烏帽子岳 2,628m 長野県大町市
2009年07月20日登山:A津さんと2人
 
 北アルプスの稜線の中で針ノ木小屋から烏帽子小屋の区間を歩いていないのが気になっていたのと、高校の恩師であるA津さんが船窪小屋に行きたいと言っていた事も重なり、2人で北アルプスに向かった。A津さんとは霞沢岳以来の登山である。19日に所用があったことと22日の日蝕を稜線で見たかったことより20日に南側から入るコースを企画した。3日間の降水確率は30%、20%、40%であるので、最終日に天気が悪ければ船窪から降りれるのが扇沢出発よりメリットでもある。
 
 19日の用事を済ませ20時過ぎに帰宅。風呂に入って荷物を積み市内のA津邸に迎えに行ってアクアライン料金所を22:23に通過し七倉駐車場に着いたのは20日の午前2時を少し回っていた。見上げると天の川も見える星空であり、気持ちが良いまま軽くビールを飲んでシートを倒して仮眠した。
 翌朝5時半に目を覚ますとタクシー待ちで10人が並んでいる。この日の行動時間が短いことと深刻な寝不足もあり再度夢の世界に入る。7時に起床して荷造りを行い入山届けを出しタクシーで高瀬ダムに付いたのは7:37であった。前日まで台風並みの風雨で大変だったと運転手から聞き天候に恵まれたことに感謝する。9年前に下りで苦労したブナ立尾根は約30分毎に休止を入れるようにゆっくりと登る。小屋が近くなると曇り模様になってくるが、明日の天候を楽しみに今日は昼から酒を飲もうと話し合う。所が12:08に小屋に着くと案外展望は良い。ビールを飲んでいる内に青空も広がり始めるので時間もあるから買い物用ビニール袋に貴重品と麦酒だけ入れて烏帽子岳まで散歩に出掛ける。前烏帽子から見える立山を背後に従え聳える姿は感動的であり、散歩に来たことを喜ぶとともに、明日歩く予定の縦走路のアップダウンが楽しみにも成る。
 縦走路から外れ鎖を頼りに13:55に山頂に着く。足元の池が箱庭のように綺麗である。麦酒を飲みながら展望をゆっくり楽しんだら気持ちよい風を受けながら足場の良い岩の上で1時間ほど昼寝をする。15時を回ったところで小屋に向けて帰り始める。縦走路の脇には所々コマクサが揺れ、烏帽子小屋の前ではチシマギキョウが傾き行く夕日を受けて綺麗に咲いていた。
 夕食も終えスゴ乗越方面に沈む夕日を見ているまでは幸運が続くと信じていた。しかし、18:50にNHKが流した明日の天気予報は富山県東部地方の降水確率が午前80%、午後50%であり、朝夕は強く降り、明後日も雨であることを告げ、小屋の中に動揺が広がる。雨の縦走路を歩くのも苦痛であると、私たちは翌日の下山を決めた。これで縦走の宿題は残ったままだ。悔しくて持ち上げた2日分のウイスキーをどんどん飲んでしまった。
 
 翌朝、5:55に小屋を出発。雨の中で殆ど休憩も取らずにダムまで降り立ち、タクシーで車に着いたのは8:30であった。帰り道の上諏訪温泉片倉館の休憩室で国会の解散ニュースや防府市の水害を聞き、早く降りて正解だったと自分を納得させるのであった。
三方崩山 2,059m 岐阜県白川村
2009年10月12日登山:単独
 
 体育の日と翌日が休めることになり越後中岳に登るつもりであったが2日目には雨になるという予報で、日帰りで楽しむ山を探したところ、GWの笈ヶ岳に登ったときに独立峰で展望も良く標高も2千を越えながら三百名山にも選ばれない不遇な山がある事を思いだし、その三方崩山に出掛けた。
 例によって日没後に自宅を出発し東名経由で蛭ヶ野高原まで走り仮眠。翌朝寒さで目を覚まし、気温5度の中で登山口の道の駅に着く。車道は少し上まで続いているが地図に「悪路」と書かれているので標高625mの道の駅から歩き始めた。6:56であった。標高差1,464mは歯ごたえがありそうだと思いながら車道を行くとレガシーでも充分走れるような砂利道であり、1台の乗用車に抜かれもしたので車を使うべきだったかなと思う。
 ブナ林の単調だが急な山道を登り紅葉や月などを眺めながら標高1,624mでガレ場に出ると山頂が間近に見える。ここまで2時間で登っているので今日も好調だと思っていると、その先の急登で足がつる。剱から御嶽まで広がる北アルプスを見ながら休息を取っていると疲れと寝不足で眠気も襲ってくる。2ヶ月間登山をしていなかったため、筋力と体力と気力の低下が顕著であり、俺が三方崩れだと情けなくなる。
 結局、11:04に4番目の登山者として山頂に到着した。缶ビールを飲みおにぎりを食べ、笹の上で横になる。快晴の中の昼寝は贅沢である。3人が下山し、2名が登って来た山頂で12時まで休憩し、それから下山を始める。この快晴の祝日に6名だけが登った静かな山だった。
 休息で疲れも回復し、御母衣ダムを遠くに見ながら降りる尾根筋も、紅葉に包まれながらの山腹も気持ちよく快適に下り、道の駅には14:35に到着した。併設する大白川温泉「しらみずの湯」で汗を流し登山終了である。
 翌日も休めるので白山スーパー林道を通り福井で泊まり静岡県経由で帰宅したが、13日も晴れており、1泊の山に行くべきだったかな、と若干の後悔をした。
屏風岳 1,817m 宮城県白石市
2009年10月17日登山:単独
 
