木更津市の人口施策について (令和3年 9月定例議会)
 議場の皆様こんにちは。会派羅針盤の近藤です。
 先ずはコロナウイルス感染症と日々闘っておられます医療関係者の皆様に感謝を捧げると共にワクチン接種を進めている関係者の皆様にも敬意を捧げます。また東京オリンピック・パラリンピックでナイジェリア連邦共和国選手団の事前キャンプを運営されました木更津市陸上競技連盟やスポーツコミッションを始めとするボランティアの方々、市役所職員及び関係者の皆様にも感謝申し上げます。
 前回、この質問席に登壇したのは改選前の平成30年12月議会でしたから2年9ヶ月ぶりの質問となります。感染症対策で与えられている時間が通常より短い50分となりましたので、時間短縮のため数値については事前に調べて準備してまいりました。それでは9枚の配布資料を使用し、羅針盤議員団を代表して、通告に従い大綱を1点に絞り質問を開始いたします。目には優しくない資料が続きますが最後まで宜しくお願いいたします。
 それでは大綱1「木更津市の人口施策について」質問いたします。日本国では人口減少を迎えておりますが木更津市では平成17年以降、16年間にわたって人口の増加が続いています。確かに人口は伸びているのですが今回の国勢調査の速報結果と平成28年に木更津市が発表した「木更津市人口ビジョン」及び平成30年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の地域別将来推計人口」を比較してみた結果、配布資料1に示すように、その誤差は1%以内に留まっていますが各種の推計より人口の伸びが少なく、基本構想に示す14万人の到達を見ることなく減少に転じるのではないかと私は危惧しております。行政を持続させるには人口と経済に支えられた税収が重要であり、人口施策を論じることは住みたい街・暮らしたい街を目指すことにつながり議会の重要な責務と考えます。配布資料2をご覧ください。これは平成元年以降の人口推移を出生と死亡による自然要因と転入転出による社会要因に分類して整理したものです。自然要因では市の人口が増加しているにも関わらず出生は増加していないこと、高齢化の進展により死亡者数は毎年確実に増加していることが解ります。
 そこで、中項目1点目として「自然増への施策」について質問いたします。健康寿命を延ばす取組は行われてはおりますが急激な寿命の延長が望めないことから死亡者の抑制は難しことで、市は出生を阻害する要因を除去し両親が希望する子供の数まで産める環境を整える施策を行うべきと考えます。因みに「木更津市人口ビジョン」では理想の子供の数は2.3人でありながら実際には1.6人であることが示されています。配布資料3をご覧ください。木更津市では2016年に合計特殊出生率が当時の千葉県で最高となる1.60を記録しましたがその後は低下傾向にあります。参考に流山市と浦安市も記載していますが、この両市は2004年までは同様の傾向を示していましたが、その後子育て施策に力を入れた流山市は合計特殊出生率を高め2018年には木更津市より0.21ポイントも高い県下最高値となる1.67を袖ケ浦市と共に記録しました。流山市では2010年に17園1789名であった保育の規模を2019年には77園6051名に拡大し保育園に送迎しなくても駅前で預けることの出来る送迎所を設け、小学校低学年では放課後も預かるプログラムを作るなどの施策をとり子育て世代の転入が増えるとともに第2子・第3子の出生が増えていきました。これは施策によって住民の人生まで変わる事例だと思います。
 そこで小項目1点目として「出生率向上の取組」についてお聞きします。本市でも合計特殊出生率を向上させることは目標に掲げられておりますが、現実は減少傾向にあります。流山市のように政策が成功している自治体がある中、本市としては出生率の低下原因をどの様に把握し、向上のためにどの様に取り組む考えなのか伺います。
 次に小項目2点目として「保育行政の充実策」についてお聞きします。6月議会で本市の令和3年度当初の待機児童数は100人と示されましたが確定値は90人となりました。県内の状況を調べると配布資料4に示すように本市は待機児童数が県下最多です。これは出生の阻害要因というだけでなく転入の抑制となり女性の社会進出も妨げております。木更津市では前年より28人待機児童が増えてしまいましたが保育施設については近年も認可保育園の開設などが続き、保育園の定数は2014年の1465人から2021年には2050人となり7年間で40%も増加しました。その結果、配布資料5に示すように例年増加していた年度末での待機児童数も平成29年度以降は抑制され年間を通じると深刻な事態からは脱却しているように思われます。しかし幼稚園より保育園を希望する家庭が増える中、今後も保育需要の高まりが予想され、新規保育園の開設を続けることで解消を図るだけでは難しいと思いますが今後の保育行政の充実策について説明願います。
 小項目3点目として「公費負担の軽減策」についてお聞きします。急速な少子化対策として子育てのコストは地域全体で担うという考えに立ち第2子以降の公費負担を軽減する施策を今まで以上に拡張すべきと思います。保育料や給食費等については今まで多くの議員が質問を行ってまいりましたが、その後の検討を進める中で、何らかの対応は可能となったのか、お伺いします。
 次に中項目2点目として「社会増への施策」について質問いたします。再び配布資料1をご覧ください。死亡者が出生者を上回る自然減の中で本市の人口増加は転入が転出を大きく上回るという社会増に支えられて参りました。アクアラインバス品川線が開通した2006年に大きく減少した転出者数が近年は再び増加傾向を示しています。配布資料6をご覧ください。これはコロナが流行り始めた昨年3月1日からの1年間で県内の市の人口がどの様に推移したのか調べたものです。実数では流山市、増加率では印西市が最大であり、木更津市と袖ケ浦市も健闘はしておりますが君津市と富津市は人口が減少しております。自然増が期待できない以上、社会増を促す施策は非常に重要です。
