おまけNo.10 東京編      日本を走る
@2013年1月31日(木) 44km
 
 近年、東京に完成した構造物であるゲートブリッジとスカイツリーを見たいと思っていたところ、風がない穏やかな天気だと予報を聞き、月末の木曜日であるが仕事を休んで東京に出かけることにした。当初はアクアラインバスで輪行する事も考えたが、レンタサイクルをネットで調べてみると、台東区が1日200円という事業を行っていることを知った。どうせ長距離を走るわけではないからママチャリも良いかなと考え、JRで東京に出た。
 
 JR御徒町に近い仲御徒町で10:20に自転車を借り、最初の目的は東京タワーとして、秋葉原を抜けて皇居のお堀端に行く。二重橋に近づくと、自転車乗り入れ禁止になっている。坂下橋の詰め所に居る警官に聞くと押して通ればよい、というので押して近づいていくと二重橋の警官が自転車は押しても駄目だという。向こうで押せと指示されたと言うと、皇宮警察の指示は正しくなく、我々警視庁の指導に従ってくれと言われる。もめ事を起こしたくないので自転車を遠くまで置きに行き、再度歩いて二重橋に戻り写真を撮影する。周囲の観光客は殆どが外国人であった。
 桜田門から外に出て、国会の前を通り抜け、経産省の角に着くと「脱原発テント」が隅に建てられて前で座り込みをしている男性もいる。「国有地立入禁止」と看板を巻かれているが撤去に至らないのは何故だろう、と思いながら東京タワーへ急ぐ。
 タワー下の駐輪所に自転車を停め、案内所で展望台まで歩いて登れるかと聞くと、そのイベントは休日だけと言われ、エレベーターでは満足できないと東京タワーに登ることを止めて芝増上寺等から見上げて回り、レインボーブリッジの取り付け部まで進む。
 レインボーブリッジは自転車の乗車が禁止され、全線を押して通る事だけが許され、乗らないように後輪には台車を着けるといった手のかけ方である。これから向かおうとするゲートブリッジは皇居のように押す事も許されないから自転車を持ち込めるだけマシと思うが、警視庁のサイクリストに対する虐待が気にくわない。ふと自転車禁止だった御蔵島も警視庁だなと思いだし、その筋金入りの自転車対策には脱帽する。
 およそ1.7kmを写真撮影しながら30分以上掛けて歩いてお台場に着く。建設当初はこの遊歩道は有料だったようだ。芝浦側のエレベーターの電気代として100円ぐらい執っても良さそうだと思う。お台場側の受付で台車を外して自転車に乗車し、お台場の街中はスルーして東へ向かう。
 昼飯も執らずに走り続けて、ゲートブリッジの下には13:23に到着する。釣り人の多い堤防も自転車進入禁止にされており、撮影ポイントは歩いて探し回ることに成る。こちらもエレベーターが無料だから文句を言うべきでは無いだろうが、もっと自転車に自由を!と思いつつ新木場へ戻る。月島でもんじゃでもと考えていたが空腹に負け、新木場の駅前でラーメンを食べてしまった。月島や築地は別の機会に行くことにしよう。
 昼食後は日本最古の鉄橋である八幡橋と富岡八幡宮を見て、浅草を経由して東京スカイツリーには15:50に到着する。駐輪場も整備され、最初の2時間は無料という、自転車には優しい措置が執られている。ソラマチの商業施設も気になるところではあるが、何より当日券でタワーに登れるかが重要で受付に進むと30分待ちという事である。ソウルタワーのように日没から夜景までを楽しめるタイミングは狙い通りに達成できそうだ。
 長い列が出来ていたが順調に捌いており、16:35には350mの展望台に登っていた。エレベーターを使用しているが、ここは階段の歩行は禁止だし、仮に歩けば1時間近く係って筋肉痛になる事も明かであるので機械力の使用にも文句はない。外を見ると、気温が高いので遠くの山々は霞み、房総半島もうっすらと見えるだけである。展望台を1周して400円のアイスコーヒーを飲みながら千葉県まで伸びる影を見ていたら、反対側でテンションが上がっている気配がする。急いでそちらに行ってみると、富士山だけが霞の上に頭を出し、その肩に夕日が沈むところだった。油断していた、と後悔しながら、その場で暮れていく夕焼けと明るくなる街の明かりを見続けた。夕日を見ながら近くに勤務する学生時代の友人にメールすると、今日は新潟日帰り出張で夜8時に東京に着く新幹線に乗ると返事が来た。では上野で飲もうと約束して展望台を後にする。
 2時間を超えて自転車を停めていたが、超過料金は50円であった。当初は墨田公園に自転車を返して一人で神谷バーに入り電気ブランを飲むつもりだったが、友人と連絡が取れたので夜道を仲御徒町まで戻り、18:40に自転車を返却した。使用時間は約8時間で、45km程度を走ったと思う。台東区としては御徒町から浅草方面への利便性向上を考えているのだろうが、お台場方面まで回ってくる利用者は想定外だろと思いながら200円の旅を終えた。
 
