公共建築物を考える
2017/06/27記
 前々回前回引き続き6月議会でタイムアウトになって流れたアイディアの第3段である。
 
 2回目は「公共建築物の構造」である。
 
 人口が減少し維持管理費の削減が求められる中、公共建築物については現在より面積を減らさないと更新コストの捻出が難しいことが公共施設再配置計画の中で示されている。ではその更新コストは何で作ることを念頭に置いているのか、という事が問題意識である。
 
 また、今後の人口減少社会では更新した建築物が寿命を迎えるであろう50年後の頃に人口配置や都市形態が変わり、再度の統廃合が発生する可能性を視野に入れると現在多く採用されている鉄筋コンクリート造からの見直しも必要だと考える。
 鉄筋コンクリートは適切な施工を行った場合は鉄筋の腐食等の心配もなくメンテナンス費用が少なく済み、耐火性や静寂性に優れているという利点を持つものの初期投資が高く、撤去や改修にも多くの費用を要する構造でもある。近年は他の構造でも充分な性能を有しており、例えば第3中学校や真舟小学校は鉄骨造りであるが騒音の問題を聞くことはない。なお、鉄骨造りの方が鉄筋コンクリートに比べ2割程度安価に成ると思われる。
 持続可能な行政運営を検討すると、公共施設マネジメントの観点では公共建築物の構造を見直すべきではないかとというのが当初の質問である。
 
 それに対し、本市では学校・公民館を中心に約7割の公共建築物が鉄筋コンクリート造という状況であるが、設計・建築から維持管理、解体までのトータルコストいわゆる ライフサイクルコストの低減を図ることを目指すと、コスト縮減を考慮した建物構造について検討するという回答があり、時間が無くてこれ以上の質疑を深めることをしていない。
 
 そもそも、更新コストを削減できたら維持できる建築物の面積を増やすことが出来るので、無理な統廃合を進めることを少しは回避できる事になる。まだ着工前の建築物も未来に発生する解体費用の削減のために対応しなければ成らないであろうと、次に聞く予定であった。
 
 もっとも、総務部の回答としては今年度に工事着手となる事業の見直しは難しい、という予算審査での答弁と同様の回答が帰ってくるので、前向きな議論に進まないことを打合せで確認していたので、時間が無い中で削除するやり取りに選んだのである。
 
 木造平屋で有れば布基礎で済むべき構造が鉄筋コンクリートに成ると杭基礎が必要となり、施工と撤去の費用が桁違いに上がる事を知りながら、今年度の工事発注を見守るのは数十年後の市民に対して申し訳ない思いで、この答弁を考えているのである。
 
 6年前の請西保育園の件もそうであったが、どうにも決まってしまったことをやり直させることの難しさに日々直面しながら議員生活を10年間も送ってしまった事に反省を行いながらシリーズ3回目の記載を行った次第である。