市当局の回答
※意味が変わらない範囲で部分的に言い換えたり省略をしています。
<渡辺市長>
議場の皆様、おはようございます。羅針盤 代表 近藤 忍 議員のご質問にご答弁申し上げます。私からは、大綱1「人口施策について」、中項目1「人口増への対策」についてお答えいたします。
はじめに「死亡者増加の原因」についてでございますが、近年における本市の死亡者の内訳比率は、令和4年千葉県衛生統計年報によると「悪性新生物」いわゆる「癌」が最も高く全体の25.2%、「心疾患」が15.8%、「老衰」が10.5%、「脳血管疾患」が6.8%、「肺炎」が6.2%でございます。他の自治体と比べての特異点でございますが、千葉県や千葉市、近隣3市と比較をした結果、内訳比率の高い順やその割合も相違のない結果でございます。
次に「出生率向上の対策」についてでございますが、議員おっしゃるとおり本市の合計特殊出生率については、出生数とともに緩やかに低下の傾向にございます。しかしながら、本市の合計特殊出生率は1.4以上で推移しており、県内において常に高い水準を保っているものと認識しております。出生率の低下については全国的にも多岐にわたる要因が関与していると言われますが、本市においても例外ではなく、結婚年齢の上昇、未婚率の増加などの社会的要因や物価高や賃金の停滞により、結婚や子育てに対する経済的な負担が大きくなっている経済的要因、若者の価値観の多様化により、結婚や子育てを人生の主要な目的としない人が増えてきているなど様々な要因が複合的に作用して、出生率の伸び悩みにつながっております。出生率向上のためには、市民が子どもを安心して産み育てることができるよう結婚・妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うことが必要であることから、結婚に伴う新生活への支援や妊娠期から出産後までの相談支援、出産・子育て応援給付金による経済的支援など子育て世帯への継続的支援を行うとともに新たな取組について再度整理し、今後も出生率向上のため、出来うる限りの支援を行なってまいります。
次に「保育行政の充実策」についてでございますが、本市の待機児童数は、新規保育施設の開所、市立保育園の民営化等により、令和3年4月の90人から、令和6年4月は7人と、大幅に減少しておりますが、待機児童の解消には至っておりません。本年度、児童の安全確保及び保育の質の向上を図るための配置基準の改正が行われたところであり、各保育施設においては基準を満たす人数の保育士を配置することが求められております。また令和8年度から「こども誰でも通園制度」の運用が開始される予定となっておりますが、実施に際して新たに保育士を確保しなければならない施設も考えられます。待機児童が解消されていない中での配置基準の見直しや新制度の創設により、保育士の不足が懸念されるところでございますが、給与改善などの保育士の処遇改善策のほか、保育士資格取得を目指す学生に対する修学資金貸付制度により、市内の保育施設に従事する人材確保に努めるなど、引き続き、待機児童の解消、保育環境の整備に取り組んでまいります。
次に「公園児童館の整備」でございますが、太田山公園の再整備については、様々な世代のニーズを取り込んだ公園となるよう、市民参加型合意形成プラットフォーム「きさらづみなトーク」などを活用しながら、検討を進めているところでございます。「子どもの遊べる大型遊具のある公園」は、子育て世代にとって魅力ある施設の一つであり、今後の整備における検討事項としてまいります。市街化調整区域での開発行為が進むエリアでの公園整備につきましては、民間事業者による公園整備を基本と考えており、開発許可制度の中で法令に基づき、開発面積に応じた公園を整備いただいているところでございます。次に児童館の整備でございますが、雨天時にも利用できる子どもたちの居場所や遊び場としての児童館の設置について子育て世代からのニーズが高いことは認識しております。本市では第3次教育大綱で定めた基本施策の一つであります。文化芸術拠点施設の整備推進と文化財の価値や魅力の創造の活動内容として現図書館については図書館機能移転後、子育て世代の支援をより一層強化するための子育て支援施設を検討するとしております。検討の過程で児童館整備の必要性が出てくることも想定されますが、現段階といたしましては図書館移転後の子育て支援施設としての建物活用の可能性や課題等について、関係部署で協議を始めたところでございます。国が「こども家庭庁」を発足して以来、様々な子育て支援策を打ち出す中、効果的な取組みを実現するためにも、子どもたちや保護者が自由に集えることに加え、子育ての身近な相談から各種支援へと、切れ目なく繋ぐことのできる複合型の施設設置に向け、議論を重ねてまいります。
