢渓谷に降りる私も含めて県境の山を実感する。
 午後5時半にカレーライスの夕食を摂り、小屋の徳さんが東沢を遡行する山梨放送の録画映像などを食堂で楽しんでいると8時の消灯時間である。前夜は4時間も寝ていないので布団に入ったら朝まで目も覚まさずに熟睡してしまった。だから秩父の夜空がどれほど綺麗なのかは解らなかった。
甲武信岳(2回目) 2,475m 山梨県山梨市
2014年06月02日登山:単独

 
 周りの人が起き出す音で真を覚まし、少し布団でまどろんでいると夜明けの気配がしてきた。取り急ぎカメラを持って甲武信岳の山頂に向かう。山頂に着く前に日が昇ってしまったが4:40に到着した甲武信岳の頂からは富士山が良く見えていた。昨日からバスの運行が始まった大弛峠までの稜線が長く横たわっている向こうに中央アルプスや北アルプスも微かに見えているが、写真を撮りに来た徳さんが昨日の朝の方が澄んでいたといわれる。山頂でだんだん日が当たってくる奥秩父の縦走路や富士山の写真を撮っているうちに朝食の時間が近づいてきたので急いで下山し、5分遅れで食事にありつく。茶碗蒸しをデザートにのんびり食べていると食堂で最後の一人になってしまった。
 
 布団をたたみ荷物を片付け、人気の少なくなった小屋を5:46に出発する。木賊山[2469m]の雪に埋もれた頂を越え、戸渡尾根に入ると広瀬湖や富士山が美しい。胸に高度計を付けて標高を確認しながら長い坂を降りていく。先行する団体を抜いて、標高2000mを下回ったところから石楠花の花が咲き始め、徳ちゃん新道に入るとミツバツツジも楽しむことが出来るようになり、花に励まされるように下っていく。途中で日帰り登山者とすれ違うが、いくら花が綺麗とは言え、この尾根を往復すると考えると嫌に成る。
 標高1600mを下回ると花も無くなり、道も急に成る。気温も高くなり汗が滴り落ちる。斜面で滑らないように抑制しながら降下を続け、西沢渓谷の遊歩道には8:43に降り立った。ヌク沢を橋で渡ったら河原に降り、水を飲むが500ccを一気飲みしても喉が渇く感じがする。前日に日焼けした為だなと思いながら遊歩道を進み、道の駅には9:13に帰着した。昨日に歩き始めてから26時間弱の登山はこれで終了となった。
 
 笛吹の湯で10時の営業開始を待って汗を流して着替え、勝沼から高速に乗って自宅には13時前に到着した。あまりの暑さにもっと山に居れば良かったと思いながらも午後の仕事に取り掛かるのであった。
滝子山 1,610m 山梨県大月市
2014年06月15日登山:単独

 
 用事の無い日曜日に梅雨の中休みが来る事が解った。新緑と滝が綺麗な滝子山に登りたいと思っていたが、気がかりはこの日がブラジルワールドカップで日本が初戦を向かえる日という事である。テレビで応援したい気持ちを抑えてラジオを持ち勝利祈願の登山とした。
 
 前回と同じように朝4時半に起床して、中央道を走る。藤野PAのコンビニで食料を買い込み、登山口の道証地蔵前の駐車スペースに3台目目の車を止め、準備を終えて6:56から歩き始めた。
 評判の通り、コースは滝が連続する爽やかな登山道で、山頂近くまで水場があるのは有り難い。この冬の大雪で倒壊したと思われる橋や薙倒されて登山道を覆ってしまった倒木等が現れ、道を見失ったりもしたが、基本的には『難路』というコースに進んでも難しいところが無く、滝を満喫し終えて山頂に近づけば高原のようになだらかに成るなど極めて快適である。倒壊しかけている鎮西ヶ池の神社の鳥居を過ぎると道は少し険しくなり、山頂には9:09に到着する。
 南アルプスや秩父の山より、ともかく富士山が綺麗で、ツツジの赤い花も鮮やかである。山頂からフェイスブックに写真をアップしたり友人にメールを送ったりしながら、想像以上に素晴らしい感覚を伝えようとしていると9:45に成ってしまったのでラジオを取り出し山頂を後にしながらワールドカップの実況中継に耳を傾ける。
 下山は尾根を周回しようと稜線を進むが、その途中で本田のゴールで日本が先制し、大谷ヶ丸[1644m]に着いたときには前半戦が終わったところだった。このまま逃げ切って欲しいと思いなら急斜面を降りていくと立て続けに失点し、名前が気になるコンドウ丸[1392m]に着いたときには、日本の敗戦色が濃厚になっていた。逆転を信じて地球の裏側に念を送り続けたが、曲り沢峠に着いたところで試合終了のホイッスルがラジオから流れ、祈願は叶わなかった事を知る。素晴らしい山の感動が半減しながら、電源を切って静かに縦走を続けた。
 大鹿峠を12:22に通過し、整備の良い道を下り始めたら鉄塔の下にベンチが設置されていた。車が近いとも思ったが、コンビニで買った食糧があるため昼食休憩を取る。なお、往路は水場に不自由しなかったが、復路の尾根道には全く水が無いので逆コースは苦労するだろうと思った。結局車には13:14に帰り着き、コースに変化が多い、日本が勝利すれば大満足なったであろう登山を終えた。

 帰路の途中で湯立人鉱泉という、超マイナーな場所で汗を流してから中央道に乗れば既に小仏峠を先頭にした渋滞が発生していた。
No74 .2014/4-2014/6    ←No73No75→
日本を走る