おまけNo.8 加計編      日本を走る

 

 

 

 

 

 

 

 

 
旅行期間 2010年7月12日〜2010年7月15日
 2009年の間には一度も自転車旅をしなかったことが気になり、久々の自転車旅を考え、連続休暇の取れそうな7月上旬に梅雨明けしている場所の奄美を選んだ。
 奄美大島は前回の走行の時に南部の国道を走り抜け、宇検と大和には少しずつ入り込んだだけだったから、北の県道を回って古仁屋まで軌跡を繋ぎたかった事と、海が綺麗だと評判で未踏破の島である加計呂麻島へも行きたかったし、そもそも真夏に南の島に行ったことがない、という変な経験不足を補いたかったという事も加わり、深い検証もせずに6月末にチケットを購入してしまった。
 なお、今回は『加計呂麻島編』とすべき所であるが2文字表記の原則で『加計編』と省略した。
 
 
7月12日(月)
 参議院選挙の翌日に羽田を8:35に出発するJAL便は予定より少し遅れて奄美空港に着き、荷物で預けていた自転車を受け取ったのは11:25に成っていた。外に出て予想以上の日差しの強さにたじろぐ。房総半島とは比較にならないほど暴力的である。取り敢えず自転車を組み立て奄美パークにある田中一村美術館までのわずか2kmを走るが、太陽光線のエネルギーが身体に蓄積される感覚を味わう。今夜の宿は名瀬のビッグマリンなのでこの日の走行距離は40kmも無い。日没までどこかで休もうかと考えたが、冷房の効いた美術館で作品を味わいながら、取り敢えずこまめに休みを取りながら進むことにした。
 美術館を出て空港側に戻り、あやまる岬公園と土盛海岸を楽しむと同時に公衆便所に張られた『この辺りは毒蛇(ハブ)が多い』という写真付きの看板に緊張する。その後、名瀬に向かって走り始めるが龍郷まで走ったところに出てきた『あさ倉』に立ち寄り遅めの昼食として郷土料理の鶏飯を注文する。出てきたコップの水を直ぐに飲み干し、水差しもお代わりし、大量に水分補給をするほど疲れていたが、それでもスルスルと食が進む鶏飯は素晴らしい食事だと感動する。食事後もメモを取ったり本を読んだりして午後3時に成るのを待っていると少し雲も出てきて日差しが弱くなってきた。少し身体も楽になりホテルまで一気に走る。4時前にホテルに着き部屋のバスタブに入り頭から水シャワーを浴び続けた。この夜は市街地に飲みに行くつもりだったが少し遠いことと、ホテル屋上で飲み放題食べ放題2500円のビアガーデンが開設される事を知り、外出は辞めた。5時過ぎにサウナルームで汗を流して屋上に行き生ビール5杯と焼酎を飲み、軟骨や豚足、酢の物やサラダを食べ、最後に鶏飯で締めて充分に元を取って部屋に帰ると死んだように眠りについた。
 
 
7月13日(火)
 目覚めると既に夜が明けている。夜明け前の涼しい中で距離を稼ごうと思っていたから誤算である。直ぐに荷造りを行い、朝食も取らずに6:30より走行を開始する。北部の海岸沿いにアップダウンを繰り返しながらの今里漁港には8:40に到着する。既に日差しが強い。古仁屋行きのバスでも有れば輪行したい所であるが、バスはここから東にしか向かっていない。港にある休憩所で水を飲み横になると9時を回ってしまった。ますます太陽も強くなってくるので宇検までは頑張ろうと出発し標高207mの岡越えを始める。木陰を走る間は問題ないが日向では急激に体力が奪われる。この暑さのためか、道上で仰向けにハブが寝ているのも見た。飛びかかれない距離で写真を撮ったり休憩しながら岡を超え芦検に降り、宇検の街中には10:10に到着する。
 炎天下の岡越えで軽い熱中症となり、速度も極めて低下し始めている。取り敢えず涼しいところで休息しようと事前に調べてあった宇検食堂に向かうと営業開始は11:00からだと言われる。それでも室内で水を飲みながら待たせてもらい、ランチまでに1.5リットル以上の水を消費する体調である。古仁屋まで40kmを切っている事は解っているが、救急車のお世話に成るわけにも行かず、誰か古仁屋まで送ってくれるような人は居ないかと探して貰い、昼食終了後は軽トラに自転車を乗せエスケープしてしまう。
 古仁屋港には12:20に到着するがフェリーは14:00まで無い。しかし外には容赦ない日差しが注がれているので持参してきた新書を待合室で読み続ける。14時の船は今晩の宿とは13km離れている瀬相港に着くが、十分身体も休んでいるので自力走行しても多分大丈夫だろうと判断し大島海峡を渡る。加計呂麻島に着き、予想以上に整備されている道路を東に向かい、4箇所の岡を超えスリ浜を過ぎ、ペンションには全身汗だくで15:15に到着した。この日は気合いを入れて走るためサイクルスーツを着ていたが、到着早々写真を撮り、直ぐに庭のシャワーを借りて頭から水を浴びる。今日はこれ以上走らなくて良いという安堵感に包まれながら『真夏のサイクリスト』はやはり厳しいと実感した。そういえばこの日の早朝に1台とすれ違った以外は自転車の姿を見ていない。さらには私も明らかに練習不足である。
 部屋で16時まで休憩した後はシュノーケリングに行くが詳細は水中世界に記す。
 
 
7月14日(水)
 部屋の前のテラスに1日自転車を停めたまま、3ダイブを楽しみペンションRIKIに連泊する。宿の夕食として、前日はアオブダイの刺身、この日は夜行貝とグルクンの刺身などが出たりするので心から満足し、2日間でビール3杯と焼酎7合少々を飲んでしまった。
 
 
7月15日(木)
 朝食を取り終え7:50に宿を後にする。フェリーは近くの港を8:40に出ると解っているが、その前に島の名所である諸鈍のデイゴ並木ぐらいは見たかったので涼しい空気の中で自転車を飛ばす。生間港を8:40に出るフェリーには昨日一緒にダイビングをしたTさんやMさんも乗っている。Tさんはレンタカーで空港から来ているので帰りは乗っていきませんかと誘われ、そもそもバス輪行を考えていた私は有り難くお言葉に甘えさせていただいた。
 住用のマングローブ林を見たり、奄美の竜宮でタラソテラピーに浸り、名瀬の「てっちゃん」で焼き鳥を味わったり、「里の曙」の工場を見学したりして奄美を満喫し、空港には18時に到着した。Tさんと乾杯をして奄美を後にして羽田空港・アクアラインバスを経て自宅に帰ったのは午後10時半であった。平日4日の旅の間に多くの郵便やメールが届いていて深夜遅くまで処理に追われた。