 そこで小項目1点目として「移住定住の促進策」についてお聞きします。リモートワークが拡大される中、移住先としてかずさ四市が注目されている旨の報道も多く目にしましたがこの1年間の人口推移を見ると顕著な効果は見えておりません。移住を促す有効な広告戦略と魅力的な街づくりが必要だと思います。特に本年はポルシェの開業やコストコ本社移転などイメージ向上に寄与する出来事が続き本市は多くの注目を集めることと思います。本市の移住定住の促進策をご説明願います。
 次に小項目2点目として「産業用地の拡充策」についてお聞きします。本市に選択できる職場が多ければ転入が増加し転出は減少します。しかしながらアカデミアパークには販売可能な企業用地が2区画を残すのみとなっており産業誘致を行う土地が有りません。今後の産業用地の拡充について、どの様に取り組まれているのか伺います。
 小項目3点目に「外国人材の支援策」についてお聞きします。社会増には住民基本台帳に登録された外国籍の住民の増加も視野に入れる必要があります。コロナウイルスの影響で海外との交流は止まっておりますが介護人材等で外国人材の需要は根強く、配布資料7に示すように木更津市における外国人登録者の総数及び比率はコロナ下でも増加を続け、10年間で1.7倍になり今後も増加しつづけると思われます。一方、アジアでは日本だけでなく韓国・台湾などでも少子化が進んでおり国内だけでなく国際的に人材争奪戦を迎えております。本市はベトナムのダナン市やフィリピンのビスリグ市と友好都市を締結した強みが有りますが更成る結びつきの強化を目指し先方の諸都市と人事交流を行ってはどうでしょうか。外国人にとっては人権等の相談を行える窓口が出来ますし、地域社会への融和を促す施策を講じることで相互不信や市民の不安も物色できます。外国人の労働力がなければ都市を維持できない以上、積極的な支援に乗り出すことで友好都市からの人材確保を促進するべきと思いますが本市の今後の支援策についてお伺いします。
 最後に中項目3点目として「地域偏在の解消」について質問いたします。木更津市全体で捉えると人口増加が続いておりますが、多くの地区では人口が減少しており、地域の活力維持や伝統文化継承のためには地域偏在の解消が望まれます。配布資料8をご覧ください。これは木更津市の平成元年以降の地区別人口を整理したものでグラフはアクアライン開通の平成9年を基準に、それからの増減を示したものです。近年の区画整理で住宅供給が行われた地域では人口が増加しておりますが、それ以外の地区はアクアラインの恩恵も少なく人口減少が止まらないことが解ります。特に岩根地区と富来田地区では約2千人、鎌足地区と中郷地区では約千人減少しております。これらの地区でアクアライン開通当時の人口を維持できていれば本市の人口は約6千人多い状況で推移して既に14万都市になっていたことが想像されます。
 そこで小項目1点目として「空き家対策の展開」についてお聞きします。市街化調整区域の農地が転用されて宅地供給が続いている岩根地区で人口が減少しており人口急増の羽鳥野を擁する波岡地区でも人口増加が鈍化している理由を考えると既存市街の住宅から居住者が減少したり空き家に成ったりしているためと思われます。管理不十分な空き家は近隣住民の環境悪化を招き既成市街地からの人口減少はインフラの維持コストの増加になります。そこで伺いますが今までの空き家対策の取り組み実績と今後の更なる制度の利用促進に向けた展開についてご説明願います。
 次に小項目2点目として「郊外部の居住促進」についてお聞きします。現在の木更津市では請西や金田の区画整理によって供給された宅地も多く本市への移住を希望する方々に十分供給できる状況ですが、これらに継ぐ大規模な住宅供給の予定が有りません。また郊外部では田舎暮らしを始めたい方への物件供給が不十分で希望があっても人口増加に結び付けることができない状況です。都会に最も近い田舎をコンセプトにする本市に移住しようと考える方々に居住地を供給し、特に学校の維持が課題となっている中郷や鎌足地区で人口増加を図れるよう地区計画制度を利用した街づくりに積極的に行政が協力し、民間の協力も得た開発も進めるべきだと思います。今後の郊外部における居住促進についてご説明願います。
 最後に小項目3点目として「移住定住の広域化」についてお聞きします。配布資料9をご覧ください。これは「かずさ四市」での通勤通学の状況を整理したもので全通勤通学者の8割近くが四市の内側で収まっていることが解ります。先ほど木更津市内には産業用地が不足していることを示しましたが近隣市への企業誘致が進むことで本市の市民に職場の選択肢が増えることになりますし、新たに進出した企業の従業員は行政界を超え本市に居住することも予測されます。また近年では君津市と富津市の人口減少が続き、かずさ地域内の行政間での偏在も顕著になっています。君津市は最大10万円の移住者助成金を設け、富津市も結婚した移住者に最大60万円の助成制度を設けるなど様々に移住定住施策に取り組んでいます。近隣市の人口減少は水道事業等の広域行政で木更津市の負担増につながる懸念がありますのでお互いに奪い合うのではなく一致団結して対岸からの誘導を目指すべきと考えます。そこで、移住定住政策や企業誘致施策については地域生活圏全体の重要な課題としてとらえ、広域化を行うことで取組の強化を目指すべきと考えますが如何でしょうか。
 以上で第一質問を終了いたします。
 