次に「移住定住の促進策」についてでございますが、平成29年度から、移住・定住相談窓口を設置するとともに、LINE登録者には、個別の相談者への対応、市の魅力を紹介する動画やイベント等の最新情報を積極的に発信するなど、幅広いサポートを行っております。LINE登録者数につきましては、前回ご質問のございました令和3年8月末時点では233人に対し、本年8月末現在では1,244人に達しており、着実に増加している状況でございます。また、市内各所のデジタルサイネージにおいて、移住・定住動画を放映するとともに、移住された方々の体験談を掲載した移住・定住促進用のパンフレットを作成し、都内で開催されるイベントで配布するなど、民間企業と連携して効果的なPRに努めているところでございます。引き続き、多くの方々に市の魅力を知ってもらうことで、移住・定住へつなげてまいります。
次に「産業用地の供給策」についてでございます。企業の受け皿となる産業用地の不足につきましては、本市のみならず県全体においても大きな課題となっており、令和2年3月に策定した「木更津市企業誘致方針」に基づき、産業用地の確保に取り組んでいるところでございます。議員ご承知のとおり、木更津北インターチェンジ周辺地区につきましては、企業からの進出要望があるなかで経済発展が期待される地域として、昨年度、産業用地整備の事業化に向け、企画提案を公募いたしましたが、条件面で適合しない部分もあったことから、事業化には至りませんでした。この他、築地地区、かずさアカデミアパークやその周辺地区などにおいても、企業からの相談が寄せられている状況でございます。今後は、これらの企業動向を見極めつつ、募集要領の見直しを含め、いち早く希望に合う産業用地の確保ができるよう、県と連携・調整を図りながら、取り組んでまいります。
次に「外国人材の支援策」についてでございますが、居住環境の支援といたしまして、市ホームページへの外国人サポートデスクの設置に加え、令和5年度には外国人市民が多く訪れる朝日庁舎に相談窓口を移転し利便性の向上を図りました。なお窓口等の対応では、庁内での統一的な対応を示した「外国人市民への情報提供ガイドライン」に基づき、やさしい日本語や多言語により生活に必要となる情報を分かりやすく提供しております。また外国人市民と地域住民がお互いの文化や習慣を理解することは多文化共生の地域づくりに大変重要になりますので、木更津市国際交流協会において、日本語教室や華道・茶道体験教室など、両者が直接交流できる様々なイベントを開催しているところでございます。併せて、このような取組を周知するため、令和5年度からはSNSへの掲載のほか、外国人市民が働く企業や利用する店舗にも情報を提供しております。今後も、外国人市民が安心して暮らし働くことができるよう、支援に務めてまいります。
続きまして、中項目2「地域偏在の解消」についてお答えいたします。
はじめに「調整区域での開発」についてでございますが、本市では市街化調整区域の既存集落などにおける集落機能を維持するまちづくりを実現するため、地区計画制度の活用を一つの軸として、住宅や生活利便施設の立地誘導を進めているところでございます。本制度の活用にあたりましては、計画の立案から実施までを担う民間事業者の参入が重要な要素となりますことから、令和4年4月に「土地所有者」と「地区計画の策定に協力する開発事業者など」をマッチングする制度を新たに設けたところでございます。中郷地区におきましては地元要望を受け令和3年度からまちづくりについて継続して打合せを行っており、先月にも地区計画に係る地域住民への説明会を開催したところでございます。今後も引き続き、地域と連携し、市街化調整区域の課題を解決するまちづくりに取組んでまいります。
