衆議院選挙に思う
2024/10/13記
 先月末の9月定例議会の最終日に自由民主党総裁選挙で決選投票を勝ち上がった石破茂総裁は、今月1日の臨時国会での選出を待たずに内閣の顔ぶれが発表されるとともに早期解散が既定路線となってから第102代内閣総理大臣となった。
 4日に所信表明演説を行い、5日には能登半島の被災地を視察し、6日には政治献金の不記載で党処分を受けた一部の議員を選挙で公認しないことを決めた。そして私が会派の視察で盛岡にいる9日に野党4党首との議論を終えてから臨時閣議を開き衆議院解散を決定している。首相就任から8日後の衆議院解散と26日後の衆議院選挙投開票は最短記録のようだ。
 
 自民党総裁選の立候補所信を聞いていた段階では今月中の解散はないと判断して前に思うことを書いたが、全く見通しが立っていなかった自らの不明を恥じるばかりである。
 永田町では10月中の解散が有ると言われていたようであるが、これほど慌ただしい日程の中で選挙事務所や事務員及び運動員といった態勢を整え、選挙に関する印刷物等を用意し、選対会議を開催して選挙の方針を伝えることは大変な仕事である。
 
 常在戦場とは聞いていたが、私が会派視察から帰った翌日に千葉12区となる房総半島の7市1町の関係者を集めて選挙についての体制や日々の活動概要を説明し、何より今回の自民党に吹く逆風の中で力強く立候補の所信を表明された浜田代議士及び事務所の関係者には正直驚きを感じてしまう。
 野党共闘と候補者調整などのように手間のかかる作業は当然間に合わないようで、新聞報道によると千葉12区には下記の4人が立候補する見込みということである。 
氏名 年齢 政党 当選回数 経歴 前回票数
浜田 靖一 68 自由民主党 10 元防衛大臣 123,210
樋高 剛 58 立憲民主党 3 元環境政務官 56,747
地引 直輝 44 日本維新の会 新人 公認会計士 -
葛原 茂 73 日本共産党 新人 党地区委員長 12,530
 
 神奈川県から選挙区を移籍してきた元代議士、過去の市長選挙に立候補した公認会計士、長年党務に励んできた委員長などである。噂されている候補者は都知事選に出てきたような、私には理解が難しい候補者に比べると妥当な立候補者が揃いそうなことと、名前もすぐ忘れるような候補者がいないことは好ましい。
 なお、噂される4人のうち3人が前回(2021年10月31日)の選挙に立候補した者たちであるので上表にその時の得票数も記載したが、今回も枠組みに大きな差は生じていない。木更津市に設置された掲示板はもう少し多くの立候補も可能な大きさで対応しているが、都知事選のような混乱が生じて選挙事務に負担を及ぼす事態にはなりそうもないことには安堵している。
 
 国政を進めることに対して、かつて国民は1993年7月に日本新党を中心にした連立政権に、2009年8月には論客が多かった民主党に付託したことがあった。前者は連立の足並みの乱れ、後者は東日本大災害という千年に一度の規模の災害に襲われたこともあるが、それでも国民や世界から信頼される政府であったかということには個人的には多くの疑問が残っているのである。
 阪神大震災の頃に社会党の村山総理が率いた自民党・社会党・さきがけ連立政権も災害対応は後手に回っていたが、その後に同じ連立体制で橋本総理に移管できたように安定感をさほど損なわずに済んでいたように感じている。
 
 自民党は与党になるとロッキード事件やリクルート疑惑といった国民の顰蹙を買う事件を度々繰り返し、そのたびに政治倫理刷新を求めて離党した新政党が出てきたが、最終的には元の鞘に収まっているように感じる。小泉政権下の郵政選挙でも新党ができたが、それは状況が大きく違うのでコメントしない。
 私は、この事例で国民の疑惑を持つようなことを否定しているのではなく、当然国政を担うものは後ろめたい行動をとるべきではなく、まして法律違反になる行為で個人的利益を得てはならないし、三権分離の一翼である司法(検察)は容赦なく立証して裁判にかけるべきだと考えている。平家物語にも示されるように、奢れるものは久しからず、という意識の元で為政をせねばと常に自戒するべきである。
 
 今回の自民党に吹く逆風はパーティ券収入の政治収支報告書への「不記載」ではなく「脱税」だという野党側の論理に沿って国民が怒っていることであろう。私は17年を超える市議会議員生活で1回もパーティ券収入を得たことが無いので単に私腹を肥やしている者がいるのであれば私も怒りを共有するであろう。
 そでれも上手く表現はできないが、アメリカ大統領選挙と比べると制限があまりに多い公職選挙法の元で、単純に公平な選挙を行うというお題名には異議はある。前回の都知事選のように誰でも選挙に出て「楽しんで」良いものとは思えないのだ。
 
 今回の自民党に吹く逆風は一部の会派での対応が正しくなかったことに対し政党に所属する全代議士が否定されているようなものである。正しく記載を行っているものも、その政治経験や能力を度外視して逆風を吹かせることには疑問があるし、仮にその代議士に替わって国政に出たものが機能しなければ次の選挙までの時間が無駄になってしまう。まして地元の浜田代議士は無所属を貫き会派のパーティなども無く、不記載の問題も生じていない。
 そのため、前回に民主党への政権交代が起きた2009年の選挙の際にも思うことに書いたように「今回の衆議院議員選挙において、私の支持者の中に有るかも知れない異論を越えて、明確に浜田靖一(元)防衛大臣の応援に働かせて貰うことにする。」という立場は貫かせていただく。ただ、自民党だけは懲らしめたいと思う方がいれば、比例区で公明党へ投票されるようにお願いしたい。
 浜田代議士は平成5年7月に初当選を果たしたものの細川連立内閣による野党時代を経験し、平成20年9月には麻生内閣で防衛大臣に就任した翌年の平成21年8月には民主党ブームの中で森英介元法務大臣と2人だけが県内の小選挙区議席を守るなど、自民党に吹く逆風を感じながら、それでも自民党を通じて日本を良くしたいと行動してきた議員だと信じている。是非とも協力を伏してお願いする次第である。
 
 いよいよ明後日が告示の日であるが、明確な指示を後援者に表明しておくことも立場であると思い、今回の衆議院選挙に関する思いを書かせていただいた。