  
 市当局の回答
 ※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
 
<渡辺市長>
 それでは羅針盤代表近藤忍議員のご質問にご答弁申し上げます。
 私からは大綱1「木更津市の人口施策について」中項目1「自然増への施策」についてお答えいたします。
 はじめに「出生率向上の取り組み」についてでございますが、議員ご指摘のとおり本市においても合計特殊出生率が低下しております。この原因は結婚・出産・子育てなどのライフステージにおける経済的負担やライフスタイルの多様化などが影響しているものと考えております。出生率の向上のためには市民の不安の解消や経済的負担を軽減することが重要であり、結婚・出産・子育ての切れ目のない支援、働きながら産み育てやすい環境づくりなど、ライフステージに応じた支援策をさらに充実させてまいります。来年度の予算編成の中で新たな取組について整理し年少人口の増加策にもつなげてまいりたいと考えております。
 次に「保育行政の充実策」についてでございますが保育の需要が増加する中、充実した保育サービスを提供するためには民間活力を活用した派遣保育士の確保や民間保育施設整備に対する補助など、これまで進めてまいりました待機児童の解消に向けた取組はもとより、保育環境を充実させることが重要と考えております。そのため、令和4年度からは、令和2年3月に策定した「第2期木更津市子ども・子育て支援事業計画」に基づき、民営化後に公立保育園として残るわかば保育園を子育て支援に関するネットワークの中心施設として位置づけ、子育て情報の集約・発信、緊急一時保育、相談支援事業など、多様な保育や子育て支援のニーズに対応した各種事業を実施いたします。これらの取組により、安心して子どもを産み育てられる充実した保育環境の整備を図ってまいります。
 次に「公費負担の軽減策」について保護者の負担を軽減するための取組についてのお尋ねでございますが、保育に係る費用の負担軽減は、現に保育を利用されている家庭に対してだけでなく、これからお子さんを産み育てようとする家庭に対しましても効果があると考えておりますので、人口増加施策の一環として具体的な取組につきまして検討してまいります。
 続きまして中項目2「社会増への施策」についてお答えいたします。
 はじめに「移住定住の促進策」についてでございますが平成29年度から産業振興課内に移住・定住相談窓口を設置しワンストップ体制での様々な相談に対応しております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、来庁しての相談が控えられる中、より安全で気軽な相談機会を提供するLINE公式アカウントには本年2月の開設以降8月25日時点で233件の登録をいただくなど対面・非対面を問わず丁寧な相談対応に努めているところであり、今年度はすでに3組の移住に結びついております。また、移住・定住促進用のパンフレット更新にあたりましてはテレワーク移住や二拠点生活を実践したりDIYを楽しみ有機農業に取り組むなど、新しい移住スタイルを実現する方々の特集記事を組むほかパークベイプロジェクトや外資系企業の進出など新たなまちの魅力を紹介する内容に一新し、今月刊行いたしました。今後、市ホームページにおけるパンフレットと連動した動画配信や都内開催の移住関連イベントでの情報発信など効果的なPRに努めてまいります。