 JRで上野に移動し、アメ横周辺の居酒屋を事前調査して回り、見つけた安い店に出張帰りの友人と入り、10時過ぎまで酒を飲み続けたので、使ったカロリー以上に摂取してきたと思われる。今回も、健康になったかは微妙な東京ポタリングであった。
A2013年12月15日(日) 32km
 
 前日に本社ヶ丸の登山を行っているが、この日は東京で夕方に彼女と待ち合わせが有ったので、1月に実施したのと同じように東京自転車散歩を行う事にした。仲御徒町で10:30に自転車を借りると、4時間利用で200円、1日利用では300円と言われる。年度が代わったから料金が上がったのだな、と思いながら1日利用を申請する。
 
 前回は海側を回っていたので、今回は山手側を散布する。最初は大久保まで走り韓国料理を食べようと考える。アップダウンが予想以上に多く結構負荷が掛かりながら山手線を横断して大久保に至り、駅近くの交番で韓国街の場所を聞くと、「特定の場所は無くマスコミの作ったイメージだ」と言われる。それでも多くの店舗が集結し、ドンキホーテにハングルの看板が出ているなど、なかなか韓国風に成っている街並みに満足し、辛ラーメンとホットクを食べ、夕方の待ち合わせ場所を東京タワーにしようとラインを交わして大久保を後にする。
 猪瀬都知事の徳州会疑惑で揺れている都庁前を通り抜け、山手通りを南下し、今回の目的地である目黒天空庭園へ立ち寄る。これは首都高の大橋ジャンクションの屋上を公園に仕上げたもので、造園の仕上がり程度も高く、中々面白い場所であった。遠く富士山も見え、連日場所を変えて富士を見ているなと思う。
 目黒まで行ったので外人やマニアに評判が高い寄生虫館へ立ち寄ってみる。入り口の寄付の箱に小銭を入れ、無料のこじんまりとした施設を見て回る。写真撮影が自由なのは嬉しい。他にも多くの客が居て、ここをデートに選ぶ若者の存在には驚かされる。フィラリアの原因の犬糸状虫の展示で人への感染事例が有ると知り、先週まで犬の看病をしていた私は大丈夫だろうかと心配になる。
 目黒からは自転車を御徒町に戻しに行きながら、環状2号線の工事現場や日本橋の道路元票などを見て周り、午後3時を少し回ったところで自転車を返却した。使用時間は約4時間半で、32km程度を走ったものと思う。
 
 彼女との待ち合わせは午後5時なので少しゆとりがあるからとアメ横に足を踏み入れると直ぐに混雑で動きが取れなくなり、これが年末のアメ横なんだなと早々に撤収し、有楽町の三省堂で本を購入して浜松町から東京タワーまで歩いた。
 上の特別展望台は閉鎖中ということで、高さ150mの展望台に上がると夕焼けと富士が綺麗に見えていた。建設当時はこの高さでも充分だったのだろうが、六本木ヒルズや東京ミッドタウンなど、多くのビルに見下ろされる存在となっていた。350mのスカイツリーの展望台との差は明確で、高度感は無かったがレインボーブリッジなどの夜景が綺麗で、それなりに満足である。外に出ると東京オリンピックに向けて『2020』の文字が展望台の窓に表示されていた。この日から年末に向けた企画のようだ。
 大門の九州料理の店に寄り2人で酒を飲んでから別れて帰ったので、この日に使ったカロリー以上に栄養を摂取したのも前回と同様である。今回も、健康になったかは微妙な東京ポタリングであった。
B2014年4月1日(火) 24km
 
 年度末が終わって一息着いた頃、東京で桜が満開という報道を聞いた。この日から消費税が8%に上がったが、3回目の東京自転車散歩に出かけた。今回は仲御徒町で借りて隅田公園に乗り捨てる1日利用で300円の利用料金である。消費税の転嫁は無い料金だった。
 
