企業進出を欲望する
2017/06/30記
 今まで3回(初回2回3回)に渡り6月議会の時間切れネタを特集してきた。今日で6月も終わりなので最終回にしたい。
 
 4回目は「企業進出」である。
 
 木更津市で手っ取り早く人口の増加を目指すには交通アクセスの良さを活用して対岸の企業に勤めている人を誘致することだと考える。しかし、個人的には職住の分離は災害時の帰宅難民に繋がるし、PTA等の活動を当該地域で行わない限り単に眠りに帰るだけの街となり、地域への愛着が生まれ難い。出来ることなら職場と供に木更津に誘致したいものだと考える。この事で人口の増加だけでなく、法人税や固定資産税といった安定財源の確保も期待できるからである。
 
 職場の一つとして地元の企業が発展し、対岸で人材募集を行うという事は理想的であるが、木更津市にはかずさアカデミア地区を始め金田や築地といった企業立地の空間を持つ以上、企業進出を誘導することも重要な施策であり、市役所でも経済部産業振興課が積極的に企業訪問を行い、立地奨励金制度を活用した誘致活動を行っているところである。
 
 今回の議会では、新たな雇用を生む企業の誘致として、特に新時代を担う新産業を育成すべきであり、今までの大田区や川崎市と言った対岸の企業だけに留まらず、羽田や成田といった国際空港の近接性より海外企業にもPRするべきという、ざっくりとした質問を行った。
 
 それに対し、木更津市の現状の説明があり「かずさアカデミアパーク地区」では右写真の「八天堂きさらづ」が7月開業を目指している他、立地決定に向けて手続きを進めている企業が1社有り、立地が決定すると残りの用地が3区画となる事の報告が有った。
 他にも立地を決定しながら操業に至っていない企業(富士通)に対して継続的に企業訪問等を行っている事、「金田東地区」では潟hウシシャが物流センターの建設を進め約150名の雇用を予定している事、「金田西地区」では昨年2月に公募した約6.7[ha]の大型街区が売れ残った事、「新産業の育成」は「かずさインキュベーションセンター」を拠点に支援している事、「海外企業にもPR」は昨年、県の主催でアメリカをはじめとする5カ国の大使等を招いた県内視察ツアーを実施する中でかずさアカデミアパークを市長自らセールスした事などが答えられた。
 
 時間がないので再質問は出来なかったが、未操業企業(富士通)の状況について、立地決定後の経済・社会情勢の変化等で、主力商品の日本国内での市場が縮小したことや、採算性の観点から、生産拠点を海外にシフトしたことなどから、立地に至っておらず、今後の土地利用につきましては、他企業への売却による有効活用なども視野に入れ、様々な観点から検討する方針だという答弁を経済部からはいただけるよう打合せを済ませていた。
 
 未操業の企業は土地の活用が出来なかったペナルティのように平成21年度に6億円を超える特別土地保有税を支払ってまで購入地を凍結しているので、簡単に次の事業展開が行えないことは理解できるが、一刻も早く有効活用される事を願うばかりである。
 
 さて、その未利用の土地が多く残っている事を除くと、いよいよ残り区画も3区画になったという状況で、今後の展開として計画には存在する戸崎国有林を使った2期工事や大鷲新田での3期工事という、現実的には採算が難しい拡張工事は行われないであろう事は誰もが心の中で思っている事だろう。
 すると区画整理が無くなって新しい宅地が供給されないように、企業が土地を求めてきたときに提供するものが無い状態が近いうちに訪れる可能性が有る。目を広げれば富津市の臨海部に企業庁の土地が残っていたように思えるし、県内でも多くの工業団地に空きがある事を考えると、木更津市に用意しておく必要はないのかも知れないが、ビジネスの機会を逃すようで気懸かりである。
 
 個人的にはDNA研究から発展した植物由来の再生可能エネルギーの研究、干潟と東京湾航路の間に洋上風力発電の集中立地、自営隊が管理する木更津飛行場を民間に解放することで生まれる航空機ビジネス等、木更津でなければ展開できない産業はまだまだ多くあると思う。世界から「木更津に学べ」といわれるような都市になりたいものだと考えながら、4回も続けた言い残した質問シリーズを終えたいと思う。