 次に「産業用地の拡充策」についてでございますが、令和2年3月策定の「企業誘致方針」に基づく誘致活動を進めた結果、かずさアカデミアパークや金田地区をはじめ本市への企業立地が進展した一方で、企業の受け皿となる産業用地が不足しており企業ニーズに答えられない状況も出始めております。産業用地不足への対応としましては市内全域を対象とした地域振興に寄与する大規模投資施設やインターチェンジ周辺への農業関連施設の誘致を図るとともに新たな産業用地の候補地となる用地情報の収集を行っているところでございます。引き続き各種法令の整理や交通アクセス性、インフラ状況把握などの情報精査に努めるほか、県の新たな産業用地確保に向けた支援窓口や補助金等の活用も検討しながら、産業用地の拡充に向け、取り組んでまいります。
 次に「外国人材の支援策」についてでございますが、現在は昨年度実施した「外国人市民対象アンケート調査」の結果を踏まえて策定した「外国人市民への情報提供ガイドライン」に基づき外国人市民の安定した生活に必要となる情報を適切かつ的確に提供するとともに市ホームページ上に「外国人サポートデスク」を設置するなど、支援体制の充実に取り組んでいるところでございます。今後は外国人が働く企業や外国人コミュニティの場へ職員が出向き、市の取組の周知を強化するほか、本市を選んでいただいた外国人の皆様が安心して暮らし働くことができるよう支援策の充実に取り組み、多文化共生の地域づくりを進めてまいります。友好都市との人事交流につきましては、現時点で具体的な計画はございませんが、友好協力関係を強化し介護人材の受入れや学生交流等を活発化させていく中で検討してまいります。
 続きまして中項目3「地域偏在の解消」についてお答えいたします。
 はじめに「空き家対策の展開」についてでございますが、本市におきましては空き家対策を計画的、総合的に進めるため「木更津市空家等対策協議会」を平成29年4月に設置いたしました。この協議会において、同年11月に「木更津市空家等対策計画」の策定を行い、@空家化の予防と適切な管理の促進A空家等の利活用促進B特定空家等の抑制・解消を基本施策と定め、空き家等の実態把握、市民意識の醸成、相談体制の整備、利活用の促進、代執行などによる特定空家等の解消など、空き家対策を積極的に行ってまいりました。今後のさらなる制度の利用促進に向けた展開につきましては、現在流通していない空き家を市場に流通させるため関係団体と連携した相談体制の充実や空家バンクの利用の推進など、一層の空き家対策に取り組んでまいります。
 次に「郊外部の居住促進」についてでございますが、市街化調整区域につきましては新たな市街地の拡大を抑制する区域であり、本市では「木更津市都市計画マスタープラン」において市街化調整区域においても集落拠点を設け、拠点間を結ぶ公共交通等のネットワークによる集約型都市構造を目指しているところでございます。議員ご指摘のとおり、中郷や鎌足地区などの市街化調整区域につきましては人口減少や、それに伴う地域コミュニティの衰退などの課題が生じていることから地区計画制度の導入を図っているところでございます。本市としましては土地所有者等の皆様と提案前の事前相談や勉強会などを実施するなど、積極的に当制度の活用を推進してまいります。また地区計画を実現するには計画の立案から実施までを担う民間事業者の参入が重要な要素になることから民間がもつ企画力などが活用できるような制度づくりの検討を進めてまいります。
 次に「移住定住の広域化」についてでございますが、行政課題に広域的に対応し行財政運営の基盤強化と効率化を図り持続可能な地域づくりを進めていくために広域連携は重要なキーワードでございます。現状といたしましては、移住定住施策や企業誘致施策につきまして広域連携による取組を行ってございませんが、かずさ地域4市で定期的に開催している「広域連携に関する意見交換会」の場において機会を捉え議題に供し情報共有や意見交換を図ってまいります。
 私からは、以上でございます。
 
