基地関係要望を提出する
2018/07/10記
 基地関係要望書については2015年12月議会の最終日で議決して12月22日に提出をして来たのを皮切りに、2016年は9月議会の最終日に発議案を可決して9月30日に提出し、2017年は概算要求に目標を合わせるべく9月議会初日に可決して、9月4日に提出し、今年は概算要求の前に提出が良かろうという判断で6月議会最終日に議員発議を行って、昨日、北関東防衛局へ提出してきた。年々早くなってくる要望書で有るが、これら4回の全てを委員長として取りまとめ、参加してきた。
 今までと同様に直接の提出先は北関東防衛局長であるが、他にも小野寺防衛大臣と防衛装備庁長官・地方協力局長宛の要望書も北関東防衛局長から進達していただいた。
 提出は昨年と同様、齋藤議長・重城副議長・國吉基地対策特別委員会副委員長に私を含めた4人と議会事務局長並びに担当職員の6名である。
 
 北関東防衛局では局長・次長を始め企画部長・調達部長・管理部長等を始めとした大勢の幹部職員が対応していただいた。ただし、写真を撮るボードまでの用意といった過分な気遣いは無くなっていたが、それを別に求めている訳ではないので問題ない。
 要望書の全文は下記の通りである。
 
基地対策関係施策に関する要望書 
 
 木更津市は、陸上・海上・航空の3自衛隊を抱えており、市議会としても基地に対する市民の理解と協力を得るため、生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているところであります。
 太平洋戦争終結後、米国空軍及び海軍が駐留し、昭和27年の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の締結等により、木更津飛行場は在日米軍に提供されたものの、昭和31年に航空自衛隊木更津基地が発足し、在日米軍の撤収後も自衛隊の部隊が駐屯しております。そのため市内にも数多くの自衛隊員及び関係者が居住し、自治の一翼を担っていただいております。
 しかし、東京湾に面した海岸線を有しながら、木更津飛行場が立地することにより、京葉工業地域が本市を回避する形態で造成されることとなり、近隣市に比べ法人税収増大の機会を失うばかりか、固定資産税に見合う、充分な国有提供施設等所在市町村助成交付金を受けることができず、木更津市は厳しい財政状況下に置かれています。
 国防のための自衛隊の存在は理解しており、我が国の安全保障環境が厳しさを増す中で、本市は既に充分な役割を果たしていると考えていましたが、近年ではオスプレイの定期機体整備の拠点とされたばかりでなく、一部報道では陸上自衛隊のオスプレイも本市に暫定配備されると伝えられております。このような状況にある事を十分ご賢察いただき、次の事項の実現を図るよう強く要望します。
 平成30年 7月 9日
北関東防衛局長 吉田 廣太郎 様
 千葉県木更津市議会議長  斉藤 高根
基地対策特別委員会委員長  近藤 忍
 
1.基地に関する市民の安全・安心を確保し市民に情報を提供すること
 平成29年2月1日から開始された米海兵隊オスプレイ初号機の定期機体整備は、当初予定より大幅に遅延しており、いまだに終了しておりません。今後行われる試験飛行については、覚書や飛行場運用規則を遵守するよう米軍に働きかけるとともに、2号機以降の整備予定も含めて充分な情報提供を行うよう要望します。
 本年秋に日本に納入される陸上自衛隊オスプレイについては、木更津駐屯地へ暫定配備される見通しという報道が有りましたが、貴省からは、「様々な選択肢を検討しており、現時点ではなんら決定していない」と聞いております。一方で、報道を踏まえると様々な選択肢の中に木更津駐屯地が含まれていることは明白であり、かつ有力な候補地と考えていることが推測されますが、今後の決定までのプロセス及び選定方法等について、情報提供するよう要望します。
 また、昨今では、米軍機、自衛隊機問わず、全国各地で緊急着陸や部品落下事案が多発しております。木更津駐屯地においても本年5月に部品落下事案が発生しておりますので、いまいちど安全対策を徹底するとともに万が一、事故発生の場合には、その実態を速やかに市へ報告し、被害に対しては十分な補償措置を講じ、原因究明を行って再発防止に万全を期することを要望します。
 