 走り始めは正午少し前で、早速上野恩賜公園を目指すと自転車が邪魔になるほどの人混みで、桜の木の下には大勢の人々がシートを広げ食事を楽しんでいる。平日なのに流石は上野だなと思いながら自転車を押して歩き、東照宮や不忍池を見て回る。露天商が軒を連ねる中に中韓はもちろん、欧米やイスラム諸国からの外国人も沢山居て、等しく日本の春を楽しんでいる姿に平和を感じた。
 上野から神田明神前を抜けて外堀通りの桜を満喫し、靖国神社に向かうと靖国通りでは桜吹雪も舞い始めていた。駐車場待ちの車をすり抜け、駐輪場所に自転車を停めて靖国の参拝を行う。当初は遊就館の見学も行うつもりであったが、先日の同僚との宴席の場で話をしたところ、来月に予定されている東京での研修の際に皆で見に行こうという話しに成ったため、今回は参拝を済ませて設営中の能舞台前の椅子に座りフェイスブックにアップするなど、ちょっとした休憩を取る。
 参道を抜けて九段下で靖国通りを渡って牛ヶ淵側に渡ると、歩道は大渋滞である。車道との境界に有るガードパイプに開口部がないため、自転車を押して延々と千鳥ヶ淵まで歩かさられた。内堀通りから曲がるところで車道に出て一方通行の車道を自転車の特権で逆走して千鳥ヶ淵戦没者墓苑に着き、自転車を停めて献花に向かう。
 ここは昭和34年に国により設置された慰霊施設で、軍人だけでなく民間人も含め海外で亡くなった無名の戦没者を埋葬しており、昨年秋には米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官がそろって顕花した場所である。靖国が中韓と揉めている中で宗教色がない場所として注目されており、私はまだ行ったことがなかった場所だったので今回の目的地でもあった。
 『戦なき世を歩みきて思ひ出づかの難き日を生きし人々』、これは園内に有る石碑に書かれた今上天皇のお歌であるが、かの難き日々を想像しながら見る桜も思い深い。自転車に帰る前にボートが大量に浮かぶ平和な風景を見る。確かにここの桜はとても綺麗である。
 内堀通りに出て桜田門を通り抜け、東京駅と東京国際フォーラムを通り抜け、築地場外市場に到着する。考えてみると自転車で走り始めてから何も食べてないので寿司でもと頭をよぎるが、自転車を返却後に浅草で麦酒だと思い直して踏み止まり、隅田川に架かる重要文化財の勝鬨橋へ移動し橋の資料館(無料)に立ち寄る。
 @の旅ではゲートブリッジとスカイツリーを見に行き、Aの旅では首都高の大橋ジャンクションを見に行くなど、構造物マニアの私は資料館と資料で貰った橋の一覧表で満足した。見学し終えた後は『隅田テラス』を北上するだけだと考えていたが、例によって自転車の乗車が禁止されていた。上記の1月31日の記事にも書いたように、警視庁のサイクリストに対する虐待がまたも目に着くことになる。
 隅田川から離れないように路地裏の道を走り続け、重要文化財である永代橋や清洲橋を写真に収め、時折は自転車を置いて隅田テラスの整備状況を見に川辺に降りたりしている内に蔵前工業高校で道が行き止まり、江戸通りに出て吾妻橋橋詰に到着する。16:47にいつもの対岸の写真を撮影し終えたら自転車を隅田公園の駐輪場に返却する。約5時間の借用で、上記の2回に比べると走行距離は短かったが、程良い運動になった。しかし、帰宅後は日がある内に白髭橋まで足を伸ばすべきだったかと若干反省している。
 
 自転車から降りればアルコールが解禁となるので、浅草寺横の通称「ホッピー横丁」で牛筋の煮込みを摘みに麦酒やホッピーを飲み日没を待つ。およそ1時間程の給水・休憩時間を終えたら薄暮の中で浅草寺をお参りし、歩いて再度隅田公園に出かけて夜桜とスカイツリーの競演を満喫する。新社会人の歓迎か、既に花の下では多くの宴席が広げられていた。写真を撮り歩き回り、ある程度は旅を満喫したので、さっさと自宅に帰るかと思ったが、良く考えると今日はファーストディで映画が安いことに気が着いた。携帯で上映場所を検索し、錦糸町の映画館で『アナと雪の女王』をエンドロールまで見届けてから帰宅したため、JR巌根駅から歩いて自宅に着いたのは日付が変わった後になっていた。