次に「空き家対策の展開」についてでございますが、空家バンク、空家リフォーム助成事業の近年の利用実績につきましては、空家バンクは平成29年度から実施しており、累計登録件数は39件、うち成約件数は14件でございます。また空家リフォーム助成事業につきましては、平成30年度から実施し、助成件数は7件となっております。次に、市街化調整区域での人口増加に寄与した効果でございますが、これまでのところ、市街化調整区域での空家バンクの登録件数は7件、成約件数は0件となっております。空家バンクにつきましては、更なる利用拡大を図るため、宅地建物取引業協会と調整のうえ、今年度からの制度改善を行っており、今後、市街化調整区域の空家等の利活用にも効果が出てくるものと考えているところでございます。
次に「農村部の居住促進」についてでございますが、国は農山漁村における人口減少に向けた取組の一つとして、「農山漁村の自立及び維持発展に向けて、広く知ってもらうことを入口に、農村関係人口の創出、二拠点居住・移住・定住の実現を図り、農山漁村の活性化を推進する。」としております。本市におきましても、第3次基本計画の「農業の振興」に係る施策の中で、「都市と農村の交流促進」を掲げ、生産者や関係団体による「食」や「農」をテーマとするイベントの開催、道の駅「木更津うまくたの里」を拠点とする地域農産物の販売促進、農山漁村滞在型旅行やグリーンツーリズムの推進に取り組んでいるところでございます。このように都市と農村の交流促進に取り組むことで、農業に興味をもってもらい、農地や住宅の確保など、就農できる環境を整えることが重要と捉えております。現在、本市では新規就農者に対する農地の仲介や住居を含めた幅広い相談に、対応・支援ができるよう新たな機関として農業支援センターの設立を目指し、JA木更津市などの関係団体と連携しながら体制づくりを進めており、このような取組により農村部への居住にも繋げてまいります。
私からは以上でございます。その他につきましては副市長から答弁いたします。
<田中副市長>
私からは、大綱2「財政課題について」、中項目1「財政計画の課題」についてお答えいたします。
はじめに「今年度予算の評価」でございますが、令和6年度一般会計の予算総額は、過去最高であった前年度予算と比較し2.4%、12億95百万円減となる520億2百万円を計上し、「中期財政計画」で示した財政フレームとの比較において7億39百万円の大きな乖離が生じたところでございます。この主な要因につきましては、扶助費における障害児通所等支援や障害者自立支援など、また、普通建設事業費における金田第一駐車場再整備予算の再計上などによるものでございますが、未来を見据えたまちづくりや市民サービスの向上など、喫緊に取り組むべき課題に対し、限られた予算を効果的に配分できたと考えております。今後も引き続き、社会経済情勢の変化や各種制度の改正、国の動向などを注視しながら、計画的な財政運営
及び 財源確保の強化に取り組み、将来を見据えた持続可能な財政運営を推進してまいります。
次に「前年度決算の評価」でございますが、歳入歳出ともに「中期財政計画」を上回る決算額となりました。歳入におきましては、市税の徴収率が、令和4年度の95.4%から令和5年度は96.3%へ改善されるなど、計画比で4億61百万円増となりました。一方、歳出におきましては、議員おっしゃるとおり、扶助費が18億21百万円の大幅な増となりましたが、この主な要因につきましては、計画策定後に国からの地方創生臨時交付金を活用した「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」や「物価高騰緊急支援給付金」の給付などを行ったことによるものでございます。納税者数や給与所得の増加、地価の上昇や企業立地の進展等に伴い、市税は総じて増加傾向にございますが、経済情勢の変化への対応や少子高齢化の進行、多様化する社会保障などによる扶助費の増大に加え、公共施設の整備・長寿命化対策など決して楽観できる財政状況にないものと受け止めているところでございます。
