ツルちばを楽しむ
2022/10/10記
 一昨日はイオンモール木更津を発着とし、君津・富津・袖ケ浦・市原市を巡る全長111kmのツール・ド・ちば2022(略称ツルちば)が開催された。
 
 主催者は「ツール・ド・ちば2022実行委員会」で、実行委員長は公益社団法人千葉県観光物産協会でもあり酒々井町で(株)飯沼本家という酒屋を営む飯沼喜市郎氏である。また、一般社団法人自転車協会が特別協力しており、大会事務局は千葉日報社に置かれている。ツルちばは2018以来、4年ぶりの開催に至ったのであるが、2020年以降はコロナの感染症対策であり、2019年は台風接近による天候を考慮して中止となっている。
 2019年の企画も木更津発着となっていたが、2日間とも外房方面まで往復する計画であり、木更津に宿泊する方を対象に懇親会を行うという企画が催され、当時議長でもあった私は2日間にエントリーしており懇親会の席で挨拶をする予定であった。何を話そうかと考えていたものの、それが無くなっただけでなく、懇親会を含め登録料と手数料で21,525円を払いながら全く走ることが無くても返金はなく、個人的な感想としては記念品を送られてもゴミが増えただけで嬉しくなかった記憶がある。
 
 ともあれ今回も木更津発着ということもあり、前回の登録料の約2万円に報いることとともに、全国走破者という経験者としては参加しないと失礼な気がして「ツルちば」に応募した。それでも前夜のLINEで自転車にベルを着けなければ成らないという情報があり、呼びかけが重要だと思って外して娘の自転車のおもちゃにしていたものを早朝に着けて戻すなどバタバタした対応を行い、会場に着くと仲間から自転車に関する法令を遵守する大会なので前照灯の設置も必要だと指摘されたが持ち合わせていない。
 受付では車検が無くて安堵するが、そもそも誰が実態を考えているのかと思う。過去に私が経験してきたナイトランでは、固定された前照灯に照らされない交通標識を読むためには登山や夜釣りで使うようなヘッドラントが必需品だと痛感してきた。夜中に道に迷いながら走るという前提は法令にはないのだろう。
 
 スタートまで1時間も有る7時前に木更津市役所トライアスロン部を中心とする仲間たちと落ち合い、開催セレモニーでは出場前に並ぶところを自転車を友人に預けて市長の挨拶等のセレモニーを撮影した。場所を提供していただいたイオンモール木更津は先日の神津島でも2日間停めて帰りに夕食や買い物の利用をしているので、同様にイベント後の施設利用も考えた社会貢献だと理解し感謝したい。
 小雨が若干混じる中で鈴木淳一さんが率いる和太鼓が雰囲気を盛り上げる中、時速22kmで走れると自己申告した人達が渡辺市のスタート合図で出発した。スポーツマンである渡辺市長とトライアスロン部の精鋭もこの早いカテゴリーに入っているのに出発を次のグループに回しての対応である。私はイベントの記録者と自覚して20kmのカテゴリーでのんびり走ろうと参加した。
 
 
 参加者は5百人を越えており、22km,20km,18kmという自己申告の速度で区分されているものの、さらに40人程度の団体になるように区分され交通障害を起こさない配慮はされていた。しかし午前中は信号機前で大きな集団が発生するような問題も生じていたように感じる。
 
 前日まで寒波が来て寒かったので服装選びに悩んでいたものが多く、ウインドブレーカーを羽織っているものも多く見た。私はそれなりの速度で走ると熱が隠るので短パンのサイクルジャージが良いだろうと考えたが、サイクリング用の短パンは「内房レーシング」のジャージしか持っていないので指導員やスタッフに回っている走破力の凄い人達に申し訳なく思いながら着用した。内房の上着も持っているが、昨年のイベントで入手したさいくるりジャージを使用し、内房の印象を誤魔化させていただき8:10頃に出発した。
 
 イオンモールを出てから産業道路を南下し、曇り空ではあるが富士山や丹沢が良く見える中、富津岬で折り返してイオンモール富津に到着して最初の休憩所に着く。自分の判断で走っている時には風景が良ければ写真を撮って停まり、疲れたらコンビニに立ち寄るのであるが、今回は約20km毎に設置されたエイドステーションまで基本的に休みはない。その代わり各ステーションでは水と食料が補給できるシステムであり、何が出るかを楽しみにして走ることが出来る。最初のイオンモール富津ではクレープだった。
 
 大堀の路地裏を抜けて小糸川と内房線を渡り君津市の小糸川遊歩道に入る。小糸川沿い遊歩道は道路橋の下を潜る形式にして停まらなくて済むような構造が望まれるが、何より木更津市でも小櫃堰公園より下流の整備が必要だと前から願っている。今回も車道との交差点で長い列が発生していた。
 