 
一問一答
 ※質問と市の回答は文字の色を変えています。省略や言い換えも有ります。細部が気になる方は、市議会のHPで議事録を参照して下さい。
 
 答弁ありがとうございました。それでは再質問を行います。昨年8月1日に13万5910人であった本市の住民基本台帳人口は一年経った本年8月1日に13万5898人となり12人減少しました。平成17年から増加し続けてきた人口が今年で止まり減少に転じる気配も見えております。今月以外は増加していますので瞬間風速的な値だとは思いますが的確な施策を講じないと想定よりも早く人口減少に向かうのではと心配なのです。私は人口研が想定した曲線から乖離した理由を考えるべきだと思っております。政府の機関が木更津市のポテンシャルを認め人口が増加すると予想しながら施策が充分でなかったため、想定値に届かなかったのではという視点で今回の質問をしております。出生率向上の取組の答弁で『出生率の向上のためには市民の不安の解消や経済的負担を軽減することが重要』という回答がありましたが、正にその具体策が問われますので財政面の確認を行います。施策には費用が伴いますが、人口の増加によって歳入も増加します。昨年度決算における市民税収入済額が約95億7400万円でしたので単純に人口が1%増加すると市民税だけでも約1億円の税収増が期待されます。税収が増えても交付税が大きく削減されたら歳出だけ増えることになりますので最初に財務部に質問いたします。人口が1%増えた場合の基準財政需要額は幾ら増加すると計算されるのか伺います。
 
 人口が1%増えた場合の増加する基準財政需要額でございますが、基準財政需要額を算定するための「測定単位」は国勢調査人口を使いますので、国勢調査人口が1%増加した場合でご説明させていただきます。令和2年度の国勢調査人口の速報値が13万6224人ですので1%を乗じますと、1362人の増加となります。基準財政需要額を計算する場合は、本来、児童生徒数や75歳以上の人口など細かい計算がございますが、単純に人口だけ1362人増加させて、令和3年度の「単位費用」、「補正係数」により計算しますと基準財政需要額は約76百万円増加いたします。
 
 市民税が1億円増えることによる基準財政収入額の方は75%の75百万円の増加となり、回答がありました基準財政需要額の増加分とほぼ相殺され、地方交付税は変わらないと推察されます。従って極めて単純に考えると市民税だけでも1億円程度の収入増になると考えても、概ね間違えはないのか確認いたします。
 
 今おっしゃいましたように、仮に人口が1%増え、市民税が1億円程度の収入増となった場合には、議員おっしゃるとおり基準財政収入額と基準財政需要額が相殺されるので概ねその通りになると考えております。
 

 人口が増えると行政需要や職員が増えて扶助費や人件費が増加する可能性はありますが、基本的には人口を増加させる施策の財源は有る程度は確保できるものと考えて再質問を続けます。
 保育行政の充実策についてお聞きします。令和4年度から多様な保育や子育て支援のニーズに対応した多種事業を実施するとありましたが、子どもを預けたいときに断られない環境整備が何より重要なことだと思います。そのために市内で新規に大規模な雇用を発生させる企業に事業所内保育の設置を協議していき、潜在的な需要を削減することが求められていると思いますが、その様な取組は検討されておるのでしょうか。
 
 事業所内保育設置への取組でございますが、大規模な雇用が見込まれる企業における事業所内保育所または企業主導型保育所の設置につきましては、待機児童の解消のみならず女性の就業率向上に対しても一定の効果が見込まれますことから、今後、経済部と連携し、事業所内への保育所設置について働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 

 了解です。現在進行中の大規模な案件もありますので、速やかな対応を宜しくお願いします。公費負担の軽減策についてお聞きします。『人口増加施策の一環として具体的な取組につきまして検討』するという答弁がありました。来年度は4年に一回の骨格予算と成りますので当初予算に盛り込むことは難しいと思いますが、例えば保育料等は今年度中に改定手続きを済ませ、骨格予算の中でも対応することで一年先送りにしないよう、スケジュールについてもご検討願います。同様に学校給食費などの負担軽減も考えるべきと思いますが、教育部の見解を伺います。
 
 学校給食費に係る費用の負担軽減についてでございますが学校給食法では、給食施設の整備や運営にかかる経費は設置者が負担し、食材などの費用は保護者が負担すると規定されております。本市においては、現在有機米の購入費用を一部負担しておりますが、それ以上の負担軽減措置については考えておりません。しかしながら県内においても少子化対策や子育て支援の一環として学校給食費の無償化、一部助成など負担軽減措置等を取る動きが広がってきております。引き続き国や県の給食費に対する支援の在り方を注視してまいりたいと考えております。
 