次に「長期的課題の明示」でございますが、「中期財政計画」につきましては、基本計画を財政的視点から検証・支援し、持続可能な財政基盤を確立するための指針として策定しているもので、計画期間を4年間と定め、毎年見直しを行っているところでございます。策定にあたりましては、直近の決算状況や予算執行状況等から試算する将来推計を基に財政フレームを作成しているところでございますが、事業規模の大きな普通建設事業等につきましては、フレームに大きな影響を及ぼすことからその事業担保は原則、基本計画に基づくものとしております。しかしながら、議員ご指摘のとおり、計画4年間では判明しない多額の財政需要が見込まれる事業も控えておりますことから、長期的な財政見通しをお示しすることは必要であると考えております。「公共施設等総合管理計画」や公共施設の長寿命化計画等の長期的な計画においては、ある程度、財政収支を見通したうえで、策定しているところではございますが、今後は、実効性を高める計画としていくため、計画期間の各年度において公共施設整備等の事業に充当可能な一般財源を、より精度を高めながら推計し、計画へ反映させるとともに、その根拠として示してまいります。
続きまして、中項目2「各種計画の現状」についてお答えいたします。
はじめに「橋梁等の長寿命化」につきましては、令和2年度に策定した橋梁長寿命化修繕計画に基づき、進めているところでございます。執行状況につきましては、計画16橋に対し、実施は今年度施工箇所も含めますと16橋であり、100%の執行率でございます。舗装につきましては、令和2年度に策定した道路舗装維持修繕計画に基づき実施しており、計画延長12,920mに対し、実施は今年度施工延長も含めますと4,270m、33%の執行率でございます。道路舗装の修繕につきましては、交付金事業で実施しておりますので、国の予算に合わせた執行率になっているところでございます。次に下水道につきましては、ストックマネジメント実施計画などに基づき、長寿命化対策など施設管理の最適化を進めており、平成30年度までに、第1系列水処理施設の機器の更新などを行ってまいりました。現在、下水道整備に合わせた汚水量に対応するため、下水道事業計画に基づき、第3系列水処理施設の増設の準備を進めているところであり、第2系列水処理施設の長寿命化対策などについては、この施設の完成後に行う予定となっています。今後も計画に基づき、適切な施設管理を行ってまいります。
次に「公共施設の再配置」についてでございますが、公共施設再配置計画は、少子高齢化が進み、財政状況が厳しくなることを見込む中で、安定した行政サービスの維持・提供ができるよう、公共施設等総合管理計画に掲げる公共建築物の延床面積を平成29年度からの30年間で23%削減する目標に向け、公共施設の再編について各施設ごとに複合化や統廃合、民営化などの方向性を示したものでございます。議員ご指摘の建設コストの上昇など、今後も、公共施設を取り巻く環境は、厳しさを増していくものと認識しているところでございますが、長期的視点を持って、適切に維持管理が可能として掲げた施設保有量の目標に向けて、引き続き社会経済状況を注視しつつ、本計画を推進してまいります。
次に「基本計画の見直し」についてでございますが、基本計画につきましては、議員ご承知のとおり基本構想に掲げる将来都市像の実現に向け、基本政策ごとの施策体系や各施策の取組の方向性を示す中期的な計画でございます。 現在、第3次基本計画の推進にあたり、重点的・優先的に取り組む事業を位置付けるため、実施計画の見直しを行っております。今年度の見直しにおいては令和8年度までに実施を予定する新規事業をはじめ既に実施計画に位置づけられている事業の人件費、物価高騰に起因する事業費の変更を中心に8月下旬に各課からのヒアリングを実施したところでございます。今後は、庁内調整後、令和7年度の当初予算説明会において情報を共有する予定としております。実施計画に位置付ける重点事業につきましては、続く物価高騰などの社会情勢を踏まえる一方で基本構想に掲げる将来都市像の実現にむけ歩みを止めず、更に推進することができるよう事業の見直しを行ってまいります。
私からは、以上でございます。
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