 周東中学校の前を抜けて長石の急坂を前のギヤをインナーに切り替えて登り、下り坂でアウターに切り替えようとすると変速器に不調が生じて切り替わらない。昼食会場のKURKKU FIELDSは坂の上に有ると知っているし、その後も上り下りが続くからと故障を放置して先ずは昼食にありついた。スタッフから渡されたカレー弁当を選択する事無くいただいたが、辛口や甘口などを選ぶことが出来たようである。
 
 ここまでの参加者を回収するためか、JRのB.B.BASEバスが会場に到着している駐車場の至る所でサイクリストがカレー弁当を食べている姿は圧巻である。青空も見えてきたので、我らは地元住民としてKURKKU FIELDSで食後のお茶を楽しもうとしたがスタッフが不在になっており諦めて後半戦に進んだ。
 
 やまゆり通りの坂を登り手でギヤを切り替えようとしてたが上手く行かず、次のエイドステーションの高滝湖まで重いギヤを使わずに走ったので、グループからは大きく遅れることになってしまい、一人で走ることになったが、懐かしく清々しい思いである。
 高滝湖の駐車場にはメカニック担当者がおりワイヤーの不備を調整してもらった。因みに個人で走っている時にはパンク修理を始め基本的なトラブルを解決できる工具や地図などを全て持参しているが、今回は携帯とカメラと財布しか持っていない気楽な旅である。
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 高滝から牛久を越えて馬立からの上り坂を越えると基本的に平坦なコースとなる。整備が終わりアウターも使えるようになったので登りの遅さを下り坂で補い、最後のエイドステーションである袖ケ浦市のひらおかの里に到着する。エネルギー補給にパンも置いてあったが、バナナが何より有り難かった。私は中盤の組で走っていたので最後の組まで物資が残っているか解らないが、想像では各所で大量の食料が残っていたものと想像される。最終走者が通過して残ったものはゴール地点に運んで配れば良いのにと思いながら、最後の区間を走ることにした。
 
 金田では牛込漁港や狭い農道を走るなど、休日の渋滞回避をしていることは解るが、市外からの参加者にアクアラインの下を通り抜ける時にじっくり見学の時間を与えても良さそうだと感じつつ進んだ。金木橋を渡り久津間を過ぎれば我が家の近くになり、イオンモール木更津まで車で行っていなければ帰宅してシャワーを浴びたい気持ちに後ろ髪を引かれつつ、余分な数kmを走ってゴールの門を潜った。早いクラスは1時間ほど前に到着しているが、ひらおかの里を15時半に通過すれば回収されないようで、私達の後も1時間ほど走っている人は続くようである。
 
 
 ゴール後は計測チップを回収して記念品をいただき、エザワフルーツランドのブルーベリーを美味しくいただいた。コースの途中で江澤さんのうちの前を通ったので、そこで配れば印象も違うのにと感じていた。また、ゼッケン番号でマザー牧場入場券等も当たるようだが、その様な運は持ち合わせていなかった。
 最後に「渡辺市長とその仲間」という感じの集合写真を撮影して、午後4時前に解散し、私は帰宅して熱い湯に浸かった。
 
 
 
 過去に571日間をかけて54,569kmを走り約540万円を費やして日本の全市町村を走破した私にとって、今回初めての経験になったことは実に多い。具体的には、@地図も持たずに同じ方向に決められたルートで多くの人と同じ日に走ったこと、A誰もが自由に走れる公道を走るために登録料(10,530円:手数料込み)を支払ったこと(2019年にも支払っているが中止になった)、B景色の良い場所などでも写真撮影に停まらなかったこと、C111kmという長さで多くの休憩所に立ち寄っているがお金を一切使わなかったこと、D主要な交差点の右折は直進が青になってから右折方向の青を待つという二段階右折を実施したこと、などである。
 
 ※追記:約40年前には自転車雑誌(サイクルスポーツ)に伊豆の旅を投稿した文章が掲載され、約30年前には旅行ガイド(地球の歩き方)に台湾の旅を投稿した文章が掲載されたことはあったが、双方とも私が作成した文章である。今回、自転車に乗っていただけで新聞記事(10月27日の千葉日報朝刊)になって写真が載ったのも始めてのことであった。
 

 
 Dは道路交通法的には正しい選択であり、そもそもツール・ド・ちばの基本的な考え方が交通法規を守り時間を競わないという考えなので反論の余地はない。でも交通量の少ない交差点で右折するときには右折レーンを利用して車両と一緒に曲がっていた私にはとても新鮮であるとともに、まどろっこしい経験であった。運営側も交通法規の遵守を徹底しており、主要な交差点には交通安全協会の方々が立ち誘導をしていただいていた。エイドステーションを含め、実に多くの人が参加しているイベントであり、登録料が生じる理由は理解できるが、やはり誰の設営も無い中を自由に走る方が性に合っていると感じている。
 
 アクアラインの橋の下を始めて通ったことなどで感動した人達が、再び木更津を中心としたエリアへ遊びに来てくれたら経済部を中心とした市役所の協力も活きてくると考えながら、連休の中でこの日だけ天候が良かった好運にも感謝して記録を終えたい。