 この週末が多分、今年最後の土日休暇が取れる週末になることが解り、今度こそ越後中岳に登るつもりだったがやはり天気予報が悪い。2日間晴れる地域を探すと宮城県が絞り込めたので蔵王周辺の山に登りに行った。
 例によって仕事を片付けた夜10時過ぎに自宅を出発し東北道を北上し国見SAで仮眠。翌朝土曜日で混雑する騒がしさで目を覚まし朝7時前に朝食としてカレーを食べる。SAを出て直ぐの白石ICで下道に降り白石スキー場の登山口へ移動する。天候は快晴であり風景にワクワクする。休憩所で手洗いを済ませ登山届けを書き8:24に出発。往路は沢沿いを行く水引入道コースで紅葉を楽しみながら進む。水も清らかで爽快な気分で歩みを進めるが、最終水場を越えて水引入道への急坂に取り掛かったところで周辺に雲が出始める。
 稜線に出ると風が寒くフリ−スを着込む。水引平を越えて再度登り始めると、視界は50m位になってしまった。黙々と歩き、11:38に宮城県最高峰に到着する(蔵王連峰の最高峰である熊野岳は山形県に位置する)。寒いがビールを空け、ドライフーズのスパゲッティを作って食べる。最近は火器の重量も省くためコンビニの食料が多かったが、こんな日は暖かいものがとても美味い。
 12:14に腰を上げ、不忘山を経由する下山路に入る。展望の良い稜線のはずだが、相変わらず視界はないし風が冷たい。不忘山を越えてB29墜落祈念の「不忘の碑」を過ぎると下界が見え始める。白石市街以東は晴れているようで、天気予報は決して外れている訳ではないことに気付くと、何か悔しい気分になる。
 再度スキー場を抜けて車に帰り着いたのは14:46の事であった。その時点で翌日の山の登山口になる笹谷温泉一ノ湯に宿泊の予約を入れ、北原尾の「孝の湯」で汗を流して着替えをし、宿に向かう。一ノ湯は部屋こそ質素であったが泉質も食事も申し分なく、2食とビール1本を付けて7200円のお得な宿であった。
仙台神室岳 1,356m 宮城県川崎町
2009年10月18日登山:単独
 
 夜中に軽く雨が降った気配を感じていたが、目が覚めてみると快晴である。朝風呂に入り、急いで朝食を取り、宿を出て紅葉の中のドライブを楽しみ笹谷峠の駐車場に着く。既に多くの車が停まっているが、半分は北蔵王の雁戸山に行く人のようだ。私も荷物をまとめ、8:35より登山を開始する。
 駐車場からハマグリ山に向けた急坂を登っていると山形市街が紅葉の山肌越しに良く見える。下山後は山形市で板蕎麦でも食べようかと思いながらピークに着くとトンガリ山から山形神室にかけてのなだらかな稜線と、仙台神室に向けての降下と登り返しが良く解る。笹谷峠からの標高差は450mに過ぎないが、累積ではそれなりになりそうだと覚悟して前進する。
 童話に出てきそうな名前の山を2個越えて三角点の有る山形神室に着くと天童市方面の展望も開けてくる。日本海に低気圧があり庄内方面は雷注意報も出ているはずだが、当面穏やかな天候が続きそうである。振り返れば雁戸山には雲が巻始めている。山域の選択は成功だったと思いながら仙台神室に向かいダンゴ平へ下っていく。正面に見える登り返しは見るからに急坂だ。
 息が切れる急登を登り、11:13に山頂に着くと狭い空間を埋め尽くすようにグループで昼食を取っているところであった。山頂看板の前で記念写真を撮ることもはばかれ、少し離れたところでリンゴジュースと行動食を食べ、15分程度で山頂を後にする。帰路の山形神室の山頂で記念写真を撮って貰い、先を急ぐ。昼を回ると雲が出始め、パラパラと小雨も降ってくる。カメラや携帯が濡れることを嫌ってザックカバーを付けるが通り雨に終わった。
 笹谷峠の駐車場に13:28に下山し、2日連続登山は終了する。山形市に降りて八百房温泉に入り、惣右衛門で板蕎麦を食べ、国道48号線で作並温泉を経て仙台に出て牛タン定食を食べるなど、温泉と食事に満喫してから東北道の仙台宮城ICより高速に乗る。渋滞を回避するため常磐道経由で帰宅したら、仙台から自宅まで4時間しかかからなかった。
No58 .2009/7-2009/10    ←No57No59→
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