袈裟丸山 1,908m 群馬県みどり市(旧東村)
2007年5月4日登山:F島と2人
 
 年末から4月末までは多忙で山に登れず、スキーにも行けずにアウトドアストレスが蓄積されていた。F島にメールを入れてみると新居での生活開始や子育てに追われて遠出が出来ないのでスキーではなく近場の山に行きましょうという回答が来る。この頃市原に帰っていたK藤も誘って山に登りたかったが体調不良と言うことで2人での登山になった。暖冬で花が早くなっているのではという期待で袈裟丸登山を企画した。
 
 朝の4:14に出発し、アクアライン経由で東北道を北上し館林で降りて群馬県太田市に到着したのは5:58であった。F島家で彼を拾い登山口を目指す。朝・昼食はコンビニのおにぎりにするため大間々警察署前のコンビニに寄るが、そこで朝6:40頃から速度違反の取締をしているのには驚いた。店に寄るため減速していて助かった。
 国道からの分岐で前を走る8台の内、袈裟丸に左折する車が3台も有り、こんな比率で山に行って駐車場が有るか不安になるが、途中の分岐で全て弓ノ手コースに向かうようで安心する。私達は「寝釈迦を見たい」という私の意見を通して標高差の最も大きい塔ノ沢コースから山頂を目指す事にしたのだ。それでも塔ノ沢の駐車場は20台以上の車でほぼ満車であった。
 
 登山開始は7:45であった。天気は快適に晴れ風がとても気持ちよい。沢に橋が架けられ、良く整備された道を登り8:30に寝釈迦に到着する。山の中に何故このような巨大なものを造る情熱があったのかと思っていたが『足尾銅山に送り込まれた多数の囚人が病死したのでその菩提を弔うため』という説に納得をする。
 寝釈迦から上は沢幅も狭くなり全て渡渉となる。「前に来たときはこの先の水場は飲む気がしないような所でした」と言われ、寝釈迦前で水筒を満タンにする。それより若葉の出る前の明るい林の中を進むが、ずっと飲みたいような水が流れる沢と同行する。「前は状況が違ったのです」というF島の言い訳を聞いている内に避難小屋に9:14に着く。ここまで水場は全く問題ない。
 少し登って稜線に出ると賽の河原で、赤城山も良く見える。ここの標高が1550mなので既に700mも登り、残りは400mである。アップダウンが辛いですよとF島は言う。
 稜線にも期待されていた花は無かったが、日光や上越の山並みも見えて気持ちがよい。快適に歩く内に小丸山に到着したのが10:04であった。そこより鞍部に降りて避難小屋前を通過し、急坂を上り詰めると前袈裟丸の頂に10:58に到着する。道は少しだけ雪が残っているが怖いこともない。時間があるので『危険ですので通行を禁止します』の看板がある稜線を後袈裟丸まで歩く。
 途中の風化部分も鎖が有り、道幅も30cm程度は残っているのでそれほど危険を感じないで八反張を通過する。急坂を登ると11:30に後袈裟丸山のピークに到着する。これ以北に進む人は少ないようで雪の上の踏み跡が少ない。山頂で少しのんびりするが八反張を酔って通過したくないのでビールは前袈裟丸に戻ってからとする。
 前袈裟丸でビールを飲んで昼食を取り大休止する。1年間のブランクがあるF島は足がつったと行って苦労している。前袈裟丸山頂を13:01に出発し、往路と同じ道で駐車場に向かい、車に到着したのは15:30であった。
 渋滞気味の国道122号線を南下し、粕川温泉で汗を流したら、新築祝いと酒のつまみを購入して、この日はF島の新居で四方山話に花を咲かせ、酒盛りして泊まるのであった。
三頭山 1,531m 東京都檜原村
2007年5月18日登山:T田と2人
 
 平日の金曜日であるが、この日仕事が休みで山登りを始めたいと言うT田を誘い、手軽な奥多摩に登りに出かけた。朝4時半に起床して途中でT田を拾い、檜原村に向かった。途中の道沿いでは野生の藤の花が綺麗であった。元奥多摩有料道路は26年半ぶりとなる走行なので登山口の都民の森を一度素通りし、月夜見山駐車場まで行き奥多摩湖を見下ろした。新緑が綺麗であった。
 
 都民の森駐車場に戻り9:38より登山を開始する。無料駐車場には2名の誘導員も居り、森林館という箱物やアスレチックス等の遊具施設整備が驚くほど進み、管理用通路はトンネルであったり、水路も自然石積みで綺麗に施工されている。噂には聞いていたが東京都の財政力の豊かさを嫌と言うほど見せつけられながら進んでいく。
 登山コースは鞘口峠から稜線を山頂に向かい、帰路に三頭大滝を見てくるルートを選択した。T田は大雪の黒岳や久住連山を歩いた経験が有るけど体調が悪く、登りが苦しそうなので細めに休憩を入れながら進む。それでも、10:47に東峰山頂展望台に着いた。遅くはないペースである。ツツジの花が綺麗に咲いていた。
 本当の山頂は目と鼻の先なので焦らず、立派に整備された東峰の展望台でのんびりと休む。天気はよいが水蒸気量が多くて霞み、遠望は効かなかったため東京都心は見えないが大岳山が目立っていた。
 東峰から少し下り、登り直せば山頂広場である。期待していた富士山は雪の部分が曇り空と区分できず、手前に見える御正体山と三ツ峠山から頂の位置を想像する。空気の澄んだ冬に来れば綺麗だろうなと思いながら山頂ビールを飲んで昼食にする。
 
