アクア木更津を考えるC
2009/12/29記
 昨日は2009年の仕事納めの日であったが、その日にアクア木更津ビルの売却に向けた入札が行われた。その結果、市の設定した予定価格より低い価格での応札となったため入札は不調となり今後は最高額を提示した企業と随意契約に向けた話し合いが行われることとなる。
 過去にも『アクア木更津を考える@』『アクア木更津を考えるA』『アクア木更津を考えるB』を記載してきたが、6月以降に状況が大きく変わったこともあり、これまでの経緯を簡単に整理する。
 
 6月23日に商工会議所・テナント役員・市職員をメンバーとする「アクア木更津再生チーム」の発足会議が開催され、売却を前提とした検討の中でビルの運営等の企画案を募集する事を8月10日から木更津市のHPに掲載し、9月1日発行の広報きさらづでも広く告知した。10社を越える問い合わせがあったようだが、現在の用途を当面は維持する事に二の足を踏む者が多かったようだ。
 9月11日の意見締切日までには企画提案を行った企業が3社ほど残り、それらの企業からの提案内容の説明が10月末までの間に行われたようである。
 不動産の価格については、鑑定を2社に依頼したところ、3億9千万円と3億8千5百万円という金額が提示された。ちなみに6年前に木更津市が権利を一本化するために購入した金額は6億円である。ただし、西側にある平面駐車場は今回の売却の対象ではなく、当面の間は都市計画事業の用地として市が所有し続けることになる。
 11月27日の議員全員協議会の場で市有財産売却に向けた入札の公告を行う事が議会に報告され、12月28日の入札日を向かえることになったのである。
 
 一方、運営していた日本総合企画株については10月5日に再生計画案が東京地方裁判所に提出され、12月2日に債権者集会が開催された。当該企業の民事再生計画が認められてもアクア木更津ビルの運営は行わない意向であることから、維持管理について市の税金を使用するような事態は望ましくなく、また賑わい有るビルとしていくノウハウも公務員には期待できないため、ビルを民間売却するという方向に進んでいく事になるのである。
 当該企業に対する権利金などの回収という問題はビルの売却とは関係なく、今後も残る話であるが、その件については民事再生の手続きの中で淡々と処理する話である。市有財産となったビルの売却は民事再生手続きと関係なく進める事になるのである。
 
 今回入札の対象となるアクア木更津ビルは、敷地7,048uで建物の延べ床面積が42,679uの物件であり、入札に応じる者は、@風俗営業・暴力団の事務所・大量殺戮団体指定の事務所に使わせず、A5年間商業ビルとして営業し、B10年間は転売せず、C3年間は原則として現在経営している者を現在の条件で営業を続けさせ、D2年以内には生鮮食料品売場を開業させるよう努力する、等の条件が付けられた物である。簡単に言えば足枷が多い物件とも言えるのである。
 その為、評価額より安価な入札金額しか提示されなかったとしても、市議会が議決した場合は最高額の業者と随意契約できる、という条件が付けられた中での入札であった。
 
 28日の入札の結果は評価額と1億円程度の乖離がある金額での応札となり、形式としては不調のままで越年することになった。
 個人的な感覚としては、1億円という差額はあまりに大きいが、売却後には固定資産税が入ってくることを考慮すると数年で召還できる額であり、常識を逸脱した安価での契約とまでは考えられないことより、議員としては契約を承認する事が妥当であるのではないかと思っている。これが仮に評価額の半分以下で応札された場合は、議会は承認することが出来るだろうかと考えると、比較的難しい問題を背負わないままで年越しが出来ることになり、安堵するところである。
 この契約を承認するための臨時議会は1月26日前後に開催されると推測できるが、正式には年明けに行われる議会運営委員会で決定され、市長から召集される事になるだろう。
 
 この日は、アクア木更津の問題だけでなく、URが進めている金田東地区の約21.5haのエリアに三井不動産が経営するアウトレットモールが平成24年春の開業を目指して手続きを進めている事も公表された。三井不動産と言えば、関東近郊では入間、千葉、多摩(南大沢)、横浜に施設を展開しており、現在国内で8ヶ所を要するアウトレットモール業界2番目の企業である。
 業界1位のチェルシージャパン(三菱系)が経営する佐野のアウトレットモールの敷地面積が14.7ha、同様に御殿場が35.5haである事を考えると、金田に出来る施設は対三菱への拠点となる国内最大クラスになると考えられる。
 この立地は雇用への影響も大きいので、人口増加に寄与すると考えられるし、開業見込みまで2年と少ししかない事を考えると関連社会資本整備の速度向上や都市計画の変更手続きなど、行政の対応が急がれる事も明らかである。大きな問題ではあるが、この詳細については年明けにでも記載したい。 
 
※12月30日一部加筆