2.基地周辺対策経費の所要額を確保し江川総合運動場の早期整備をすること
 特定防衛施設周辺整備調整交付金は、市民の基地に対する理解と協力を得るために重要な施策であり、本市もこの交付金を活用し生活環境の整備や住民福祉の向上等に鋭意努力しているものの、基地の所在による特殊な財政需要の増大により厳しい財政状況下にあることを鑑み、交付金の所要額を確保するとともに、事故の懸念が拭えない米海兵隊オスプレイの定期機体整備を受け入れた本市の事情を考慮し、「駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法」の改正の検討も含め、特段の措置を行うことを要望します。
 また、消防本部庁舎の整備や防災行政無線のデジタル化については補助金で事業化を進めていますが、単年度で終了する事業では無いため、来年度以降も引き続き支援いただきますことも要望します。
 平成27年度より工事に着手された江川総合運動場は基地の存在に伴う航空法の制限区域でもあり、かつては多くの住民が居住していた場所であり、当該運動場の整備は市民にとって待ち望まれている事業であります。防衛省と市による役割分担のうち、未だに工事が未発注の部分については速やかに完了されるよう引き続き事業の進捗をお願いいたします。併せて防衛省による基盤整備工事に引き続き、市による運動施設整備工事が行われますので市の事業に対する助成予算の確保を要望します。
 また、貴省の工事に伴い既存道路の損傷が見られますので、その補修を行うとともに、周辺市道整備における防衛省用地の割譲については防衛大臣の承認を要するとのことですので、速やかな手続きを併せて要望します。
 
3.騒音対策等の充実強化を進めること
 飛行場周辺地域における騒音環境基準(現行62db)を航空機騒音の環境基準(現行57db)まで引き下げるとともに、騒音環境被害の実態と、場周経路下に居住する住民の感情を考慮し、補助対象区域を拡大することを要望します。また、近年は夜9時を過ぎても飛行訓練が続き、離発着訓練が終わった後もエンジン音により近隣住民の環境は悪化しております。自衛隊機及び米軍機の訓練は飛行場運用規則に従って適正に行い、夜間早朝等の騒音被害を生じさせる事のないよう要望します。
 さらには、緑地帯や緩衝地帯については風による住宅地等への枝葉の飛散という苦情が聞かれますので、地域の環境を悪化させないよう適切な管理を講ずるよう要望します。
 
4.地域との共生に努め防災や産業活性化に寄与すること
 木更津駐屯地は3月に新編された陸上総隊の一翼を担う第一ヘリコプター団の常駐により日本国内はもとよりアジア各地の災害に対応する能力を備えておりますが、地元自治体とも災害時のさらなる協力体制を構築し、防災の拠点機能を高め住民の安全確保に寄与することを要望します。
 また、糧食、物件の地元調達を促進するとともに、防衛施設関係工事及び維持修繕等の地元企業の受注機会の確保や市民の雇用を積極的に行うよう指導することなど、地元産業の活性化を通じて地域との共生に努めることを要望します。
 
 
 今年の要望は、前回まで定期機体整備の開始に伴い再編特措法の適用を含めた対応を求めることを第1項の要望としていたものを、それを第2項の一部に統合し、第1項には暫定配備の報道を受けて安心安全と情報提供を前面に打ち出したこと、及び現在の自衛隊で生じている夜間訓練の騒音や部品落下等に対する対策要望を折り込んだことである。
 特に第1項の暫定配備に関する「プロセス及び選定方法等」については、委員会や本会議で多くの意見が寄せられていた事もあり改めて質問をさせていただいた。防衛省として暫定配備の決定が無い事は解っているが、仮に検討の遡上に木更津が登った場合は、どの様な規模でどの程度の期間の配備として検討しているのか、また市民に対する影響や安全の確保策を示し、一方的に決定事項を示すことのないようにしていただきたいという趣旨の質問に対し、防衛省としては仮にその様な事態になった場合には充分な地元理解を得て進めていくという回答を頂いたので、委員長としての責務も果たせたものと思う。
 
 昨日は渡辺市長が防衛省を訪問し、整備計画局長と面会して暫定配備に関する情報収集を行うと供に、米海軍厚木基地を表敬訪問する中で定期機体整備に伴う試験飛行での覚書の遵守等について申し入れを行ったようだ。市と議会がそれぞれの役割を果たす中で市民の安心と信頼を得ていくように、今後も頑張らねばと思いながら、簡単な報告とさせていただく。