 学校給食費については複数の議員から無償化の意見も出されております。私はせめて第2子・第3子の負担を軽減させることで子育て支援のメッセージを発信すべきものと思います。更には費用負担の軽減の検討とともに、小規模特認校制度を活用した個性的な教育を進め、子どもを育てるために移住したくなる魅力ある街を目指すこと等も教育部にも期待しながら、移住定住の質問に移らさせていただきます。
 移住定住の促進策について再質問いたします。LINE公式アカウントに233件の登録があり、今年度はすでに3組の移住に結びついた旨の答弁が有りましたが、
配布資料2に示す様に年間6千件を超える転入者が有る中で、その数値ではまだ大きな成果を上げておりません。もっと大きな流れを生み出すようなプロモーションが必要と考えますが如何でしょうか。
 
 議員のお話の中にもありました流山市では「母になるなら流山市」と、インパクトのあるプロモーションを行っており人口増加に寄与しております。そのような自治体を参考にしながら、都会に一番近い田舎、オーガニックなまちづくりに取り組んでいる本市の魅力をより多くの方に、より分かりやすくお伝えできるよう工夫し、一層のPRを図ってまいります。
 

 移住者を増やして木更津市の人口を維持する政策は大変重要です。しかし私は誰かれ構わず増やせばよいという考えには立っておりません。流山市は子育て世代をターゲットにしておりましたが、木更津市でも若い人が重要であるものの、考え方として地域社会に協力し、お互い様と考えて行動する方をターゲットにしてはと思います。その様な方を呼び込むことで自治会が活性化し、渡辺市長の提唱する「オーガニックなまちづくり」につながることと思います。本市が地域社会を大切にしているというメッセージを発信することで良い方向での注目も集めると思うのですが、如何でしょうか。
 
 オーガニックなまちづくりは、「このまちに住む方々が、それぞれの役割を果たしながら、お互いにつながり、支え合ってまちをつくる」という考え方がベースになっており、議員おっしゃるとおり、地域社会を大切にするというメッセージが込められているものでございます。今後も引き続き、この「オーガニックなまちづくり」を推進し、地域力を活かした市民主体・市民参加のまちづくりに取り組むことにより、より多くの市民の皆様が地域への居心地の良さや愛着を感じていただけるまちを目指してまいります。また、オーガニックなまちづくりに関するさまざまな情報を市内外に積極的に発信し、本市のブランド力を高めることで、本市を魅力的なまちであると感じていただき、移住先として本市を選んでいただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
 

 是非とも木更津市では地域社会に協力していただける方を求めていることをメッセージに込めて人口増加を目指していただきたいと思います。
転出者の中には本市で高校時代まで過ごし、進学や就職を機に故郷を離れる方々がおります。その様な方々が東京の近郊で住居を求める時が来たときに故郷に戻ることを誘導することも重要です。例えば静岡県磐田市では同窓会組織を活用し、地元以外での総会の開催にあたって市職員が出かけて行って市の報告をしています。これにより広報マンとして地元から離れた同窓生を活用すると供に「ふるさと納税」の拡大も目指しておりますが、これを移住促進にも応用できると考えます。そのような取り組みは検討できるでしょうか。
 
 議員おっしゃいます通り、一度は本市を離れた方に向けて再び故郷に帰ってくることを誘導する取り組みは重要であると考えます。同窓生の活用を始め、今後調査して参ります。
 

 土地勘が有り友人もいる故郷に戻れば、地域社会での活躍も期待されますので、今後の調査研究に期待しながら次の質問に移ります。産業用地の拡充策について『産業用地の拡充に向け取り組んでまい』りたいという答弁が有りましたがまとまった産業用地の確保は難しく、本市では過去に区画整理という手法が多くとられました。静岡県小山町などでは行政が地権者から直接土地を買い上げ、民間企業に造成と販売を委託し用地購入費を回収するという手法が行われました。これは区画整理事業に比べ許認可の手間が少なく事業速度が速いというメリットが有ります。本市でも林野の有効活用がなされていない地域も多く不法投棄や産業廃棄物処分場として狙われる前にインフラ確保が期待できる場所は行政で土地を確保することを検討すべきと思います。企業が購入するまでは災害時の仮設住宅用地や災害廃棄物の仕分け場所としても利用できます。民間の協力を得ながら、行政と住民が話し合うことで用地の確保を進めるべきと思いますが、如何でしょうか。
 
 全国には議員ご紹介の事例をはじめ民間企業と連携しながら産業用地の確保や整備を行っている自治体もございますので、様々な産業用地の創出方法を調査しながら新たな用地確保に向け取り組んでまいります。
 