 一時間近くゆっくり休んでから渓谷沿いを下る。転岩は階段として固定され、沢の横断部も置石を配置して渡渉をしなくて良いようにされ、道が浸食を受けないような護岸石組みもしてある。何より滝を見るためだけに吊り橋を架けてあることに驚かされる。この整備水準では登山道と言うより公園の散策路である。
 滝見広場まで軽四が入っていた。滝以降の道はさらに整備が良いのだ。沿道にはヤマブキやシャクヤクが咲きとても綺麗である。車に帰る前に森林館の設備を視察し、桜の花が残る駐車場に13:10に帰り着いた。初心者用には最適な山だったと満足する。
 下山後は檜原温泉で蒟蒻の刺身、八王子では沖縄そばを満喫して中央道で帰路に付いた。 
奥大日岳 2,611m 富山県立山町
2007年6月18日登山:単独
 
 週末に行事が入り、月・火曜日が休みとなったため念願の黒部アルペンルートを使用して室堂に向かった。
 
 前日は夜9時に床に付いたので午前1時には目が覚めてしまい、午前2時前から走り始める。梓川SAで少し休み、豊科ICを経て扇沢に付いたのは午前6時過ぎだった。待合室は開いているが始発のバスが7:30なのでソファーで横になりウトウトする。月曜の始発なので観光客も少ない。扇沢〜室堂は往復8800円と思っていたがスキー板に片道610円も掛かるのが予想外だった。
 黒四ダム、ケーブルカー、ロープウェイ等を楽しみ、トローリーバスで抜けた室堂は、まだ雪の原だった。売店で地ビールを購入し、今夜の宿であるみくりが池温泉に到着する。まだ10時前なので夏至の日没まで9時間近くある。大日岳は雲の中だが翌日の予報が悪いので今日の内に奥大日まで往復する事にした。板や荷物を預け、登山用に装備を調え、9:50から歩き始める。
 
 雷鳥沢を渡り室堂乗越に登り返すところでアイゼンを装着する。この先は踏み跡が殆ど無く、心配になるが稜線沿いだから迷わないだろうと前進する。勾配が急な部分では雪面にひび割れが発生し、稜線は雪庇の下が抜けているところもあり、ルート選定が慎重になる。巻道も良く解らず、悪戦苦闘しながら標高差は300mも無い山頂に12:40に到着する。ほぼ3時間も費やしてしまった。
 展望が開けてくる気配もないので麦酒を飲んで昼食を取り下山を開始する。途中でガスが深くなると自分の足跡だけが頼りになる。時々見失って彷徨い時間を費やした上、寝不足で雷鳥平からの登り返しが辛いので宿に戻ったのは15:25だった。往復に5時間半もかけてしまった上、体もヘトヘトに疲れてしまった。
 この日はもうスキーをする気力もなくなり風呂に入り麦酒を飲んで一眠りする。午後6時を過ぎて目覚めると空気が澄んでいる。外に出ると奥大日も良く見えている。嬉しいような悔しいような複雑な気持ちである。
 夜は偶然TV東京の取材が入り、温泉の第一人者である野口先生にお会い出来た感動と良い宿のスタッフに恵まれて富山の地酒が進んだことは言うまでもない。
浄土山 2,831m 富山県立山町
2007年6月19日登山:単独
 
 目が覚めると快晴である。天気予報が良い方に外れると心から得をした気分になる。宿のスタッフに雪付きの良い山として目前に見える浄土山を教えて貰った。昔の大縦走の時にも頂を踏んでいない山だから迷わずそこに登ることにする。朝風呂に浸かり朝食を終え、立山新湯に行くTVクルーを見送ってからスキー支度にかかり、出発したのは7:20であった。
 
 板を室堂近くまで担ぎ、そこからシール歩行で一ノ越を目指す。軽装で快適に飛ばし、先行するTVクルーを追い越して夏山道と離れ、西側の沢から浄土山の山頂に向かう。振り返ると雷鳥平に向かう斜面は決して平坦ではないがとても快適に見える。
 山頂直下の急傾斜を慎重に斜行で越えて9:15に山頂に着く。昨日と違い苦労が報われる大展望である。板を外して山頂の軍人霊碑の脇に腰を下ろし、携帯で仕事の電話を済ませ、風景や自分の写真を撮り、シールをザックに背負えば滑走の開始である。
 この冬には全く滑る時間もなかったので足慣らしのため最初の滑り出しは慎重に進む。登る角度より緩やかに下っていることに気づいたときには可笑しくなった。その後速度を上げ、洗濯板のように波を打つ雪原を足がパンパンに成りながら標高差約570mを駆け下る。
 下っている間は快適なのだが雷鳥平の平坦部に付くとスケーティングにも疲れ、昨日の内に目を付けていたTバーリフト乗り場に向かう。ここでTバーに乗るという経験も得難いことなので片道200円を支払い標高差およそ80mを機械力で登る。終点でゲレンデを出て板を外し、みくりが池温泉まで担ぐ。宿に戻ったのは出発から約4時間後の11:15であった。
 
 宿泊者は昼に帰っても無料で入浴できるというサービスに感動し、一汗流して着替え、室堂を後にする。
 12:15の室堂発のバスから乗り物を乗り継ぎ、扇沢に着いたのは13:50であった。帰路には木崎湖温泉でラフな服に着替え、長野経由で佐久に入り、藤藏屋で蕎麦を食べ、家まで一般国道を走り、帰り着いたのは日付が切り替わった直後であった。
No51 .2007/5-2007/6    ←No50No52→
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