緊急事態が伸びる
2021/09/10記
 8月中にはどうなることかと思った感染爆発も一段落して木更津市でも感染者が減少し始めた。7月11日から今日までの感染者数の変化を週間にまとめると次の通りである。
期間 週計 対前週比
7/11〜7/17 0 0 1 2 4 1 4 12 120%
7/18〜7/24 0 1 8 4 5 0 6 24 200%
7/25〜7/31 0 14 4 21 18 24 18 99 413%
8/1〜8/7 0 36 13 18 19 20 21 127 128%
8/8〜8/14 0 44 18 16 18 27 9 132 104%
8/15〜8/21 0 52 12 44 33 23 29 193 146%
8/22〜8/28 0 54 9 24 32 24 15 158 82%
8/29〜9/4 0 42 20 23 26 10 9 130 82%
9/5〜9/9 0 18 12 10 11 4 55 42%
 8月15日の週まで増加し続けた値も減少に向かい、表に太文字で示した一日に30人を越える感染者を記録した日も8月30日以降には記録していない。それでも表を黄色に着色しているように二桁の感染者が昨日まで続いている状況であり、7月11日から今日までの人口10万人当たり一週間感染者数のグラフは、下図に示すように減少傾向を示しているものの依然として高く、25を下回ってステージWから脱却するまでには数日を要しそうである。
 
 
 上記期間中の感染者累計は930人であり、7月10日の709人からわずか61日間で131.2%も増加したことに改めて驚かされる。
 増加した者の年齢内訳を見ると60歳以上の高齢者は52人であり増加者の5.6%に過ぎない。70歳以上に限定すると18人となり増加者の1.9%を占めているだけである。7月5日時点で65歳以上の高齢者で1回でもワクチンを接種した者の率が69.2%に達していたことが効果として現れていると考えることが自然であろう。
 
 その状況を視覚で理解するには上表の期間の年代別感染者数の推移を示すグラフを見れば良く、下図に示すように若い世代の増加が極めて顕著であったことが一目瞭然である。
 
 
 感染者がピークアウトしている状況は沖縄県や愛知県などの一部を除けば全国的な現象であり、政府は12日までとしていた緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の適用期間を今月末まで延長する一方で、下表に示すように一部の2県で緊急事態宣言を蔓延防止等重点措置に格下げし、6県では制限を解除した。 
区分 人口 9月12日まで 9月13日から 9日の感染者
北海道 5,250 緊急事態 緊急事態 144人
宮城県 2,306 緊急事態 蔓延防止 70人
福島県 1,846 蔓延防止 蔓延防止 44人
茨城県 2,860 緊急事態 緊急事態 183人
栃木県 1,934 緊急事態 緊急事態 104人
群馬県 1,942 緊急事態 緊急事態 72人
埼玉県 7,350 緊急事態 緊急事態 697人
千葉県 6,259 緊急事態 緊急事態 591人
東京都 13,921 緊急事態 緊急事態 1,675人
神奈川県 9,198 緊急事態 緊急事態 804人
富山県 1,044 蔓延防止 全面解除 14人
石川県 1,138 蔓延防止 蔓延防止 28人
山梨県 811 蔓延防止 全面解除 31人
岐阜県 1,987 緊急事態 緊急事態 129人
静岡県 3,644 緊急事態 緊急事態 173人
愛知県 7,552 緊急事態 緊急事態 1,170人
三重県 1,781 緊急事態 緊急事態 129人
滋賀県 1,414 緊急事態 緊急事態 67人
京都府 2,583 緊急事態 緊急事態 270人
大阪府 8,809 緊急事態 緊急事態 1,488人
兵庫県 5,466 緊急事態 緊急事態 676人
岡山県 1,890 緊急事態 蔓延防止 72人
広島県 2,804 緊急事態 緊急事態 146人
香川県 956 蔓延防止 蔓延防止 17人
愛媛県 1,339 蔓延防止 全面解除 38人
高知県 698 蔓延防止 全面解除 40人
福岡県 5,104 緊急事態 緊急事態 429人
佐賀県 815 蔓延防止 全面解除 24人
長崎県 1,327 蔓延防止 全面解除 33人
熊本県 1,748 蔓延防止 蔓延防止 86人
宮崎県 1,073 蔓延防止 蔓延防止 30人
鹿児島県 1,602 蔓延防止 蔓延防止 50人
沖縄県 1,453 緊急事態 緊急事態 336人
 
 先月27日に14県を残して強化された行動規制は多くの都道府県で延長されるものの、緩和が進む高校である。昨日の感染者だけを見れば福島県・石川県及び香川県も解除しても問題無さそうだと思う一方で、青森県・奈良県及び大分県には行動規制を掛けなくても大丈夫なのかと心配になる。まだ状況の一進一退は続くものと覚悟しておいた方がよいだろう。
 
 都道府県単位での緩和だけでなく、行動内容の制限も緩和される方向での情報が伝わってくる。政府は11月頃からは欧米諸国のようにワクチンを2回接種した者は、経済を回すことを期待して行動制限を緩和することを検討しているようだ。
 ワクチンを接種すれば感染しにくくなるばかりではなく、感染しても重症化するリスクが極めて低くなる。従って家族のうち未成年者だけがワクチン未接種であっても、元々重症化しないと言われる未成年も含めて全員が重症化リスクが低下しているので家庭内感染も怖くなくなる、ということだろうか。
 
 木更津市内では今週末まで休業としていた店の多くで休業を今月末まで延長する動きが見えている。2ヶ月間家賃や光熱費だけ払ってシャッターを降ろしたままの店が続く状況は改善しなければ成らないことは感じている。ワクチンの効果が限定的だと言われる変異種の話しも聞かれるのでゼロコロナ施策は現実的ではない。感染による一定数の重症患者発生を許容し、医療が緊急事態を脱却し負荷が無くなる状況を保つようなコロナとの共生施策が来年以降は現実化しそうである。
 