 木更津市に基礎体力が有るうちに産業用地の種をまき、未来につなげるよう宜しくお願いします。特に本市は「カーボンゼロ宣言」を行っており、その取り組みが注目を集めていると思いますが、現在の市の取組では行政の省エネと市民の啓発に留まっております。脱炭素に向けた取組を行う先端産業の誘致を行うことでカーボンゼロ宣言の実践につなげるべきと考えます。それで本市のイメージ向上や雇用拡大に伴う移住促進になると思いますが、その展開をする産業用地がないという事が大きなデメリットと考えます。本市のイメージ向上にも繋がる企業を誘致できる土地の確保が、速やかに行えることを期待しながら次の質問に移ります。外国人材の支援策については『友好都市との人事交流につきましては現時点で具体的な計画はありません』という答弁でした。
配布資料7に示したように外国籍の人口は既に2%へ迫っておりますので、職員の0.2%となる2人程度は外国籍でも良いのかと思います。そこで総務部に伺います。友好都市の職員を外国籍のまま本市の職員とする場合には何か問題が有るのでしょうか。
 
 本市の職員採用試験においては「日本の国籍を有しない人」については対象としておりませんが、会計年度任用職員として採用を行っております。また今後派遣研修のような形で友好都市の人材を本市に受け入れるなど人事交流等を活発化させていく中で検討してまいりたいと考えております。
 

 現在は日本国籍を有する人のみを正規職員としては採用しているということが解りました。国家公務員とは違い地方自治体において国籍は必修で無かったと思います。国籍条項を廃止して市役所職員に外国人ばかりが多くなるのは如何かと思いますが、コロナ収束後に更に進展すると思う国際化を前提に優秀な留学生の採用など、柔軟な検討をお願いします。今後の海外交流についてですが、ナイジェリア連邦共和国の事前キャンプを行った市として今後急速な発展が期待される西アフリカ諸国との連携を維持するべきと思いますし、本市ではパキスタン人の実業家が活躍している実態も有ります。この様に現在の友好協定を結んでいる都市のある国以外にもつながりを深める糸口が見られますが、今後はどの様に展開する考えなのかお伺いいたします。
 
 ナイジェリア連邦共和国とは、オリンピック・パラリンピックを契機とした今後の交流の在り方について検討してまいりたいと考えております。また、他の海外都市につきましても、友好関係を築くことが、将来を見据えた中で本市の課題解決や地域振興につながり、まちづくりに好影響をもたらす可能性があるのであれば、その縁を大切にしていきたいと考えておりますが、まずは現在友好関係がある都市との交流を深めながら民間レベルのさまざまな分野での交流が促進されるよう取り組んでまいります。
 

 あまり手を広げて対応できない事態になることも避けるべきだと思いますので、まずは現在の友好都市との交流を深めるという方針は了解いたしました。インターネットの発達に伴い中学生の頃から情報機器を使った交流も展開されています。まだ取り組み事例が少ない状況ですが、木更津市の子ども達には語学力を高めながら国際理解を高めることで無理解や偏見を抑止する事が期待出来ますし、他国の子ども達へは木更津市への愛着を増やすことが期待されます。国際交流については教育部だけの取組として考えるのではなく、長期的かつ戦略的な施策として取り組むべきと思いますが如何でしょうか。
 
 今年度は小中一貫校としてグローバル教育を推進しており、小規模特認校でもある富来田小・中学校においてベトナム社会主義共和国ダナン市との間でオンラインを活用した学生間交流を計画しているところでございます。このような事業を通して国際感覚を身につけたグローバルな人材育成に取り組むと同時に、国籍や民族に関係なくお互いの人権を尊重し多様性を認め合う多文化共生社会の実現を目指してまいりたいと考えております。また相手国の子どもたちに対しましても、まずは日本、そして木更津の文化を知っていただき、将来、木更津に来て学びたい働きたいと思っていただけるようなプログラム等を検討してまいります。
 

 現在、富来田地区だけの取組ということですが、それだけでは効果が薄いと思いますので全市的かつ年間を通じた取組としていただけますように展開をご検討願いながら次の質問に移ります。空き家施策の展開についてですが『平成29年11月に「木更津市空家等対策計画」の策定を行い空き家対策を積極的に』行ったとの答弁がありましたが具体的な取組についてのご説明をお願いします。
 
