五百人に到達する
2021/04/28記
 大型連休に入る前に達すると覚悟はしていたものの、昨日3人の新規感染者が確認され、木更津市における累積感染者数が5百人に到達してしまった。
 4百人を越えたのが3月3日の事なので百人増加に55日を要したことになる。3百人から4百人まで41日であり指数関数的に増加する感染症で有れば日数はより少なくなるはずであるが、比較的抑えられていると考えるべき数字であろう。
 
 インドでは毎日の新規感染者数が35万人に達しているというニュースを聞く。木更津の500人はインドで2分間に増加する感染者数になる。3重変異でワクチンが効きにくいウイルスが発生しているという説が語られるが、この約3万塩基のRNAからなるウイルスは平均23塩基/年という変異をし続けているようなので、より感染力が強くなった株が繁栄した結果、当初の武漢型とは大きく異なるものが主流になっているようである。そうであればワクチン開発と追いかけっこをするのではなく、重症化しない弱毒性の株の感染力が高まって他の株を駆逐してもらいたいと願うばかりである。
 
 木更津市の感染者の性別・年代別比率を401人段階と比較してみると下表のように性別では男性が増え、世代では60代を除けば高齢者の比率が減少し若年層が増加した事が解る。
 
区 分 401人時点 500人時点 比較
人数 比率 人数 比率 人数 比率
性別 男性 226 56.4% 287 57.4% +61 +1.0%
女性 175 43.6% 213 42.6% +38 -1.0%
年齢 10歳未満 7 1.7% 18 3.6% +11 +1.9%
10代 44 11.0% 57 11.4% +13 +0.4%
20代 94 23.4% 119 23.8% +25 +0.4%
30代 35 8.7% 49 9.8% +14 +1.1%
40代 48 12.0% 56 11.2% +8 -0.8%
50代 40 10.0% 49 9.8% +9 -0.2%
60代 45 11.2% 59 11.8% +14 +0.6%
70代 30 7.5% 33 6.6% +3 -0.9%
80代 33 8.2% 34 6.8% +1 -1.4%
90歳以上 25 6.2% 26 5.2% +1 -1.0%
 
 表中で80歳以上は僅か2人しか増加しておらず比率は大きく減少した。これは前までに高齢者施設のクラスターが発生していたからであり、高齢者は感染の危険性を自覚して対策を徹底している一方、若い世代が活発な交流を続けて感染拡大をしているからだと解釈できるが、10歳以下の世代は保育園で発生したクラスターの影響も大きいと思われる。世代別の増加傾向をグラフで表すと次のようになり、最近は10歳未満は増加していないことが解る。
 
 
 
 なお、何時も集計している房総半島26市町村の値は3日前にまとめたばかりなので今回は整理しない事とした。
 
 日本での累計感染者数は58万人を越えたが、世界では米・印・伯の3ヶ国は累計感染者数が1千万人を大きく超過し、日本より人口が少ない欧州の主要国(仏・英・伊・西・独)でも3百万人を越えている。感染者数で言えば日本は世界第38位に位置付けており、前後にはオーストリアとレバノンという人口の少ない国に挟まれている。なお台湾は1,110人(死者12人)で抑え込んでいる。
 日本の死者数も1万人を超過したが、世界全体では明らかにされているだけでも313万人が亡くなっている。日本の順位は世界第42位で、前後にはオーストリアとモロッコという、やはり人口の少ない国に挟まれている。オーストリアと日本は現在のところ感染者数と死者がほぼ同じ状況にあることを知った。
 人類が感染症の知識を積み重ね、PCR検査やDNA解析能力を持ち、医療機関が整備されてワクチン開発速度も飛躍的に上がった今世紀であってもこの状況であるから、過去の衛生観念や栄養学すら不十分であった時代には感染症で多くの方々が亡くなることもうなずける。
 原生林の奥まで開発が進むことや永久凍土が解けて過去のウイルスが出てくることなどで今後も新たな感染症が出てくる事も想定される。科学技術の発達はワクチン開発の速度を更に速めることになるかも知れないが、生産応力を高めるための時間は現状からそれほど変化するとは思えず、その度毎に1年以上は人的交流が止まり経済へのダメージを与えるようであると大幅に経済体制を作り替えることが求められてくるだろう。
 
 木更津市が主体となったワクチン接種は26日から始まったが、同じ26日から君津市ではワクチン接種の受付を始め、電話が繋がらない状況になったと聞いた。
 一刻も早くワクチンを打ちたい気持ちも理解できるが、現実的には潤沢にワクチンが届けられるわけではないこと、集団接種は開始早々には慣れが不足しており想定していない事態で混乱が生じるリスクもあることや人の集中による密集環境が発生しやすくなること等から、出来ることなら焦らずに日頃からお世話になっている医療機関で夏頃に個別接種を受けることが良いのではと思っているし、誰かに聞かれたらその様に伝えている。
 また、ワクチンの副作用等で接種を拒むものも多いと思うが、今回は多くの方々が接種することで感染経路を減らし、変異しながら生き残るウイルスの戦略を未然に防止することが公益のために必要であり、若干のリスクは堪えて欲しいと思う。
 
 本日から千葉県で蔓延防止等重点措置対象市が5市から12市に拡大される。自治体の数では千葉県下の22.2%であるが、人口では66.7%(=4,183,664/6,275,916)であり、県の2/3を占める居住者の範囲で飲食店の営業時間短縮等、数多くの対策が講じられた。
 その様な中で明日からGWが始まる。例年で有ればワクワクする時期であるが昨年と同様に出かけることが自粛させられる期間になっている。順調にワクチン接種が進めば来年には旅も解禁されることだろうが、その時に観光地には倒産した旅館や閉鎖された土産物屋が並ぶような風景に成っていないことを願い、連休前日の思う事を記載した。