 なお8日に開催された教育民生常任委員会で様々な報告があったので私的な意見を加えて、ここに記載する。
 まず基幹病院である君津中央病院にはコロナ病床が36床用意され7日には26人が入院し、利用率は72.2%と高い状況にあることと、入院患者は30代も1人おり、40代と50代が7人づつ、60代が6人と、高齢者ではない世代の入院が増えている状況である。
 
 次にワクチンの供給であるが、やはり当初予定より少なく推移し、今までの実績と今月中の配分予定は下表のようだと示された。
箱数 接種回数 間隔(日) 回/日
6月まで 75 87,165
7月10日 12 14,040 18 780
7月28日 2 2,340 1 2,340
7月29日 8 9,360 13 720
8月11日 10 11,700 6 1,950
8月17日 2 2,340 8 293
8月25日 10 11,700 15 780
9月9日 12 14,040 12 1,170
9月21日 11 12,870 7 1,839
(小計) 67 78,390 80 980
9月28日 2 2,340
合計 211 246,285
 上表は市から示されたデータを元に私が加工しているもので、例えば8月11日に届いた10箱(11,700回分)を次に届く予定の8月17日までの6日間で割り戻すと、一日1,950回接種することが出来るという計算をしてみたものである。
 7月10日から今月21日までに届いた67箱(78,390回分)を7月10日から今月28日までの80日間で割ると毎日980回しか接種できないことになる。このような状況の中で先月末に1,541回/日の接種を成し遂げたことは、2回目のために保存していたワクチンが有ったためである。政府の中からは自治体に未接種のワクチンがあるはずだと聞こえてくるが、届けられた分だけ全てを接種していたら2回目のワクチンが無い状況に追い込まれていたことも容易に理解できる状況であった。
 
 3番目には、市による職域接種の実施である。はぎわら病院及び高名清養病院の協力の元で消防本部と福祉会館を会場に下表に示す約2,700人に対して9月15日から10月31日にかけて接種を進めることと成った。
区分 人数 備考
保育事業者 457 学童保育関係者含む
市内公立小中学校関係者 366
居宅介護事業者 87
障害施設事業者 83
野の花の家職員 27
君津中央病院関係者 500 コロナ感染症従事者の家族
観光協会 980
市役所職員 200 窓口業務従事者
合計 2,700
 最も人数の多い観光協会は、観光協会に加入している飲食店等が含まれるものと思われる。先月からの感染拡大に伴う接種希望者の増加とワクチン供給不足に伴う接種回数の減少により接種申込が難しくなる中で、感染リスクが高い人達に特別な枠を確保することは重要であろう。個人的には市役所の職員は窓口だけでなく全員を対象にすべきだと思うが、敢えて控えめである。
 
 最後に寝たきりで接種会場に行けないような社会的弱者への対応として医師会の協力の元で訪問診療時等に接種を進めていることの報告があった。日々状況が変わる中で隅々まで活き届けるような対応に追われる医療機関や市職員は大変な日々を送っていることが想像でき、たとえデータの集計が不備でも文句は言わないようにしようと改めて考えた次第である。
 
 そんなデータ集計の一環として続けている房総半島の状況であるが、5日から昨日までの4日間で合計285人の新規感染者が確認された。一日当たり71.25人、人口10万人当たり一週間感染者数44.61人となり、減少傾向は続いている。
市名 感染者数 町村名 感染者数
1 館山市 356→357 +1 1 九十九里町 101→104 +3
2 木更津市 1585→1635 +50 2 芝山町 63→65 +2
3 茂原市 723→745 +22 3 横芝光町 163→169 +6
4 東金市 586→615 +29 4 一宮町 112→112
5 勝浦市 98→101 +3 5 睦沢町 31→31
6 市原市 3125→3187 +62 6 長生村 121→126 +5
7 鴨川市 191→195 +4 7 白子町 62→67 +5
8 君津市 719→747 +28 8 長柄町 47→50 +3
9 富津市 360→374 +14 9 長南町 75→76 +1
10 袖ケ浦市 591→601 +10 10 大多喜町 34→36 +2
11 南房総市 249→251 +2 11 御宿町 47→47
12 山武市 467→482 +15 12 鋸南町 60→60
13 いすみ市 272→284 +12
14 大網白里市 444→450 +6
市計 9766→10024 +258 町村計 916→943 +27
房総半島合計 10682→10967 +285
 
 郡市別累計者数のグラフも木更津市と同様に7月11日以降で描写すると下図の通りで、上昇が穏やかになってきたことが解る。
 
 
 人口10万人当たり一週間感染者数も全地区で低下し、特に安房郡市では10.23人まで下がることで久々にステージWを脱却したばかりか、一気にステージVを越えてステージUのレベルに戻ったことになる。この傾向が続くなら安房郡は緊急事態から脱却しても良さそうに思えてくる。
 
 
 東葛地域ではコロナに感染して自宅療養していた50代と60代の男性が孤独に亡くなったという話しも届くように医療体制が十分でない状況は続いている。感染者数は低下傾向であるが医療機関に余裕があるわけではないことも理解できる。
 しかし、房総半島全体で感染が収束し、北関東の各県や埼玉県の秩父、東京都の多摩、神奈川県の丹沢周辺など、東京に通勤通学するものが少ない地域で明確に感染が抑制されてきたと認められた場合は今月末までの緊急事態宣言の前に蔓延防止等重点措置に切り替えることを検討するべきだろう。
 救いが見えてきたようなデータを前にしてその様なことを考え、現在のままでは自粛が3週間も続く日々を想像して記載した。