 具体的な空き家対策の取組みでございますが、空き家等の実態把握としましては主に特定空家等に該当する可能性のある378戸を対象に再調査を実施し、適切な措置をとっていただけるよう助言・指導を行ってまいりました。市民意識の情勢としましては、市のホームページや広報誌・パンフレット等を活用し、空き家化の予防や適切な管理について周知を図ってまいりました。相談体制の整備としましては千葉県宅地建物取引業協会南総支部等と連携しながら空き家の売買・リフォームなどの相談体制を整備してまいりました。空き家の利活用促進としましては、空家バンク制度を創設し、これまでに32件の物件登録を行い、12件が契約につながるなど、利活用の促進をしてまいりました。なお、その内の7件につきましては、空家リフォーム助成事業を活用しております。最後に特定空家等の解消につきましては、特定空家等の所有者等に対し、指導・勧告を行うほか、これまでに代執行を4件行っております。
 

 大変多角的な取組が行われましたことは了解しました。しかし空家バンクを通じて契約までつながったものがたったの12件では既存市街地に人口を戻す効果は少ないと思われます。更に多くの物件を扱い積極的に本市への移住の誘因になるような取組を行うべきと思いますが、対策は何か講じておりますか。
 
 空き家バンクの活用が限定的ではとのことでございますが、市内には適切に管理されているものの未だ市場等に流通せず、利活用がされていない空き家もございます。このため利活用されていない空き家の利活用を促進させられるように、空き家の所有者に、空き家バンクへの登録や市場への流通を促してまいりました。今後は関係団体と連携し、さらに積極的なプッシュ型の周知を図るなど、空き家を利活用をしていただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 

 空家は過去に居住していた物件なのでインフラ整備も必要なく、リフォーム助成という点では公費を投入しますが、税収の増加によっておぎなえる規模ですので、更なる利活用の促進を宜しくお願いします。
 郊外部の居住促進について再質問いたします。今回の質問でお聞きしたいことは人口施策のために行政と地域住民と民間業者が協力して、お互いにWin-Winの関係を作るような取組を進める施策の展開です。郊外部の居住について、例えば鎌足地区では農地の大半が農振農用地に指定されているため開発は難しい状況ですが、山林では森林法の制限が有るものの農地に比べ開発は容易なので丘陵地では開発の余地が有ると思います。地域の活力を維持するために知恵を出し合うことが求められていると思います。『民間がもつ企画力などが活用できるような制度づくりの検討を進め』ると答弁がありましたが具体的にはどの様な制度を考えているのかお伺いします。
 
 個々の地区計画の状況によりまして必要となる民間のノウハウも異なることから、行政が実施するサウンディング型市場調査の活用により計画の実現をサポートする民間事業者と土地所有者等をマッチングできるような制度につきまして、他市の事例や状況などを研究しながら検討してまいりたいと考えております。
 

 マッチングを検討するということなので、財政の負担が少なく、まちづくりが進む可能性が高いものと期待します。
 移住定住の広域化ですが、私は現在、かずさ水道広域連合企業団議会の議員でもあります。今後の料金統一に向けて検討する中で、全体の利用者減少は料金の引き上げになると理解し、そのためには地域全体の移住者増加と企業誘致策を進めるべきと考えております。現在建設中の火葬場や次期広域ごみ処理でも支える人口が減れば、住民一人当たりの負担が重くなります。移住定住の業務につきましては、相手のあることなので再質問は致しませんが今後はお互いに人口を奪い合う不毛な関係から、協力して地域をよくする関係を目指していただけるよう期待いたします。
 人口施策について小項目9点の質問を行いましたが、木更津市では10月のポルシェエクスペリエンスセンター東京の開業や、来年度のコストコホールセールジャパンの本社移転など、強い追い風が吹いています。この風が吹いている間に人口を増やすことで基礎体力を強化し今後、訪れる人口減少局面での福祉後退を可能な限り抑える準備を行うことが、現在の行政を委ねられた我々の責務であると考えております。今回の質問では取り上げませんでしたが、子どもの遊べる大型遊具のある公園、雨の日にも遊べる児童館の設置など、子育て世代を誘導する施策は数多くありますし、転入者に対しては交通アクセスが良く買い物等に不便がないのに住居費負担が少なく生活できることを強力に広めることも有効だと思います。何より「そこに住んでみたい街」というイメージを醸し出すことが重要だと考えています。各部各課がそれぞれの立場で取り組むことが肝心です。現在は新型コロナウイルスへの対策という大きな課題がありますが、コロナ収束後を考えた取組は今のうちに始めないと間に合いません。簡単には出来ないことも多いかと思いますが、出来ることから実施し、明日の木更津市と、かずさ地域の人口が伸びて活力が続き、持続可能なまちづくりに貢献することを期待いたしながら、会派羅針盤としての代表質問を終了いたします。